このメッセージがアップされるころには、雪組は『ドン・カルロス』『Shining Rhythm!』東京公演の真っ最中です。大劇場公演をご観劇いただいたお客様からは、「芝居もショーもこれぞ宝塚という感じがした」という声を多くいただきとてもうれしかったですし、私たち自身も楽しく公演をさせていただきました。
この作品では、父のフェリペ2世、継母のイサベル王妃、思いを寄せるレオノール、親友のポーザ侯爵……と、いろいろな関係が描かれ、場面を経るごとに気持ちが変化していきます。大劇場公演では、役に入り込み、ドン・カルロスの目線で、それぞれにぶつかっていけた感覚がありました。
確執がある父に対しては、冒頭で会うときには、すごく嫌だなぁと感じるんです(笑)。父に面と向かって意見を言うこともせず、緊張とも言えない、独特な感覚があるのですが、最終的にはわだかまりが解けることで、安心感を抱くようになります。
幼なじみのレオノールに対しては、愛を語るのもすごくストレート(笑)。本来カルロスは素直で、思ったことを言い、行動する人なんだと思います。それが好きな人の前だからつい出てしまう。本当の自分をさらけ出して、ありのままの姿を見せることができる、そんな特別な存在ですね。
友人たちに対しては、すごく大切だからこそ傷つけたくないという気持ちですが、親友のポーザ侯爵に対してはまた違う感情もあります。毎公演ごとに、周りの反応や空気を感じ、そのときの感情で動いていますが、大劇場公演の終盤で、ちぎ(早霧せいな)演じるポーザ侯爵が、ものすごく苦悩している様子が目に入ってきて、グッときました。東京公演のお稽古をするにあたって、1ヶ月間演じてきてどう感じたか、どうしたいか、ということをお互いに話しました。ですので、2人のシーンはあまり多くないですが、東京公演では友情をより深く表現していけるのではないかと思っています。
いつも、大劇場公演前と東京公演前のお稽古では違う感情があるのですが、今回は特にガラッと気持ちに変化がありました。お稽古中や公演が始まった当初は、カルロスに対して「孤独」を強く感じていました。もちろん、孤独や苦しみもありますが、大劇場公演を終えて振り返ってみると、ただ辛く、悩んでいるのではなく、未来への希望もあったという感覚が残っています。というのも、カルロスの周りの人々がみな、彼に心の"矢印"を向けてくれていることを感じて、すごく幸せで……。父との確執、レオノールとの身分違いの恋、友人とのぶつかり合いなどにも、それぞれに愛がありますし、その思いに推されてカルロスも次のステップに踏み出すことができたのかなと思います。
東京公演では、自分だけで作り出すのではなく、みんなの力を借りて、それぞれの関係性の密度を濃くして場面を深めることで、カルロスの苦悩や背負っているものの大きさを出せるのではないかな、と。人や問題に対して、正面からぶつかっていくカルロスの姿勢や人間性も、より出していきたいです。
また、大人数でのハンドダンスも、公演を経るごとに体にしっかりと入って、1人ひとりの芝居もどんどん変わってきました。東京公演ではもっといい場面になると思いますので、団体戦に強い雪組ならではのシーンもぜひ楽しみにしていただければと思います。
『Shining Rhythm!』は、下級生にいたるまで、たくさんの場面に出演させていただいているので、華やかなショーになっていると思うのですが、いかがでしたでしょうか?
どのシーンも好きですが、大階段の黒エンビで踊る場面には特別な思いがありますね。ロケットダンスをしているときに、幕の後ろでスタンバイしているのですが、「これから男役のエンビが始まる!」と、気持ちがどんどん高まってきます。実は私、幕が開くまでのその緊張感がすごく好きなんです。人によっては、目をつぶって集中していたり、体を叩いて待っていたり、各々の時間の使い方があるのですが、それを見るのもまた楽しくて……。それまでは、自分を高めることで精一杯でしたが、いまはそうやっている皆を見ていると、テンションが上がってくる自分の気持ちの変化に驚いています。
後半の「光と影」という場面では、「光」という抽象的な役ということでイメージして、金髪ロングのかつらを着け、歌い方も変えています。芝居では家庭環境や経歴まで考えて役作りしますが、ショーももっと役作りにこだわり、受け身ではなく、挑戦したいな、と。そうすることで、1場面1場面を大切に作れたような感覚があります。
今回、初めて銀橋を渡る子もいたりと、1人ひとりが与えられたものの大きさと責任を感じつつ、舞台に臨んでいます。そうやって、皆がどんどん伸びている姿を見るのがうれしくて、いいものを作ろうと1つの目標に向かっている姿がすごく頼もしいです。私自身ももっともっと磨いて、引っ張っていけたらいいなと思っています。東京公演もぜひ劇場に足をお運びください!
※このメッセージは、4/19(木)に届いたものです。