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キャッシュレスデータから顧客理解のヒントを導く!「Custella Analytics」の活用事例

サービス業

千葉ロッテマリーンズ 様

キャッシュレスデータから顧客理解のヒントを導く!「Custella Analytics」の活用事例

三井住友カードがクライアントの課題に応じて分析を設計・実行するサービス「Custella Analytics」。既存顧客の特徴や有望な商圏など、キャッシュレスデータから導き出せる示唆は幅広い一方、膨大なデータから有益な示唆を得るためには、分析の切り口を適切に設定する必要があります。本記事では、課題に即した切り口とキャッシュレスデータのシナジーによって顧客理解を深めた事例を紹介。実行した分析の詳細に迫ります。

※MarkeZineで2022年5月16日公開の記事を転載しています。

01.

キャッシュレスデータで3つのペルソナを深掘り

MarkeZine編集部(以下、MZ): まずはお2人が担当されている業務と、ミッションについてお教えください。

千葉ロッテマリーンズ: プロ野球チームの千葉ロッテマリーンズにおいて、マーケティング戦略本部戦略企画部のCXM推進グループ(2022年3月時点)に所属しています。このグループでは事業系ITインフラの管理運用のほか、市場調査や収集データの分析業務などを担っています。

平野: 私は三井住友カードのデータ戦略部で「Custella Analytics」のプランナーを務めています。Custella Analyticsとは、キャッシュレスデータを基にした分析支援サービスです。カード会員様の属性や購買実績などを個人・加盟店が特定できないよう統計化し、クライアントの顧客理解を定量的にサポートするのが我々のミッションです。2021年より千葉ロッテマリーンズさんの担当プランナーとして、分析の要件定義や切り口のご提案を行っています。

三井住友カード マーケティング本部 データ戦略部 平野雄介
三井住友カード マーケティング本部 データ戦略部 平野雄介

MZ: Custella Analyticsを活用される以前、千葉ロッテマリーンズではどのようなマーケティング課題を抱えていたのでしょうか。

千葉ロッテマリーンズ: 2020年にマーケティング戦略の一環でペルソナを設定しました。コアファンにあたる「ローカルマリーンズフリーク」をメインに、30代前後の活発な方たちを指す「アクティブアラサー」と、小さなお子様連れのご家族を対象とする「ファミリーwithキッズ」という3種のペルソナです。

ペルソナの設定にはファンクラブのID情報「マリーンズID(※)」を活用したのですが、各ペルソナをより深く理解するにあたり、自社データだけでは材料が不十分だと感じていました。そんな折に提案いただいたのがCustella Analyticsです。ファンクラブ会員の球団外における購買行動や、非会員のデータが見られると知り、活用を決めました。

※公式ファンクラブ「TEAM26」の有料会員・無料会員全員に発行されるIDのこと。千葉ロッテマリーンズが提供する各種Webサービスやアプリを利用する際に必要となる。

02.

提携カードの利用回数を基準にコアファンを定義

MZ: 具体的にどのような分析を実行されたのでしょうか。

平野: まずはコアファン/ライトファンの定義からお手伝いをスタートしました。「マリーンズVISAカード」という弊社と千葉ロッテマリーンズさんの提携クレジットカードがあるので、そのカードホルダーを定性的にコアファンと定義。提携カードを使った千葉ロッテマリーンズ関連商品の購入回数を捕捉したところ、8回という閾値を導き出せました。

提携カードの利用回数を基準にコアファンを定義

平野: その閾値を基に、提携カード以外のカード会員様で8回以上関連商品を購入されている方もコアファンと定義。購入回数1~7回の方はライトファンと捉え、両者を性年代や家族構成、消費行動で比較分析したのがネクストステップです。

コアファンとライトファンを定義した際に、千葉ロッテマリーンズさんが既に設定されていた3種のペルソナと重なる部分が見えてきました。ローカルマリーンズフリークはコアファン、アクティブアラサーやファミリーwithキッズはライトファンという具合です。

千葉ロッテマリーンズ: ペルソナ設定は我々にとって初めての取り組みだったので「これで本当に合っているのか」という不安は正直ありました。Custella Analyticsで分析していただいた結果とペルソナが近しかったので「方向性は間違っていなかったんだ」という確信が持てたのは嬉しかったですね。

03.

コアファンの多くがスポーツ動画のサブスクを利用

平野: 意外な発見があったとすれば、移動手段のデータでしょうか。千葉ロッテマリーンズさん側で「ペルソナの移動手段は電車がメイン」という想定をされていたのですが、実際にデータを見るとレンタカーやガソリン、ETCの利用が多かったんです。

三井住友カード マーケティング本部 データ戦略部 平野雄介

平野: ほかにも「コアファンはスポーツ関連動画のサブスクリプションサービスに加入しているのでは」という仮説のもと分析を実行したところ、比較対象よりも1.77倍高い加入率が示されました。

千葉ロッテマリーンズ: コロナ禍で観戦の機会が減ったぶん、サブスクリプションサービスに加入する人は増えているだろうという肌感覚は持っていましたが、具体的な数字までは追いきれていませんでした。1.77倍という数値を見て「やはり」という手応えを感じたのは事実です。

MZ: 「ペルソナの深掘り」という当初の目的を両社で見事に達成されていると思います。お取り組みがうまく運んだ要因はどこにあるとお考えですか?

平野: 分析を進める中で、ペルソナとは別に「来場圏居住者」というお客様像を両社で作ったんです。具体的には千葉県の約20地区をピックアップし、そこにお住まいの方を来場圏居住者と定義しました。この来場圏居住者がペルソナの比較軸となり、分析の高度化に寄与したと考えています。

あとは、千葉ロッテマリーンズさんが既に明確なペルソナを設定されていたことも成功要因だと考えています。具体的なペルソナがあったからこそ、その条件にあてはまるデータを抽出し、球団外の消費行動を精緻に捉えることができました。

04.

スタジアムへ戻ってきてもらうための施策強化へ

MZ: 最後にお2人の展望をお聞かせください。

千葉ロッテマリーンズ: コロナ禍で長らく制限下の球団運営を余儀なくされていたので、まずはスタジアムへ戻ってきていただくことを目的に、設定した3つのペルソナごとのアプローチを強化していきたいです。あわせて、非来場層に対するアプローチにも着手したいと考えています。

千葉ロッテマリーンズの本拠地・ZOZOマリンスタジアム

千葉ロッテマリーンズ: 今後は時世が変わるにつれ、お客様の消費行動も変化する可能性があります。今回のお取り組みで提案いただいた切り口や得られた知見を継続して追っていくのはもちろん、これまで着目していなかったポイントについても引き続き一緒に探っていけると嬉しいです。

平野: 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除された直後のデータなども貯まっているので、消費者の行動変容をなるべくリアルタイムに把握していただけるよう、引き続きご提案していきたいです。

導入企業様

企業名
千葉ロッテマリーンズ
URL
https://www.marines.co.jp/