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キャッシュレスがインバウンド需要を底上げ!長野のホテルによる地方変革の兆し

キャッシュレスがインバウンド需要を底上げ!長野のホテルによる地方変革の兆し

2018年、インバウンド(訪日外国人旅行者)の数は3,000万人を突破した(日本政府観光局調べ)。政府は、世界的スポーツの祭典が開催される2020年に、4,000万人を目指すとしている。

現在、さまざまな分野でキャッシュレス対策が行われているが、去る2019年2月19日(火)~2月22日(金)に東京ビッグサイトで行われた「HCJ2019」で、サービス業界向け次世代技術・キャッシュレスセミナーが開催された。

「キャッシュレス&多言語対応でスマートなインバウンド対応を」と題したセミナーを行った、長野市にあるホテル国際21の加藤潤 常務取締役総支配人は、「キャッシュレスをはじめとするテクノロジーの導入は、観光を中心とした地場産業を底上げする力を秘めている」と唱える。セミナーに耳を傾けると、キャッシュレスのさらなる可能性が見えてきた――

もくじ

多様なキャッシュレス決済を1つのタブレットで

「当ホテルの決済端末では、クレジットカード払いに加え、中国の電子決済サービスであるAlipay(アリペイ)やWeChatPay(ウィーチャットペイ)のほか、d払い、Amazon Pay(アマゾンペイ)での支払いが可能です。また、決済を行うタブレット端末で24時間7ヵ国の同時通訳サービスを行うこともできるため、訪日外国人旅行者に対してストレスのないサービスを提供することができます

そう語るのは、同ホテル常務取締役総支配人・加藤潤氏。決済の効率化と言葉の壁を1つのタブレットに集中させたことで、双方を解決し、業務効率化につながっていると胸を張る。

加藤潤 イメージ1

ホテル国際21は、1969年に創業。大型の宴会場を同時に3会場設営できるなど、地方ホテルとして市内屈指の規模を誇る。1998年に開催された長野冬季五輪の際は、IOCの本部ホテルを務めるなど長野市を代表するホテルだ。

だが、その道のりは決して順風満帆ではない。長野県は、冬季五輪が閉幕すると、経済刺激効果が一巡したことを受け、不況に陥る。例にもれずホテル国際21もきびしい経営状況が続き、2005年には、建設事業や外食事業を展開する株式会社本久ホールディングスに経営を譲渡。暗中模索が続く中、2016年、加藤氏は常務取締役総支配人に就任した。「地場産業ならではの問題が山積していました」と、加藤氏は振り返る。

「駅から少し離れた長野県庁に近い場所に、我々のホテルはあります。駅前には、大手ビジネスホテルが進出し、立地的に後塵を拝していたことに加え、団体客が減少し、個人旅行客が増えていく最中にありました。年々、個人旅行客が増えていく中で、スタッフの人材不足という問題も浮き彫りになってきました」

さらに輪をかけて、収入の大きな一角でもあったブライダル事業が、少子高齢化、晩婚化などの影響を受け、減少傾向にあった。「私が就任する5年前と比べると、組数は半減しました。ホテル内のレストランを縮小するなど、てこ入れを施したものの効果は薄かったです。売上の柱を構築することが急務でした」と話した。

加藤潤 イメージ2

急増するインバウンド対策でキャッシュレス化へ

流出や減少するものを止めることは難しい。そこで目を向けたのが、加速度的に急増するインバウンドだった。

「個人旅行客の増加は、FIT(Foreign Independent Tour:海外個人旅行)という言葉があるように、外国人も同様でした。インバウンド需要を取り込むことが、成長には欠かせない。外国人にとってもストレスのない魅力的なホテルを目指すべきだと舵を切り直しました」

実は、加藤氏には予感めいたものがあった。常務取締役総支配人に就任した2ヵ月後、出張で北京のフランス外資系シティホテルに宿泊した際、スタッフからスマートフォン片手に接客された。

「最初は戸惑いました。そんな接客があるのだろうか?」と眉をひそめるも、次々と中国人利用者がスムーズに受付を済ます光景を見て、技術を駆使した未来の接客像をイメージしたという。「そのときの体験を思い出して、ホテル国際21もスマートフォンやタブレットで決済や確認を完了できるシステムを導入しようと決意しました」と回想する。

知己を頼って、2018年3月に、QRコードを含め、多機能決済と24時間7ヵ国同時通訳のサービス提供を開始した。同時通訳できるのは、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、スペイン語、ポルトガル語。加藤氏は、「北京で実際に身をもって体感したこと。そして、スピード感を持って取り組むことが大事」と力説する。

サービスを開始して約1年。確実に効果は表れ始めている。

「最も感じることは、FITに対してスマートな接客が可能となったことで、旅行者もスタッフもストレスレスな環境になったという点です。これまでは、海外からの観光客の方の言葉が理解できずに、うやむやにしてしまうこともありましたが、同時通訳サービスを利用することで迅速に問題を解決することができます。お客さまが何を求めているのか理解できるため、スマートにサービスや情報を提供することができます。小さなことかもしれませんが、こういったきめ細やかな対応が、顧客満足度やリピート率につながります」

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ワンタブレットで接客スタイルに変革をもたらす

また、冒頭でふれたように、同時通訳サービスを行うタブレットでキャッシュレス決済を行うことが可能。ワンタブレット化を一貫したことで、業務効率化、すなわち「働き方改革」にも一役買っているという。

「スタッフとしては、支払いと同時通訳サービスを同じタブレットで使用するため、無駄なストレスや業務を生みません」

決済面に関してはどういった変化があるのだろうか。

「弊社のインバウンドの決済比率は、クレジットカード決済が全体の4割を占めていました。ですが、サービス開始以降、台湾・香港を中心に、訪日外国人旅行者数が2割ほど増加したことを受け、QRコード決済比率が、現在、1割ほどにまで上昇しています。アジア系のインバウンドは年々増加傾向にありますから、QRコード決済比率も比例して上昇すると想定しています」

2019年10月に予定されている消費税10%への引き上げ時に、クレジットカードなどを使って中小規模の店舗で買物をした利用者に、増税分の2%をポイントで還元することになるため、「今後は国内旅行者のキャッシュレス決済比率も増えることが予想される。多岐にわたる決済方法を受け入れる必要がある。」と話す。

キャッシュレス化を推進することで、接客時間短縮による受付時の列の解消や、人手不足の解消にもつながると期待しています。売上も電子上で記録されるため、お金の管理にあてていた労力を、注力したい分野に集中しやすくなります。顧客の行動データから新たな営業戦力を立てることもできるでしょう。今後の接客スタイルや働き方が大きく変わるのではないでしょうか」

キャッシュレスをはじめとするテクノロジーで地域を盛り上げる

キャッシュレス化と同時通訳というサービスは、思わぬ副次的効果を生んだこともふれておきたい。

「導入後、県、市、新聞社、シンクタンク、週刊誌などから多数取材を受けました。先進的な取組みを始めることで、メディアが取材をしてくれます。宣伝費をかけずに、多くの方にホテル国際21の名前を知っていただけたのは、棚からぼたもちでした」

加藤氏は笑うが、その背景には、地域で連動していこうという力強い姿勢が垣間見える。

「ホテル国際21は、長野市で唯一の地元ホテル事業者です。だからこそ、単にインバウンド宿泊者数を増やすのではなく、周辺地域を盛り上げたいという気持ちがあります。長野市周辺が盛り上がれば、ホテル国際21に宿泊するインバウンドも増える。相乗効果を視野に入れて、キャッシュレス化や同時通訳サービスを行っています」

長野市周辺には、特に白人の訪日外国人旅行者に人気の「白馬」や「野沢温泉郷」、温泉につかる猿が人気の「地獄谷野猿公苑」など、観光コンテンツが集まっている。また、白馬や野沢温泉郷は、クレジットカードをはじめキャッシュレス決済の対策を行っているお店も数多くそろう。ホテル国際21は、そういったスポットのハブ的な滞在施設としての利用を目指していると話す。

「白馬とは、スノーアクティビティと連携をしたプランなどを打ち出しています。地獄谷野猿公苑であれば、運営会社が行うツアーとタッグを組み、1泊は長野市内で楽しんでいただくようにしています」

こういった協調は、双方がキャッシュレス化を図っていて、言葉の壁を解決しているからこそ可能となる。キャッシュレスをはじめとするテック化は、観光を中心とした地場産業を底上げする力を秘めているというわけだ。

2020年には、世界的スポーツの祭典が控えている。加藤氏は、「この機会を逃す手はない」と確信している。

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キャッシュレスを活かすための創意工夫を怠らない

キャッシュレス化、同時通訳サービスを活用しながら、加藤氏はさらなる創意工夫を実行中だ。

「現在、ホテルには30を超える大小のデジタルサイネージがあり、業務効率化を考えて導入しました」

デジタルサイネージとは、デジタル技術を使って平面ディスプレイなどに映像や文字を表示する電子看板のこと。

「デジタルサイネージは会議・宴会名称のほか、館内企画広告や動画などを表示しています。うちのホテルでは、1つの会場が昼・夜で2回転するため、差し替え作業が負担になって、誤字・脱字などの対処もクイックに対応ができずにいました。
デジタルサイネージにすることで、現在はホテルシステムから自動的にファイルを造成し、それをサイネージシステムで取り込み担当者が確認して表示するようになりました。今まで1人の社員が1日かけて行っていた作業が、デジタルサイネージの導入により、30分程度で済むようになりました」

今ではそのスタッフがほかの業務を担うことができ、業務効率化、および社員の戦力化につながっている。

「長野市内に宿泊し、朝の天候を見ながらスキー場を選ぶ人も少なくありませんので、天気に合わせた情報をデジタルサイネージで提供しています。長野市周辺の観光情報を案内することも視野に入れています。

また、2月末からはAI解析システムを導入しホテルの経営判断のツールに活用を始めました。宿泊の販売価格を追うのではなく、お客さまの評価をAIが解析し、その結果に基づき経営判断を行うものです。これも、大手チェーンを除いてローカルホテルでは先駆けとのことでした。

今後は、情報発信するハブ的な施設としても機能していければと考えています。ホテル国際21は、キャッシュレス決済もできて、多彩な決済手段があると知っていただければ、インバウンドを含む多くのお客さまにとって魅力的なホテルになると思っています」

キャッシュレスを活かすために、どれだけしくみづくりを工夫できるか。人が集まることを想定し、決済を選べるものにしておく――人が人を呼ぶ未来を見通して、ホテル国際21は新しい接客に取り組んでいる。

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加藤潤
長野市にあるホテル国際21の常務取締役総支配人。2012年にホテル国際21にて外食店舗、宴会サービス、宴会営業を経て、2016年から現職。

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