stera terminal導入で、「窓口の省スペース化」及び「コロナ対策」を実現。「POS+」アプリの分析機能で顧客ニーズも発掘

左:万年尚人さん(旭川市旭山動物園 副園長)
中央:田村哲也さん(旭川市旭山動物園 主幹)
右:鈴木大介さん(旭川市旭山動物園 広報)

日本最北の動物園として知られ、2022年7月に開園55周年を迎える旭川市旭山動物園。野生動物本来の動きを引き出す「行動展示」の先駆けとなり、2006年には入園者数が300万人を突破する大ブームを巻き起こしました。近年はアジア圏を中心に各国で旭川の魅力を伝える旭川市の活動も功を奏し、海外からの来園客が増加。北海道を代表する観光地として存在感を確立しています。

今回お話をうかがったのは、旭山動物園の管理部門を統括する田村哲也主幹、万年尚人副園長、広報を担当する鈴木大介さん。公共のサービス施設としてはいち早く「stera terminal」を導入されるなど、キャッシュレス化の推進に取り組む理由を語っていただきました。

紆余曲折を経ての「stera terminal」との出会い

かつては入園者数が減少し、廃園もささやかれる状況だったという旭山動物園。奇跡の復活の推進力となったのが、「行動展示」に代表される革新的なアイデアと、常に「お客さまが求めるもの」は何かを考え、追求し続けるチャレンジ精神です。

キャッシュレス化への取り組みも2019年頃からと早く、実は「stera terminal」に行き着くまでには紆余曲折があり、いろいろなところをあたっていたと田村主幹。現在は3か所の入園口で「stera terminal」が運用されており、窓口の混雑解消はもちろん、非接触型の決済が可能となったことが、お客さまと窓口スタッフの双方に安心感をもたらしていると話します。

「旭山らしさ」を形づくるのはチャレンジ精神(田村主幹、万年副園長)

新型コロナウイルスの影響は、旭山動物園にとっても非常に大きなものでした。例年は4月29日から夏期開園となりますが、2020年は感染防止のためにオープンできず、臨時休園となってしまったのです。

ゴールデンウィークの数日間は、北海道内のお客さまが一番多くいらっしゃる時期。来たくても来られない方のために、少しでも動物たちの様子を伝えたい。そんなスタッフのアイデアから始まったのが、動物たちの様子を紹介する「インスタライブ」や、飼育員の「ワンポイントガイド」をYouTubeチャンネルで生中継配信するという試みでした。

こうしたチャレンジは、旭山動物園が常日頃から大切にしている精神でもあります。「行動展示」もそうですし、お客さまが「旭山らしさ」と捉えてくださっている部分かもしれません。動物園としての魅力向上につながることも、お客さまの利便性向上につながることも、挑戦と感じることはどんどんやっていく。2020年から導入した電子チケットや、「stera terminal」を用いたキャッシュレス決済も、私たちにとってはチャレンジでした。

「旭山らしさ」を形づくるのはチャレンジ精神(田村主幹、万年副園長)

キャッシュレス化が急務となった背景(田村主幹)

もともと旭山動物園では、2020年のシーズンから入園料の改定を予定していました。一般820円は1,000円となり、10円単位だった料金体系は100円単位となります。というのも、以前は現金のみの取り扱いだったこともあり、お釣り銭のやり取りでお客さまをお待たせしてしまっていたのです。ゴールデンウィークから夏休みの繁忙期や、お盆期間中の人気イベント「夜の動物園」では、窓口に長い行列ができることもしばしば。入園料の改定に合わせたキャッシュレス化は避けられない課題となっていました。

入園料を改定すれば、お客さまの金額面のご負担が増えることになります。その分はしっかりとしたサービスで、満足度が上がるような取り組みをしなければならない。その一環として、利便性の向上につながるキャッシュレス端末の選定や、電子チケットの導入を急いでいたという背景がありました。

1台ですべての決済手段に対応できる「stera terminal」で省スペース化を実現(万年副園長)

しかし実際にキャッシュレス化に取り組み始めると、いろいろと問題にぶつかりました。一番の悩みは窓口のスペースが狭いこと。導入を検討し始めたときは、クレジットカード、電子マネー、コード決済など、決済手段ごとにたくさんの端末を並べて置いている状況をよく見かけていたものですから、「これでは困る」とずっと考えていたんです。

そんなときにタイムリーに三井住友カードさんから「stera terminal」がリリースされるというお話をいただいて、「これしかない」と思いました。ちょっとタイミングが違っていたら、たくさんの端末を置く形にせざるを得なかったかもしれません。ぎりぎりのところで「stera terminal」が登場してくれて本当に良かったと思っています。

導入に向けて動き始めたのは2019年末で、当初は夏期開園に合わせて4月末から入れる予定でした。進行もスムーズだったのですが、コロナの影響で8月中旬からの運用となりました。我々としては念には念を入れてというか、準備期間をしっかりと設けた上でスタートを切れたので、結果的には良かったですね。

1台ですべての決済手段に対応できる「stera terminal」で省スペース化を実現(万年副園長)

シンプルな操作性のため、スムーズにキャッシュレス決済の導入がスタート(広報・鈴木さん)

「stera terminal」が届くまでは、窓口スタッフも「どんなふうに操作するんだろう」と少し不安だったようです。でも実物が届いてみると、思っていた以上にシンプルなデザインで操作性が良く、機械が苦手なスタッフも「これなら簡単」と喜んでいました。使い方が分かりやすいので接客のスピードも上がり、以前のようにお客さまをお待たせすることも減ったと思います。

使用方法のレクチャーは事前に1日、三井住友カードさんの担当者に来ていただいて、操作の説明とトレーニングを受けました。そのあとは実際にスタートするまでの間、自由に端末にさわってもらい、各自で慣れ親しむ期間を1週間程度もうけました。タッチスクリーンが大きく、直感的に操作できるので、皆すんなりなじんだという印象でしたね。

現在は「stera terminal」を3か所の入園口で運用しており、正門に3台、西門に2台、東門に3台設置しています。2021年10月末の利用率は、窓口全体でキャッシュレス率が約18%。昨年度は約10%だったので、2倍近く伸びています。

今は少なくなっていますが、これから海外のお客さまが戻ってきたときには「stera terminal」のキャッシュレス決済を喜んでくださるでしょう。「stera terminal」はお客さま側の画面を英語表示に切替えることもできるので、現金決済のみのときのようなトラブルも減るのではないでしょうか。

「stera terminal」は Android™ OSの採用により、専用のアプリマーケット「stera market」からさまざまな業務アプリを追加できるということで、その点にも期待しています。今後ぜひ開発していただきたいのは、お客さまに対して多言語の音声で使い方をアナウンスしてくれるようなアプリです。これがあれば、外国語の会話に自信のない窓口スタッフも安心してご案内ができて、さらに利便性が高まりそうです。

シンプルな操作性のため、スムーズにキャッシュレス決済の導入がスタート

オールインワンかつ省スペース。これに勝るものはない(田村主幹、万年副園長)

実際に「stera terminal」を導入してみると、やはり当初の目的、お客さまの利便性の向上というところで、本当に大きく寄与していると感じます。今回は結果的にコロナ禍と重なりましたが、非接触ですべての支払いのやり取りができるというキャッシュレス決済によって、お金の受け渡しの場面は確実に少なくなりました。

また、「stera terminal」は端末画面が従業員側とお客さま側に2面あり、暗証番号の入力もお客さま側のタッチスクリーンでスムーズに行えるので、クレジットカード決済のときもカードの受け渡しが必要ございません。

お客さまにとっても、窓口スタッフにとっても、この安心感は大きなものです。コロナ対策という部分でも、大きく胸を張れる結果になりました。

今回の取り組みは公共施設としては先駆的な事例ということで、ほかの自治体からもお問い合わせをいただいています。よくあるのは「自治体ならではの手続きをどう処理していったのか」というご質問。やはり市の組織なので、予算の執行のしかた、会計部門との協議などもでてきますから。公金をキャッシュレスで取り扱うということ自体も、まだあまりない事例です。

なぜ「stera terminal」を入れたのか、と直球で聞かれることもあります。私たちの意見としては、オールインワンであって省スペース、これに勝るものはないのかなと。そして、30種類以上の多様な決済手段が使えるということですね。

クラウド型POSレジアプリ「POS+」の分析機能で顧客ニーズが顕在化(田村主幹)

旭山動物園では、stera terminalにクラウド型POSレジアプリ「POS+」を導入し、stera terminalをPOSレジとしても活用しています。もともと手計算で券種ごとの販売実績などを把握していたのですが、三井住友カードさんから「POS+」をご紹介いただいて採用に至りました。

「POS+」の大きなメリットは、POS機能に加えて分析機能が豊富であり、動物園の運営に活かせるさまざまなデータを取得し、蓄積していくことができるという点です。以前は毎日、手作業でどんなチケットがどのように売れたかといった記録を出していましたが、今は「POS+」によってリアルタイムで販売の傾向や、昨年度と比較して売上がどうなっているかを把握することができます。これにより、お客さまのニーズをより正確なデータから分析することができるようになりました。

昨年からはコロナの影響で、一般の入園券をお買い求めになるお客さまの割合は大きく減りました。25名以上の団体入園の割合も減少しています。その反面、当園は市の施設なので「市民特別料金」を設定しているのですが、これを利用される方の割合が高まっています。おそらく近郊にお住まいの方がお買い求めになっていると思われる、1,400円の「年間パスポート」の購入数も増えました。

来園者総数は減っているのですが、市民の皆さまが支えてくださっている。また、感染対策をしつつ外で気分転換ができるお出かけ先として、旭山動物園を選んでくださる方も増えているようです。そういった市民の潜在的なニーズも、「POS+」の優れた分析機能が気づかせてくれたことのひとつです。

環境問題を考える「小さな一歩」につながる動物園でありたい(田村主幹、万年副園長、広報・鈴木さん)

旭山動物園では2022年春のオープンを目指して「(仮称)えぞひぐま館」の工事を進めています。えぞひぐまが実際に生息している環境を再現するような形で作っており、2013年の「きりん舎・かば館」以来、約9年ぶりとなる大型施設の建設です。

いま環境問題のなかで、街なかにクマが出没し、人との軋轢が生じることが増えています。そうした問題についても、えぞひぐま館をきっかけに興味を持っていただけたら嬉しいです。

今後、世界でサステナビリティやSDGsの重要性が叫ばれていくなかで、動物園の果たす役割はどんどん大きくなってくるのかもしれません。もちろん、ふらっと立ち寄ってくださるだけで十分なのですが、そのなかで小さな気づきが生まれて、次のちょっとした一歩につながればいいなと。そういう動物園でありたいですね。

三井住友カードさんには、これからも「stera terminal」や、「stera market」のアプリを活用することで可能になる、さまざまなサービスのご提案をいただきたいです。こちらにアイデアがなくても「stera」から新しいチャレンジが生まれるかもしれない。それがお客さまの満足度、サービス向上につながることを期待しています。

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