167窓口にstera terminalを導入し、県民の利便性向上へ。「POS+retail」アプリの分析機能も活用し、窓口業務の効率化を目指す

新潟県県庁
左から若杉直樹さん(出納局 管理課 課長)、
坂野理津子さん(出納局 管理課 決算・資金係長)、
江畑沙織さん(出納局 管理課 決算・資金係 主査)、
加口彩菜さん(法務文書課 行政情報室 主任)、
菊地玲成さん(法務文書課 行政情報室 副参事)

新潟県では、県民サービスの向上と行政の業務効率化を目指し、2022年より窓口でのキャッシュレス決済の導入を進めています。2023年1月現在、県庁内の各課の窓口や県立図書館、県立学校など、163窓口に「stera terminal(ステラターミナル)」を導入しており、自治体としては前例のない大規模なキャッシュレス化を実現しました。

今回お話を伺ったのは、導入プロジェクトを担当した新潟県出納局管理課の課長、若杉直樹さん、決算・資金係の係長を務める坂野理津子さん、主査を務める江畑沙織さん、実際に窓口対応を行っている法務文書課行政情報室の主任・加口彩菜さんです。キャッシュレス化の推進に取り組んだ背景や、導入時の課題、導入後の効果、そして、今後、自治体として目指す未来について語っていただきました。

2024年の収入証紙廃止に向けて、キャッシュレス決済の導入へ

近年、国の施策としてキャッシュレス化が推進される中、収入証紙の見直しや廃止の検討が進められており、新潟県も大規模なキャッシュレス決済導入プロジェクトに踏み切りました。キャッシュレス決済導入プロジェクトの推進を担った出納局管理課の若杉さんは、プロジェクトがスタートした背景をこう話します。

若杉さん:以前からキャッシュレス化の必要性はささやかれていましたが、県として2024年に収入証紙の廃止を目指すこととなり、その一環として今回のプロジェクトがスタートしました。収入証紙とは、県民の皆さまが各種手続きを行う際、その手数料の支払いに利用するものです。あらかじめ証紙を金融機関などで購入した上で、申請書に添付して支払いを行うしくみのため、利用者の方々にとってワンストップでないことや購入時間・場所が限定されるなど不便な面があり、見直しが必要だという声がありました。

今回の導入プロジェクトでは「県民サービスの向上」「窓口業務の効率化」という2つの目的を掲げ、ワンストップの窓口対応で県民の皆さまの利便性を向上し、かつ、窓口の担当者も現金を扱わずに済むしくみを作ることを目指しました。2年後の収入証紙廃止に向けて、県の窓口においてキャッシュレス化の割合をどれだけ高めていけるかが重要であり、そのためにどのような形にすべきか検討していきました。

2024年の収入証紙廃止に向けて、キャッシュレス決済の導入へ

若杉直樹さん(出納局 管理課 課長)

大規模導入のため、スムーズな導入と安定的な運用が課題に

新潟県は、本庁や地域機関、県立学校、県立文化施設など、167窓口にキャッシュレス決済を順次導入することを目指していたため、「自治体としては前例のない規模の大きさだった」と若杉さんは話します。

若杉さん:「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」という、国の有利な財源を活用する形で、大規模なキャッシュレス決済導入を図ることになりました。多くの窓口に一斉導入することとなり、「スムーズに現場に導入できること」「安定的な運用ができるしくみを作ること」という2点が大きな課題でした。

キャッシュレス決済の端末・システムを選定する際には、三井住友カードさんの「stera terminal」を含めて、2つの企業グループから提案を受けました。導入時や運用時のサポート体制があることも重視して検討を進めていきました。

導入のポイントは、1台に機能が集約されたコンパクトさと公的機関への導入実績

若杉さんと共に、このプロジェクトを推進した坂野さん、江畑さんは「stera terminal」を選択したポイントについてこう話します。

坂野さん:市町村は現金を扱うため、レジを置くスペースがすでにありますが、県の場合は新たにスペースを確保しなくてはなりません。「stera terminal」のコンパクトな形状は省スペースを実現できて魅力的だと思いました。

江畑さん:当初、私たちはスーパーにあるような大きなPOSレジも選択肢に入れていました。そんな中、「警視庁が『stera terminal』を導入した」というニュースを見て、「これはいいかもしれない」と話していたのです。三井住友カードさんから提案をいただいた時、実際に端末を見てそのコンパクトさに驚きました。

若杉さん:公的機関に大規模導入した実績がすでにある点も評価できると考えました。警視庁のプロジェクトでは、警察署窓口や免許センターなど、100を超える拠点への導入を実現しており、導入・運用の際にも安心できる体制があると感じました。

坂野さん:また、「stera terminal」はほかの端末と違い、クレジットカードからQRコード決済、交通系ICまで、さまざまな決済方法に対応できる上、レシートもプリントできます。小さな端末1台ですべて完結できることに驚きを感じました。操作性についてもわかりやすく、売上票の紙の費用も利用料に含まれています。私たちは県民の方々が納める税金を預かる立場なので、経費を抑えられるしくみにすることも非常に重要だと考えました。

導入のポイントは、1台に機能が集約されたコンパクトさと公的機関への導入実績

坂野理津子さん(出納局 管理課 決算・資金係 係長)

データ分析や管理に役立つPOS機能のアプリも導入

新潟県では「stera terminal」に加え、「POS+(ポスタス)retail」アプリも合わせて導入することを決めました。アプリマーケット「stera market(ステラマーケット)」を通じて利用できるこのアプリによって、POSレジ機能や分析レポート機能を利用することができます。

若杉さん:端末だけでなく、「POS+retail」アプリのサポートも充実している点が非常に良いと感じました。キャッシュレス決済の体制を最適化するためには、全体像を捉え、検討・判断を重ねていくことが必要であり、データを押さえられる機能が大事だと考えました。

一方、現場の窓口の業務効率化や出納局におけるデータ管理の面でも、「POS+retail」の機能は役立つそうです。

江畑さん:県ではさまざまな手続きに対応していますが、それぞれに手数料は異なります。どの手数料にどのくらいの金額が納入されたのか、各窓口で仕分けすることが難しいと考えていました。また、決済時に手数料を都度入力する場合は、金額ミスなどにつながる可能性もあります。その点、「POS+retail」の機能を使えば、各手数料の金額をあらかじめ登録できるので、ミスの防止と決済時の効率化に役立ちます。

また、収入証紙を集計する際には、各窓口で申請書を確認し、どの手数料につき何枚の収入証紙を徴収したかを目視で数え、それぞれの金額を財務会計システムに入力することが必要でした。こうした業務の効率化にも役立てることができます。

坂野さん:私たち出納局の職員としては、県全体における手数料の納入データをどう管理するかという点も大きな課題となります。「POS+retail」の機能によって全窓口の集計作業が楽になる上、全体のデータ管理がしやすくなる点も魅力的だと感じました。

データ分析や管理に役立つPOS機能のアプリも導入

江畑沙織さん(出納局 管理課 決算・資金係 主査)

三井住友カードとポスタスのサポートでスムーズな導入を実現

「stera terminal」導入の際には、三井住友カードと「POS+retail」の開発会社であるポスタス株式会社によるサポートが大きく役立ち、スムーズな導入を実現できたと江畑さんは話します。

江畑さん:短期間で多くの窓口に導入しなくてはならない状況の中、三井住友カードの担当者の方が事務手続きのフォローをしてくださったので助かりました。わからないことを細かく教えてくれただけでなく、進行管理のサポートがあったおかげで導入期日に間に合わせることができました。

また、職員に向けた導入研修では、ポスタスの担当者の方が県と共同開催という形式で柔軟に操作研修を実施してくれることになり、研修で使う操作マニュアルなども作成してくれたので、非常にありがたかったです。

導入予定の各窓口を担当する職員は300~400人程度にものぼるため、オンラインの研修を複数回開催しました。ポスタスさんは研修風景の録画と共有についても了承してくれたので、参加できなかった職員には各自で研修動画を見て学んでもらう方式を採ることができました。

若杉さん:三井住友カードさんやポスタスさんのコールセンターのサポートがあったことも大きかったですね。われわれ、出納局の職員は会計知識については詳しくても、端末やアプリ、通信環境などの知識がないため、トラブルがあってもその原因がわかりません。「何かあったらコールセンターに電話してください。すぐに対応します」という体制のおかげで安心感がありましたし、実際、丁寧に対応してくれました。また、導入後には、各窓口がコールセンターに直接連絡する体制としたことで、われわれも各所からの問い合わせ対応に追われることなく済みました。

三井住友カードとポスタスのサポートでスムーズな導入を実現

サービス向上を実現でき、最適な決済手段の分析にも役立つ

新潟県庁は、2022年4月の時点で県庁や県警本部などの本庁10課にキャッシュレス決済を導入し、6月には県庁、地域振興局、県立高等学校など150を超える機関への一斉導入を果たしました。導入後の効果について、坂野さんと江畑さんはこう話します。

坂野さん:キャッシュレス決済を利用できるようになり、現場の職員からは「さまざまな決済方法を使えて、窓口のみで完結できるのがとても良い」という声を聞きました。収入証紙の窓口では、今までは、収入証紙が必要だと知らない方には、購入できる場所を案内して買ってきていただく方法を採っていました。現在はそうした手間をお掛けすることがなくなった上、現金の窓口では、現金の持ち合わせがない方にもご対応できます。サービスの向上で県民の皆さまに喜んでいただけているとのことで、職員にとってはご面倒をお掛けする心苦しさもなくなったのではないかと思います。
また、「stera terminal」の端末は、感染症対策という面でも役立っていると思います。クレジットカードの差し込みや暗証番号の打ち込みは県民の方が自分で行うしくみのため、非接触での決済を実現できます。

江畑さん:窓口から出納局への問い合わせも想定以上に少なく、導入そのものもスムーズだったと感じます。新たな決済手段を導入する場合は、現場の職員からは一定数の不安や懸念の声があがります。実際、今回の導入前には厳しい指摘を受けることもありましたが、実際に導入がスタートしたらそのような声はほぼなく、ホッとしました。

坂野さん:「POS+retail」についても、データ分析機能が毎月の各課の売上実績管理や分析に役立っています。窓口におけるキャッシュレス決済利用率の分析はもちろん、Web上の電子申請システムで利用されるキャッシュレス決済との比較などにも役立てています。

「stera terminal」ではさまざまな決済手段を利用できますが、導入前には「こんなにたくさんの決済手法が必要だろうか」という思いもありました。しかし、導入後に分析してみると、16種類の決済手段と交通系電子マネーが利用されていました。この端末1台でさまざまな選択肢を提供できるので、県民の皆さまのためにも選択して良かったと思います。とはいえ、今後はそれぞれの窓口におけるコストバランスも考えていかなくてはならないので、「POS+retail」を活用して決済手法を最適化していくための分析を続けていきます。

窓口担当者もキャッシュレス決済の効果を実感

それでは、「stera terminal」を使っている窓口担当の方はその効果をどう感じているのでしょうか。新潟県法務文書課行政情報室の主任・加口彩菜さんにお話を伺いました。

加口さん:行政情報室では情報公開請求、個人情報開示請求のご案内、行政資料のコピーサービスを行っています。多い時には1日10人以上いらっしゃることもあり、ほかの業務と並行しながら窓口対応をしています。

これまでコピーや写しの代金については、現金のほか、納入通知書、現金書留による郵送、郵便為替の送付で現金を領収し、領収書も手書きで発行していました。しかし、「stera terminal」を導入した後は、ボタンひとつで簡単に操作ができ、レシートも自動でプリントアウトされるため、かなり効率化できていると感じます。操作性も問題なく、窓口担当の全職員がすぐに使いこなせるようになりました。

また、「POS+retail」アプリによって各種代金の単価がすでに設定されている点も便利ですね。一つ一つの金額を確認して打ち込む手間がなくなりましたし、金額間違いもないので安心できます。

何より、県民の皆さまの利便性を向上できていることを実感できることが嬉しいですね。導入当初は月に2~3人程度のご利用でしたが、最近はキャッシュレス決済ができることを知っている方も増え、全体の2割くらいに増えました。

「ここでも使えるんだ」と喜んでいただけることも多く、窓口担当として県民の方に多くの選択肢を提供できることに喜びを感じています。また、現金の受け渡しなく非接触で完結できるので、感染症対策としても有効だと感じます。県民の皆さまにも安心して使っていただけるのではないかと思います。

窓口担当者もキャッシュレス決済の効果を実感

加口彩菜さん(法務文書課 行政情報室 主任)

今後は、キャッシュレス決済をより身近にしていく

最後に、出納局の皆さんに、今後の目標と導入検討をされている方々へのメッセージをいただきました。

若杉さん:これからの時代、自治体も幅広いサービスで多様な決済手段を提供していくことが必要だと感じています。新潟県では、県民サービスをより向上していくため、今後、さらにキャッシュレス決済を浸透させ、利用率を高めていきます。また、市町村の導入を後押ししたいと考えており、成功事例の情報共有なども積極的に行っています。

キャッシュレス決済は、県民サービスの向上に役立つだけでなく、産業振興の面においても大きな可能性があると感じます。この先は、データマーケティングも活用しながら、キャッシュレスをより身近にしていくことを目指していきます。

坂野さん:新潟県では当初から167窓口にキャッシュレス決済を導入するプロジェクトを進めていましたが、ほかの自治体ではそうした前例がなく、「果たして本当に実現できるのか」という不安がありました。しかし、三井住友カードさんとポスタスさんのサポートによって、契約・申込からわずか3ヵ月で達成することができました。現在も、163窓口をサポートしていただき、本当に助かっています。

江畑さん:キャッシュレス決済の導入プロジェクトを始めるにあたって、正直、私たちはどの端末を選べばいいのかわかりませんでした。結果的に「stera terminal」と「POS+retail」を組み合わせての導入に至りましたが、必要なサポートを受けられたおかげで非常にスムーズだったと感じます。

ほかの自治体の方から「決済システムとPOSアプリの連携がうまくいかない。新潟県のしくみを教えてほしい」という問い合わせを受けたことがありますが、新潟県ではそうしたトラブルが一切なく、非常に良い選択ができたことを実感しました。自治体に導入する場合は、安定運用ができることが非常に大事なので、そうした面も踏まえた上で検討されると良いのではないかと思います。

今後は、キャッシュレス決済をより身近にしていく

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