Powered by三井住友カード

like_u

「Like U」は、お金・暮らし・働くことに関する
さまざまなヒントをご提案するメディアです。
三井住友カードは 女性の“あなたらしい”毎日を応援します。

最近よく聞くフードロスとはどんな問題?支援する方法やフードロス商品の通販など徹底解説

最近よく聞くフードロスとはどんな問題?支援する方法やフードロス商品の通販など徹底解説

小林富雄

愛知工業大学経営学部教授

監修:小林富雄

商社、シンクタンクを経て、2015年から同大准教授、2017年度より教授。環境省、消費者庁などの委員を歴任。2019年より内閣府食品ロス削減推進会議委員。2019年には(一社)サスティナブルフードチェーン協議会代表理事も務める。専門分野は、マーケティング、流通論、食料経済。食品流通で発生する食品ロスについて、約20年にわたり研究に従事。主な著作に『食品ロスの経済学 第3版』(農林統計出版)ほか。

冷蔵庫の中を整理すると、こんなものが見つかりませんか。霜がついた肉、ニオイのする総菜、数年前に賞味期限が切れた調味料。いつ購入したか、調理したかわからず、ゴミ箱へ廃棄してしまうこれらはすべて、「フードロス」または「食品ロス」と呼ばれるものです。

最近はニュースでも取り上げられるフードロス問題。一体なにが問題なのでしょうか。日本での状況、家庭でできるフードロス対策、そしてフードロス削減の支援方法など、フードロスについて詳しく解説します。

INDEX

フードロス(食品ロス)とは?

フードロス(食品ロス)とは?

フードロス(食品ロス)は、本来食べられるものなのに捨てられてしまう食料を指します。大きく分けると、レストランや食品加工業など事業活動によって出る「事業系食品ロス」と、各家庭から出る「家庭系食品ロス」の2種類があります。

フードロスが発生する原因

フードロスが発生する原因はひとつではありません。事業系においては、需要を超える量の過剰生産が要因のひとつとして挙げられますが、農業はその年の気候に左右され、凶作になるリスクもあるため売り上げ計画に対して作付面積を広くとることが一般的です。そのほか、加工・出荷段階で売り物に適さないとされた傷ものや規格外品、小売りでの返品や売れ残り、外食産業での食べ残しなどもフードロスになります。

家庭系では、主に食べ残し、賞味期限切れなどによる手つかずのまま廃棄(直接廃棄)、むきすぎた野菜の皮など過剰に除去されてしまった可食部分(過剰除去)が、生ごみとして廃棄されています。

日本のフードロスの現状

「総務省人口推計(2017年10月1日(日))2017年度食糧需給表(確定値)」によると、日本でのフードロスは年間612万トンで、その内、事業系は328万トン、家庭系は284万トンです。年間612万トンという数字は、日本人1人当たり1年で約48キログラムのフードロスを出していることになります。これは毎日、お茶碗1杯分のご飯(約132グラム)を捨てていることと同じです。

日本の食料自給率は38%(2019年度)で、食料の多くを海外からの輸入に頼っているにもかかわらず、これだけの食料を廃棄している状況です。フードロスを含むゴミの廃棄・処理には、運搬・焼却のために多額のコストがかかるうえ、二酸化炭素の排出や焼却後の灰の埋め立てなどによって環境に負荷を与えています。また、食料が捨てられている一方で、貧困や家庭の事情から7人に1人の子どもが食事をできずに困っています。

さらに2020年、新型コロナウィルスが多くの生産者に打撃を与えました。本来であれば2020年の世界的スポーツの祭典や年々増加していたインバウンド需要で盛り上がりを見せるところ、祭典の延期や外出自粛、休校措置に伴う学校給食の中止で、卸先からのキャンセルが相次ぎ、出荷量が激減し、通常よりも在庫を抱えることになったのです。保存のきかない食品は、そのまま廃棄になりかねません。

そこで大量のフードロスを発生させないように、コロナ禍では余った食料を福祉団体などに寄付する活動や、消費者に大量の在庫品を安価で直接販売するインターネット上の通販モールが増えました。こちらの寄付活動や通販サイトなどについては後ほど詳しく解説します。

日本の食品ロス削減のための法律

フードロスを削減するため、日本では「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」の2つの法律が設けられました。

  • 食品リサイクル法
    食品リサイクル法は、食品関連事業者に向けて適用される法律です。食品の売れ残りや食べ残し、製造・加工・調理の過程で生じた食品廃棄物などが発生しないように抑制し、最終的に処分する量を減少させます。発生してしまった廃棄物については、飼料や肥料などに利用するほか、焼却によって発生するエネルギーを再利用します。この削減と再利用、2つの取り組みを促進する法律で、事業者は「削減」を優先して行うように位置づけています。
  • 食品ロス削減推進法(食品ロスの削減の推進に関する法律)
    2019年10月1日(火)に施行された新しい法律で、フードロスを削減するために、国・地方公共団体・事業者が責務を果たし、消費者も主体的に参加し、社会全体で協力しながら課題に取り組むことを促進する法律です。フードロスに関する定義や、取り組みの基本方針、フードロス削減に関する施策の基本事項などを記しています。また、人々の理解と関心を深めるために、「食品ロス削減月間」を毎年10月に設けました。

家庭でできるフードロス対策

家庭でできるフードロス対策

家庭で発生するフードロスには「食べ残し」、「直接廃棄」、「過剰除去」の3種類があります。それぞれのロスを削減するために、食事に関するシーン別に対策を考えましょう。

冷蔵庫の中身をチェックしてから買物に行く

食料の買いすぎはフードロスにつながります。買物前には冷蔵庫やストックの在庫を確認し、献立に沿った買物メモを作っておきましょう。安売りがあっても、まとめ買いは食べきれない・使いきれない可能性があるため、禁物です。また、スーパーや食料品店での売れ残りもフードロスの原因になるので、すぐに食べる・使う食材は、手前に陳列されている賞味期限や消費期限が近い商品からとるようにしましょう。

適切な保存方法を知る

買ってきたものを冷蔵庫やストックにしまうとき、すでに中に入っているものも含めて、賞味期限や消費期限が近いものを手前に置くようにしましょう。生鮮食品など傷みやすいものは、適切な保存方法で長持ちさせるか、まとめて下処理をして冷凍しておくのもおすすめです。保存袋やプラスチックの食品保存容器には調理した日付と賞味期限を併せて記載しておくと、食べ残しを防ぐことができます。

調理は適時・適量を心がける

食材の過剰除去を防ぐために、正しい野菜の切り方や食材を無駄にしないレシピなどを調べましょう。除去した野菜の皮や葉の余りなどは捨てずに煮込むと、さまざまなメニューに応用できる野菜出汁を作ることができます。

調理するときは、残っている食材、賞味期限・消費期限の近い食材から使って、食べられる分だけを作るようにしましょう。どうしても食べきれずに余ってしまったものは、冷凍したり、調味料を新たに加えるなどして別の味にアレンジしたりして、後日食べられるようにしましょう。

外食時は注文しすぎない

外食時も、調理のときと同じように、食べられる量の注文を心がけましょう。どうしても残ってしまった場合は、タッパーやドギーバッグ(食べ残しのお持ち帰り)などで持ち帰ることができるか店舗に確認してみてください。

食べ残しが多く出る宴会では「3010運動」がおすすめです。大人数が参加する宴会では、会話に花が咲き、自分の席を離れることが多くあります。このキャンペーンでは、乾杯後30分間は席を立たずに料理を楽しみ、お開き10分前になったら自分の席に戻って再度料理を楽しみましょうと呼びかけることで、フードロス削減の一助となっています。

フードロス削減を応援する方法は?

フードロス削減を応援する方法は?

コロナ禍で注目された事業系食品ロス。これらを削減するために消費者が応援できる通販サイトがあります。また家庭で消費する以外にも、余ってしまった食料は寄付することでフードロスを防ぐことができます。

フードロス通販サイトを利用する

生産者側で通常廃棄されるような、訳あり商品や規格外商品などを通常の商品よりもお得な価格で購入できる通販サイトがあります。一部のふるさと納税関連サイトでも、事業者支援とフードロス削減を呼びかける返礼品を扱っています。

  • 別ウィンドウでWakeAi(ワケアイ)のサイトへ遷移します。

「WakeAi(ワケアイ)」は、新型コロナウィルスの影響によって商品販売機会が減少し、在庫を大量に抱えてしまった食品関連業者が「通常よりもお手頃な価格」として商品や在庫を出品する通販モールです。ユーザーはこの通販モールを通じて事業者を応援し、コロナ禍でのフードロス削減に貢献しながら、良いものを安く手に入れることができます。

元々「WakeAi」は、2020年5月に、“買って応援、食べて応援”をキャッチコピーに「Wakeari(ワケアリ)」という訳あり品を販売するECモールとして生まれました。しかし新型コロナウィルスの影響により、その後36万人のユーザーをもつボランティアグループ「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」と統合して、新たに社会貢献型通販モール「WakeAi」としてオープンしました。

  • 別ウィンドウでうまいもんドットコムのサイトへ遷移します。

「うまいもんドットコム」は“どこでも手に入るもの”よりも、一般入手が困難なこだわりの食材や、地域限定の伝統食など、全国各地にある魅力的な「食」を発掘して販売しています。豊洲市場で青果の買参権をもち、市場で産地や商品の情報をいち早く入手することができる強みをもっていますが、その分なかなか買い手がつかずに行き場に困っている食材も見かけてきたそうです。

そこでさまざまな理由で賞味期限が近くなった食材や、卸先からの注文キャンセルで余った食材、市場で買い手がつかずに相場が下落した食材などをフードロス削減のために、ECモール上で販売しています。農林水産省より委託された「食べて応援!学校給食キャンペーン」では、学校給食で使用予定だった食材をモール上で販売し、2020年3月16日(月)から2020年5月7日(木)の約2ヵ月間で総重量282トンのフードロス削減につなげることに成功しました。

寄付をする

買いすぎてしまった食品や余ってしまった贈答品を消費しきれない場合は、近所へのおすそ分けをしても良いでしょう。寄付する場合、フードバンク、フードドライブの活用がおすすめです。

  • フードバンク
    食品関連事業者の製造工程で発生する規格外品などを寄付してもらい、福祉施設や食事を満足に食べられない家庭などへ無料で提供する団体・活動を指します。2020年3月31日(火)時点で、フードバンク団体数は120団体にのぼり、農林水産省でもフードロス削減を図る手段のひとつとして活動を支援しています。一般的には法人からの食品寄付が対象ですが、一部のフードバンクでは個人からも受け付けています。受け付けられない食品がある場合や、送料や梱包資材などが実費負担となることがほとんどなので、ホームページで寄付方法の詳細を確認しましょう。
  • フードドライブ
    「フードドライブ」は自治体や学校、施設、地域のイベントで個人向けに行っている寄付活動です。ここで集めた食品をまとめて地域の福祉団体やフードバンクへと寄贈します。生鮮食品はNGなど、集める食品の条件があるので注意しましょう。

コンビニが行っているフードロス対策

コンビニが行っているフードロス対策

多くの人が立ち寄るコンビニエンスストアでも、フードロス対策に乗り出しています。中でもセブン‐イレブンの取り組みは、消費者個人でも応援できそうです。

セブン‐イレブンの取り組み

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンでは2020年5月11日(月)より、全国の店舗で「エシカルプロジェクト」を開始しました。この活動は販売期限が近づいたおにぎりやお弁当などを電子マネーnanacoで購入すると、ボーナスポイントを付与するフードロス施策です。開始より1ヵ月間(5月11日(月)から6月10日(水)までの31日間)で約592万人が対象商品を購入し、フードロスは昨年比で2割削減できました。

セブン‐イレブンではほかにも、製造工程や温度、衛生管理を見直すことで保存料を使うことなく、長く鮮度を保つことができるオリジナル商品を開発しています。また、飲み物やお菓子など比較的賞味期限が長い加工食品でも、店舗への納品期限のルールを変更するなど、サプライチェーン全体でフードロスを削減する取り組みを推進しています。

ローソンの取り組み

ローソンでは、物流センターに残ってしまった「店舗への納品期限を迎えた商品(賞味期限は残っている)」などを、一般社団法人全国フードバンク推進協議会を通じて、食品支援が必要な家庭やこども食堂(※)、児童養護施設、障がい者福祉施設などに寄贈する取り組みを推進しています。これによって社会貢献を果たすとともに、フードロスの削減を目指しています。

  • こども食堂:子どもが1人でも行くことができる無料または低額の食堂。家庭の事情により親と一緒に食事をとることができない子どもや、満足に食事をとることができない子どもとその家族が利用可能。

フードロス対策アプリ

フードロス対策アプリ

またスマートフォンのアプリにも、消費者がお得に買物しながらフードロス削減を支援できるサービスが登場しました。

No Food Loss

アプリ「No Food Loss(ノーフードロス)」は、近くのコンビニや小売店でやむをえず発生したフードロスを、専用のクーポンによって購入できるサービスです。アプリをダウンロードしたユーザーは、位置情報を入力、もしくはGPSで同期すると、近隣店舗のフードロス情報が通知されます。アプリ上で発行されたフードロスのクーポンを該当店舗で認証されると、商品を安価で購入することができます。

さらに購入金額の一部は、特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International(以下、TFT)を通じて、アフリカやアジアの子どもたちの給食として届けられます。TFTは、世界で起きている食の不均衡を解消し、飢餓や栄養失調の問題で苦しむ人々、肥満など食に起因する生活習慣病をかかえる人々も、双方の人々の健康改善を目指す日本発の社会事業です。ちょっとした買物が、フードロス削減と寄付の社会貢献ができるサービスです。

フードシェアリングサービス「TABETE(タベテ)」

フードシェアリングサービス「TABETE(タベテ)」は、まだ美味しく食べられるのに捨てざるをえない危機にある飲食店の食事を、ユーザーが「1品」から「美味しく」「お得」に購入することによってレスキューできるしくみ(プラットフォーム)を提供しています。
ユーザーはアプリを通じて、提携する飲食店が出品する訳あり商品を事前に購入し、設定されたピックアップ時間に、店舗まで受け取りに行きます。すでに、20〜40代の働く女性を中心とした約33万人のユーザーと、飲食店や総菜店を中心とした約1,400店舗が登録しています。
また、アプリ内から「TABETEレスキュー掲示板」のサイトへ移動すれば、食材をレスキューでき、フードロスに困っている全国の生産者を支援できます。こちらの場合、店頭での受け取りではなく、商品が全国から直送されます。

まとめ

まとめ

多くの事業者がフードロス削減に取り組む中、三井住友カードでも、キャッシュレス決済による「タッチハッピー」の取り組みを推進しています。

「タッチハッピー」では、会計時に三井住友カードでVisaのタッチ決済を行うと、タッチ1回につき1円が世の中を良くする活動に寄付されます。最初の活動では、フードバンク活動を長年行っているセカンドハーベストジャパンと手を組み、2020年2月3日(月)から2020年5月31日(日)の間で57万806タッチ分の金額を寄付できました。

社会貢献を特別なものではなく、日々の暮らしの中で簡単に気負わずにしていきたいものです。フードロス削減や、タッチハッピーなど自分のライフスタイルに合わせて社会貢献をしてみませんか。

  • 本記事は、公開日時点での情報です。

ランキング

話題のキーワード

FOLLOW US !

三井住友カード 公式アカウント

Instagram@smcc_likeu

タップして投稿をチェック!

iDeCoの仕組み徹底解説