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不妊治療の保険適用はいつから?どこまでが対象?範囲や年齢制限などの条件、メリット・デメリットなどもわかりやすく解説

不妊治療の保険適用はいつから?どこまでが対象?範囲や年齢制限などの条件、メリット・デメリットなどもわかりやすく解説

續恵美子

ファイナンシャルプランナー

監修:續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。
ファイナンシャルプランナー〈CFP®〉。
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。
夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

高額な費用がかかる不妊治療は、不妊に悩む夫婦にとって大きな負担となっており、出産を諦める夫婦も少なくありません。
2022年4月から不妊治療を受ける夫婦の負担を軽減するべく、不妊治療の保険適用範囲が拡大されました。以前は自由診療だった不妊治療ですが、保険の適用範囲はどこまで広がったのでしょうか。保険適用となる条件やメリット、デメリットについてもわかりやすく解説します。

INDEX

不妊治療の保険適用が開始

不妊治療の保険適用が開始

不妊治療を検討している、受けている夫婦にとって、不妊治療の保険適用は大きなニュースとなりました。ここからは、保険による不妊治療の概要や、保険適用となった背景について紹介します。

2022年4月から不妊治療の保険適用が開始

2022年4月から一部の不妊治療に保険が適用されるようになりました。以前は高額な費用が必要だった治療も、窓口での負担額が治療費の3割になります。保険適用となる主な治療法や生殖補助医療は以下のとおりです。

【一般不妊治療】

  • タイミング法
  • 人工授精

【生殖補助医療】

  • 体外受精
  • 顕微授精
  • 男性不妊の手術

保険適用の背景

保険適用拡大の背景には、晩婚化による少子化があります。少子化が進んでいる理由はさまざまですが、そのひとつとして不妊に悩んでいる夫婦が年々増加しているのも挙げられるでしょう。
今の時代、不妊は珍しいものではなくなりました。2019年時点で約5.5組に1組の夫婦が不妊治療を経験していると言われており、同年に生殖補助医療を経て生まれた子どもは6万598人で、同じ年に生まれた子どもの約7%を占めています。

これまで不妊治療は保険が適用されないため、高額な費用がかかるのが一般的でした。そのため、夫婦にとって大きな経済的負担となり、子どもを諦めるひとつの原因となっていたようです。
そこで、子どもを望む夫婦の負担軽減と、出生率の増加を期待し、保険適用の拡大が決定されたのです。

不妊治療の保険適用となる条件や範囲はどこまで?

不妊治療の保険適用となる条件や範囲はどこまで?

以前までは、特定の検査や排卵誘発法などの治療法のみに健康保険が適用されていました。そのほかの治療法は保険が適用されず、高額な費用が必要でしたが、以下の治療法にも保険が適用されるようになりました。対象年齢や適用回数などの条件も含め、詳しく見ていきましょう。

対象治療法

新しく健康保険の対象となった治療法は、次の3つです。

人工授精

人工授精とは、女性の排卵周期に合わせて、洗浄して雑菌を取り除き濃縮した精子を直接子宮内に注入し、授精を促す治療法です。一般的にタイミング療法で妊娠できなかった場合に行う治療法として位置づけられています。精子を直接子宮に注入するので、自然妊娠よりも高い確率で授精が見込めるのが特徴です。

人工授精と言うと人工的に受精させるのかと思われがちですが、自然妊娠との違いは精子が最初に入る場所が子宮か膣かの差となっています。卵子が精子と受精し妊娠するまでの過程は自然妊娠と同じなので、限りなく自然に近い治療方法です。

体外受精

体外受精とは、体から取り出した卵子と精子を受精させてから子宮内に戻し、着床を促す治療法です。タイミング療法や人工授精で妊娠できなかった場合や、卵管性不妊や重度男性不妊などで別の治療法が期待できないと医師から判断された場合に行います。

顕微授精

顕微授精とは体外受精のひとつです。顕微授精には顕微鏡で確認しながら卵子細胞に直接ピペットで精子を注入する「卵細胞質内精子注入法(ICSI)」などがあります。
直接卵子にピペットを差し込むことで生まれてくる子どもへの影響が懸念されますが、自然妊娠により生まれた子どもとリスクに相違はないとされています。そのため、関係学会のガイドラインなどでも有効性・安全性が確認され、保険適用となりました。

対象とならない治療法

治療実績が少なく有効性が証明できないものや、安全性が認められない治療法については対象となりません。先進医療についても同様です。

また、第三者の精子・卵子を用いた生殖補助医療も健康保険の対象となりません。第三者の卵子・精子提供による人工授精や代理懐胎については、現在も国会において議論が行われているので、今後の動向に期待しましょう。

対象年齢

不妊治療には年齢制限が設けられています。治療開始時において女性の年齢が43歳未満であることが保険適用の条件です。一方、男性側の年齢は問われません。

適用回数

保険適用が受けられる回数にも制限があります。ここで言う回数とは「胚移植」の回数のことです。初めて治療を開始する女性の年齢によって、回数の上限が異なるので注意しましょう。

初めて治療を開始する時点の女性の年齢 保険の適用回数の上限

40歳未満

1子につき通算6回まで

40歳以上43歳未満

1子につき通算3回まで

ただし、2022年4月2日(土)から9月30日(金)の間に40歳、または43歳を迎える方には経過措置が設けられています。
この期間に治療を開始した方で40歳を迎える方の回数制限の上限は6回に。同じく期間中に43歳を迎える方は1治療に限り保険診療を受けられます。

婚姻関係の確認

2022年4月から保険適用される不妊治療の拡大に合わせ、法律上の夫婦だけでなく、事実婚のカップルも保険適用の対象となりました。
事実婚カップルの場合、それぞれの戸籍抄本や住民票が必要です。また、2人が同一世帯でない場合は、「事実婚夫婦としての誓約書」への自筆のサインが必要になることがあります。

高額な医療費の負担軽減も

いくら保険適用とはいっても、治療費の3割は自己負担です。治療内容や処方された薬、その回数によっては費用がかさむことも予想できるでしょう。

結局は治療費が高額になってしまったといった事態を防ぐため、ガイドラインで推奨される人工授精や体外受精などの基本治療は保険適用に加え「高額療養費制度」の対象にもなりました。高額療養費制度とは、一体どのようなものなのか、以下で詳しく解説します。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、治療にかかった費用が1ヵ月あたりの上限額を超えた場合、その超えた部分を還付してもらえる制度です。不妊治療に関する一部の薬も高額療養費制度の対象となりました。

高額療養費制度の1ヵ月あたりの上限額は所得によって異なります。具体的な上限額や手続きの方法は、加入している医療保険者に確認してください。

不妊治療の保険適用によるメリット

不妊治療の保険適用によるメリット

不妊治療が保険適用になることによって、得られるメリットは大きく2つあります。不妊治療を受けている、検討している人は、よく確認しておきましょう。

自己負担額が減る

不妊治療が保険適用になることで、これまで全額負担だった治療費が3割負担に軽減されました。治療内容や治療回数にもよりますが、保険適用になることで多くの人が自己負担の軽減につながるでしょう。経済的な理由で出産を諦めていた人も、負担額が減ることで子どもを持つことを前向きに検討できるようになります。
また、経済的負担が軽減されたことで治療法の選択肢も広がっていくでしょう。

高額療養費制度の対象となる

不妊治療が高額療養費制度の対象となることで、さらに経済的負担の軽減が期待できます。高額療養費制度では1ヵ月あたりの医療費自己負担額の上限額が決まっているため、さらなる負担軽減が見込めるでしょう。

不妊治療の保険適用によるデメリット

メリットが大きいように感じられる不妊治療の保険適用。しかし、デメリットも少なくありません。従来のメリットがなくなってしまう部分もあるので、注意が必要です。

特定不妊治療助成制度が廃止となる

不妊治療が保険適用となる前は、体外受精などの治療費にかかる費用を1回あたり最大30万円まで助成する特定不妊治療助成金制度がありました。しかし、不妊治療の保険適用に伴い、特定不妊治療助成金制度は廃止となりました。それにより、治療法や回数によっては自己負担が増える可能性も考えられます。

例えば、35万円かかる治療で30万円助成を受けると自己負担額は5万円ですが、保険適用で計算すると自己負担は10万5,000円です。このように保険適用となることによって、負担額が大きくなる場合もあります。

ただし、保険適用になる不妊治療は高額療養費の対象です。1ヵ月あたりの負担額の上限は所得によって異なります。
例えば、年収370万円~770万円程度の方だと、約8万円が上限額です。つまり、保険適用となることによって自己負担額が3万円程度増える計算になります。

不妊治療の保険適用の際の注意点

不妊治療の保険適用の際の注意点

不妊治療を受ける夫婦の助けともなる保険適用の制度ですが、注意点もあります。保険が適用されるということは、治療が標準化されるということです。それによって以下のような注意点が出てくると考えられます。

治療費が値上げされる可能性がある

不妊治療が保険適用になると、安い価格設定をしていたクリニックは治療費を値上げする可能性があります。今まで自由診療だった不妊治療は、医療機関によって治療費が異なりました。しかし、保険適用となることで診療報酬が標準化されるためです。

保険適用前まで、助成金制度の助成額内で治療費が収まっていた方も、保険適用となることで自己負担が増える恐れがあります。

ガイドラインで推奨される治療のみが対象

保険適用となる不妊治療は、関係学会のガイドラインなどで安全性・有効性が確認された治療法のみが対象です。

さまざまな不妊治療の医療技術の中でも科学的根拠に基づき、A(強く推奨される)、B(推奨される)、C(実施を考慮)という3段階で評価されています。そのうちAとBにあたるものが基本的に保険適用となり、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精、男性不妊の手術などが含まれます。

また、上記の治療法とセットで行われる卵子活性化やアシステッドハッチング(胚ふ化補助)など、一部の施術についても保険適用の対象となります。ガイドラインで推奨されていない治療は、保険適用とならないものもあるので注意しましょう。
自分がしたい治療法が保険適用なのかわからない方や、不安な方はかかりつけのクリニックや病院の窓口で確認するのがおすすめです。

まとめ

2022年4月から、不妊治療に関する保険適用の範囲が拡大されました。保険適用となる大きな条件は、治療を始める時点で女性の年齢が43歳未満であることです。子ども1人に対して最大6回まで保険適用で治療を受けられます。
また、2022年4月から9月までに40歳・43歳となった場合でも、期間内に治療を開始している方には経過措置が設けられています。

不妊治療の保険適用範囲の拡大はデメリットや注意点もありますが、メリットは大きいです。不妊治療に取り組む夫婦の精神的・経済的負担が軽減され、出産に対して前向きに検討しやすくなるでしょう。

  • 本記事は、公開日時点での情報です。

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