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資産運用初心者の女性におすすめの投資方法とは?
ファイナンシャルプランナー
山本 麗子
女性のためのお金の総合クリニック
「エフピーウーマン」所属ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとしてFP事務所に勤務しライフプランや保険相談などのキャリアを積む。お金の教養を高めて女性の内面から輝いてほしいという想いから女性だからこその視点や経験をもとに実用的で役に立つ知識とお金についての正しい扱い方について伝えている。
現在、雑誌、講演、テレビ出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。
低金利で銀行にお金を預けてもほとんど利息が期待できない時代にありながら、結婚、出産、子育てなど、人生のうちにはまとまった資金が必要となることが多々あります。このような中での資産づくりを考えると、投資はお金を増やしていくための有効な手段の1つでしょう。とはいえ、投資と聞くと「自分には難しそう」と考えてしまう人が多いのも事実です。「難しい」という不安は、実は「よくわからない」という不安なのかもしれません。そこで、投資初心者が知っておきたい資産運用と投資の基本知識を説明します。投資にチャレンジする時の参考にしてください。
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資産運用とは?投資と何が違うの?
「資産運用」と「投資」をひとくくりにして考える人は多いですが、似ているようで実は少し異なります。資産運用はさまざまな金融商品の売買などをしながら手元のお金やこれから入ってくる収入を効果的に管理・運用していくことです。
「資産運用」つまりお金の管理・運用とは次のようなことをいいます。
投資はあくまで資産運用をするための1つの手段です。投資はリスクがあって怖いという人は多いですが、預貯金よりも高めの利益を期待することができます。自分が立てた目標を目指し、当面使う予定のない余裕資金で、自分が期待する利益や許容できるリスクに応じた金融商品に投資し管理していけば、リスクを抑えながらお金を増やすことも期待できるのです。
そもそも投資とは、将来価値が増えることを期待して、有望と思われるモノやコトにお金を投じることです。例えば「子どもの未来に投資する」といって習い事や教育にお金をかけたり、「自己投資」としてスキルアップや資格取得のためにお金をかけたりするのも投資。成果に期待をかけてお金を投ずるイメージはできるでしょう。
いわゆる「お金を増やす」ための投資も同様です。金融商品の場合、株や投資信託などの運用成果に期待し購入します。しかし実際にはこれらの価値は変動するもので、利益を得られる可能性もあれば、投じたお金が減る可能性もあります。またそれらの損得の度合いは確定されていません。
女性が投資を始める理由は?
一般的に女性が投資する理由の1つに、ライフステージにおけるライフスタイルの変化が挙げられます。例えば、育児との両立のために育休明けは時短勤務を選択したり、夫の転勤によっては会社を辞めたり、親の介護のために正規から非正規雇用者になったりするかもしれません。就労状況が変わりやすいため、貯蓄できる額はその時の就労状態に影響を受けます。またせっかくコツコツと貯蓄できても、低金利で利息はあまりつかないうえに、税金分が引かれてしまうため、利息の手取り分はほとんど残りません。ならば、多少のリスクをとっても、税の優遇制度などを利用して投資をしたほうが、少しでも貯蓄を増やすことができるのではないかと考えて投資を始めるようです。
また一方で、人々の生き方が多様化し、結婚や出産といったライフステージにとらわれずに人生を送る女性が増えています。海外へ留学する、マイホームを購入する、といった個人の夢を叶えるために、自分で稼いだお金を賢く運用して資産を増やしたいと考え、投資を始める女性もいるようです。
6つの投資方法と初心者向けのポイント
投資の知識や経験がなくても先に挙げた3ステップの1つ目と2つ目はすぐにでもできるはず。3つ目のステップを実行できるよう、資産運用で利用されることの多い投資方法を知っておきましょう。
投資方法1:会社の向上に期待して投資する株式投資
初心者にとってパッと思い浮かぶ投資といえば「株式投資」でしょう。その会社の商品開発や販売、サービス提供などの事業活動の発展、向上に期待して、お金を投じるのが「株式投資」です。投資初心者の人はどの株式が良いのかよくわからないものですが、日常生活の中で企業が提供しているサービスや商品には触れています。「最近目にするようになってきた」会社の株式は、もしかしたら株価も上昇傾向にあるかもしれません。そのため、まずは身近なところで、自分が好きな製品やサービスを提供している会社や世の中で話題になっているテーマの業界に注目し、これからも成長を応援したいと思う会社を選んでみるといいでしょう。
株式投資で期待できる経済的利益には大きく2つの種類があります。1つは購入した株式が買った時よりも値上がりした際に売却することで得られる値上がり益。譲渡益やキャピタルゲインともいいます。もう1つは、保有する株式を発行している会社が企業活動の成果として得られた利益をもとに株主に分配される配当金です。インカムゲインともいいます。このほか、最近では自社製品や関連会社の製品・サービスなどを提供してもらえる株主優待を株式投資の目的とする人もいます。
投資方法2:投資初心者に向いているといわれる投資信託
投資信託とは、多くの投資家からお金を集めて1つにまとめ、ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、そのお金を使って国内外の株式や債券などに分散投資して運用し、値上がり益や分配金などの収益を投資割合に応じて投資家に還元する金融商品です。プロが運用していることや、1つの投資信託は数多くの投資商品に分散投資されていることから、投資商品の中でも比較的安全性が高く、投資初心者に向いているといわれています。
投資信託の価格は毎日変動しますが、1万円前後のものも多くあります。通常は1万円前後(そのときの価格)から購入できますが、証券会社によっては最低購入金額を100円以上としているところもあります。また、多くの金融機関では毎月一定額ずつ投資信託を購入し、積立運用していける投信積立を取り扱っています。投信積立は毎月100円~1,000円程度からとしているところが多くあります。少額でもコツコツ積立運用することで資産を増やしていくことも期待できます。
なお、はじめて投資信託を購入する際には、まずは投資対象に注目してみましょう。例えば「国内株式」や「国内債券」、「外国株式」、「外国債券」などがあり、これらをさまざまな配分でミックスしたものもあります。また外国株式や債券では、先進国メインにしているものや新興国をメイン対象にしているものなどさまざまです。それぞれ投資先によってリスクと期待できるリターンが異なりますので、必ずチェックしておきましょう。
投資方法3:家賃収入を得る不動産投資
不動産投資とは、家賃収入を得ることや不動産価格が上がった時の売却益を期待して不動産を購入したり、賃貸する方法です。大家さんになるイメージをすればわかりやすいかもしれません。不動産物件を所有し、居住してくれる人がいる限り、家賃収入を得られることになります。
とはいえ、不動産を購入するのは多額の資金が必要で、簡単にできるものではありません。そこで、REIT(リート)という金融商品を利用するのも1つの方法です。REITは、厳密にいえば先に見た投資信託の1つ。投資対象がオフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を中心としていること、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品であることなどの特徴があります。10万円前後から投資ができます。
株式や投資信託同様に、価格が上がった時に売却すれば値上がり益、そのまま保有していれば分配金を期待することができます。
投資方法4:外貨の取引をするFX(外国為替取引)
FXとはForeign Exchange(外国為替)の頭文字を取った略語で、簡単にいうと、為替差益を得ることを期待して、ドルやユーロなどの外国通貨(為替)を交換・売買する取引です。例えば1米ドル=100円で買い、1米ドル=110円になった時に売れば、10円の為替差益が出ます。
為替を利用した金融商品には外貨預金もありますが、FXは外貨預金とは異なる特徴があります。例えば、レバレッジという方法。レバレッジという「てこの原理」を利用し、少ない資金で多額の投資資金を動かすことができます。レバレッジが10倍である場合、例えば50万円の証拠金で500万円分の取引を行うことができます。ちなみにレバレッジが大きくなるほど、期待できるリターンもリスクも大きくなることは知っておかなければなりません。
FXは為替の取引ですから、どの通貨を取引するかによっても期待できるリターンやリスクは異なります。為替の動きは国同士の関係やその国の経済、政治情勢などによっても刻一刻と変わっていきます。ニュースなどで経済、社会、政治などの情報を得やすい通貨を選ぶことが大切です。
投資方法5:非課税制度のiDeCoやNISAの利用も
より効率的に資産運用するためには非課税制度を活用するのがおすすめです。資産運用のための非課税制度には、「iDeCo」や「NISA」、「つみたてNISA」などがあります。それぞれしくみが異なりますので、何のための資産運用であるかを再確認し、賢く利用してみましょう。それぞれのしくみの特徴を表にまとめましたので参考にしてください。
NISAとつみたてNISAは同時に行うことができず、どちらか一方を選ばなければなりません。自分の運用スタイルによりますが、少額からコツコツ積み立てていきたい人はつみたてNISA、ボーナスなど余裕資金ができた時に投資したい人はNISAを選ぶのも選択基準の1つです。
なお、2024年からはNISAの制度が変わり、NISAとつみたてNISAが合体したようなしくみになる予定です。これからNISAを始める人はそのことも頭に入れておくといいでしょう。
投資方法6:クレジットカードで投資
投資を始めるには、金融機関で投資用の新規口座を作る必要がありますが、どの金融機関を選べば良いかわからず、初心者にとってはハードルが高く感じるかもしれません。そこで投資初心者におすすめなのが、クレジットカード決済による投資です。
クレジットカード会社によっては、自社のクレジットカードを利用して、提携している金融機関が提供する投資信託などの金融商品に投資できるサービスを提供しています。すでに利用しているクレジットカードならば、なじみもあるうえ、簡単な手続きで投資を開始できます。
また、クレジットカードを通じて金融商品を購入すると、ほかの買物と同じように決済金額に対してポイントが付与されます。金融機関によっては付与されたポイントを投資に回すこともできるので元手となる金額を抑えて投資することができます。
初心者が資産運用を行う際の5つのコツ
預貯金以外の金融商品は、元本が確約されておらず、投資したお金の価値が変動するリスクがあります。
資産運用におけるリスクとは「投資したお金の値動きの幅」のことを意味し、「リスクが大きい」とは値上がりする可能性も値下がりする可能性も大きいこと、「リスクが小さい」とは値上がりする可能性も値下がりする可能性も小さいことを指します。一般的に「リスク=危険」という意味で使われることが多いですが、必ずしも損をしてしまうということではありません。
それでも資産運用で損失を最小限に抑えるために、注意しておくべきポイントがいくつかあります。特に投資に慣れないうちの資産運用では次の点を守るように心がけてください。
(1)少額投資から始める
金額が小さければ損失も小さくなります。余裕資金で行うことが資産運用の原則ですが、余裕資金とはいえまずは少額から始めましょう。
(2)リスクを避ける投資方法を心がける
投資のリスクを減らす方法として「長期運用」、「分散投資」、「時間の分散」の3種類があります。
- 長期運用
短期間で売り買いするよりも、長期間金融商品を持ち続けると、投資による価格変動リスクが小さくなるうえ、複利効果も期待できます。複利効果とは、元本にその年の利息を加えたものを翌年の元本にしていくことで、利益が新たな利益を生み出し、資産を効率的に増やすことができます。 - 分散投資
1種類の金融商品に集中して投資すると、その値動きだけで資産全体が左右されて元本割れのリスクが高まるため、複数の金融商品に分けて投資をすることがリスク分散につながります。金融商品や銘柄の中で値動きが異なるものがあるため、そういったものをうまく組み合わせて投資すると良いでしょう。 - 時間分散(ドル・コスト平均法)
分散投資の一種である「時間分散」は、一時期にまとめて金融商品を購入するのではなく、時期をずらして少しずつ購入することで投資リスクを分散する方法です。「ドル・コスト平均法」ともいいます。金融商品の価格は一定ではないため、購入時期をずらすと、価格が下がった時は多く買え、高い時には控えめに買うことになるので、長期で続けるほど平均購入単価が下がり、価格変動のリスクを抑えることができるのです。
(3)細かな動向に振り回されない
株価や投資信託の基準価格、為替などは常に変動するものです。デイトレーダーのように目の前の動きに瞬時に売買を判断する必要はありません。将来的な成長に期待し、長期で運用していくスタイルを心がけましょう。
(4)十分な知識を頭に入れてから行う
金融商品を購入する際にはその商品のことを十分に理解しておくことは基本中の基本です。例えば株式であれば、その企業のことを知っておかなければなりません。最低でも、どんな事業をやっている会社か、どんな商品、サービスを提供しているか、売れ行きは良さそうか、将来的に成長しそうか、株主や従業員に対する経営者の姿勢はどうかなど、さまざまな情報を調べてから購入するかどうかを決めることが大切です。
(5)プロに任せるのも1つの方法
投資に関する知識は本などでも勉強できますが、自分で調べてもよくわからないこともあるものです。その点ではプロが運用している投資信託を購入するのもいいでしょう。また、ファイナンシャルプランナーなどのプロに相談することも1つの方法です。
まとめ
低金利の時代では、お金を増やすためには資産運用が有効な手段の1つです。上手に資産運用するために、まずは目標を立て、お金を「生活費などで使うお金」「すぐには使わないけど近いうちに必要なお金」「当面使う予定がないお金」に色分けし、当面使う予定がない余裕資金で行うことが大切です。
株式や投資信託、FXなどの投資商品は価格が変動するリスクがありますから、投資に慣れないうちは少額から始めることが大切です。目先の価格の動きに一喜一憂する必要はありません。長期的な運用を心がけましょう。
投資商品を購入する際には十分に知識を得てから行うことが基本ですが、難しいと言って始めなければいつまで経っても資産運用はできません。100円~1,000円程度でできる積立投資もありますので、まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか。
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