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自転車保険の義務化とは?自転車保険の基本から選び方までわかりやすく解説

自転車保険の義務化とは?自転車保険の基本から選び方までわかりやすく解説

ファイナンシャルプランナー 西田凌

西田FP事務所 ファイナンシャルプランナー

監修:西田 凌

保険代理店に勤務後、より多くの方に「正しいお金の知識」を届けるために、現在は完全独立系のファイナンシャルプランナーとして活動中。個人の家計相談以外にもさまざまな情報サイトで執筆や監修を手掛ける。保険だけでなく公的制度や資産運用などさまざまな視点から家計にベストなアドバイスを行うことをモットーにしている。

保有資格:FP技能士2級・AFP

子どもからお年寄りまで利用し、街中を自由に移動できる便利な自転車。国土交通省では「GOOD CYCLE JAPAN」を掲げ、環境にやさしい交通手段であり、人々の健康づくりに役立つ乗り物として人々の自転車活用を推進しています。

しかし一方で、多発する自転車関連の事故や一部の利用者による危険運転を注視し、各地方自治体は自転車の安全で適正な利用を促す条例を打ち出しています。中でも、国土交通省主導のもと、自転車保険への加入を義務化する動きが徐々に全国へと広がりを見せています。

住んでいる都道府県で、自転車保険への加入が義務化された際、私たちはどのように対応したら良いのでしょうか。自転車保険の基本や選び方などをわかりやすく解説します。

INDEX

自転車保険とは

自転車保険とは

自転車保険は提供する会社によって呼び方が異なりますが、一般的に、自転車乗用中に起こった事故に対して補償する「個人賠償責任保険」や個人賠償責任補償を特約でつけた「傷害保険」を含みます。

簡単に説明すると、「個人賠償責任保険」は事故の相手自身や相手の所有物に対する補償で、「傷害保険」は被保険者自身のケガなどに対する補償です。自動車は、車両を購入した際に自動的に自動車損害賠償責任保険に加入しており、自転車も新規購入時には販売店から保険加入の案内があります。後ほど詳しく解説しますが、自治体によっては自転車保険への加入を義務化する地域、努力義務化する地域、言及していない地域があります。すでに自転車を持っている人で、義務化する地域近辺に住んでいる人は、必ず保険に加入しましょう。義務化していない地域近辺に住んでいて自転車を利用する人でも、保険への加入をおすすめします。

自転車保険の補償内容

一般的に自転車保険に含まれる補償内容を下表にまとめました。下表の内容がすべての自転車保険に備わっているわけではなく、会社や商品によって内容が異なるため、いくつか見比べて加入するようにしましょう。

自転車保険の補償内容

被保険者の補償において、補償対象となる事故は自転車の交通事故に限られることが多く、一般的な傷害保険の代わりとはなりません。被保険者の死亡保険金も、遺族の生活資金に充てられるほど高額ではないので、注意しましょう。一方で、相手への損害賠償においては交通事故に限らず、日常生活における事故をも補償対象とするのが一般的です。

特約やサービスにおいては、自転車保険単体や自動車保険の特約として付帯されることが多く、保険料が高くなるにつれて内容が充実する傾向です。

自転車保険加入の義務化とは

自転車保険加入の義務化とは

しかしなぜ自転車保険への加入を促進するために、「義務化」という流れが生まれたのでしょうか。その背景には、過去に実際に発生した悲惨な自転車事故があります。

自転車保険義務化の背景

日常の手軽な移動手段として親しまれている自転車ですが、警察庁交通局が調査した統計資料「令和元年中の交通事故の発生状況」によると、2019年(令和元年)に発生した自転車乗用中の交通事故は8万473件に上り、交通事故全体に対して17%を占めています。また、自転車事故による死傷者数は7万8,982人です。

そして過去20年間において、自転車事故を引き起こした加害者に数千万円もの損害賠償金を命じられる判決が実際に出ています。その一部を下表にまとめました。

自転車保険義務化の背景

(出典)一般社団法人 日本損害保険協会ホームページ「自転車と事故」(「自転車での加害事故例」表)参照

自転車は道路交通法上、車両の一種(軽車両)としてみなされるため、“夜間はライトをつける”、“飲酒したら乗らない”などの法律を違反して事故を起こすと運転者は刑事上の責任が問われます。そして事故で相手が負傷・死亡した場合は、運転者が大人、子ども関係なく、民事上の損害賠償責任も負わなければなりません。

上表でも、当時小学生や高校生だった子どもが加害者として起訴されています。このような背景から、万が一、事故を起こして高額な損害賠償を求められても対応できるように、国土交通省は各地方自治体と連携して自転車保険への加入を促進するための活動に取り組むようになったのです。

自転車保険の義務化とはどういうこと?

「自転車保険の義務化」は、国土交通省の呼びかけから始まったものです。2019年2月には、条例制定を進めるためのガイドラインとして「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」(以下、標準条例)を作成し、各地方自治体へ配布しました。

標準条例では、自転車の利用者やその保護者などを含む対象者は「自転車損害賠償責任保険等」への加入を定めています。つまり、自転車利用者が事故などで加害者側となって、歩行者などの被害者に対して損害賠償責任を負うこととなった場合に、損害賠償金負担を補償できるように該当の保険や共済へ加入しなければならない、としています。

民間の保険会社が提供している自転車保険は傷害保険をも含む場合が多いのですが、標準条例で加入を義務付けているのは個人損害賠償責任保険のみです。そのため、自転車保険への加入を条例で義務付けている都道府県と関係があり、自転車を普段使用している人は、必ず個人損害賠償責任保険に加入しなければいけません。

自転車保険を義務化している自治体は?

自転車損害賠償責任保険などへの加入の義務化を定める条例は、2015年10月に初めて兵庫県で条例改正によって導入され、以降、全国へと徐々に広がっていきました。2020年12月31日(木)時点では、47都道府県中19ヵ所で義務化、10ヵ所で努力義務とする条例が制定されています。

義務化した都道府県:宮城県、山形県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、愛媛県、福岡県、大分県、宮崎県、鹿児島県(このほか、政令指定都市:千葉市、名古屋市、岡山市において義務条例を制定)

努力義務化した都道府県:北海道、茨城県、千葉県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、香川県、高知県、熊本県

自転車保険の義務化の対象は?

自転車保険の義務化の対象は?

標準条例では、自転車損害賠償責任保険などに加入しなければいけない対象者として以下を挙げています。

  • 自転車を利用する者(未成年者を除く)
  • 自転車を利用する未成年者の保護者
  • 事業活動で自転車を利用する事業者
  • 自転車の貸付業者

対象者には未成年者が含まれていませんが、多くの自転車保険の補償対象範囲に、被保険者と、その同居する家族や別居の未婚の子が含まれるためです。こちらについては後ほど解説します。

ここで注意したいのが、義務化されている都道府県内で自転車に乗る場合は、そこに住んでいるかどうかに関わらず、保険への加入が必要という点です。つまり、義務化されていない都道府県に住んでいる人でも、義務化された地域で自転車に乗る場合は、法令を順守しなければいけません。そのため、県境付近に住んでいる人や、都道府県を越えて通勤・通学をしている人、ほかにもサイクリングを趣味とする人、旅先でレンタサイクルやシェアサイクルの利用を考えている人は注意しましょう。

街中で利用できるシェアサイクルにも自転車保険が付保されているため、万が一の場合、利用者は貸し付け事業者が契約している自転車保険に準じて補償を受けることができます。しかし、中には、自転車保険の補償対象が自転車の不具合に起因する事故に限定されていたり、補償限度額以上の損害賠償金を請求される場合は自費になったりすることがあるため、必ず利用前に保険の内容を確認しましょう。

義務と努力義務の違いとは

各都道府県で定める「義務」と「努力義務」にはどのような違いがあるのでしょうか。

「義務」は必ず行わなければならないと定める規定で、法的拘束力があり、義務違反した場合の罰則を併せて規定されることもあります。自転車保険の義務化においても、義務化を定めた都道府県に関わる人であれば、必ず順守しなければいけません。

一方で「努力義務」は、条文では「~するよう努めなければならない」もしくは「~努めるものとする」と記されています。その内容は積極的に努力することを義務付けられていますが、法的拘束力や罰則がなく、どの程度対応するかは人々の裁量に委ねられます。しかし社会情勢次第では「義務」化へ条例改正する可能性も考えられます。

罰則はあるの?

2021年1月現在、自転車保険への加入を義務化されたいずれの地域でも罰則を定めているところはありません。今後罰則化する動きがあるかは不明です。

自転車保険の選び方

自転車保険の選び方

自転車保険を選ぶ際に、比較しておきたいポイントは以下の4つです。

1)被保険者自身の補償内容

自転車乗用中に起こった交通事故全体の内、81.9%が対自動車との事故のため、自分自身に対する補償内容も手厚く準備しておくことをおすすめします。相手のある事故で、自転車側の過失割合が大きくなった場合や、相手が保険に入っていない場合などは十分な補償を期待できない可能性もあります。また、自転車の利用頻度が高い人は、単独で転んだ場合のケガも補償する内容や、外出先での自転車の不調に対応してくれるロードサービスが付帯されるものを選びましょう。

2)個人賠償責任補償は十分な準備を

個人賠償責任補償には、以下の図表のように、いくつか種類があります。個人や団体で加入する保険や、自動車保険や火災保険などに付帯される特約などもあるため、自身が現在加入している保険の補償内容を確認したうえで保険を選びましょう。

個人賠償責任補償は十分な準備を

賠償責任保険が担う補償内容は、対人賠償(負傷・後遺障害・死亡)と対物補償が一般的です。また、事故が起きた場合の相手との示談交渉については、示談交渉サービスが付帯されていれば保険会社が被保険者に代わり示談を行います。(一般的に保険会社の示談交渉サービスは無料付帯されていますが、商品によっては示談交渉が付いていない場合もあるので注意が必要です。)また、自転車に特化した単体保険には、賠償責任を負った際に相手との交渉を保険会社だけでなく弁護士に依頼できる示談代行サービスが付帯する場合もあるので併せてチェックしましょう。

事故が起こるのは一瞬で、中には防ぐことができない不慮のものもあります。しかしその万が一のとき、被害者となった相手の人生や、自分、家族の生活を少しでも救うことができるのが個人賠償責任保険です。補償限度額の目安は1億円ですが、5億円を上限とする保険や無制限とする保険もあります。事故によっては複数の人間を巻き込んでしまったり、相手に重大な後遺症が残ったりすることもあるので、十分に備えましょう。

3)家族全員で入れるものがおすすめ

交通事故を起こして相手を負傷・死亡させてしまった場合、加害者が子どもや老人であっても、賠償責任を負わなければいけません。そのため、家族のいる人は補償対象範囲を自分だけでなく、家族まで広げることをおすすめします。

基本的に、ほとんどの自転車保険の補償対象範囲に、被保険者と同居する家族、別居の未婚の子(親元を離れ、親から仕送りを受けて生活している大学生など)が含まれています。しかし中には、補償対象を被保険者本人のみとする“個人型”と、被保険者とその家族を対象とする“家族型”に分けている商品もあるので注意しましょう。

いずれにせよ、家族の1人ひとりが個別に保険に加入するよりも“家族型”でまとめたほうが月々の保険料もお得です。家族構成や自転車の利用状況に応じて、自分にぴったりのものを選びましょう。

4)月額保険料と付帯サービス

すべての自転車保険を網羅したわけではありませんが、月々の保険料は、個人型であれば139円~2,000円、夫婦・家族型であれば224円~6,280円と幅広く、保険料の額に比例して補償上限額や付帯サービスが充実していきます。

自転車保険はどこで加入できる?

自転車保険を提供している会社は保険会社に限らないため、それぞれで申し込み方法が異なります。しかし自転車保険専用のホームページを設けられていることが多く、補償内容も確認できるため、インターネットでの申し込みが一般的です。以下、提供元別に申し込み方法をまとめました。

自転車保険はどこで加入できる?

まとめ

まとめ

都道府県によって自転車保険への加入義務は異なりますが、万が一のことがあった際に、相手にきちんと誠意を示すため、また、自分や大切な家族を守るためにも自転車保険に加入しておくべきでしょう。

しかし自転車保険の補償は、自動車保険や火災保険、医療保険、死亡保険などと重複する部分が多々あります。すでにいくつかに加入していて、補償が十分であれば、新たに加入する必要はありません。まずは自身が契約している保険を確認してみることから始めて、万が一に備えましょう。

  • 本記事は、公開日時点での情報です。

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