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幼児教育・保育料の無償化はいつから?対象範囲や手続き方法、2人目以降の条件を解説
ファイナンシャルプランナー
監修:前田 菜緒
保険代理店勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。相談やセミナーでは、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体系になっている。セミナーは、満足度96%で「世の中のお金のしくみがわかりよかった」「内容の濃さに驚いている」など好評。マネーサイトなどへの記事執筆多数。
子育て世代にはとても嬉しい、自治体や国からの子育てに関する助成金。中でも近年制度化された「幼児教育・保育の無償化」は、幼稚園や保育園にかかる費用を実質無料にしてくれるため、気になっている家庭も多いのではないでしょうか。
しかし「無償化」と銘を打っていても、実際には通園にかかるすべての費用が無料になるわけではありません。また、施設や事業によって利用条件が異なりますので、今回「幼児教育・保育の無償化」について詳しく解説します。
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幼児教育・保育料の無償化とは?いつから対象?
「幼児教育・保育の無償化(以下、幼保無償化)」は幼児教育の負担軽減を図るため、2019年10月1日(火)より実施されました。いつから対象になるのか、利用条件などを見ていきましょう。
対象となる年齢や条件(原則は3歳から)
対象は、原則、3歳から(幼稚園については、満3歳から)5歳までの子どもです。2015年度の「子ども・子育て支援新制度」において教育・保育の場として挙げている幼稚園、認可保育所、認定こども園、地域型保育に加え、企業主導型保育の利用費を無償としています。
国立・公立・私立の区別なく、すべて対象です。また住んでいる市区町村以外の対象施設・事業を利用した場合も、この制度は適用されます。
幼保無償化は施設・事業ごとに細かな利用条件が設定されています。以下の表にまとめました。
上記の施設以外に、認可外保育施設、市区町村が運営している一時預かり業や病児保育などの事業・サービスでも、上限額付きの給付金が支給されるものがあります。
原則として給食費(食材費)や行事費などは対象外(自己負担)
幼保無償化において、無償化の対象は「利用費」とされています。そのため、園での食事に関する費用(給食費やおやつなど)、通園送迎費、行事費などは、保護者の負担となります。そのほか、幼稚園の入園料など、施設やサービスによって無償化の対象とならない費用が発生する場合もあるので、利用を希望する施設ごとに確認しましょう。
保育料無償化に所得制限はある?
幼保無償化に、所得制限はありません。対象年齢の子どもがいる家庭であれば利用できます。
所得に関する事項でいえば、住民税非課税世帯と年収360万円未満相当世帯においては、一般の条件に加えて以下が無償もしくは補助の対象となります。
・住民税非課税世帯
認可保育所、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育において、0歳~2歳児の利用費が無償となります。また、認可外保育施設等は合計月額4万2,000円までの利用費が補助されます。
・年収360万円未満相当世帯
利用費が無償となる施設は一般の条件と同じですが、副食(おかず・おやつなど)の費用が免除されます。
保育の必要性の認定
「保育の必要性の認定(以下、保育認定)」は、市区町村が必要に応じた保育・教育サービスを提供していくために、保育の必要性や必要量を判定するための制度です。保護者の就労形態、妊娠・出産、疾病、親族の介護状況や、保育の必要な時間などから判定し、この区分によって利用できる施設と利用時間を決定します。
一般的にフルタイム勤務は保育標準時間の最長11時間、パートタイムや時短勤務の人は保育短時間の最長8時間、施設で預かることになります。
本来、認可外保育施設等の事業・サービスを利用する際は、保育認定を受けなくても良いのですが、幼保無償化の制度を利用する場合は受ける必要があるので注意しましょう。
幼児教育・保育料の無償化の対象になる施設・事業は?
幼保無償化において、対象となる施設・事業によって利用条件などを細かく設定しているため、施設・事業ごとに詳しく解説していきます。
幼稚園
幼稚園は、小学校以降の教育の基礎をつくるための幼児期の教育を行う「学校」です。昼過ぎごろまでの教育時間に加え、園によっては午後や土曜日、夏休みなどの長期休業中の預かり保育などを実施しています。幼保無償化では、「子ども・子育て支援新制度」の対象・対象外の幼稚園で利用条件が異なります。
幼稚園で注意しなければならないのが「入園料」です。子ども・子育て支援新制度に移行した幼稚園の入園料は実費に対して、対象とならない幼稚園は入園料も幼保無償化の対象となります。無償の上限額は月で設定されているため、入園料は、その年度に在籍した月数で割って、月換算してから保育料と合算しましょう。しかし自治体によって入園料に対する助成制度がある場合もあるので、確認しておくと良いでしょう。
新制度だと、保育認定によって入園できる施設が限定されます。そのため、例えば2号認定の子どもは、希望する幼稚園があっても保育所か認定こども園にしか通うことができません。しかし旧制度の幼稚園ならば認定なしで入園できるため、保育が必要な子どもでも預かり保育と併用しながら通うことができるのです。こういった希望者を広く受け入れるために、あえて新制度に移行しない幼稚園があります。
幼稚園の預かり保育は、1日の利用費を450円として利用日数を乗じた額と実際にかかった利用費を比較して、小さい額のほうを採用します。そしてその額のうち、月額最大1万1,300円まで無償となります。そのため、1日450円以上かかる預かり保育を利用するとその分、実費負担となるので気をつけましょう。
また幼稚園(もしくは認定こども園)の預かり保育を無償で利用するには、保育認定が必要です。認定の申請書類は、通園している幼稚園から配布されるので、幼稚園を経由して市区町村に申請します。
保育所
「保育所」は正式名称で、よく使われている「保育園」は通称です。保育所は、共働き世帯や妊娠、介護などを理由に家庭で保育ができない保護者に代わって子どもを保育する施設です。市区町村で受けた保育認定によって0歳から5歳までの子どもを朝から夕方まで預かります。園によって延長保育も実施していますが、無償化制度の対象ではないため、利用費は実費負担となります。保育所には、認可と認可外の施設があり、無償化の条件は異なります。
“認可外”と聞くと、国や自治体から認められていない施設のように感じられて預けるのをためらってしまう人もいるのではないでしょうか。しかし実際は認可外保育施設でも、児童の安全や適切な保育水準を確保するために、開設や運営には「認可外保育施設に対する指導監督要綱」に定められた基準を満たさなければいけません。また、児童福祉法などに基づき、適切な運営・保育内容であるか、地方自治体が市区町村と協力し、施設へ立ち入って調査しています。
認定こども園
認定こども園とは、幼稚園と保育所の機能や特徴をあわせ持ち、地域の子育て支援も行う施設です。保育所と同じように0歳から2歳も利用ができ、3歳から5歳は幼稚園と同じように昼過ぎころまでを教育時間として、保育を必要とする場合は夕方までの保育を実施します。園により、延長保育も実施していますが、保育所同様、無償化制度では実費負担となります。
地域型保育
保育所より少人数の単位で、保育する事業です。夕方までの保育のほか、園により延長保育も実施していますが、その利用費は実費負担となります。地域型保育の中には、家庭的保育、小規模保育、事業所内保育、居宅訪問型保育の4種類があります。
- 家庭的保育:定員は5人以下。家庭的な雰囲気のもとで保育を行う。
- 小規模保育:定員は6~19人程度。家庭的保育に近い雰囲気のもとで保育を行う。
- 事業所内保育:福利厚生の一環として事業所に併設された保育施設などで、従業員の子どもと地域の子どもを一緒に保育を行う。
- 居宅訪問型保育:障害・疾患などで個別のケアが必要な場合や、施設がない地域で保育の必要な場合などに、保護者の自宅にて1対1で保育を行う。
企業主導型保育
企業主導型保育は2016年度に内閣府が開始した企業向けの助成制度を指しており、実態は認可外保育施設ですが、認可施設と同程度の助成を受けることができます。また複数の企業が共同で設置、利用することもできます。
認可外保育施設等に含まれる事業・サービス
子育て家庭を対象に、ニーズに応じたさまざまな支援策を各地域で講じています。以下がその代表例です。
・一時預かり事業
急な用事や短期のパートタイム就労だけでなく、リフレッシュしたいときなどに、保育所などの施設や地域子育て支援拠点などで一時的に預かる事業。
・ファミリー・サポート・センター事業
乳幼児や小学生などの子育て中の保護者を会員として、子どもの預かりなどの援助希望者と支援希望者とを結ぶための、活動に関する連絡、調整を行う。
・病児保育
病気や病後の子どもを保護者が家庭で保育できない場合、また集団保育ができない期間、保育所・医療機関などに付設された専用スペースで預かり、保育・看護をする事業。保育中に具合が悪くなった子どもを、看護師などが送迎して、病児保育施設で保育することもある。
・ベビーシッター
民間の会社からベビーシッターが派遣され、保護者の自宅で保育をする。近年は音楽や体育など特殊家庭教師と従来のベビーシッターを兼務する形もある。送迎サービスも取り入れるなど、サービスの多様化がみられる。
気をつけなければいけないのは、無償化の上限額が、認可外保育所の利用費との合計額という点です。また、認可保育所や認定こども園を利用している人が、認可外保育施設等の事業・サービスを利用した場合の利用費については、実費負担になります。
2人目以降の保育料はどうなる?
2人目以降も、3歳以降は無償化制度対象となります。しかし気になるのが、第2子以降が0歳から2歳児の場合ですよね。認可保育所、認定こども園などを利用する子どもが家族に2人以上いる場合、第2子は半額、第3子以降は無償となります。
ただし年収が360万円未満相当世帯の場合は、第1子の年齢に制限を設けておりません。そのため、下図のように第2子は半額、第3子以降は無償となります。(保育園、認定こども園などの場合)
就学前障害児の発達支援について
幼保無償化と同じタイミングで、「就学前障害児の発達支援」の無償化がスタートしました。こちらは障害のある子どもが、満3歳になって初めての4月1日から小学校入学までの3年間、児童発達支援、医療型児童発達支援、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設の施設・事業を無償で利用できるという制度です。この制度を利用する際は、障害福祉サービスの受給者証が必要になりますので、保護者は住んでいる市区町村や相談支援事業者に相談してください。
またこの制度は、幼保無償化と併用でき、幼稚園、認可保育所、認定こども園を利用する際は、発達支援施設もどちらも利用費が無償になります。また無償化での利用にあたって新たな手続きは必要ありません。無償は利用費のみで、医療費や日用品費、食材費などの利用費以外の費用は実費として保護者の負担となるので注意しましょう。
幼児教育・保育料の無償化の対象にならないサービスは?
幼保無償化の対象にならないサービスもあります。英会話教室や「森のようちえん」、団地などの1室で子どもを預かる個人や団体など、認可外保育の届け出がされていない施設や、外国人学校などの各種学校がそれに挙げられます。
「森のようちえん」は、自然の中での体験活動を中心にした子育て・保育・幼少期教育の総称で、全国各地に500ヵ所の施設があります。幼稚園だけでなく、保育園、託児所、学童保育、自主保育、自然学校という風に活動形態は多様です。インターナショナルスクールなど外国人の子どもが通う学校は、学校教育法において自動車学校と同じ「各種学校」に分類されています。政府は“各種学校は認可外保育施設に当たらない”として、一部施設を除いて無償化の対象にならないとしています。
幼児教育・保育料の無償化を使うために必要な手続き
では幼保無償化を利用するためにどのような手続きをとらなければいけないのでしょうか。施設・事業ごとに説明します。
子ども・子育て支援新制度の対象施設
子ども・子育て支援新制度の対象である幼稚園や認可保育所、認定こども園、地域型保育を利用する場合は、特に手続きは必要ありません。保育認定を受けて、利用契約を各施設と結んだ後は、市区町村から通う施設に直接利用費が支払われます。
認可外保育施設等
「認可外保育施設等」を指すのは、認可外保育所、一時預かり事業、ファミリー・サポート・サービス事業、ベビーシッター、病児保育です。これらの施設、事業・サービスを無償で利用するには、保育認定を受けていることが前提です。そして、一般的に認可外保育施設等の利用費はいったん保護者側で立て替え、後で市区町村に請求する方法がとられています。無償化対象費用の受け取り方は、施設によって異なるため、住んでいる市区町村に確認してください。
受け取り方の一例として、認可外保育施設等へ利用費を支払った後に、施設・事業側から発行される領収証など支払い内容を確認できる書類を、市区町村に対して提出して、利用費を請求します。しかし中には、施設・事業で領収証をとりまとめて市区町村に提出する場合もあります。
請求のタイミングは市区町村によって異なります。毎月、もしくは3ヵ月ごとに期限を設けている場合もあるため、市区町村の窓口、もしくはホームページなどで確認してください。
子ども・子育て支援制度に移行していない幼稚園
旧制度の幼稚園は、給付金を受け取るために別途申請が必要になります。申請書類は、基本的に通園している幼稚園から配布され、幼稚園を経由して市区町村に申請することになります。また利用費の受け取り方は、認可外保育施設と同じ手はずです。
まとめ
幼稚園や保育所は、早期英語教育に力を入れたり、運動に力を入れたりとそれぞれの特色を出しています。保護者の就労状態によって通うことができる施設は変わりますが、子どもの成長を考えてじっくり選んでみたいものです。
しかし希望の施設を利用できて、幼保無償化制度を利用できるなら、子どもにとっても親にとっても嬉しいですよね。家計の負担を減らす「幼児教育・保育の無償化」を頭の片隅に置きながら、子どもにとってベストな施設を選んでみてください。
- 本記事は、公開日時点での情報です。