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雇用保険とは?加入条件や給付金額の計算方法、手続きのしかたや受給期間を徹底解説

雇用保険とは?加入条件や給付金額の計算方法、手続きのしかたや受給期間を徹底解説

大竹のり子

 

監修者:大竹のり子

株式会社エフピーウーマン代表取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者、1級FP技能士)。

編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマ ン」を設立。 現在、雑誌、講演テレビ・ラジオ出演などのほか、人生の“やりたい”を“できる”に変える『お金の教養スクール』を運営中。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)など著書は70冊以上に及ぶ。

「退職を検討しているけれど、どのぐらい失業給付がもらえるのかが不安」
「雇用保険の中でも、失業給付について詳しく知りたい」

このような思いを持っている会社員の方も多いでしょう。雇用保険には数多くの種類がありますが、特に退職時に助かる制度が「失業等給付」です。しかし、具体的な内容についてよく分かっていない方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、雇用保険加入の条件や手続き、受給期間などについて詳しく解説します。これから会社を辞めようか悩んでいる方や失業給付について知りたい方は、ぜひ最後まで読み進めてください。

INDEX

雇用保険とは?

雇用保険とは?

雇用保険とは、労働者が失業したときや病気で働き続けるのが難しくなったときなどのリスクをカバーする公的保険制度です。自己都合、あるいは会社都合で仕事を失ったときも、一定の収入を雇用保険から得られれば、しばらくの間は生活が安定します。

雇用保険は大きく分けて4つありますが、ここでは特に退職後に関わる「失業等給付制度」について説明します。

雇用保険の分類と種類

雇用保険は、失業等給付・求職者支援事業・育児休業給付・雇用保険二事業に分けられます。このうち退職時に関わるのが「失業等給付」です。

失業等給付は、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4つに分けられます。その中でも、仕事を失った人に給付される「求職者給付」は、一般被保険者・高年齢被保険者・短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者の4つに分類されます。

企業に雇用されている一般的な会社員は「一般被保険者」にあたるので、失業したら一般被保険者に対する求職者給付を受けられると覚えておきましょう。

雇用保険のメリットとは

雇用保険に加入するもっとも大きなメリットは、失業時に手当(お金)を受け取れることです。一般被保険者に支給される手当は、下記のとおりです。

  • 基本手当
  • 技能習得手当
  • 寄宿手当
  • 傷病手当

この手当の中で、主に一般被保険者が受給する項目が基本手当、いわゆる「失業手当」です。
基本手当は、働いていた人が仕事を失っても生活を安定化させ、求職活動をスムーズにすすめていく支援を目的としています。仕事を失った人が働く意思と能力を持っており、かつ求職活動を積極的に行っている場合に支給されます。

雇用保険の適用基準

雇用保険の適用基準

雇用保険が適用される基準は、下記のとおりです。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

雇用形態(パートやアルバイトなど)や、加入希望の有無は関係ありません。雇用保険を適用している事業所(会社)であれば、強制加入になると覚えておきましょう。

適用事業所は?フリーランスは?

雇用保険が適用される事業所(会社)の条件は「1人でも従業員を雇っていること」です。従業員を雇った際には、原則として雇用保険の加入手続きが必要です。併せてほかの社会保険への加入もする必要があります。フリーランスは「事業主」であるため雇用保険が適用されません。雇用保険は「従業員」の保護を目的とした制度であるため、自分自身で事業を行っているフリーランスには適用されないのです。

雇用保険の加入条件

雇用保険に加入するための条件としては、どのような内容が挙げられるのでしょうか。条件と併せて、下記3つの観点を確認していきましょう。

  • 労働者の加入条件
  • 加入期間
  • 加入できない人

順を追って解説していきます。

労働者の条件は?雇用形態での違い

雇用保険の対象者となる労働者の条件は、前述した次の2点です。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

しかし、会社の代表取締役(役員であっても従業員の身分である場合は該当しない)や被保険者と同居している家族など、「雇用」されていない人は対象から外れます。

加入期間について

原則として、雇用保険の加入期間(被保険者期間)は勤めていた期間と同じです。加入期間によって失業給付を受け取れる期間が変わるため注意しましょう。

失業給付を受け取れる日数と被保険者期間の関係は、下記の表を参考にしてください。

基本手当の所定給付日数表

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区分 被保険者期間 被保険者期間
特定受給資格者
一部の
特定理由離職者
1年未満 1年~5年未満 5年~10年未満 10年~20年未満 20年以上
29歳以下 90日 90日 120日 180日
30歳~34歳 120日 180日 210日 240日
35歳~44歳 150日 240日 270日
45歳~59歳 180日 240日 270日 330日
60歳~64歳 150日 180日 210日 240日

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区分 被保険者期間
上記以外の
離職者
※就職困難者
を除く
1年未満 1年~5年未満 5年~10年未満 10年~20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日
  • 別ウィンドウで「ハローワーク インターネットサービス」のサイトへリンクします。

加入できない人は?

労働者を守るためのしくみである雇用保険ですが、下記に挙げる人は対象になりません。

  • 国・都道府県・市区町村の公務員など
  • 週の所定労働時間が20時間未満の人
  • 昼間学生の人

また、代表取締役や個人事業主はそもそも適用範囲に含まれないため、この点には注意しましょう。

雇用保険の保険料と計算方法

雇用保険の保険料と計算方法

雇用保険に加入する際には、労働者と会社の両方が保険料を負担します。健康保険や厚生年金とは異なり、保険料が従業員と会社で半々でない点には注意しましょう。

雇用保険の保険料は、給与額または賞与額×雇用保険料率で算出されます。まずは、雇用保険料について確認しましょう。

雇用保険料率

保険料を算出するにあたって大事な項目が「雇用保険料率」です。雇用保険料の値は、労働者と事業主によって変わります。

2023年4月時点の雇用保険料率の労働者・会社それぞれの負担は以下のとおりです。

2023年度の保険料率表

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負担者 1.労働者負担
※1
2.事業主負担 1+2
雇用保険料率
事業の種類 失業等給付・育児休業給付の保険料率 雇用保険二事業の保険料率
一般の事業 0.6% 0.95% 0.6% 0.35% 1.55%
農林水産・清酒製造の事業※2 0.7% 1.05% 0.7% 0.35% 1.75%
建築の事業 0.7% 1.15% 0.7% 0.45% 1.85%
  • 別ウィンドウで「厚生労働省」のPDFを開きます。
  • 1 失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ
  • 2 園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、うち水面養殖および特定の船員を雇用する事業については一般の事業の率を適用
  • 2023年4月~2024年3月までの雇用保険料率

一般企業に勤めている場合、労働者負担となる金額は給与額または賞与額の0.6%です。そのため、月収20万円の人は月に1,200円の保険料を支払う必要があります。

【計算式】
200,000円×0.6%=1,200円

事業主負担は、通常の場合0.95%です。この0.6%に0.95%を足した数値が全体の雇用保険料率となります。農林水産や清酒製造、建築に関わる事業の場合は料率が変わる点には注意しましょう。

雇用保険の手続き方法

ここからは、雇用保険の手続き方法について解説します。

  • 入社時の加入手続き
  • 退職時の手続き

この2点から雇用保険の手続き方法を確認していきましょう。

入社時の手続きと期限

事業者は、社員が新たに入社してきたときに雇用保険の加入手続きを行う必要があります。手続きの大まかな内容は、下記のとおりです。

  • 所管の労働基準監督署またはハローワークに保険関係成立届を提出し(労働者を最初に雇ったとき)、労働保険料を概算保険料として申告・納付
  • ハローワークに保険関係成立届の控えと雇用保険適用事業所設置届を提出(労働者を最初に雇ったとき)
  • ハローワークに新たな従業員の雇用保険被保険者資格取得届を提出(2人目以降の労働者を雇ったとき)

雇用保険被保険者資格取得届は、労働者を雇用する毎に提出が必要です。

労働者が自分でする手続きはありませんが、雇用保険加入履歴がある場合には会社に雇用保険被保険者証を提出しましょう。

退職時の手続きと期限

労働者が退職をする場合には、会社・労働者ともに各種手続きが必要です。

会社は、労働者の退職から10日以内にハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出する必要があります。「雇用保険被保険者離職証明書」については、退職前に労働者へ内容に間違いがないか確認のうえ、署名をしてもらいましょう。2つの書類を提出すると、ハローワークから離職票が発行されるので、離職票を労働者に送付します。

労働者は離職票を受け取ったら、状況に応じて失業手当の申請をハローワークで行います。失業手当の申請期限は退職翌日から1年間ですが、失業手当の所定給付日数が330日以上ある場合は1年より長くなります。

受給条件と受給までの流れ

失業給付を受給するまでの流れ

失業給付を受給するまでの流れ

(出典)厚生労働省:雇用保険制度「失業給付金を受給するまでの流れ」を参考に作成

ここからは、失業給付の受給条件と受給までの流れについて順を追って解説します。流れがわかりにくい部分もありますが、ここでしっかりと確認しておきましょう。

失業給付を受給するためには、まず失業認定を受ける必要があります。手続きの流れについて、順を追って解説していきましょう。

1. 会社を辞めたらハローワークへ離職票提出
会社を退職したら、会社から離職票と雇用保険被保険者証を受け取ります。退職後10日前後で届くため、まずはハローワークで「求職の申し込み」を行ったうえで離職票を提出しましょう。このタイミングでハローワークの職員と面談を行った後、受給資格が決定します。

2. 待期期間は7日間
受給資格決定後、待期期間が7日間あります。この7日間は、失業給付によって所得を保障する必要がある失業状態かを確認するための期間です。また、失業給付の乱用を防止する目的もあります。

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退職理由 会社都合による退職 一身上の都合による退職
最短給付 7日間の待期期間後 7日間の待期期間後、さらに2~3ヵ月の給付制限(※)期間経過後
給付期間 給付期間が長く金額が多い 給付期間が短く金額が少ない

離職証明書に記載の事実に異議がある場合、ハローワークに申し立てが可能です。

また、自己都合(一身上の都合)による退職であっても、自分の意思に反していたという正当な理由がある「特定理由離職者」に当てはまる場合は期間が変わります。

3. ハローワークの説明会に行く
待期期間を経た後に、ハローワークで行われる雇用保険受給説明会に出席しましょう。この際に、雇用保険受給資格者証を受け取ります。

4. 2~3回の求職活動をする
雇用保険受給説明会に出席した後は、2~3回の求職活動をする必要があります。

ハローワークで仕事の応募が可能であるため、その活動が自らの実績になります。また、ハローワークに出向くだけでなく、インターネットなどを通して自ら会社に応募した場合にはその取り組みも実績になります。

取り組み内容は、「失業認定申告書」に記載してハローワークに提出します。求職活動をした場合には、方法や活動日、どの機関を利用したか、具体的にどのような活動を行ったのかを失業認定申告書に記載しましょう。

5. 失業認定を受ける
ハローワークに失業認定申告書を定期的に提出し、失業認定を受けると失業給付が受けられます。失業していると認定された日から5~7営業日目に、指定口座に給付金が入金されます。

基本手当とは?

基本手当は、働いていた人が仕事を失った状態でも働く意欲を保ちつつ求職活動を行えるよう支援することを目的として給付される手当です。仕事を失っても、お金の心配をせずに新たな仕事を探せるのは嬉しいポイントですよね。基本手当を受けるための要件は、下記のとおりです。

  • 退職し失業中である
  • 仕事への意欲を持っている
  • 仕事ができる健康状態である
  • 求職中である
  • 雇用保険の加入期間を満たしている

ただし、上記要件を満たしていても、ハローワークで失業認定を受けていない・副業をしている・年金を受給している・傷病手当金を受給している・自営業を始めた、などに該当する場合には、基本手当を受け取れません。

給付制限と受給期間

失業給付には、退職理由に応じて給付制限が設けられています。会社を自己都合で退職した場合には、受給手続きをした日から待期期間(7日間)を終えてもさらに2~3ヵ月間は失業給付を受給できません。これを給付制限といいます。

しかし、自己都合で退職をしても特定理由離職者の場合には給付制限がありません。特定理由離職者に該当する人の例は、以下のとおりです。

  • 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、当該労働契約の更新がなかったので退職した
  • 体力の不足や心身の障がい、負傷などによって退職した
  • 妊娠や出産、育児などにより退職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた
  • 両親の死亡や疾病、負傷などにより、父もしくは母を扶養するために退職した
  • 常時看護を必要とする親族の疾病、負傷などのために退職した
  • 結婚に伴い住所が変わるため通勤が困難となり退職した
  • 会社が通勤困難な場所に移転したので退職した

失業給付を受給できる期間は、退職日の翌日から1年間 (短期雇用特例被保険者は、退職日の翌日から6ヵ月間)です。

支給額計算方法

支給額計算方法

失業給付を受ける場合、実際どのぐらいの金額を受け取れるのかを知りたい人も多いでしょう。ここからは、支給額の計算方法について確認していきましょう。

失業給付の支給額計算式は、以下のとおりです。

【支給額計算式】
基本手当日額=賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)
【支給額計算式】
基本手当日額=賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)

賃金日額は「退職前6ヵ月の賃金合計÷180」によって計算しますが、上限額も定められています。

退職時の年齢 賃金日額の上限額
29歳以下 1万3,670円
30~44歳 1万5,190円
45~59歳 1万6,710円
60~64歳 1万5,950円
  • 別ウィンドウで「厚生労働省」のPDFを開きます。

以下、基本手当日額について、もう少し詳しく解説します。

基本手当日額

基本手当日額は、退職時の年齢と賃金日額によって変動します。具体的な数値については、以下の表を参考にしてください。

基本手当日額の計算方法(抜粋)

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賃金日額 給付率 基本手当日額

退職時の年齢が29歳以下

退職時の年齢が29歳以下

2,657 円以上 5,030円未満 80% 2,125円~4,023円
5,030円以上 12,380円以下 80%~50% 4,024円~6,190円
12,380円超 13,670円以下 50% 6,190円~6,835円
13,670円(上限額)超 - 6,835円(上限額)

退職時の年齢が30~44歳

退職時の年齢が30~44歳

2,657 円以上 5,030円未満 80% 2,125円~4,023円
5,030円以上 12,380円以下 80%~50% 4,024円~6,190円
12,380 円超 15,190円以下 50% 6,190円~7,595円
15,190円(上限額)超 - 7,595円(上限額)
  • 別ウィンドウで「厚生労働省」のPDFを開きます。

29歳で賃金日額が 1万5,000円の人は、 上限額1万3,670円の賃金日額が適用されます。29歳で賃金日額1万3,670円の基本手当日額(1日あたりの支給額)は、 6,835円と上限が決まっています。従ってこの場合は、1日6,835円を受け取れるのです。

初回受給日と日数

失業給付を受ける際の初回給付日と日数は、被保険者期間と年齢によって変わります。被保険者期間とは、簡単にいえば雇用保険に加入していた期間です。

例えば29歳以下で被保険者期間が7年間あった人は、失業給付を120日間分受け取れることになります。

支給額

ここからは、実際の基本手当日額を年齢や賃金日額に応じて2パターン算出してみましょう。

その前に、改めて失業給付の支給額計算式を確認しましょう。

【支給額計算式】
基本手当日額=賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)
【支給額計算式】
基本手当日額=賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)

1)27歳・賃金日額5,000円・被保険者期間3年
27歳で賃金日額が5,000円の場合は、給付率80%が適用されます。

【計算式】
5,000円×80%=4,000円

この場合は、基本手当日額4,000円が支給される計算です。

2)34歳・賃金日額1万3,000円・被保険者期間8年
34歳で賃金日額が1万3,000円の場合は、給付率50%が適用されます。

【計算式】
13,000円×50%=6,500円

この場合は、基本手当日額6,500円が支給される計算です。

失業認定で注意することは?

失業認定で注意することは?

失業給付を受給するためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。具体的には、以下の点に注意しましょう。

失業給付を受給するためのポイント

POINT
  • 待期期間を経る必要がある
  • 求職申し込みと就職相談が必要
  • 受給説明会への参加が必要
  • 就職日前までに失業認定を受けておく
  • 受給前に就職できた場合のことを知っておく
  • すぐに就職できない理由があるときの対処法を知っておく
  • 不正受給対象とペナルティについて知っておく

ひとつずつ解説していきます。

待期期間を経る必要がある

失業給付を受給するためには、待期期間を経る必要があります。待期期間とは、受給資格が決定した後も基本手当の支給を受けられない期間(7日間)のことです。

求職申し込みと就職相談が必要

失業給付を受給するためには、求職申し込みとハローワークでの就職相談が必要です。また、ハローワークに対して「失業認定申告書」を定期的に出す必要があり、その内容を記載するためには求職活動を行わなければなりません。

その際、ハローワークを通した活動だけではなく、独自に行った求職活動内容を記載しても大丈夫です。ひとつひとつの取り組みが実績となるため、求職活動は欠かさずに行いましょう。

受給説明会への参加が必要

初回の認定日までに受給説明会に参加できるようスケジュールを調整しましょう。 日程変更も可能なので、参加予定の説明会に行けなくなった場合にはハローワークに問い合わせましょう。

就職日前までに認定を受けておく

失業認定を受けた後でも、就職をすると失業給付は受け取れなくなります。その場合は、「就職促進給付」の受給を検討しましょう。受給要件を満たすためには、あらかじめ失業認定を受けておく必要があります。

就職促進給付は、「再就職手当」「就業促進定着手当」、「就業手当」「常用就職支度手当」に分かれますが、それぞれの内容については後述します。

受給前に就職できた場合

受給前に就職できた場合は、就職促進給付のうちの「再就職手当」の受給申請を行いましょう。再就職手当とは、雇用保険の受給資格を満たしている人が、受給資格の決定を受けた後に再就職をすると受け取れる手当です。
受け取れる金額は、以下のとおりです。

  • 失業手当の受給期間が残り3分の1以上:支給残額の60%
  • 失業手当の受給期間が残り3分の2以上:支給残額の70%

再就職先の給料と合わせて手当を受け取れるため、条件を満たしている場合は申請することをおすすめします。

すぐに就職できない理由があるとき

病気やケガ、妊娠、出産、親族の介護などですぐに就職できない場合には、受給期間延長申請ができます。
本来、雇用保険を受給できる期間は、退職日の翌日から原則1年間までですが、上記のように特別な理由があり1年以内に30日以上継続して働けない場合には、働けなくなったその日の翌日以降、早期に延長申請をすることが原則です。

最長3年間まで延長できるため、働けるようになったタイミングで再度失業認定申請を行いましょう。申請をしないまま就職してしまうと、再就職手当も受け取れません。

  • 申請可能な期間であっても、申請が遅い場合は、受給期間延長を行っても基本手当の所定給付日数の全てを受給できない可能性があります。

このように失業中は給付制限やすぐに受給できないケースも想定されますので、仕事を辞める前にある程度の貯蓄で日頃から備えておくことも大事といえるでしょう。

不正受給対象とペナルティ

失業給付を不正受給するとペナルティを課されます。該当する不正受給のパターンは、下記のとおりです。

  • 求職活動を行っていないのに虚偽の申告をした、また就職日や求職活動の実績を偽った
  • 働いているのに「失業認定申告書」にその事実を書かずに虚偽の申告をした
  • 自営業を始めたのに「失業認定申告書」にその事実を書かずに虚偽の申告をした
  • 内職や手伝いをして収入を得たのに「失業認定申告書」にその事実を書かずに虚偽の申告をした
  • 会社の役員に就任したのに「失業認定申告書」にその事実を書かずに虚偽の申告をした
  • 定年後、受給終了直後に年金を受給しようと計画しつつ虚偽の申告をした

上記に該当すると、不正受給した全額を返還する必要があります。さらに、返還し終えるまで年率5%の延滞金が科されます。

就職に向けたそのほかの手当

就職に向けたそのほかの手当

雇用保険の「失業等給付」のひとつに、「就職促進給付」があります。
「就職促進給付」には、前述した再就職手当のほかに、「就業促進定着手当」、「就業手当」、「常用就職支度手当」があります。それぞれの特徴は、下記のとおりです。

  • 就業促進定着手当:再就職によって収入が下がったときに受け取れる手当
  • 就業手当:1年未満の非正規雇用が決まったときに受け取れる手当
  • 常用就職支度手当:就職が困難な方が安定した職業に就いたときに受け取れる手当

失業給付のほかにも受け取れる手当はいくつかあるため、該当条件をハローワークなどであらかじめ尋ねておきましょう。

教育訓練給付制度

雇用保険の中には、雇用の安定と再就職の促進を目的とした「教育訓練給付」があります。キャリアアップやスキルアップを図りたい人は、教育訓練給付の受給を検討してみましょう。 教育訓練給付は以下に分けられます。

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教育訓練の種類と給付率 対象講座の例 対象講座の例

専門実践教育訓練

最大で受講費用の70%
[年間上限56万円・最長4年]
を受講者に支給

業務独占資格などの取得を目標とする講座

  • 介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士、調理師
  • 介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、保育士、調理師

デジタル関係の講座

  • ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座
  • ITSSレベル3以上のIT関係資格取得講座
  • 第四次産業革命スキル習得講座(経済産業大臣認定)
  • 第四次産業革命スキル習得講座(経済産業大臣認定)

大学院・大学などの課程

  • 専門職大学院の課程(MBA、法科大学院、教職大学院 など)
  • 専門職大学院の課程(MBA、法科大学院、教職大学院 など)
  • 職業実践力育成プログラム(文部科学大臣認定)
  • 職業実践力育成プログラム(文部科学大臣認定)

専門学校の課程

  • 職業実践専門課程(文部科学大臣認定)
  • 職業実践専門課程(文部科学大臣認定)
  • キャリア形成促進プログラム(文部科学大臣認定)
  • キャリア形成促進プログラム(文部科学大臣認定)

特定一般教育訓練

受講費用の40%
[上限20万円]
を受講者に支給

業務独占資格などの取得を目標とする講座

  • 介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士
  • 介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士

デジタル関係の講座

  • ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座
  • ITSSレベル2以上のIT関係資格取得講座

一般教育訓練

受講費用の20%
[上限10万円]
を受講者に支給

資格の取得を目標とする講座

  • 英語検定、簿記検定、ITパスポート
  • 英語検定、簿記検定、ITパスポート

大学院などの課程

  • 修士・博士の学位などの取得を目標とする課程
  • 修士・博士の学位などの取得を目標とする課程
  • 別ウィンドウで「厚生労働省」のPDFを開きます。

なお、教育訓練給付金は在職中でも退職後(1年以内)でも受給可能です。

求職者支援制度

「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」とは別に、「教育訓練給付」には求職者支援制度も設けられています。

求職者支援制度とは、月10万円の給付金を受け取りながら無料の職業訓練を受講できる制度です。失業給付との同時受給はできませんが、雇用保険を受給できない方や会社での収入が少ない方は利用を検討してみてはいかがでしょうか。

2023年の4月から要件が緩和され、世帯全体の収入が月30万円以下でも制度の対象となりました。

まとめ

まとめ

この記事では、会社を辞めようか悩んでいる方や失業給付について知りたい方向けに、雇用保険加入の条件や手続き、失業給付の受給期間などについて詳しく解説してきました。

失業給付を受け取るためには、さまざまな手続きが必要です。しかし近年では「ハローワークインターネットサービス」を利用すれば、求職申し込みが家にいながらにしてできるようになるなど、利便性が向上しています。

手続きをしたうえで、行政ポータルサイト「e-Gov」を使えば、傷病手当や就職促進給付、教育訓練給付金などの申請も可能です。インターネットサービスも充実しているため、自分にあったやり方で雇用保険の手続きをすすめてみてはいかがでしょうか。

  • 本記事は、公開日時点での情報です。

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