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時短勤務(短時間勤務)とは?制度の内容や期間などをわかりやすく解説

時短勤務(短時間勤務)とは?制度の内容や期間などをわかりやすく解説

ファイナンシャルプランナー 井戸美枝

ファイナンシャルプランナー

監修:井戸 美枝

講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。
経済エッセイストとして活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP社)『お金がなくてもFIREできる』(日経プレミアシリーズ)などがある。

子育てや介護など、ライフステージが変わることで出てくる、さまざまな家庭の事情。まずは、時短勤務の制度をよく理解してから活用してみてはいかがでしょうか。

働き方が多様化する今、注目される「時短勤務」ですが、どのような制度で、利用する際にはどのような点に注意をしなければならないのか。気になるポイントを解説します。

INDEX

そもそも時短勤務とは?

「時短勤務」とは、1日の勤務時間を通常よりも短縮した働き方です。子育てや介護などを理由に、フルタイムで働くことが難しくなった人たちをサポートするために、育児・介護休業法の改正によって各事業主(会社)にこの「短時間勤務制度」が義務づけられました。

制度の要件を満たした従業員は、フルタイムの勤務時間を原則6時間に短縮できます。例えば、午前9時始業、午後6時終業の計8時間労働(+休憩1時間)は、午後4時までの就業に短縮できるイメージです。制度を利用する手続きは、各会社によって異なりますので上司や人事部に確認してみてください。

また事業の性質などによって、この短時間勤務制度を導入するのが難しい場合、事業主は次のような代替策を講じなければいけません。

《育児で利用する場合》
  1. 育児休業制度に準じる措置
  2. フレックスタイム制の導入
  3. 出社、退社時間の繰り上げや繰り下げ
  4. 事業所内の保育施設の設置
《介護で利用する場合》
  1. 所定労働時間の短縮
  2. フレックスタイム制の導入
  3. 出社、退社時間の繰り上げや繰り下げ
  4. 介護サービスの費用への援助など

時短勤務の対象者は?いつまで適用されるのか?

時短勤務の対象者は?いつまで適用されるのか?

短時間勤務制度は誰でも利用できるというわけではありません。法律で定められた適用対象者は「3歳未満の子どもを養育する労働者」で、以下の5つの要件が「すべて」当てはまる人が対象です。

  1. 3歳に満たない子を養育する労働者であること。
  2. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
  3. 日々雇用される者でないこと。
  4. 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと。
  5. 労使協定により、適用除外とされていないこと。
  • 厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課
    「短時間勤務制度(所定労働時間の短縮等の措置)について」より抜粋

つまり、その会社でフルタイム勤務をしていた正規雇用の従業員で、3歳未満の子どもを育てている人が対象となります。ほかにも、1年以上その会社で働いている有期雇用契約の人、実質6時間以上・週3日以上働いている時間給契約のパートタイマーも適用対象です。

なお、短時間勤務制度は、復職時に誰もが自動的に取り入れられるわけではなく、あくまでも申告制の制度です。会社の制度をしっかり確認し、必要であれば復職後から取得できるよう、申請をするようにしましょう。

また、育児・介護休業法では、小学校未就学の子どもを養育する人や、要介護状態にある家族を介護する人の短時間勤務についても言及しているので、それぞれ解説していきます。

3歳未満の育児に関する時短勤務

制度では6時間以内の時短勤務以外にも、従業員が希望する場合、残業や深夜(午後10時から午前5時の間の深夜帯)業務の免除が認められます。

時短勤務はどちらかというと子どもの母親が選択するイメージですが、男性女性どちらも利用することができます。さらに言えば、配偶者が日中働いていない専業主婦(夫)であっても利用することができます。育児休業中の母親を助けるために父親が時短勤務をして家事を手伝うことも、夫婦そろって時短勤務を選ぶこともできるのです。

3歳~小学校就学前の育児に関する時短勤務

育児・介護休業法において、3歳以上の未就学児を養育する労働者に対して短時間勤務制度を講ずることは、事業主の「努力義務」としているため、子どもが3歳の誕生日を迎えると、短時間勤務制度は終了となります。法的な強制力がないため、会社によっては時短勤務を続けることができなくなる場合もあるようです。

しかし法律上、残業においては1ヵ月あたり24時間、1年を通して150時間を超える時間外労働をさせてはならない、とされています。深夜業においては3歳未満の子どもを養育する労働者と同様に、希望があれば免除されます。

介護に関する時短勤務

育児同様に、介護においても短時間勤務制度を利用することができます。法律上、要介護状態にある家族を介護する労働者に対して、事業主は連続3年以上、労働者が短時間勤務できるように制度を設けることが「義務」づけられています。

残業・深夜業については、3歳未満の子どもを養育する労働者と同じく、希望次第で免除されます。育児と大きく違う点は、取得方法です。

  • 1日の所定労働時間を短縮する方法
  • 週または月の所定労働時間を短縮する方法
  • 隔日や特定の曜日のみに勤務することで週または月の所定労働日数を短縮する方法
  • 労働者が個々に勤務しない日または時間を請求することを認める方法

このように、労働時間の短縮方法を柔軟に選ぶことができるため、業務の内容によって、介護との両立が可能なスケジュールの組み立てを上司や人事部に相談してみるとよいでしょう。

短時間勤務制度を利用できない人

残念ながら、短時間勤務制度は誰にでも適用されるものではありません。以下に当てはまる労働者は、労使協定の締結などにより、短時間勤務制度の対象から外れる場合があります。

  • 日々雇用される従業員
  • 入社から1年未満の従業員
  • 1週間あたりの所定労働日数が2日以下である従業員
  • 業務の性質などを考慮して、短時間勤務制度の適用が困難な業務にあたる従業員

つまり、短時間・短期間しか会社に在籍していないパートタイマー、アルバイトなどが対象とならない場合が多いようです。

時短勤務希望を勤務先に申請する方法

では、実際に時短勤務を希望する場合、勤務先にはどのような申請をすればよいのでしょうか。
事業主と従事者の話し合いで決められた上で、一般的には下記のような申請方法の流れとなります。

  • 就業規則の短時間勤務の項目に該当するか確認
  • 希望する時短勤務日の約1~2ヵ月前に勤務先の人事へ相談
  • 勤務先の「短時間勤務申請書(※)」に希望の勤務時間および開始日、期間などを記載
  • 勤務先から「短時間勤務取扱通知書(※)」をもらう
  • 社内に復帰日や勤務時間を周知(休業中の人は人事に依頼)

まず勤務先の「就業規則」を確認して、時短勤務の申請時期や取得条件などを確認しておきます。わからない場合は人事に相談します。
その後、人事に「短時間勤務申出書(※)」 を要求して申請フォーマットを取得し、記入して提出します。提出期限は会社側で設けられている場合もありますが、申請時期の記載がない場合は時短勤務を開始する約1ヵ月前を目安に提出するとよいでしょう。

申出書が承認されると「短時間勤務取扱通知書(※)」が会社側から通知されます。これには短時間になった際の労働条件の決定事項が記載されています。その際社会保険料についてもどのようになるのか確認しておきましょう。

  • 申請書類の形式や名称は勤務先により異なる場合があります。

復帰後、時短勤務になったはずなのに、残業などが発生して通常の勤務時間と変わらない状況に陥った場合には必ず上司や人事に相談して、業務内容の見直しなど調整をしてもらいます。

なお、産休取得前の仕事にそのまま戻れる場合もありますが、勤務先の判断で配置転換など処遇が変更する場合があります。ただし、元々の労働契約に変更はなく、国の制度を利用して一時的に勤務時間が短いだけなので、労働時間を短縮した時間分の減額があっても、降給や賞与の減給(※)、時短を理由にした解雇などの不当な扱いはしないように「育児・介護休業法」に定められています。

  • 基本給を時給により算出しているなどで減額になる場合はあります。

フレックスタイム制とは?

短時間勤務制度の代替案にも挙げられる「フレックスタイム制度」も、昨今の働き方改革において注目されています。こちらは時短勤務とは異なり、始業・終業時刻、労働時間を自分の裁量で決めることができる勤務制度です。

例えば、1ヵ月で160時間を総労働時間として決められた場合。月曜日に10時間、火曜日に5時間と日ごとに働く時間がバラバラでも、1週間で40時間、1ヵ月で160時間分働いていればよいので、プライベートと仕事とのバランスがとりやすい働き方といえます。

しかし導入のしかたによっては、まったくの自由というわけではありません。出退勤の時刻を自由に選ぶことができる「フレキシブルタイム」と、出勤していなければいけない「コアタイム」の2つの時間帯を設けることで、勤務時間の調整を図る場合もあります。

時短勤務とフレックスタイム制度の大きな違いは、「1日の労働時間が固定」されているかどうかです。時短勤務は毎日6時間必ず働かなければいけませんが、フレックスタイム制度の場合はほかの日に補填が可能であれば、その日は午前中だけ勤務することもできます。出勤後に子どもが預け先で発熱した際、フレックスタイム制度ならば有休をとらずに迎えに行くことができるのです。

時短勤務とフレックスタイム制の違い

事業主がどちらの制度も導入している場合、フレックスタイム制度と時短勤務の併用はできます。子どもの年齢や介護の状況に合わせて、柔軟に制度を活用できると便利ですね。

時短勤務中の給与はどうなるの?

時短勤務中の給与はどうなるの?

無事に短時間勤務制度を利用できたとしても気になるのが、給与。どれくらい下がるのか、ほかにもボーナスや有休などはどのように変わってくるのでしょうか。

基本給は?

フルタイムの勤務時間をベースとして計算される基本給は、実労働時間が少なくなる分、額は減ります。時短勤務中の給料は「基本給(給与月額)×実労働時間÷所定労働時間」の計算式で求められます。この式の内、実労働時間=1日の実勤務時間×1ヵ月の実出勤日数、所定労働時間=事業主所定の1日の勤務時間×事業主所定の1ヵ月の勤務日数を当てはめてください。

時短勤務中の給料の計算方法

元々8時間労働で基本給が20万の人であれば、単純計算で時短勤務後の給料は15万となり、フルタイムに比べて5万、25%少なくなります。さらに子どもの風邪などで欠勤すると、その分だけ減額となります。

ただし、時短勤務になってもフルタイム勤務時と仕事内容や量が変わらないときなどは、交渉次第で給料を減らさなくてもよい場合があるので、その際は上司や人事部に相談してみると良いでしょう。

残業代は?

時短勤務中は原則として残業が制限されるため、残業代(時間外手当)が0円になります。フルタイム出勤時に残業が多く発生していた場合は、給与が大幅に減ったように感じるかもしれません。

また、育児ないし介護休業を終えて職場復帰する際は以前と職務が変わる場合があります。休業前は管理職で役職給(職務手当)が付与されていたのに、復職後は別の部署に異動して減給されてしまう可能性もあるため、休業明けの待遇について会社の就業規則を確認してみましょう。

社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は?

給与から天引きされている社会保険料。この社会保険料は前年の4~6月の給与額をもとに算出されているため、時短勤務で給与が減っても、引かれる保険料は以前と同じまま…なんてことに。保険料は毎年9月に改訂されますが、4月に復職した場合は5ヵ月間も高い保険料を払わなければいけません。

そこで育児休業明けの人は、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することをおすすめします。この書類を会社経由で日本年金機構に提出すれば、9月を待たなくても復職後4ヵ月目から時短勤務時の給与で再計算された社会保険料に改定されるのです。

しかし時短勤務で所得が減ってしまうと、将来的な年金額にも影響してしまうのではないかと心配してしまいますよね。年金額を少しでも多くするためには、「育児休業等終了時報酬月額変更届」と併せて、「養育期間標準報酬月額特例申出書」を会社経由で日本年金機構に提出しましょう。

この書類を提出しておくと、時短勤務が原因で毎月支払う社会保険料が少なくなっても、産休前のフルタイム勤務時と同じ額を納めているものとみなしてくれます。ちょっとの手間で、将来の不安を解消できるのならば利用しない手はないでしょう。

有休は?

時短勤務でも有給休暇は付与されますが、勤務日数・時間によってその日数は異なります。週5勤務であれば、フルタイム勤務の正社員と同じ日数が付与されます。しかし、勤務日数が週4日以下で、勤務時間が週30時間未満の場合は、パートやアルバイトと同じように勤務日数に応じて有休の日数が決まります。

原則として有給休暇は、入社後に6ヵ月連続勤務して全労働日の8割以上出勤すれば10日。その後は継続勤務1年ごとに追加されていき、付与された有休は2年間有効です。育児休業した場合、休業期間中も出勤したものとして有給休暇は付与されるので、出産前の有休残日数と合わせて使うことができます。

賞与(ボーナス)は?

賞与(ボーナス)の支給については労働基準法に定めがなく、各事業主がその額を決定します。一般的に、賞与は給与と同じように勤務時間に比例するため、短縮した分だけ減額になるケースが多いようです。

また、ボーナス査定期間がすべて育児・介護休業と重なってしまった場合、復職してすぐのボーナスは支給されない可能性が高いでしょう。そのためボーナス支給についてはどのように就業規則に記載されているか一度確認しておくと良いかもしれません。

時短勤務は延長できるの?

時短勤務は延長できるの?

まず、介護のための時短勤務は、短時間勤務制度が定める適用期間は3年以上のため、上限はありません。

育児のための時短勤務の場合、育児・介護休業法が定める制度の対象者はあくまで3歳未満の子どもがいる労働者です。同法で3歳以上の未就学児を養育する労働者に対して、育児と仕事の両立を支援するための制度を設置することを記していますが、あくまで「努力義務」であって、法的な強制力はありません。そのため3歳以降も時短勤務を延長できるかどうかは、その会社によって異なります。

働くパパママにうれしい時間単位休制度

2021年3月より、育児・介護休業法施行規則等が改正され、育児や介護を行う労働者が子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得することができるようになりました。具体的には今までは半日単位での取得だった子の看護休暇・介護休暇が、時間単位で取得できるようになりました。注意点は、始業時間からの時間単位、終業時間までの時間単位での取得で、いわゆる就業時間中に「中抜け」をしてまた就業するものではないということです。

例えば、朝子どもを病院に連れていく際に、午前休を取得するしかなかったのですが、9時始業の場合は11時までの2時間という単位で休暇を取得することができます。時間休制度が導入されたことで、より働き方が柔軟になっています。
子の看護休暇は突然取らなければならない状況がほとんどです。あらかじめ、制度の内容を会社に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

厚生労働省が働き方改革を進める中、フレックスタイム制度や、期間を定めずに時短勤務ができる「短時間正社員制度」を導入する会社が少しずつ増えてきているといえます。

時間に制約がある中で、家庭も仕事も両立しなければいけないとき。短時間勤務制度をうまく利用することで、心のゆとりが生まれるかもしれません。少しでもワーク・ライフ・バランスを実現できるように、ぜひ会社側に相談してみてください。

  • 本記事は、公開日時点での情報です。

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