【初心者向け株式投資の始め方】株の選び方や購入方法、しくみ、メリットをわかりやすく解説
金融商品の代表格といえる株式投資。良い商品やサービスを提供している企業や将来性が期待できる企業を応援することで利益を得る投資です。大きなリターンを期待できる一方で、その分リスクも大きくなるため、株式投資は投資初心者にとって敷居が高いかもしれません。
株式投資を始めるためには、基本的なしくみ、メリット・デメリット、選び方をきちんと押さえることが大切です。今回、投資初心者の人でもわかりやすいように、株式投資の始め方を詳しく解説していきます。
INDEX
株式投資とは?
株式投資とは、株式の売買や投資先企業からの配当金などによって利益を得る投資方法です。そもそも株式とは、株式会社が事業を運営するための資金として出資してくれた人に発行する証券のことで、株式を購入した人を「株主」といいます。
株式投資のしくみについて、詳しく見ていきましょう。
株式投資のしくみ
株式投資は、企業が事業の拡大や新規サービスの提供などで必要な資金に対し、株式を発行して投資家に出資してもらう方法です。人々が企業の成長や将来性に“期待して”出資するものであり、企業に返済の義務はありません。その代わりに、投資家である株主は、出資額に応じた売買差益や配当金、株主優待、株主総会での議決権などが得られます。
また、株式投資においては、企業の業績が好調で株式を購入した時よりも価値が上がった際に、その株式を売却して利益を得ることができます。ただし、企業の業績悪化などを理由に、購入した時よりも保有している株式の価値が下がってしまうリスクも踏まえたうえで、慎重に投資先を選ぶようにしましょう。
株式売買の委託手数料・口座管理料
株式の売買を行う場合、精算の際に「株式売買委託手数料」が加わります。これは証券会社に支払われるもので、証券会社によって金額や設定方法が異なります。取引開始前に必ず確認しておきましょう。
また、購入した株式は証券会社の取引口座で管理されますが、その「口座管理料」を証券会社に支払う場合もあるので、こちらも併せて確認してください。
株式投資の始め方、購入方法
実際に株式を購入するには、証券会社で株式投資のための口座を開設する必要があります。ここでは口座を開設する証券会社の選び方や、口座開設の方法、株式の購入方法などを解説します。
証券会社を選び口座を開く
株式を購入するには、まず証券会社で口座を開く必要があります。取扱商品数や取引手数料、取引ツールの機能性、サービス内容といった観点から、自分に合った証券会社を選びましょう。
口座の種類について
口座には「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」の3種類があります。「特定口座(源泉徴収あり)」は、金融機関が税金を計算・徴収してくれるため、自分で確定申告をする必要がありません。
「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」の場合は、原則、確定申告が必要です。源泉徴収ありの特定口座を開設しておけば、確定申告をする手間が省けるので、初心者にはおすすめです。
証券口座に入金する
口座開設ができたら、取引用の資金を口座に入金しましょう。
投資の鉄則は、余剰資金(生活費や緊急時に備えた十分な費用を、貯蓄から除いた余裕資金)で行うことです。株式投資は元本保証がないので、計画的に少額から投資しましょう。
株を選ぶ
日本の証券取引所は、東京・名古屋・札幌・福岡にあります。日本最大の株式市場である東京証券取引所には、現在、「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」の3つの市場区分があります。
それぞれの市場への上場基準は異なり、取り扱う銘柄に特色があります。それを踏まえたうえで、商品やサービスになじみのある企業の株価や、少額から投資できそうか、などの視点で銘柄を選んでみてください。
株を購入する
気になる株を見つけたら、株式を購入してみましょう。株式の発注方法は大きく分けて2種類あります。
下の表は、横にスライドしてご覧ください。
発注方法 | 指値(さしね)注文 | 成行(なりゆき)注文 |
---|---|---|
希望の売買価格を指定して注文 | 希望の売買価格を指定せずに注文 | |
メリット | 買い注文は株価が指値以下になれば成立し、売り注文は指値以上になった時に成立する。 | 早く取引を成立させることができる可能性が高い。 |
デメリット | 希望価格にならないと売買ができず、わずかな値段の差で売買のチャンスを失う可能性がある。 | 株価の激しい変動などがあると、想定外の価格で売買が成立することもあるので注意が必要。 |
売買が成立すると、証券会社から「取引(売買)報告書」が電子書面交付または郵送されるので、自分の注文内容と違いがないか確認しましょう。売買代金は、売買が成立(約定)した日から起算して3営業日目に精算(受渡し)が行われます。
株を保有する
株式投資のメリットは、購入時よりも高い値段で売却した時に得られる売却益ばかりではありません。株を購入後、保有している間は、銘柄によっては配当金や株式優待などを得ることができる場合があります。
株を売却する
購入時よりも株価が上昇して利益が出ていても、売却しなければ実際の利益として手元には残りません。このように売却せず未確定になっている利益のことを「含み益」といいます。
含み益を決済せずにそのままにしておくと、株価が反転して含み損に変わってしまう可能性もあります。株式投資の目的が配当金や株主優待といった長期保有でない場合は、適切なタイミングで株の売却を検討しましょう。
株式投資のメリット
株式は運用するうえで、配当金、売買差益、株主優待の3つの利益を得られる可能性があります。配当金や株主優待の権利を得たい場合には、権利確定日(※1)の2営業日前の権利付き最終日(※2)までに、応援したい企業の株式を保有している必要があります。
- 1 株主がその銘柄を保有することで株主権利を得ることができる確定日。
- 2 株主権利(配当金・株主優待など)を取得するための最終取引日。
配当金(インカムゲイン)がもらえる
「配当金」とは、企業の事業運営で出た利益の一部を株主に還元するもので、インカムゲインともいいます。一般的に年1~2回、決算後に「1株あたり○○円」という形で保有している株数に応じた配当金を受け取ることができます。しかし、業績や方針によって異なるため、常に配当金があるとは限りません。
売買差益(キャピタルゲイン)が期待できる
株式は自由に売買できる金融商品なので、自分が購入した時よりも、株価が値上がりしたタイミングで売却すれば、差額の「売買差益」を得ることが可能です。売買差益は、値上がり益、譲渡益、キャピタルゲインともいいます。
例えば50万円で購入した株式を60万円で売却した場合、差額の10万円(手数料や税金を除く)が売買差益です。
ただし、株価は常に変動しており、株価の上昇により大きなリターンが得られる可能性がある一方で、その分リスクも大きくなるので注意が必要です。
株主優待がある場合も
企業が株主に対して、自社サービスの割引券や自社商品などを提供する「株主優待」があります。小売業では優待セールの実施、製造業では自社製品のプレゼントなど各企業で特徴があるので、優待内容で銘柄を選ぶのも手です。しかし、すべての企業が実施しているわけではないため、情報は随時確認しましょう。
議決権が得られる
議決権とは、企業の重要な議案に対して、賛否の意思表示ができる権利です。株主は株主総会において議決権を行使し、企業の経営に参加することができます。なお、議決権は株の保有数に応じて付与されるため、保有株数が多い大株主ほど行使できる力が強くなります。
ポイントが貯まる場合も
株式投資は業種や銘柄だけでなく、取引口座の選び方も重要です。証券会社によっては、取引に応じてポイントが貯まるサービスがあります。スムーズに口座開設ができ、クレジットカード決済でお得にポイントが貯まる・使えるサービスを選ぶとよいでしょう。
株式投資のデメリット
株価の値動き次第で大きな利益を手に入れられる可能性のある株式投資ですが、取引を始める前にきちんと投資リスクも理解しておきましょう。
元本保証がない
株式投資は、預貯金などとは違って元本保証がありません。株価の取引状況は、企業の業績の良し悪し、金利や為替、景気の動向などによる経済的要因、海外の株式市場の影響も受けるため、常に株価は変動しています。値動き次第で、購入時よりも売却時の株価が安ければ損失が発生することを念頭に置きながら取引しましょう。
倒産するリスクがある
株式は企業が発行する証券です。業績が悪化して売却する人が増えると株価は下がり続け、最悪の場合は倒産してしまう可能性もあります。株式を上場している企業は、必ず決算書を公表することになっていますので、株式の購入時だけでなく、保有中も企業の経営状況などを把握しておくことが大切です。
投資金額が比較的高い
100円から積立購入できる投資信託と比べて、株式投資は最低売買単位(単元)が100株と決められており、投資金額が比較的高くなるのが特徴です。最低購入金額は【株価(現在値)×1単元(100株)】なので、株価が2,000円の場合は20万円となります。そのため、初心者にとっては投資のハードルが高く感じられるかもしれません。
株式投資初心者が覚えておきたい選び方(コツ)
実際に株式投資を購入する際、初めて投資を行うのであれば、身近な企業のもの、少額投資できるもの、もしくは株式保有中に得られる配当金や株主優待から選ぶのがおすすめです。
身近な企業を選ぶ
数ある投資対象の中からあえて知らない企業を選ぶよりも、なじみのある企業や業界から始めてみることをおすすめします。
自分の生活に身近な企業であれば、親近感があるだけでなく、ユーザー視点で企業が提供している商品やサービスの良し悪しがわかり、情報も手に入れやすいでしょう。まずはニュースや新聞など身近なところから情報を得る習慣を身に付け、徐々に銘柄を見る目を育てていきましょう。
少額投資ができるところから始める
株式投資に慣れていない段階で、いきなり多額の自己資金を費やすのは危険です。まずは、少ない投資額でリスクを抑えながら、投資知識を身に着けていきましょう。
通常、日本株は100株からしか買うことができません。しかし、中には1株あたり数百円の銘柄もあり、最低購入金額は数万円程度と少額投資に挑戦できるようなものもあります。
また、1株から購入可能な「単元未満株(ミニ株)」という少額投資ができるサービスもあります。利用する際は、サービス内容を事前によく確認しましょう。
株主優待や配当金から選ぶ
株主優待には食べ物・自社商品・優待券などさまざまな種類があります。自分のライフスタイルに合った株主優待のある企業を選ぶと、保有しているだけで楽しみがあります。
また、配当金を多く出す企業かどうか判断するには、「配当利回り」と「配当性向」の2つのキーワードを覚えておきましょう。
- 配当利回り:株価に対して何パーセントの配当が得られるかを示す指標。
- 配当性向:企業の当期純利益のうち、配当金の支払いに充てる比率を示す指標。
配当を出さずに、成長するための投資資金として貯めている企業もあり、業績次第では株価が値上がりする可能性を秘めています。決算資料などで企業の経営状況などを確認したうえで、銘柄を選択するようにしましょう。
投資リスクを抑えるなら「長期・分散投資」がおすすめ
どんな投資でもリスクをできるだけ抑えるには、「長期・分散投資」がおすすめです。特に株式投資の場合は、長期的な視点で、今後の成長や将来性に期待し、応援したい企業について、日ごろの活動や経営状況に関心を持つことが大切です。
また、投資先を一社に集中するのではなく、複数の会社や業界などに分散させたり、一度に多額の資金を投資せず、購入タイミングを分けたり、少額から投資していきましょう。
- 本記事は、更新日時点での情報です。
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監修:ファイナンシャルプランナー 金子 賢司
CFP®資格保有。東証一部上場企業(現:スタンダード市場)で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信中。