決済とは?決裁との違いから決済サービスの種類まで基本を解説
「決済」と「決裁」は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、漢字の予測変換で一緒に出てきやすいことなどから、それぞれが同じような意味に感じられ、混用してしまう人も多いようです。
ここでは、決済と決裁の言葉の違いと、現在おもに使われているさまざまな決済方法について解説します。
INDEX
決済と決裁の違いとは?
決済と決裁の意味の違いは下記のとおりです。
・決済「決済」は、「済」の字に「助ける」「救う」という意味だけでなく、「済ます」「仕上げる」という意味もあることから、「支払いを済ませる」という意味で使われています。決済とは、相手から提供された商品やサービスに対して、お金を払って受け取るといった、経済取引が完了したことを指す言葉です。
・決裁「決裁」は、物事を判断して決めるという意味があり、ビジネスでは、権限を持つ上長が部下の出した案に対して可否を下すといった場面で使われます。
このように、決済は金銭の関係する商取引で使用されるのに対し、決裁は裁量権のある人が判断を下す場面などで用いられる言葉となっています。それぞれの意味には、大きな違いがあるのです。
決済方法のおもな種類
普段の生活でも使うことの多い「決済」について、ここではさらに詳しくふれていきましょう。
一口に決済といっても、その方法にはさまざまな種類があります。企業間の取引では長年の商習慣で使われている決済方法があり、個人間の取引ではシーンによって使い分けている場合もあります。
続いては、現在使われているおもな決済方法について見ていきましょう。
ベーシックな決済方法「現金払い」
現金払いは日々の買物など、個人レベルでは昔から使われている決済方法です。物やサービスの提供を受けるのと同時にお金を支払う、「即時決済」のスタイルです。
現金の代用として使われる「小切手・手形」
小切手・手形は、現金の代わりに使う決済手段です。特に、金額の大きい企業間の取引では、一度に高額な現金を用意するのは大変ですし、盗難などのリスクもあります。また、今すぐ現金がなくても、期日までに資金調達ができれば、現金の代わりに支払いをすることもできるため、ビジネスでは広く活用されています。
小切手には、金額と振出日が記載されており、小切手を振出日から10日目まで(振出日を含む11日間。最終日が金融機関の休業日の場合は翌営業日)に金融機関に持ち込むことで現金化できます。手形の場合はあらかじめ支払い期日を決めておき、それ以降にならないと現金化することができません。
代金を後払いにする「掛取引」
掛取引とは、商品などを売買した際に、その場で現金のやりとりを行わず後日支払いをする、いわゆる「ツケ払い」のことを指します。
企業間で、1ヵ月のあいだに何度も取引を行う場合、その都度支払いをしていては、煩雑になりがちです。そこで取引を「月末締め、翌月末払い」といったようにまとめ、その金額を決まった支払い日に決済するという支払い方法です。
信用に基づく取引のため「信用取引」とも呼ばれており、企業間取引では、ほとんどがこの掛取引を行っています。
現金を使わない「キャッシュレス決済」
キャッシュレス決済とは、現金を使わない支払い方法のことです。特に、個人の決済方法として、近年急速に普及しています。
これまでキャッシュレス決済というと、クレジットカードが一般的でしたが、現在では下記のように、さまざまな決済方法が登場してきました。それぞれ特徴があり、場面に応じて使い分けられています。
・クレジットカードクレジットカードはキャッシュレス決済の中でも、日本で最も普及している決済サービスです。後払い決済なので、今すぐ手元に現金がなくても買物ができる点が最大の特徴でしょう。
クレジットカードは、国内はもちろん海外でも利用でき、利用額に応じてポイントがもらえたり、旅行傷害保険などの付帯サービスがあったりと多くのメリットがあります。
・デビットカードデビットカードは、支払いと同時に、登録している銀行口座からお金が引き落とされて決済できるカードです。
デビットカードには、銀行のキャッシュカードをそのまま使える「J-Debit」というしくみを使ったタイプのほか、VisaやMastercardなどの国際ブランドと連携したタイプがあります。
・電子マネーSuicaやiDなどに代表される電子マネーは、電子データのやりとりで決済を行うことができ、手軽に利用できるのが大きな特徴です。カードや決済アプリを登録したスマートフォンなどを決済端末に軽く近づけると一瞬で決済ができ、支払いスピードという点でも優れています。
・コード決済コード決済は、QRコードやバーコードを使った決済方法です。店舗側の支払い情報を記録したコードを、利用者がコード決済アプリで読み込む「ユーザースキャン」という方式と、利用者が表示したコードを店舗側が読み取り機器を使って読み取る「ストアスキャン」方式があります。
・プリペイドカードプリペイドカードは、チャージタイプと使い切りタイプがあり、その場でカードの残高から利用金額を差し引くことで決済が完了します。
チャージタイプは、自分でお金をチャージ・入金した金額だけ買物やサービスに支払いができるため、繰り返し使うことができます。一方の使い切りタイプは、カード自体に設定されている金額分だけを使うことができるもので、設定金額を使い切った後は再利用ができません。
クレジットカードを持てない若年層でも、オンラインショッピングなどが利用でき、コンビニで手軽に購入できる点も使いやすいといえます。
タイミングで見た決済方法
決済の方法にはさまざまな種類がありますが、支払いのタイミングで分類すると、「前払い決済(プリペイド)」「即時決済」「後払い決済(ポストペイ)」の3つに分けられます。それぞれの特徴について簡単にご説明しましょう。
前払い決済(プリペイド)
前払い決済は、物やサービスを受け取る前に支払いを済ませるスタイルです。商品券やプリペイドカード、チャージ式の電子マネーなども、前払い決済に該当します。
すでに支払った金額分から利用額が差し引かれる方式のため、利用するための年齢制限がクレジットカードと比べてゆるやかといった手軽さが最大の特徴でしょう。チャージ式の電子マネーの場合は、あらかじめPOSレジや駅の自動券売機などでチャージしておく必要があります。
即時決済
即時決済は、物やサービスの提供・引き替えと同時に支払いを済ませるスタイルです。現金での商品に対する支払いのほか、デビットカードも即時決済に含まれます。
カードに事前にチャージをしておく必要がない点は便利ですが、デビットカードの場合、銀行口座に残金がなければ利用することができません。
後払い決済(ポストペイ)
後払い決済は、物やサービスを提供されてから、一定期間ののちに決済するスタイルです。クレジットカードや小切手、手形などがこれに該当します。
後払い決済は、手元に現金がなくても利用できる便利さがありますが、クレジットカードの場合はカード会社による審査を受け、それに通る必要があります。手形を利用する場合も、銀行などの審査が必要です。
決済方法を使い分け、毎日をもっと便利に
決済の方法はさまざまあり、それぞれに一長一短があります。中でも、現金を使わない支払い方法であるキャッシュレス決済は、今後ますます普及していくでしょう。
その時々の用途やシーン、自分のライフスタイルに合った決済方法を選び、使い分けることで、日々の支払いもスムーズに行えるようになるはずです。
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- 本記事は2021年2月現在の情報です。
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