“40日熟成”が生む穏やかな爽快感 巨匠の名画ラベルも美しいクラフトビール
思わず手に取って、ラベルを眺めてしまう。白く糸を引くような滝、幻想的な夜の森に佇む鹿、荘厳な雪景色……。
ラベルや缶に、世界的な日本画家・千住博氏の絵がデザインされた「THE軽井沢ビール」。醸造、販売を手掛けるのは、2013年創業のクラフトビールメーカー「軽井沢ブルワリー」である。
千住氏起用のきっかけは、「軽井沢千住博博物館」を訪れた同ブルワリー代表・和田泰治さんがその世界観に心を奪われたことによる。自ら交渉し、その熱意をもって快諾を得たという。現在、千住氏の作品が使用されるのは、創業年からの定番「プレミアム・クリア」「プレミアム・ダーク」など5種となっている。
INDEX
7人の醸造家が造り出すビールは、5種→12種へ
巨匠の名画をラベルに用い、そして“軽井沢”という歴史ある高原リゾートを社名に冠した理由を、製造統括部マネージャーの岡慎一朗さんが言う。
「多くの人に商品名を言えばすぐに企業名が分かるように、社員も胸を張って社名を名乗れるようにとの思いもありました」
そのスタートは、「七人の侍」ならぬ「7人の醸造家」だった。国内大手ビールメーカー各社から、豊富な経験を持つ醸造家、開発者、工場長の3名を招聘。加えて、軽井沢ブルワリーのグループ会社であり、製菓用洋酒製造で国内の圧倒的シェアを持つ「ドーバー酒造」から、ビールの本場ドイツで醸造技術を学ぶなどした4名のスペシャリストを集めた。
広大な敷地内の地下約150mからくみ上げる浅間山の伏流水をベースに、北米やドイツから厳選した麦芽とホップで醸造。当初は「クリア」「ダーク」「ブラック」などの5種だったが、現在は一番人気の「軽井沢エール〈エクセラン〉」や「赤ビール〈アルト〉」など、12種(内3種は季節限定品)まで幅を広げている。
通常の約3倍! 長期熟成でよりクリア&マイルドに
主力の「軽井沢エール〈エクセラン〉」は、シトラホップの柑橘系の香りと、クリアさが身上。苦みも抑えられ、優しい味わい。
千住氏の代表作『ウォーターフォール』がデザインされた「清涼飛泉 プレミアム」(地域限定発売。2019年春、全国発売予定)は、それをさらに爽やかにしたイメージ。キレがよく、爽快感あふれる喉ごし。
琥珀色の「ダーク」は副原料に地元・佐久産の米を使用し、ほのかな甘みとコクがあり、余韻がじわりと広がる。
味わいに個性が強いクラフトビールが多いなか、飲み心地はあくまでもマイルド。すいすいと飲むことができる。
岡さんが言う。
「お客さまが何杯でも飲めるビールを造るのが軽井沢ブルワリーの夢。だから、うちのビールは基本的に後味がスッキリしているものが多い」
スッキリの秘密は、“熟成”にある。通常、上面発酵のエールビールは発酵に約4日、熟成に約2週間が必要だが、軽井沢ブルワリーでは3倍近い約40日も熟成させるという。
「2週間ではまだ材料となる植物の青臭さが残っている。さらに時間をかけることにより、雑味が取り除かれる。そうしないと、この味は出ない」と、岡さん。収益効率ではなく、あくまでもクオリティを重視する。
国内最大規模に成長後も「クオリティ>効率」なビールを
広告は大々的に打たないものの、観光客やSNSなど口コミを中心に人気が広がり、生産量は年々上昇。現在は2013年創業当初の5倍にまで出荷量が伸びた。夏場には生産が間に合わないリスクも出てきたため、2017年に工場を増床。生産能力年500万ℓというラインを整えたことにより、クラフトビールメーカーとしては国内最大スケールを誇るまでに成長した。
だが、「クオリティ>効率」という、妥協のない立ち位置は変わらない。
「7人の醸造家」が造り出すこだわりの品質と、思わず手に取る名画ラベルで酔わせてくれる軽井沢発のクラフトビール。グラスを傾ける度、高原に吹く風のような爽快感が心地よくノドを刺激してくれる。
ブルワリー情報
軽井沢ブルワリー
住 所 :長野県佐久市長土呂64-3
電 話 :0120-919-144
https://brewery.co.jp/
※別ウィンドウで軽井沢ブルワリーのサイトへリンクします。
※工場見学は1名500円(税込)。
主な商品(税込):
「THE軽井沢ビール 清涼飛泉プレミアム」(軽井沢地区先行発売。全国へは2019年春、発売予定)ビン330ml・483円/カン350ml・359円
「THE軽井沢ビール プレミアム・クリア」ビン330ml・483円/カン350ml・359円
「THE軽井沢ビール プレミアム・ダーク」ビン330ml・483円/カン350ml・359円
「THE軽井沢ビール 軽井沢エール〈エクセラン〉」ビン330ml・411円/カン350ml・288円
「THE軽井沢ビール 赤ビール〈アルト〉」カン350ml・288円
「THE軽井沢ビール 黒ビール〈ブラック〉」カン350ml・288円
※記載している価格は取材当時の金額です。
※商品はホームページからご購入いただけます。
軽井沢ブルワリーのビールが楽しめる飲食店
【東京都・中央区】
銀座NAGANO
蕎麦や味噌、漆器など、信州の多彩な食やアイテムを販売する長野県のアンテナショップ。1階のバルカウンターでは、旬の素材を生かしたメニューと、地ビールやワイン、日本酒などが楽しめる。
住 所 :東京都中央区銀座5-6-5 NOCOビル1・2F
電 話 :03-6274-6015
営業時間:10:30~20:00
定休日 :年末年始
https://www.ginza-nagano.jp
※別ウィンドウで銀座NAGANOのサイトへリンクします。
【東京都・港区】
LONGING HOUSE 北青山店
フレンチやイタリアン、スペイン料理が味わえるダイニング。フランスの三つ星レストランなどで修業し、野菜ソムリエの資格を持つ料理長が厳選したオーガニック野菜使用のメニューが人気が高い。
住 所 :東京都港区北青山3-9-10 瀬川ビル1F
電 話 :03-6433-5808
営業時間:【月~金曜】11:30~15:00、17:00~23:00 【土・日曜・祝日】11:30~23:00
※L.O.は閉店30分前
定休日 :月曜
https://www.longinghouse.com/no.2/aoyama
※別ウィンドウでLONGING HOUSE 北青山店のサイトへリンクします。
【長野県・軽井沢町】
Ogosso(オゴッソ)
「加藤口どけポーク」や「ぎたろう軍鶏」など、こだわりの食材を使用した和食を提供。ランチでは限定20食の親子丼「Super親子」(1,814円/税込)が人気。
住 所 :長野県北佐久郡軽井沢町長倉1999-1
電 話 :0267-42-6339
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00
※L.O.は昼が閉店30分前、夜が閉店1時間前
定休日 :水曜・第2火曜
※記載している価格は取材当時の金額です。
http://www.ogosso.com
※別ウィンドウでOgossoのサイトへリンクします。
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