オール北海道で仕込む“ジャガイモ焼酎” 日本最北の焼酎専門蔵「清里焼酎醸造所」
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「焼酎の原料」と聞いて、パッと思い浮かぶのは、サツマイモや麦。「米」「蕎麦」、さらには「黒糖」「シソ」あたりまで答えを広げられれば、「ムム、お主なかなかやるな」と、“晩酌上級者”として胸を張れるはず。
でも、「ジャガイモ!」と即答する人はきっといない。いや、もしいるとすれば、この清里町出身の人に違いない。
世界自然遺産・知床に隣接する、清里町。人口約4,100人という小さな北の町で、日本初の“ジャガイモ焼酎”が1975年に誕生した。しかも、その酒蔵は町営である。
「町の農産物で何か作ることはできないか、という声がきっかけです」
日本最北の焼酎専門蔵「清里焼酎醸造所」で、醸造技師(主任)を務める廣谷淳平さんが言う。
ジャガイモ生産の全国シェア約80%を占める北海道。「美しい日本のむら景観百選」に選ばれた清里町もその例に漏れず、広大なジャガイモ畑が広がっている。砂糖の原料となるテンサイに次ぐ町の主要作物で、6月から7月にかけてジャガイモの白い花がフォトジェニックに大地に咲く。
焼酎をまろやかに育てる、最低1年以上の熟成期間
「町の特産で、名物を」。その一念で始まったジャガイモ焼酎に使う品種は「コナフブキ」。豊富なデンプン含有率が特徴の、主に片栗粉の原料となる加工用のジャガイモ。
ちょっと専門的な説明をすると、アルコールは糖分をエネルギー源にして発酵を進めるため(=糖化)、デンプンに含まれる糖分が多いほうが有利に働く。平たく言えば、コナフブキは酒造りに向いた栄養豊富なジャガイモだということ。
麹には道産の大麦、仕込み水には日本一の清流にも選ばれた斜里川の伏流水を使用。“オール北海道”で2週間かけて醪(もろみ)を育て、原料の風味が残りやすい“単式”の蒸留器にかける。その原酒を、タンクで最低1年ねかせてから出荷している。
一般的に焼酎の熟成期間は3ヵ月から半年程度の蔵が多いが、
「1年経つと独特の青臭さや雑味が抜け、ジャガイモのうま味が出てくる。味に妥協はしたくないので、時間は掛かっても良いものを提供したい」
と廣谷さんは言う。“変わりダネ焼酎”ではなく、“本格焼酎”として味で勝負する強い思いが伝わってくる。
町民の声で誕生した<樽>。町の誇りとなる焼酎を
主力商品は「北海道 清里」。クリアでキレが良く、イモ臭さはまったくない。意識をすれば、ジャガイモ由来のうま味と甘味を感じる程度。夏はハイボールですっきりと飲んでも良さそうだ。
「北海道の食に合うように心掛けている」
と廣谷さんが言うように、魚介類はもちろん、ジンギスカンや塩辛トッピングのジャガバターとも相性がいい。
その「清里」をオーク樽で1年熟成させたのが「樽」。薄い琥珀色をしており、樽から出た甘味、コクがあっておいしい。まるでウイスキーのような1杯は、実は町民の声から生まれた。
「ウイスキーのような焼酎を、との要望で造りました」(廣谷さん)
前述のとおり、醸造所は町営。だから町の声に耳を傾けることをモットーにしている。
廣谷さんは言う。
「『清里ならジャガイモ焼酎がある!』と、町の人々が自慢できるようになるまで造り続けたい」
誕生から40年あまりが過ぎ、売り上げは当初の1.4倍ほどに成長。いまでは町民だけでなく、北海道各地で応援されている。
ジャガイモ焼酎の元祖は、すでに清里町の誇りとなっている。
酒蔵情報
清里焼酎醸造所
住 所:北海道斜里郡清里町羽衣町62-1
電 話:0152-25-2227
http://www.kiyosato-shochu.com
※別ウィンドウで清里焼酎醸造所のサイトへリンクします。
主な商品(税込):
「北海道 清里」700ml・1,350円
「北海道 清里〈樽〉」700ml・1,490円
「北海道 清里〈原酒〉」700ml・3,456円
「北海道 清里〈原酒5年〉」700ml・5,400円
※記載している価格は取材当時の金額です。
※商品はホームページからご購入いただけます。
清里焼酎醸造所のお酒が楽しめる飲食店
※店舗によっては、サービス料等が発生する場合があります。
【北海道・札幌市】
とれたて北海道
札幌駅直結でアクセス至便。ゆでタラバガニやウニ・イクラご飯など、北海道ならではの食材を盛り込んだ全14品の「まるごとコース」5,500円(税込)が人気。
住 所 :北海道札幌市中央区北4条西1 北農ビルB1F
電 話 :011-200-3335
営業時間:【月~土曜】11:30~13:00(L.O.)、17:00~22:30(L.O.)
定休日 :日曜・祝日・ビル休館日
※記載している価格は取材当時の金額です。
【東京・港区】
白金 よこ山
築地から仕入れる、全国の鮮魚を生かした鮨割烹。繊細な京料理と鮨が楽しめる自慢の「おまかせコース」は5,400円(税込)。
住 所 :東京都港区白金3-9-6 清園ビル1F
電 話 :03-5422-6074
営業時間:【月~土曜】11:30~13:30(L.O.)、18:00~22:00(L.O.)
定休日 :日曜・祝日
※記載している価格は取材当時の金額です。
【東京・品川区】
北海道料理 ユック 大崎店
北海道の旬の食材にこだわり、魚介や野菜を毎日空輸。石狩鍋やイカぽっぽ焼、鮭ちゃんちゃん焼など、多彩な郷土料理を味わえる。コース3,300円(税込)~。
住 所 :東京都品川区大崎1-6-5 大崎ニューシティ店舗街
電 話 :03-3779-9325
営業時間:【月~土曜】11:30~14:00(L.O.)、17:00~21:30(L.O.)
定休日 :日曜
※記載している価格は取材当時の金額です。
http://www.yukku.net
※別ウィンドウで株式会社レストランユックのサイトへリンクします。
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