ロンドン×京都、文化の調和が生み出す 薫り高き“雅なクラフトジン”
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「ジンって、カクテルのベースでしょ?」。酒好きに限らず、日本人の多くが抱いているであろう先入観。そんな思い込みを鮮やかに覆す、薫り高い“日本発のクラフトジン”が、京都で造られているのをご存じだろうか?
京都駅の南、平安時代には天皇の離宮があった歴史あるエリア・鳥羽に立つ「京都蒸溜所」。創業者はイギリス生まれのデービッド・クロールさん。もともとスコッチウイスキーの輸入代理店を営んでいたが、「パイオニアになれる仕事がしたい」との思いから、3年前、奥様の紀子さんと共に日本で初めてとなるクラフトジンの蒸溜所を設立した。
ユズ、玉露、ヒノキ、山椒……、日本の素材が個性を引き出す
京都蒸溜所のコンセプトは、「日本オリジナルのプレミアムジン」。ドライジンはイギリス・ロンドンで生まれた正真正銘、西洋の酒。一体どうやって……? その答えは、素材。11種類のボタニカル(ジンの風味を決める香り付け素材)と、ベースとなるスピリッツ、そのほとんどが日本の食材からできている。
「ハードリカーをベースに、香り付けにジュニパー(セイヨウネズの果実)さえ使っていればジンと呼べる。定義は意外に自由なんです(笑)。その分、ボタニカルのチョイスが個性を決める」とデービッドさん。
京都蒸溜所の「季の美 京都ドライジン」(以下「季の美」)には、マケドニア産のジュニパーに加え、ヒノキ、ユズ、宇治の玉露、山椒、木の芽、生姜、そしてなんと笹まで使われている。そしてベースには日本産の米のスピリッツ。「米のスピリッツは、伏見の名水で加水すると、クリーミーで柔らかい味わいに仕上がる」とのこと。
京都蒸溜所では、11種のボタニカルを以下の6つのエレメントに分類して蒸溜する。
- ベースとなるスピリッツの「礎」
- ユズなどの香り「柑」
- 山椒や木の芽の「凜」
- 生姜などスパイスの「辛」
- 玉露の「茶」
- 笹などのフルーティな「芳」
この6種の原酒をブレンドして、複雑な香りと味わいを造り出す。いわば“京都ドライジンの6元素”。
納得できるフレーバーに仕上がるまで、なんと50種類以上の素材を試した。「日本らしいということでスダチやほうじ茶などもトライしました。ワサビも(笑)。単体での香りは良くても、トータルの完成度が重要。ロンドンドライジンとしてのキャラクターと日本の風味、その調和が一番の難関でした」とデービッドさん。
もう1つ意識したのは「京都らしさ」。素材はもちろんだが、パッケージにも“雅”を持ち込みたいと考えた。その答えが、奈良時代から続く京都の唐紙(からかみ)。創業1624年、日本で唯一江戸時代から続く京都の唐紙屋「KIRA KARACHO(雲母唐長)」が監修したデザインには、伝統と革新、2つの顔を持つ京都の個性が生きている。
ジンをストレートで飲める! 柔らかく芳醇な“京都ドライジン”
「ぜひストレートで」との勧めに従って、「季の美」をそのままテイスティングしてみる。日本人になじみの深い、ユズと玉露、そしてヒノキの香りのあとに、ゆっくりとジュニパーがやさしく追い掛けてくる。そして喉を抜けたあと、かすかに舌に残る山椒の風味。
アルコールの強さを風味がうまく包み込み、上質なブレンデッド・ウイスキーを飲んでいるかのような、複雑で立体的なテクスチャー。確かにこの上品さは、ソーダ割りや水割り、オンザロックで、シンプルに味わいたくなる。
イギリス中部レスター州出身のデービッドさんは、ウイスキーにも造詣が深い。その知見を生かして、アイラ島で使われていたシェリーカスク(樽)にジンを入れて熟成させた限定品「季能美」も新たに開発。樽熟成により、「季の美」にカスクのフレーバーが移り、複雑で深みのある香りに仕上がる。ウイスキーのような熟成を楽しむスタイルも提案。
非日常の飲み物ではなく、生活に寄り添う「日常の酒」に
日本人の舌に合う風味は、ソーダなどで割れば食中酒にぴったり。実際、デービッドさんたちも和食に合わせることを想定しているという。「イギリス人にとって、ジンは日常のお酒なんです。気軽に楽しむもの。だから、『季の美』は日本人が毎日飲めるような、生活に根ざしたジンにしたかった」。
デービッドさんのそんな思いは、2016年の発売直後から報われる。「IWSC(インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション)」での最高賞をはじめ、国内外の酒類品評会での受賞ラッシュ。ついに、日本のジンが「世界のジン」となった。
現在は、ヘッド・ディスティラー(蒸溜責任者)のアレックス・デービスさんと佐久間雅志さんを筆頭に、日英総勢8名のスタッフが蒸溜作業にあたっている。「アレックスやマーシー(佐久間さんの愛称)たち、日本とイギリスの力を合わせて築き上げてきました。“ファミリー”のような少人数だからこそ、私たちには機動力と結束力がある。『季の美』はまだまだ若い。これからもマイペースで、どんどん新しいことに挑戦していきたいですね」と、デービッドさんはさらなる未来を見すえる。
京都発、日本のプレミアムジン。世界の舞台で活躍する「季の美」の進化は、まだまだ止まらない。
蒸溜所情報
京都蒸溜所
住 所 :非公開
電 話 :非公開
http://kyotodistillery.jp/
※別ウィンドウで京都蒸溜所のサイトへリンクします。
※蒸溜所は見学できません。
主な商品(税込):
「季の美」700ml・5,400円(小売価格)
「季のTEA」700ml・6,480円(小売価格)
「季の美 勢」700ml・6,480円(小売価格)
「季能美」700ml・オープン価格
※記載している価格は取材当時の金額です。
京都蒸溜所のジンが楽しめる飲食店
【東京都・新宿区】
伊勢丹新宿店 グランドカーヴ
国内外のワインなど、約1,900アイテムを取りそろえ、シャンパーニュ、スパークリングワインなどの「泡系」も充実。ソムリエが常駐し、ワインの保管に適した温度と照度にもこだわり常に良い状態で提案する。ショップ奥には、長期熟成向けの年代ワインが眠る、ワイン愛好家にとっては隠れ家のようなセラーも。有料の洋酒テイスティングカウンターも併設。
住 所 :東京都新宿区3-14-1 伊勢丹新宿店B1F
電 話 :03-3352-1111(大代表)
営業時間:10:00~20:00(有料テイスティングは11:00~20:00〈L.O.は1時間前〉)
定休日 :伊勢丹新宿店の営業に準ずる
https://www.isetan.mistore.jp/shinjuku.html
※別ウィンドウで伊勢丹新宿店のサイトへリンクします。
【京都府・京都市】
Touzanバー
木を基調にした大人の空間で、京都の地酒や地ビール、世界の銘酒を味わうことができる。古民家の梁などを用いたインテリアデザインは人気デザイン集団「SUPER POTATO」の手によるもの。モダンながらもどこか温かい和の風情が漂っている。「季の美」を用いたカクテルなども人気。
住 所 :京都府京都市東山区三十三間堂廻り644-2 ハイアット リージェンシー 京都B1F
電 話 :075-541-3201
営業時間:17:00~24:00
定休日 :無休
https://www.hyatt.com/ja-JP/hotel/japan/hyatt-regency-kyoto/kyoto/dining
※別ウィンドウでハイアット リージェンシー 京都のサイトへリンクします。
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