SDGsの最前線
~未来の種をまく人~
QUONチョコレート
夏目浩次さん
お互いの違いを認め、凸凹を補い合う。
QUONチョコレート 夏目浩次さん
多彩な商品がそろう。タブレットのパッケージは、バディと呼ばれるスタッフが描いた絵。
誰もが皆、凸凹がある。
「QUONチョコレート」の代表・夏目浩次さんはそんな理念で、多様な人々が補い合う、働きやすい職場をつくってきた。
2014年に創業し、現在は愛知県の豊橋本店をはじめ、全国40店舗、60拠点に成長。有機栽培カカオなど、世界30カ国の厳選原料を使うピュアチョコレートは、品質と独創性、彩り豊かなデザイン性で人気が高い。
茶葉はすべて自社の「パウダーラボ」でバディたちが、少量ずつ石臼で手びきしている。
カラフルなのは、スタッフも同様。700名のうち、450名は障害者手帳を持つ人で、100名超は子育てや介護中の人のほか、LGBTQ、発達障害のある人など。重度の知的障害者が働く「パウダーラボ」では、香り高い茶葉を石臼で丁寧にひいたり、ドライフルーツを刻んだり、皆が生き生きと働いている。
ドライフルーツやナッツのカットなど、職人技を身に付ける人も。
「道具ややり方を工夫すれば、できることもすごく多い。見合った収入面も含め、いかに尊厳を持てて、社会の役割を果たしていると感じられる仕事にしていくかが大切です」と夏目さん。
手切りするテリーヌチョコレート。商品はすべて、夏目さんの起業のきっかけとなったトップショコラティエの野口和男さんがシェフを務めている。
看板のテリーヌチョコレートは、最後の切る工程まですべて手作業で、独特の食感を生む。全国のこだわりの食材を組み合わせた150ものフレーバーがあり、見ているだけで幸せになる。
「チョコレートは面白い。各地の食材とも合い、変幻自在。温めればやり直せて保存もでき、廃棄ロスはほぼない。人に合わせてくれる魔法のような素材です」
パウダーラボでカットされたナッツは、焼き菓子にも使用される。チョコーレートの手切り同様、店頭で作業を見ることができる。
廃棄寸前の素材を加工する「パウダーラボ」の全国展開など、目標は多い。そしていずれは、働く人が誇れる一流のチョコレートブランドに……。夢は尽きない。
「障害者が働くことを特別視しない、当たり前の未来になれば」
一枚のチョコレートには、いろいろな物語が込められている。
キーワードで知るSDGs
DE&I
性別や世代、障害の有無、国籍など多様な人材が互いを認め、一体感を持って組織をつくる「ダイバーシティ&インクルージョン」。近年、重要な概念となっているD&Iに、それぞれの個性に合わせた機会の公平性を目指す「エクイティ」を加えたのが「DE&I」。異なる個性が最大限に活かされる組織のほうが、イノベーティブで、変化の激しい時代を生き抜くことができると注目を集めている。SDGsの基本理念「誰一人取り残さない社会」とも重なる。
団体情報
QUONチョコレート 豊橋本店
豊橋駅から徒歩3分の店には、多彩な商品が並ぶ。地元素材を使う限定チョコやアイスなども人気。隣接する焼き菓子専門店「ドゥミセック豊橋店」のカフェスペースで購入商品を食べることができる。
住 所:愛知県豊橋市松葉町1-4 1F
電 話:0532(53)5577
営業時間:10:00〜20:00 月曜、年末年始休
リンク:quon-choco.com
※別ウィンドウで各サイトへリンクします。
- 住 所 :
- 愛知県豊橋市松葉町1-4 1F
- 電 話 :
- 0532(53)5577
- 営業時間 :
- 10:00〜20:00 月曜、年末年始休
- リンク :
- quon-choco.com
※別ウィンドウで各サイトへリンクします。
文=VISA編集部/写真=佐野克典/監修=上田壮一(Think The Earth)
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