SDGsの最前線
~未来の種をまく人~
ヤマサワプレス
山澤亮治さん
手仕事が生み出す、アップサイクルデニム。
ヤマサワプレス 山澤亮治さん
デニムジャケット(写真中央/55,000円)、アップルドロップバッグ(同・奥/14,300円)などの自社製品。世界的なブランドに素材提供したスニーカー(同・手前)はサンプル、非売品。
初めて手にした中学生の時から「リーバイス501」は特別だったという。
「ヤマサワプレス」の代表・山澤亮治さんは、アメリカ・ロサンゼルスで偶然、そんな世界的ジーンズが廃棄の運命にあることを知り、20t(約4万本分)もの“501の山”を買い取った。
アトリエにはデニムジャケットや染め加工を施したクロスカラーパンツなどが並ぶ。
ヤマサワプレスは1995年の創業以来、さまざまなブランドの衣服のアイロンプレスや検品、縫製、洗浄を手掛けてきた。
「関わった製品が過剰在庫で大量廃棄される現実に直面し、うちの技術を服の再利用に生かせないかと思っていたところに、廃棄寸前の『501』に出合った。それで4年前に自社ブランド『One-o-Five』を立ち上げました」
素材やパーツを指定して作るカスタムオーダー(別途料金)のための生地。1本ずつ風合いが異なるため、1点物のアイテムができ上がる。
だが「想像以上に汚れや破れがひどかったり、臭いもまったく取れなくて(笑)」。1年かけてオリジナル洗剤を開発するなど、試行錯誤。そんな取り組みがアメリカのリーバイス社に認められ、国内外のブランドにも広く知られるようになった。
熟練の技術を持った職人が丁寧に作業。糸クズなども小物の綿代わりに使うなどして、廃棄はほぼ出さないという。
製作には時間と労力を要する。洗剤に漬け込んだ後、1本ずつブラシで汚れを落とし、洗濯、天日干しを経て、丁寧にステッチを切ってパーツの分解を行う。でき上がった生地は、世界中のデザイナーに提供されるほか、高感度な自社製品に。
ポケットをデザインに生かしたジャケットやスカート、バッグ、帽子など。同じデザインでも、さまざまな生地やパーツを組み合わせるため、風合いが異なり、すべてが1点ものだ。
倉庫には洗浄を終えたジーンズが山のように積まれ、出番を待っている。
「いつか、アメリカでも展開できたら。廃棄寸前だったものが日本の技術でよみがえって帰ってきたら面白いですよね」
海を越えた循環が生まれる日を楽しみにしたい。
キーワードで知るSDGs
アップサイクルファッション
本来捨てられるはずのものに新たな価値を与え、生まれ変わらせるアップサイクルの考えを取り入れたファッション。現在、過剰在庫の大量廃棄、消費者の約7割が服を手放す際にゴミとして廃棄していること(環境省’22年度調査)などが問題になっており、注目を集めている。大量生産・消費・廃棄の時代から、廃棄品由来の素材開発、再生型の原料生産など、サステナブルファッションの時代への移行が急務になっている。
団体情報
One-o-Five
ヤマサワプレスの自社ブランド。洋服の洗浄設備や技術を生かして廃棄寸前の「リーバイス501」を洗い、デニムマニア垂ぜんのアイテムへと再生。リメイクジーンズのほか、バッグなどの小物類も。オンラインショップで購入可。
住 所:東京都足立区花畑1-8-15
電 話:03(5242)8377
ショップ&アトリエは下記公式ホームページより問い合わせのうえ、完全予約制
リンク:one-o-fivedenimtokyo.com
※別ウィンドウで各サイトへリンクします。
- 住 所 :
- 東京都足立区花畑1-8-15
- 電 話 :
- 03(5242)8377
- 営業時間 :
- 10:00〜20:00 月曜、年末年始休 ショップ&アトリエは下記公式ホームページより問い合わせのうえ、完全予約制
- リンク :
- one-o-fivedenimtokyo.com
※別ウィンドウで各サイトへリンクします。
文=VISA編集部/写真=小林大介/監修=上田壮一(Think The Earth)
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