シェアリングエコノミーとは?市場の実情とメリット・デメリット
民泊やカーシェアなど、近年大きな広がりを見せているシェアビジネス。
その市場規模は、2020年度こそ新型コロナウイルスの影響によって予測を下回るものの、着実に拡大を続けている注目のビジネスモデルです。
ここでは、シェアビジネス「シェアリングエコノミー」の概要と、今注目されている理由について解説します。また、シェアリングエコノミーをビジネスに活用する人、利用する人それぞれから見たメリット・デメリットと、代表的なシェアリングサービスについてもご紹介しましょう。
INDEX
シェアリングエコノミーとはモノやスキルを個人間で取引するビジネス形態のこと
シェアリングエコノミーとは、個人や企業が持つモノや場所、スキルなどの有形・無形資産を、インターネット上のプラットフォームを介して取引する新しい経済の形のことです。さまざまなモノを共有することで成り立つビジネスであることから、「共有経済」とも呼ばれます。
シェアリングサービスのプラットフォーム提供企業で作る一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると、取引される資産によって、5つの領域に分類できます。
<シェアリングエコノミー 5つの領域>
- 空間(Space)
- スキル(Skill)
- 移動(Mobility)
- お金(Money)
- モノ(Goods)
■シェアリングエコノミー領域マップ
出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「最新のシェアリングエコノミー 領域mapを公開しました!(2020年3月)」
- 別ウィンドウで一般社団法人シェアリングエコノミー協会のウェブサイトへ遷移します。
シェアリングエコノミーはなぜ注目されるのか?
2008年にスタートした民泊サービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」以降、どの国でも多くのシェアリングサービスが誕生し、利用されるようになっており、シェアリングエコノミーは世界中で注目されるようになりました。
シェアリングエコノミーが注目される背景には、持続可能な社会づくりの必要性が浸透するに伴い、人々の価値観が「所有」から「共有」へと変わってきたことが挙げられるでしょう。
シェアリングエコノミーは、CtoC(個人間取引)サービスが基本です。BtoC(企業対消費者間取引)が基本の既存の経済にはない、次のようなポイントで特に注目されています。
<シェアリングエコノミーの注目ポイント>
- 仲介料がかからない分、低料金でモノやサービスを手に入れられる
- 遊休資産を有効活用できる
- ビジネスとしての売上が立ちやすい
シェアリングエコノミー市場の実情
注目を集めているというシェアリングエコノミーですが、どのくらい広がりを見せているのか、市場の実情を紹介しておきましょう。
経済産業省が発表した「シェアリングエコノミーに関する実態調査(2020年3月27日(金))」によると、2018年のシェアリングエコノミーによる年間取引額は、1兆5,226億~1兆6,008億円に上っています。この調査の年間取引額とは、利用者からシェアリングサービスの提供者やプラットフォームに支払われた金額の合計です。
このほか、将来予測としては、一般社団法人シェアリングエコノミー協会が2020年に発表した「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査結果」において、国内シェアリングエコノミーの経済規模は2030年度には14兆1,526億円になるとの見積もりが出ています。
このようなシェアリングエコノミー市場急成長の背景には、先にご紹介したとおり、BtoC経済にはなかったさまざまなポイントに加え、スマートフォン・タブレット端末の普及や通信環境の整備など、テクノロジーの発展という技術的側面も見逃せません。
また、SNSの普及で他人との距離が近づいたこと、サイトごとに設けられたサービスへの評価システムが根づいてきたこと、日本社会には元々近隣同士は無償で助け合う文化があったことなども、シェアリングサービスの普及に寄与したと考えられています。
シェアリングエコノミーのメリット
シェアリングエコノミーのサービスは、利用者にも提供者にもメリットがあります。シェアリングエコノミーのメリットを、両方の立場からご紹介しましょう。
<利用者側のメリット>
・必要なモノやサービスを、必要なときに、低価格で利用することができる
シェアリングサービスは基本的に仲介料がかからない分、従来のBtoCで受けていたサービスよりリーズナブルなものが多いようです。必要なときだけシェアリングサービスを利用することで、余計なものを持たない暮らしを実現できます。
・決済が簡単
プラットフォームを介したシェアリングサービスの決済は、ほとんどがクレジットカードなどのキャッシュレスで行われます。
細かいルールはプラットフォーム提供者によって異なりますが、例えば、まず購入者がクレジットカードで支払い、プラットフォーム会社がいったん支払金を預かります。その後、取引が完了したのを確認して、プラットフォーム会社がサービス提供者に支払うなどのルールが設けられていますので、便利に安心して利用できます。
<提供者側のメリット>
・初期費用があまりかからない
すでに所有している不動産やスペース、スキルなどを使ってビジネスを始められるので、初期費用があまりかかりません。
・遊休資産を有効活用できる
使っていない家や車などの遊休資産を活用し、収入源に変えることができます。眠らせているスキルや隙間時間など、人的資産を活用することもできます。
・ローカルビジネスを含め、ビジネスとして成り立ちやすい
多くのシェアリングサービスは、利用者がモノやサービスを購入した際に、その代金の何%かが手数料としてプラットフォーム提供者に支払われます。余計な仲介料がかからず、需要があってシェアできるものなら何でも提供できるので、ビジネスとして成り立ちやすいといえます。
シェアリングエコノミーのデメリット
一方で、シェアリングエコノミーのデメリットとしては、利用者・提供者どちらについても下記の3つが挙げられます。
・不特定多数とやりとりするのでトラブルリスクがある
個人間での取引が基本なので、お互いに「本当にきちんとしたサービスが受けられるのか」「ルールを守って利用してくれるのか」といった不安要素があり、実際にトラブルが発生する場合があります。その点に関して、多くのプラットフォームでは利用者と提供者の相互評価制度を取り入れることで、トラブルの発生を防止しています。
・保険や補償制度が追いついていない
シェアリングエコノミーは新しいサービスなので、事業者向けの保険や補償制度の整備が追いついておらず、既存の保険が適用されなかったり、トラブルに遭った際に補償が受けられなかったりする場合があります。
しかし、近年ではシェアリングサービス向けの保険商品も登場し、補償制度も整いつつあります。
・法律の整備が追いついていない
保険同様、新しいサービスであるがゆえに法律の整備が追いついておらず、グレーゾーンの事業やサービスも多く展開しているのが、シェアリングサービスの現状です。
今後、法整備が進められ、きちんとしたルールが作られることが期待されています。
代表的なシェアリングサービス
2021年1月現在、日本で展開されているシェアリングサービスの中から、具体的な例を4つご紹介します。
Airbnb
Airbnb(エアビーアンドビー)は、空き室や空き家を宿として提供したい人と旅行先で宿を取りたい人をつなぐ、世界的な民泊サービスです。世界220ヵ国以上の国・地域の10万の都市で、560万件以上の物件や宿が登録されています。ホスト登録をすれば、世界中から旅人を迎えることができます。
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家事代行マッチングサービス タスカジ
タスカジは、家事スキルを提供したい人と、家事代行をお願いしたい人をつなぐマッチングサービスです。平均時給は1,800円(2020年8月現在、別途交通費あり)と、高水準の時給で仕事ができます。掃除・洗濯や料理・作り置き、整理収納など、空いた時間を使って自身が得意とする家事のスキルを提供できます。
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ストアカ
ストアカは、教えたい人と学びたい人を1対1でつなぐサービスです。ストアカという名称は、ストリート・アカデミーを略したものです。ビジネススキルからIT、デザイン、写真、ものづくり、料理、スポーツ、語学、趣味まで、ありとあらゆる分野の先生となり、自分のスキルを提供してお金を得ることができます。
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akippa
akippa(あきっぱ)は、空いている土地を駐車場として提供したい人と駐車場を探している人をつなぐサービスです。全国累計4万1,000ヵ所以上の駐車場が登録されており、15分から駐車場の予約が可能。駐車場の住所や写真などの必要情報を登録するだけで、誰でも空きスペースを有効活用できます。
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サービスの利用者にも提供者にもなれる
シェアリングエコノミーのサービスの特徴は、個人が便利に利用できるだけでなく、自分の資産を活かしてサービスの提供者になれることにあります。
これからさらなる成長が見込める分野ですので、ぜひ自分に合ったプラットフォームを探してみてください。
- 本記事は、2021年2月現在の情報です。
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