知らないのに懐かしい!?昭和レトロを体感する大人の社会科見学に行ってきた

子どもの頃に行った社会科見学、あれは今思えばめちゃくちゃ楽しいものだったんじゃないだろうか。あれをもう一度やりたい。
大人になった今、自分だけのための社会科見学をしたい。日時も、行き先も、おやつ代も、すべてを自分で決められる。班行動もない。しおりだって作っちゃう。
というわけでこの連載では、大人のための本気の社会科見学のやり方をお見せしていきます!
INDEX
大人の社会科見学なら、駄菓子をいくらでも買える
記念すべき第1回目の社会科見学は、柴又にある「ハイカラ横丁」にした。
子どもの社会科見学と大人の社会科見学の違いを考えたときに、まず大きなポイントとなるのが「おやつ」であろう。子どもでいることと、おやつが不自由であることとは、隣り合わせなのだ。おやつを際限なく買えるようになったとき、人は大人になるのかもしれない。そういうわけで、駄菓子をしこたま買い込める柴又のハイカラ横丁を目的地に選んだのである。
子どもの頃の社会科見学では決してできなかった駄菓子の大人買いをしてやろうではないか。レトロなスポットで“映える”写真も撮ろう。また、レトロ繋がりで、一緒に葛飾にある「葛飾区郷土と天文の博物館」にも寄ることにする。
社会科見学というからには、まずは「しおり」作りから
出かける前に、まずは「しおり」作りからだ。こういう学校行事にはしおりがつきものだろう。大人だからしおりも簡単に自作できてしまう。


と、ここまで書いて気づいたが、そもそも社会科見学にしおりって存在しただろうか……と少し不安になってきた。しおりを持っていくのは、社会科見学ではなく遠足だけだったような気もする。まあいいか。
レトロゲームで遊んで、駄菓子を大人買い!
柴又駅へ着いた。柴又駅周辺には団子屋が多い。その中でも、「高木屋老舗」は『男はつらいよ』の作中にも登場する、柴又を代表する団子屋だ。1本だけ買って食べ歩きもできる。

さて、しおりの予定どおりハイカラ横丁へ向かう。


どこから撮ってもいい感じの外観
ここは駄菓子を買えるほかに、文房具に雑貨、射的やテーブル筐体、白黒テレビにサトちゃんのオブジェなど、昭和文化を体感できる空間となっている。現代ではほとんど失われた景観。それはつまり、“映え”だ。古いものは“映える”。
せっかくなので、ここではおやつを大人買いしたい。

ちなみに駄菓子はもともと、紙芝居を見ながら食べるものだった。「ものだった」と言いながら、私も実際に見たことはない。「ちびまる子ちゃん」の初期に、公園にいる紙芝居屋でまる子が浪費するエピソードが出てくるおかげでなんとなくイメージできる程度である。ちびまる子ちゃんによって当時の紙芝居文化が若い世代の人々にも伝わっていると思うと、さくらももこ先生は偉大だ。

ちなみに、何人かで来れば駄菓子を分け合えてお得だ
私が最も好きな「都こんぶ」も、かつて紙芝居とともに食べられた正統派の駄菓子だという。都こんぶの誕生は、中野商店の創業者・中野正一氏が少年時代に働いていたこんぶ問屋に端を発する。中野氏がおやつにこんぶの切れ端をかじっていた際、「これに甘い味をつけたらお菓子として売れるのではないか」と思いついたらしい。
店には懐かしの文房具も豊富に置いてある。

カラフルな鉛筆の数々

昔のゲームも遊べる

レトロゲーム以外にも、射的やピンボールでも遊べる。あれこれ遊んでいるとあっという間に100円玉が尽きるので注意。
ゲームに夢中になって遊びつつ駄菓子を買っていたら、3,000円も使っていた。駄菓子の3,000円分は想像以上に“大人買い”だったが、買っても買っても、お菓子を買える!楽しい!

戦利品一覧
ハイカラ横丁を満喫したところで、次のスポット葛飾区郷土と天文の博物館へ向かう。
ブラウン管テレビにちゃぶ台、昭和30年代の暮らしを体験
「葛飾区郷土と天文の博物館」はその名が示すとおり、葛飾の歴史や文化を学べるコーナーや古い家、工場などを再現した郷土博物館と、天文について学べる天文博物館が一緒になった建物。入館料100円(小中学生は50円、土曜日は中学生以下無料)、プラネタリウム観覧は350円(小中学生は100円、幼児は50円)という安さからは想像つかないほど、情報量がぎっしり詰まった施設なのだ。博物館では、週末限定で本格的な望遠鏡による天体観測もできる。プラネタリウムはクイズ付きの番組もあり、いわゆる星空や宇宙について見るだけでなく、椅子に備え付けられているボタンを押して天体クイズに答えることになる。

非常に質の高いプラネタリウム

プラネタリウム中に始まる3択クイズ

施設内の天体関連の情報量がとにかく多い。施設の人の天文愛も深い
そして、この施設で写真映えスポットとして1番人気なのが、郷土展示室。昭和30年代の工場、住居など、当時の葛飾の暮らしを体験できる一画だ。


建物の外壁には昔の看板が貼られていて、ちょっとした路地裏のような雰囲気になっている。


黒電話に冷蔵庫、ブラウン管テレビ、ちゃぶ台、洗濯板。60年前、これが人々の生活のリアルだった。60年後に、今のパソコンやスマホが「古い暮らし」として展示されると考えてみると、不思議な感覚になる。

冷蔵庫は、一見小さなタンスのようにも見えるかなり古いタイプのものも展示されていた。

台所は、細かい部分は現代とかなり異なるものの、よく見ると構成はかなり近いことに気づく。流しがあり、その上の棚には洗剤。上にタオルがかかっていて、真ん中にまな板。そしてコンロ的なものが左側にある。
ちなみに、この葛飾近辺はかつて製造業が盛んだったらしい。多くが町工場の近くに住み、食事をとる暇もないくらい忙しく働いていたため、総菜パンやおにぎりで済ませていた。そう、彼らは「仕事人間」だったのである。こんなに昔から、仕事人間が存在していたとは驚きだ。スマホもパソコンもない時代、今よりも時間がゆったり流れていたのだと思っていたが、今とほとんど変わらないではないか。

レトロな黒電話も昭和文化を感じさせる
先ほどのハイカラ横丁では昭和の娯楽文化を、こちらでは昭和の暮らしを学ぶというわけである。我ながら、かなり社会科見学っぽいコース設定にできたと思う。
まとめ

今回行ったようなレトロなスポットが、昭和を知らない世代にとって「写真映え」するというのはよく考えたら面白い。そこで感じるのは、「懐かしい」ではなく、どちらかというと新しいものを見るときに近い感覚だった。目の前にあるのは古いものなのに、新鮮さを感じる自分がいた。
駄菓子や博物館についても発見があった。
小さい頃、駄菓子ならば何でも喜んでいたのが、今では選り好みするようになっていた。
小さい頃、あんなにつまらないと感じていた社会科見学の「学び」の部分が、面白く感じるようになっていた。
楽しいぞ、大人になってからの学び。どこかへ出掛けるとき、しおりを作って社会科見学として行くと、ちょっとだけその場所での発見を多くしてくれるかもしれない。
店舗情報

柴又ハイカラ横丁
住 所 :東京都葛飾区柴又7丁目3-12
電 話 :03-3673-9627
営業時間:【月~土曜】10:00~18:30
定休日 :不定休
※記載している価格は取材当時の金額です。
http://www2.odn.ne.jp/shibamata/
※別ウィンドウで柴又ハイカラ横丁のサイトへリンクします。

葛飾区郷土と天文の博物館
住 所 :東京都葛飾区白鳥3-25-1
電 話 :03-3838-1101
営業時間:【火~木曜・日曜・祝日】9:00~17:00【祝日以外の金・土曜】9:00~21:00
休館日 :月曜日(祝日を除く)、第2・4火曜日(祝日は開館し直後の休日でない日)、年末年始(12月28日~1月1日、4日)
※記載している価格は取材当時の金額です。
http://www.museum.city.katsushika.lg.jp/
※別ウィンドウで葛飾区郷土と天文の博物館のサイトへリンクします。
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