人気上昇中のボルダリング。観戦&体験を楽しみ尽くすポイントまとめ
身体ひとつで気軽にできるスポーツとして、近年人気が高まっているボルダリング。スポーツの世界的祭典で追加種目のひとつとして採用されたことで、ここ数年でますます認知度が上がっています!
サーフィン編に引き続き、体験レポートも交えてボルダリング観戦が楽しくなるポイントをご紹介します。
INDEX
ボルダリングってどんな競技?
ボルダリングとは、全3種目ある「スポーツクライミング」の1種目。スポーツクライミングには「ボルダリング」のほかに「スピード」「リード」と、3種目すべてを行う「複合」があります。
「複合」はスポーツの世界的祭典でも採用された形式で、3種目それぞれの順位の掛け算で最終的な順位が決まります。最もポイントが少ない選手の勝利となるため、1種目でも1位が取れればかなり有利に。例えば、A選手が3位×3位×3位、B選手が5位×4位×1位だった場合、A選手27ポイント、B選手20ポイントで、ポイントが少ないB選手の勝利となります。
求められるスキルが異なる3種目を、すべて1人で戦うのが「複合」の面白いところ。短時間で3種目を戦う選手たちが、どのような戦略で挑むのかも見どころの一つです。
土壇場での逆転があり得る試合展開に、最後まで目が離せません。
スポーツクライミング3種目の特徴とは
スポーツクライミングは、3種目でそれぞれ見どころが違うのも面白いところ。ここでルールと特徴を簡単に押さえておきましょう。
完登コース数を競う「ボルダリング」
4分の制限時間内に、高さ4m程度の壁上の非常に難易度高く設定された課題(コース)をいくつ登れるかを競うのがボルダリング。
当日初めて挑戦するルートをその場で考えながら登るのが特徴。トップのホールド(石)を両手でしっかり掴んだところで、その課題(コース)をクリア(完登)したとみなされます。
速さを競う「スピード」
95度に傾斜した、高さ10mまたは15m(4~5階建の建物くらいの高さ)の壁を2人の選手が同時に登り、速さを競うのがスピード。優勝タイムは男子では5~6秒、女子で7~8秒と、コンマ1秒の世界で戦う選手たちの瞬発力の高さに注目です。
また、一般的なエレベーターよりも速いスピードで一気に駆け上がる様子は見応え抜群! 初めて見る人でも楽しく応援できます。
高さを競う「リード」
6分の制限時間内に高さ15m以上の壁を登り、到達高度を競うリード。トップのクイックドロー(ロープを引っ掛ける器具)にロープを掛ければ「完登」です。
3種目のうちで登る距離が一番長く難しいコースで、完登できずに落ちてしまう選手が続出するのが特徴。2019年8月に行われたスポーツクライミング世界選手権では日本の森秋彩選手が20人中唯一の完登を果たしました。このように、リードでは大会を通して1人しか完登できないことも珍しくありません。
この種目では、長い距離を登り切る「持久力」とともに、もっとも力を使わずに登れるルートを瞬時に判断する「戦略性」が重要に。重力に逆らって高みを目指す選手たちに注目です。
ボルダリング観戦をさらに楽しむ3つのポイント
1.完登の基準が厳格
ボルダリングでは登るコースが決められていて、スタートからゴールまでは決められたホールドだけを使って登ります。スタートとゴール共に、両手でしっかり掴むことがルールです。ホールドに触れるだけ、または片手で掴むだけでは、完登したことにはなりません。
ちなみに、ジムの壁には色とりどりのホールドがたくさん付いています。それぞれ課題(レベル別に分けられたコース)ごとに色が異なり、各課題は決められた色のホールドだけを使って登る決まりです。一方、公式の競技ではその課題で使うホールドだけが壁に付いています。
2.登るルートは1人1人異なる
コースは決まっていても、そこをどう進むか(ルート)は自分の身体能力や柔軟性、筋力、体格などに合わせて自分で決めることができます。同じコースでも、それぞれの登るルートが全く違う点は見どころのひとつです。
3.コースを事前に練習できない
ボルダリングではほかの選手の登り方を見たり、事前に大会用コースを登る練習をしたりすることができません。初めて登るコースを前にして、ベストなルートを思考しながら、身体を適切に動かすスキル、頭と身体の柔軟性にも着目です。
都内の屋外施設でボルダリングを体験してみた!
ボルダリングの基礎を押さえたところで、前編でサーフィンに挑戦した岸田奈美さんが体験。
この日訪れたのは、「スポル品川大井町」の屋外に設置されたボルダリングウォールです。
久しぶりにボルダリング体験をした岸田さん。「難易度の低いコースから始めて、ゴールまでスイスイと難なく行けたときは達成感がありますね。トップから綺麗な景色が見えたときもうれしいです。屋外のボルダリングウォールだから、より気持ちいいのかも!」と笑顔で感想を話してくれました。
この日、小学生くらいの子どもたちが、岸田さんの前で難易度の高いコースを軽快に登っていました。彼らを見て岸田さんは一言。「そのルートで登るとは……。私は思いつきもしなかったな」。
そして、「今回の体験を通じて、ボルダリングを“する”のも楽しいですが、人の登っている姿を“見る”のも結構好きだなと改めて感じました」と話してくれました。
「ボルダリングは頭脳を使いつつ、同時に体も動かさないといけない、とても難しい競技のひとつだと思います。私はどのルートで登るか考えているうちに、体を支えるのがしんどくなり、腕や手の力が限界を迎えて落ちてしまうんですよね」
だからこそ、「どんなルート取りをするのがベストなのか思考しながら、驚くような身体の使い方でコースをクリアしていく選手に尊敬の念を抱きます」と岸田さん。
今回訪れたスポル品川大井町以外にも、例えば関西にある「大阪府民の森 ほしだ園地」(大阪市中央区)のクライミングウォールは、屋外でボルダリングを楽しめるスポットです。屋外のボルダリングウォールは、登ったときの景色も楽しめるのが嬉しいところ。ぜひお近くのボルダリング施設へ、足を運んでみてはいかがですか。
大阪府民の森 ほしだ園地
http://osaka-midori.jp/mori/hoshida/climbingclass.html
※別ウィンドウで大阪府みどり公社のサイトへリンクします。
知って、体験すると、観戦がさらに面白くなる
「今回久しぶりに体験してみたこと、また、他の方が登っているのを見たことで、『そんなルートで登るなんて!』と驚きましたし、ワクワクしました。基礎知識が充実していれば、ボルダリング観戦がより面白くなるはずです。私も今回いろいろインプットしたので、早く観戦したいなと思います」
前編でご紹介した一期一会の波に乗ってダイナミックな動きで魅せるサーフィン、3種目すべてに個性がありそれぞれ見どころが異なるスポーツクライミング。中でもボルダリングは身体も頭脳も同時に使う点が面白い。
みなさんも基礎知識や注目点を押さえて、ご自身でも体を動かしてボルダリングやサーフィンに挑戦してみては。今から備えておけば、2020年の夏がぐっと楽しくなるはずです!
スポット情報
スポル品川大井町
住 所:〒140-0005 東京都品川区広町2丁目1-19 スポル品川大井町内
電 話:03-3775-1827
営業時間:【月~土曜】07:00~23:00【日曜】07:00~21:00(ボルダリングは10:00~23:00 ※日曜日は21:00まで)
https://www.sporu.jp/
※別ウィンドウでsporu.jpのサイトへリンクします。
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岸田奈美
1991年、神戸生まれ。大学在学中に、バリアフリーのアドバイスを行う株式会社ミライロの創業に携わり、WEBメディア「スロウプ」の編集長を担う傍ら、2019年からエッセイや小説などの作家活動を開始。車いすに乗る母と、知的障害のある弟との日々などを主に書く。