大注目のサーフィン。初心者が観戦や体験を楽しむポイントは?
スポーツの世界的祭典で初めて正式種目として採用され、注目が高まっている「サーフィン」。健康でおしゃれなライフスタイル、そんなイメージもあるサーフィンを競技として観戦するときには、どのような点に注目すべきなのでしょうか? そこで、サーフィン観戦を楽しむために、最低限知っておきたいルールや用語をご紹介します。
併せて「観るだけではなく、自分でもサーフィンをやってみたい!」という方向けに、都内でサーフィンを体験したレポートをお届け。1年を通して利用でき、インストラクターのレクチャーも受けられるスポットなので、いまからでも始められますよ!
INDEX
サーフィン観戦が楽しくなる!知っておきたい4つのこと
まずは、サーフィンに関する基礎知識から。サーフィンに詳しくなくても、観戦するのが楽しくなる情報をまとめました。
1 試合形式
サーフィンの大会では通常1ヒート(組)2~4人で海に入ります。競技時間は20~30分で、波に乗ったときの技の種類や回数、一連の動きの難易度、表現のダイナミックさなどを競い合います。
自然を相手にする競技なので、刻一刻と変わる波の状態を見極めることが必須。選手たちは、運を味方につけながらいい波を掴み、ダイナミックな技で高得点を狙います。
※大会によっては1ヒートの人数も異なるほか、試合時間も大会や参加人数、波質によって異なります。10~15分の間で競うケースも。
2 採点ルール
競技としてのサーフィンは採点方式が取られ、5~7人の審判がジャッジを行います。1本のライディング(波に乗ること)に対し、0.1点~10点(満点)の点数が付けられ、全ライディングの点数のうち、得点が高い方から2本(20点満点)の合計スコアで点数が決まります。
フィギュアスケートのように、「この技をきめたから◯点」というような決まりがないのもサーフィンの面白いところ。試合ごとに審判がライディングの要素を総合的・相対的に評価して以下の点数を付けます。
Poor | 0.1~1.9 |
---|---|
Fair | 2.0~3.9 |
Average | 4.0~5.9 |
Good | 6.0~7.9 |
Excellent | 8.0~10.0 |
3 試合ではココにも注目!
試合では、ピーク(崩れる直前の波の頂上)に最も近い人のみがその波に乗る「優先権」を持ちます。そのため、“質のいい波”に乗るには、波を見極める力を高めること、優先権をとれる位置を確保することがとても重要です。
優先権があるにもかかわらず波に乗らなかったり、乗ろうとしたものの途中やめたりすると、優先権を失うことに。なお、優先権を持つ選手の邪魔をすると減点の対象になります。
波に乗るためのポジション取りや、心理的な駆け引きも見どころの一つです。
4 サーフィンの動きや波、風に関する専門用語
実況で頻出の専門用語を集めました。「赤の選手、フロントサイドでレギュラーいきました!」「青の選手、アウトからレギュラーの波に乗ってきました」というような実況についていけるよう、基礎的な用語を押さえておくと良いでしょう。
観戦の際はこの表を手元において、チェックしながら楽しんでも◎
アウトサイド | 海の中の沖側 |
---|---|
インサイド | 海の中の陸側 |
オフショア | 陸側から海側に向かって吹く風で、海面をスムーズにすることから、一般にサーフィンに適した風とされる |
オンショア | 海側から陸側に向かって吹く風で、海面を荒らすことから、一般にサーフィンに適さない風とされる |
カットバック | サーフボードをターンさせて、波が崩れているところへ戻ること |
グーフィーの波 | ビーチから見て右方向に崩れる波 |
スプレー | 波に乗った勢いで出る水しぶき |
テイクオフ | パドリングの状態から波に乗って立ち上がる動作のこと |
パドリング | サーフボードの上に腹ばいになり、水泳のクロールのように漕ぐこと |
バックサイド | 体の背側が波に向いている状態 |
フロントサイド | 体の胸側が波に向いている状態 |
ブレイク | 波が崩れる状態 |
ボトムターン | 波の下部でターンすること |
グーフィースタンス | ボードに立ったときに右足が前、左足が後ろになるスタンス |
レギュラースタンス | ボードに立ったときに左足が前、右足が後ろになるスタンス |
レギュラーの波 | ビーチから見て左方向に崩れる波 |
都内でサーフィンを体験してみた!
サーフィンの基礎を押さえたところで、サーフィンビギナーさんが実際に挑戦! 体験するのは会社員で文筆家の岸田奈美さん。この日訪れたのは、複合スポーツエンタテインメント施設「スポル品川大井町」内にある、ドイツ発のウェーブプール「citywave」です。
こちらでは自然の波とは異なり、常に一定の安定した波の上でサーフィンを体験できます。都内にあることから、海まで遠出しなくても、仕事帰りや休日、気軽に立ち寄れる立地なのはうれしいですよね。水温は基本的に23~25度を保っていることから、年間を通してサーフィンを楽しむことができます。冬でももちろんOK!
さらに、未経験からインストラクターのレクチャーが受けられるのが「citywave」の魅力。サーフィン初挑戦の岸田さんは、「初心者・初級プログラム」(50分)にチャレンジしました。
最初の約10分はビギナー向けにバーを設置してレッスン。「バーを離すのがとにかく怖かったです。自分で離せたのは1回だけ(笑)。インストラクターに手助けしてもらって、なんとか離せた感じでした」と苦笑する岸田さん。体験前半は終始「頭から倒れて水中に落ちてしまうかも……」という恐怖感があったといいます。
「水中にドボンと落ちる練習をしたのはびっくりしました。わざと倒れるのって怖いんです。でも、インストラクターが『(レッスン中)絶対に倒れて水中に落ちるから、事前に練習しておこう』と言っていて。頭から落ちたときってどんな感じなのか、感覚を知っておくのは大事だなと気づきました。ちなみに、水上でこけて波に飲まれるのは意外と痛くなかったです」
レッスンが進むにつれて、プールの両岸を行き来する動きの練習に。「私はグーフィースタンス(右足を前に立つスタンス)なので、左側に進むのは難しくありませんでした。でも、右側に進むときは怖かったです。身体を捻って思い切り右を向けば進んでいけますが、その姿勢を安定的に保つのが難しかったですね」と振り返ります。
背中をまっすぐにして、重心を下に落とす姿勢をとインストラクターから再三言われるも、水中に転び落ちるのが怖くてどうしても猫背気味になり、バランスが取れなくなっていたと話す岸田さん。
「自分自身も波に乗りながら私を補助したり、後方へ回ったりと、波の上でバランスを取りつつ、思いのままに動いていたインストラクターの方を見て、波に身を任せて自分が進みたい方向へ自在に進む、その技術の高さにハッとさせられました。今回自分で体験したからこそ、サーフィンという競技で戦う人たちのすごさを改めて感じました」
冬にはスノーボードを楽しむ岸田さん。雪の上とアンコントローラブルな波の上とで勝手は違えど、どこか似ているようにも感じたといいます。「違う点は“乗りこなす”のではなく、“波に身を任せる”感覚を持つこと。『落ちてはいけない』とガチガチになるのではなく、『今波の上で揺れているなあ』と感じて、波に身を任せる方が楽だなと気づけたタイミングが一瞬ありました。その瞬間、とても楽しかったし、最高に気持ちよかったです」と笑顔を見せてくれました。
おわりに
「逆方向(右側)に進めるようになればもっと楽しいし、それができるようになりたい。実際にやってみてサーフィンの魅力を改めて感じています。見るのもやるのも面白いですね」
体験終了後、岸田さんは「個人的にもcitywaveに通って練習したい!インストラクターが励ましてくれるのでがんばれそうです」と、サーフィンの魅力にはまった様子でした。
みなさんも、ぜひ基本的なルールや用語を復習しつつ、体を動かしてサーフィンに挑戦してみてください。観戦するだけではわからないサーフィンの面白さに気づけるかもしれませんよ!
日本で人工波のサーフィンが楽しめるスポットはまだまだ少ないですが、今回ご紹介したcitywaveのほかにも、神戸市に「KOBE-REYES」があります。お近くの方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
KOBE-REYES
http://www.kobe-reyes.com/
※別ウィンドウでKOBE-REYESのサイトへリンクします。
後編では同じく人気沸騰中の「スポーツクライミング(ボルダリング)」を特集します。
スポット情報
citywave Tokyo
住 所:〒140-0005 東京都品川区広町2丁目1-19 スポル品川大井町内
電 話:03-3775-1827
営業時間:10:00~16:10
https://citywave-tokyo.jp/surf/
※別ウィンドウでcitywave Tokyoのサイトへリンクします。
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岸田奈美
1991年、神戸生まれ。大学在学中に、バリアフリーのアドバイスを行う株式会社ミライロの創業に携わり、WEBメディア「スロウプ」の編集長を担う傍ら、2019年からエッセイや小説などの作家活動を開始。車いすに乗る母と、知的障害のある弟との日々などを主に書く。