今月のメッセージMessage

舞台にかける仲間たちの熱量のお陰で、否応なしに四郎の感情が湧き起こる。

明日海りお 今月のメッセージ  このメッセージが更新されるころには、千秋楽も間近となっている花組公演『MESSIAH(メサイア)ー異聞・天草四郎ー』『BEAUTIFUL GARDENー百花繚乱ー』。たくさんの方にご観劇いただき、とてもうれしいです。ありがとうございます。

 東京公演前にお稽古期間があったのですが、それがすごく良かったです。大劇場公演では日々、「もっとこうできる、ここはもっとこうしたらいいのでは」と微調整を積み重ねていました。ですので、衣装や舞台装置、照明もない稽古場で果たして本番と同じような熱量でできるのかと不安がありました。でも実際にやってみると、1つの物語を組の全員で作っているという意識を改めて持つことができ、自分の出演していないシーンでも他のメンバーの息遣いを感じることで刺激にもなり、意義のあるお稽古をすることができました。

 大劇場公演中に実感としてあったのは、四郎が「骨太な存在」になっていったことです。力強さを出して存在感を太くしたいと思い、表情や動きなども大きく変化をつけるようになっていたので、徐々にそういう印象になったのかな、と。あとどの作品もそうですが、どんなメンタルでもグッと役に集中できるのは作品の力であり、一緒にお芝居する仲間たちの熱量のお陰です。今回は特に私に向かってくる思いが大きくて、否応なしに四郎の感情が湧き起こってきます。

「メサイア」のナンバーになるまで、その最中も、全員に語りかけるように演じていますが、毎回少しずつ話しかける相手を変えています。そうすると、その人の感情がすっと飛んできて、新鮮さを失うこともなくすごく楽しい。希望を見いだしてくれている人もいれば、四郎にすがるような気持ちのような人もいたり……。皆との絆も感じますし、1人ひとりとお芝居をしている感覚。その日ごとに呼び起こされる感情が微妙に違うので、影響を受けています。
 同時に、皆の熱い思いが日増しに強くなっているのを感じますが、それが自分たちのなかだけで終わってしまうとよくないので、その日に流れている空気を落ち着いて感じることも必要。特に私と流雨を演じるゆきちゃん(仙名彩世)やリノを演じるれいちゃん(柚香光)は、冷静にバランスを保ちつつも、湧き上がる思いをきっちり演じることができていると思います。

 四郎と流雨さんとの関係性の表現は、今回一番難しかったです。出会ってから心を重ね合うまでに多くの場面があるわけでもないので、課題が多くて……。四郎は天草・島原の人たちの心の清らかさに胸を打たれ、流雨さんも仲間への思いとともに、初めて知る四郎の魅力に惹かれます。そういう皆のなかでの2人の在り方が、だんだん形になってきたかなと感じています。
 リノも居住まいからして、リノらしさがすごく出ています。れいちゃんはすごくそういう表現が上手。でもそれに加え、冷静さが必要だなと思う部分や場面ごとに表現したかったことが流れてしまっていないかということを、毎回公演後に話し合いを重ねながら日々を過ごしています。

それぞれの場面でまったく色が異なるショー。

明日海りお 今月のメッセージ  ショー『BEAUTIFUL GARDENー百花繚乱ー』は、冒頭の登場のシーンから、闘牛士、グラディエーター、夏らしい曲が満載の中詰め、デュエットダンスなど、本当にたくさんのシーンがあって、それぞれの色がはっきり違う作品。 なかでも黒エンビにシルクハットを被り、ケーン(ステッキ)を持って踊るナンバーが、すごく好きです。振付は三井聡先生で、私は初めて指導を受けたのですが、最初はまったくできなくて、先が見えなくて……。私も皆も、初めてのステップや動きが多くて、踊りのニュアンスを汲み取るまでに時間がかかりました。でもそのぶん、やればやるほど楽しくなっていき、いまも踊るとワクワクします。

 フィナーレのダンスになるまでの場面も、湧き上がる感情、歌い方が毎日少しずつ変わります。娘役の誰と目が合うかによってだったり、すごく個人的ですが同期やお世話になった上級生が観に来てくださっていると宝塚に出会ってからこれまでのことを思い出したりして、歌うときにふっと湧いてくる感情が変わって面白い。それからの流れで、クラシカルな雰囲気のデュエットダンスになっていくのも好きです。
 このショーでは若手が抜擢されている場面も多いので、ぜひ隅々まで観ていただけたらうれしいです。

仲間との別れはとても寂しいです。

 この公演では、3人の仲間が卒業していきます。私が花組にきたときは、すでに天真みちるという確固たる個性を築いていた、タソ(天真みちる)。花組で初めて出演した大劇場公演のショーでも、水兵さんのセーラー服を着る同じ場面に出ていました。千秋楽のときに、「もう新入りじゃないよ」というタスキをタソが作ってきてくれて、本番でかけたりしたことも。舞台や芝居にもすごく熱い思いがあり、作品や役で何を見せるのかをいつも考えていました。下級生のことを考えてあげる正義感の強い人で、いつもみんなを楽しませてくれましたので、いなくなってしまうのは本当に寂しい。でもタソなら、新たな夢に向かってすごい情熱をもって進んでいくんだろうなと思って応援しています。

 あやこ(新菜かほ)も、心の温かい優しい人。歌も踊りにも芝居心があって、頼りになる下級生です。組がいくつかの劇場にわかれて公演するときも、場面の長の役割を担うことも多いのですが、すごくしっかりしていて、彼女がやってくれることで奥行きが出る。任せて安心だなといつも感じていました。りほちゃん(桜舞しおん)は、初舞台が月組『THE SCARLET PIMPERNEL』で、そのときにお手伝いをしたいと言ってくれていろいろとやってもらっていました。花組に組替えになったときは、りほちゃんがいてくれて良かったな、と。花組でも毎公演、どこかのシーンで必ず着替えを手伝ってくれたりしていました。穏やかで爽やかな人で、いつもすごく癒やされていました。初舞台生だった彼女が立派に卒業していくのが誇らしくもあり、寂しくもあります。
 退団者を見送るのはいつもとても寂しいですが、精一杯お見送りしたいと思います。

※このメッセージは、9/14(金)に届いたものです。

●クリorサツマイモ

難しい……。料理によりますよね。秋になるとやっぱり栗きんとんも食べたくなるし、サツマイモもいい。小さいころは、いつも祖父とクリ拾いに行っていました。昔ながらの籠を背負って拾ってきたクリを、たき火でそのまま焼いてくれました。ホクホクの実が本当においしくて……。サツマイモも同じように焼いて食べていましたが、なかでも母が作る天ぷらが大好き。だから迷いますが、僅差でサツマイモかな。

●コスモスorキンモクセイ

これは、キンモクセイですね。コスモス畑もとてもきれいですが、昔からキンモクセイの香りがすごく好きなんです。あの匂いがふっと漂ってくると、ああ涼しくなったんだな、秋が近づいているなと感じて……。小学校の校庭にもたくさん咲いていました。でも大人になってからは、街中で生活しているとあんまりキンモクセイの香りがしないので、寂しいですね。皆さんが暮らしている周りはどうですか?