宝塚歌劇団・花組トップスター 明日海りお
明日海りおプロフィール

今月のメッセージMessage

花組大劇場公演『邪馬台国の風』『Santé!!』。
ご観劇いただいた皆様、本当にありがとうございました。

明日海りお 今月のメッセージ
『邪馬台国の風』は、幕が開いてからも変化があり、皆で話をしながらの公演だったので、イメージも共有できて士気も高まった状態で臨むことができました。

 私が演じるタケヒコは、正しい考え方をするまっとうな人ですが、そこに至るまでの葛藤や気持ちの揺れをもっと幅を作って表現していきたいと、舞台に立ってみてより思うようになりました。惹かれているマナが女王・ヒミコになったと知ったときはどういう気持ちなのか、思い描いた2人の未来が一瞬で崩れてしまう悲しさはどういうものか。それでも国のために自分が動くべきだという覚悟や、ヒミコを守るという強い思いを表現できたらな、と。「いのちの瞬きの間になすべきことをなせ」という歌詞をもつ「宿命」という歌があるのですが、これは育ての親であるお師匠様・李淵の教えでもあります。自分に課せられた宿命は何かと自身に問いかけた結果、ラストシーンのタケヒコとヒミコの関係性へと繋がります。幕が開いてからその決意が想像しやすくなり、タケヒコをより近くに感じられるようになりました。

 タケヒコは、両親やお師匠様の命を狗奴の兵やクコチヒコに奪われ、憎しみの感情はありますが、その恨みを晴らすのではなく、自分のような思いをする人が増えないためにはどうすべきかと、転換して考えられる人。お師匠様に「運命は自分で切り開いていける、お前はやさしくて強いからできる」と言われたことが、常に心のなかにあるのだと思います。棒術を使うのも、人をむやみに傷つけないで身を守るように教えられたから。そして同じ思いを抱えた仲間と出会い、その考え方がより育まれていきます。いつも自分と戦い、自らを奮い立たせながらも、最終的には葛藤する自分に負けない強い人なのだと思います。今回のような感情を発散させない役は、感情の起伏がないように見えがちなので、工夫が必要。物語の時間の経過を自分の体に落とし込み、何気ない仕草や間を変化させることで、感情の変化がにじみ出たらいいな、と。たくさんある素敵な台詞が上辺だけに聞こえないよう、思いを凝縮させてエネルギーをもって演じています。

 ヒミコとの場面も多くはなく、しかも2人の立場や置かれている状況が場面によって大きく違うので、出会いからラストまでのそれぞれの場面をくっきり描くことを意識。アンテナを張ってお互いの雰囲気を感じることはもちろん、皆の空気感や物語の流れ、お客様がどうやって観てくださっているのかの反応も含め、作品の大きなうねりのなかに存在するように心掛けています。大王たちの会話や祭りのナンバーなど、出ていないシーンもできるだけ袖から観て、物語の舵を取ってうまく繋げていければと思っています。
 ヒミコを演じるゆきちゃん(仙名彩世)とは、微調整をしながら公演を重ねています。計算してしまうとお互いの息が合わなくなってしまう危険性もあるので、まずは心を動かし、そのとき感じたままに素直に演じようと話しています。キキちゃん(芹香斗亜)は、役として目を合わせると別人のよう。これまでにない関係性なので新鮮ですが、どこか安心感があります。邪馬台国の仲間たち、れいちゃん(柚香 光)演じるフルドリ、ちなつ(鳳月 杏)演じるアシラ、マイティー(水美舞斗)演じるツブラメ、みれいちゃん(城妃美伶)演じるイサカたちとのお芝居も楽しい。最近は仲間がいる役柄が少なかったので、照れくささや、温かみにふれて感動するタケヒコの気持ちを素直に感じられます。より良い場面にしたいと毎朝集まっていろいろと試したりしてくれる、お芝居好きの仲間たちですね。

男役冥利に尽きる特別な黒エンビをはじめ、
盛りだくさんのショー。

明日海りお 今月のメッセージ
 ショー『Santé!!』は、キキちゃんやれいちゃん、あきら(瀬戸かずや)、ちなつ、マイティーと、それぞれ違う個性を作・演出の藤井大介先生が丁寧にピックアップしてくださっているので、見ていてもおもしろいですし、頼もしいです。娘役たちも大活躍しています。

 プロローグから、大きな5人の美女たちが、お客様のテンションを上げてくれています(笑)。そして掛け声で幕が開くと大階段に皆が並んでいるのですが、モニター映像を観てもシャンパンゴールドの華やかで大人っぽい雰囲気。お客様のボルテージを一気にガン!と上げられるように頑張っています。全国ツアーに続き今回も客席下りがあってみんな喜んでいますし、後ろのほうまでお客様のうれしそうなお顔がよく見えて、とても楽しいです。
 ワインを次々飲んで酔っぱらうシーンでは、『ME AND MY GIRL』を思い出して懐かしい(笑)。皆さんがなんでも対応してくださるので、日々アドリブを入れています。ここは、けいこさん(美穂圭子)とマギーさん(星条海斗)とやりとりをさせていただける場面。振付の日に鏡に向かってマギーさんと並んだ瞬間、月組時代を思い出し、懐かしくて泣きそうになりました。いろいろなお話を伺うだけでもすごく発見があるので、共演させていただけて幸せです。

 そして、男役冥利に尽きるジゴロの場面。ヤンさん(安寿ミラ/ANJU)の振付で、1つひとつの動きが抜群におしゃれ! 手の角度や動き、イメージなど、細かいアドバイスを実践するだけで、ものすごく変わるんです。花組のトップスターさんでいらしたので愛を感じますし、下級生までしっかり見てくださいました。最後の黒エンビの場面も、ヤンさん振付。いろいろな思いを抱きながらお稽古してきて、初日に大階段の中心でスタンバイするとき、思わず感極まってしまって……。憧れていた世界の憧れていた男役、その象徴である黒エンビのナンバーで真ん中に立つことの重大さと喜び。そして、この大切な場面をさせていただく感謝と幸せとが押し寄せてきました。先輩方の思い、お客様の思いも感じるので、神秘的な空気のなか気合いを入れて臨んでいます。そのあとは、デュエット。キキちゃんが歌う甘くてゆったりした曲が流れてくると、不思議とリラックスできます。自分たちの気持ちに沿った振付となっていて、ゆきちゃんとの心の交流も多いデュエットです。

 肉料理として登場するシーンでは、本格的なラテンの衣装にアドレナリンが出ますし、また違ったゆきちゃんとの関係性を楽しんでいただきたいです。そして、ワインの女王の場面。秘密にしていたので、初日は驚きや笑い声が……(笑)。娘役さんの大変さを改めて感じますが、着こなしや力を入れる部分、立ち方が全然違うので、失礼のないようにできることはしたいです。ワインの神のシーンも、争いの耐えない世界から次の歌い踊るところまでどうやってもっていくか、皆がすごく話し合ってくれて、見どころのある場面になっていると思います。
 東京公演でもぜひ劇場に足をお運びいただければと思います! お待ちしております。

※このメッセージは、6/19(月)に届いたものです。