今月のメッセージ

皆様、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

明日海りお 今月のメッセージ
 1月2日より、花組公演『雪華抄(せっかしょう)』『金色(こんじき)の砂漠』の東京公演が開幕しています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


『雪華抄』は、久しぶりの日本物のショーですが、お楽しみいただいておりますでしょうか。幕開きは、暗転から一斉に照明が点く“チョンパ”。その瞬間、「ワッ!」と大歓声が上がり、喜んでいただいているのが伝わってきて、私たちのエネルギー源になっています。光が漏れてはいけないので、オーケストラボックスの灯りも消し、真っ暗ななか皆で立ち位置に向かい、スタンバイします。そして一気に強いライトが当たり、油断するとひっくり返ってしまうくらいの衝撃を受けるので、毎回心して臨んでいます。

 大胆な色使いのお衣装は、丸山敬太先生監修。デザインも素敵で、皆とても気に入っています。こまかい部分にも工夫が施されていて、タカとワシが争う場面でも、スワロフスキーが散りばめられていたり、カツラにも羽根が差してあったり……。セットとも相まって、素敵な場面になっているといいなと思います。安珍と清姫の場面は、お芝居のような感覚です。時間としては8分くらいなのですが、そのなかでいかに物語を膨らますことができるか。清姫との出会いと別れ、大蛇になった清姫とともに炎に包まれていくまで、ドラマチックにお見せできれば、と。台詞はほとんどありませんが、それでも日によってニュアンスや感じ方が違い、演じていて本当におもしろいです。

 この作品には、松本悠里先生もご出演されています。お稽古場でも、瞬きも惜しいくらい、先生の舞を拝見していました。衣装では“お引きずり”と呼ばれる裾を付けていらっしゃるのですが、舞台稽古で着物だけで踊られているお姿を見て、「こんなにも全身の筋肉を使って踊られているのだ」と驚きました。伸びるところはどこまでも伸び、女役さんの美しい「くの字型」もぴたりと決められ、なおかつすべての動作が曲線で繋がっていらっしゃる。その緩急が言葉では言い表せないほど素敵で、惚れ惚れしながら拝見しました。
 普段はとても可愛らしいお人柄で組全体を包んでくださり、ご挨拶させていただくだけで、浄化されるような心持ちになります。先生に「今日のお化粧の色具合もきれいよ」とおっしゃっていただくだけで、自信が湧いてきます。

 日本舞踊は、洋舞とはまったく心のあり方が異なります。お扇子が手の延長線上にあるように神経を行き届かせたり、溜めるところや腰を入れてポーズに入るまでの余韻など、身体的な工夫はもちろん、日本物の心になっていないと、なかなか決まらないんです。白塗りのお化粧をして、カツラをつけるために羽二重をして、足袋を履き、お衣装を1つひとつ着ていくと同時に、日本人の心を思い出し、背筋がピンと伸びる感覚があります。その心を大切にするからこそ、表情もやわらかくなり、流し目の角度に趣が出たり、表現に影響してくると思います。
 お衣装の着こなしにも試行錯誤を重ねました。ほんの少しのことで印象が変わってしまうので、ただ単に着せていただくのではなく、手で押さえる位置、体に力を入れる位置を意識。衣装部さんが着せやすく、かつ仕上がりもきれいになるポイントを自分の感覚でつかみながらやっています。そのように研究しなければいけないことがたくさんあることが、楽しいです。

年齢を重ねた変化を描くことに力を注いでいます。

明日海りお 今月のメッセージ
『金色(こんじき)の砂漠』は、上田久美子先生が連日ご指摘してくださるので、その点を取り入れて演じたり、出演者同士でミーティングしながら、上演してきました。私が演じるギィは、少年時代の8歳ごろ、タルハーミネの結婚前夜の18歳前後、復讐に戻ってくる25歳くらいと、3段階の年齢で登場します。ただ年齢を重ねただけでなく、その間に何があって考え方が変わったのか、2人の関係性はどうなったのかなど、舞台に表れていない部分のニュアンスもお伝えできるように、変化を描くことに力を注いでいます。

 昔は子役を演じる機会も多かったのですが、最近はなかったので久しぶりです。お稽古に入ったときは、「子役をやらないと」と意識し過ぎて作った感じになってしまったので、ギィの性格やタルハーミネとの関係性など、物語のラストから逆算したものを凝縮させて、子供時代を演じるようにしています。子役=高くかわいらしい声というイメージだけに流れたり、やりすぎてもダメですが、普段男役として気を付けているよりは、もう少し体に力を入れて全身で自由に動く。ただ、ぺったんこな靴、ダボダボな衣装を身につけるだけでも、随分心を変えてくれ、自然と演じることができます。
 そして25歳で帰ってくるまでの7年間、ギィは日々生と死が隣り合わせの砂漠で生き抜いてきました。相当なエネルギーが必要でしょうし、タルハーミネへの愛憎、国への復讐心、王家の誇りも増していると思います。昨日今日に生まれたような突発的な憎しみではなく、7年経たことの変化や重みを出すことを大切にしています。


 最後の砂漠場面では、ギィの人生のなかでも生きてきた証になったらいいなと思って演じています。焼け付くような憎しみ、相手への激しい執着などさまざまなことがあったなかでも、「俺はお前に恋をしたんだ」というタルハーミネへの思いが、あの乾いた砂漠で一瞬パッと強く光ったように感じていただけたら、うれしいです。それに、これまで「金の砂漠を見たい」と言うタルハーミネに対して、「そんなものあるわけない」と言っていたギィが、ここがその金色の砂漠だと思えるようになった。それは、魂だけになれる、お互いの心の場所だったのだと思えるまでに変わったこともお見せできたらと思います。そして2人の物語は、ショーのデュエットダンスへと続きます。ようやくしがらみから開放され、相手と笑顔で向き合い、素直に抱きしめ合える。衣装も真っ白で、やわらかくて軽いので、本当に生まれ変わったかのようで、演じていて開放感があります。

 相手役のかのちゃん(花乃まりあ)とは、毎公演後に密に話し合っています。ギィとタルハーミネの関係性は複雑で特殊なので、ささいな間の取り方や表情だけで、次の台詞が変わり、それによって全体の印象まで違ってきてしまう。全部が繋がっている話なので、2人で微調整しながら進めています。もっともっと東京公演に向けて深めていきたいです。
 かのちゃんのサヨナラショーでは、皆で『ME AND MY GIRL』の曲を歌ったり、『宝塚幻想曲』のデュエットダンスを踊ります。改めてお稽古してみると、時間が経っているにもかかわらず、最初からしっくりきたことが、とてもうれしかったですし、懐かしかったです。次回にまたお話ししたいと思います。

※このメッセージは、12/11(日)に届いたものです。