今月のメッセージMessage

精霊が人と関わり、どう変わっていくのか……。

明日海りお 今月のメッセージ  このメッセージが更新されるころには、三井住友VISAカード シアター『A Fairy Taleー薔薇の精ー』三井住友VISAカード シアター『シャルム!』の大劇場公演が開幕しています。すでにご観劇いただいた皆様、いかがでしたでしょうか? 最後までどうぞよろしくお願いいたします。

『A Fairy Taleー青い薔薇の精ー』では、薔薇の精・エリュを演じます。エリュは元々白い薔薇の精霊だったのですが、自然界の掟を破ったがゆえに罪の色である青色に染まってしまい、霧の中という閉ざされた世界にしか生きられない姿になったというところから始まります。
 精霊役なので、役作りの最初の段階では、断片的なパーツをつなぎ合わせて作っていきました。最初のシーンである霧の中のイメージ、こういう佇まいなのではないか、それだったら発する声はこんな声なのではないか、と。植田景子先生も、薔薇は育てるのに手が掛かるけれども、そのぶん高貴で美しいなど、断片的なイメージを投げてくださったので、それを元に想像しながらお稽古を重ねていきました。

 エリュの感情の核となるのは、はなちゃん(華優希)演じるシャーロットへの愛。よくある恋愛感情というより、なんとも表現できない愛おしさを感じます。シャーロットとは彼女が幼い頃に出会うのですが、女性が望むようには生きられなかった19世紀のロンドンという時代背景のなか、とても自由で、こういう風に生きたいという思いや強い心を持つ彼女に惹かれていく。
 妖精や精霊の存在を忘れたくないと言ってくれるシャーロットを離したくないという気持ちが強いからこそ、彼女が大人になる前に自分のことを忘れさせなければいけないのに、そうすることができなかったんです。そのせいで青くされてしまい、これまで庭で健やかに暮らしていた精霊たちも霧の中でしか生きられなくなってしまう……。美しい庭を取り戻すためには、シャーロットを見つけて自分のことを忘れさせなければと、れいちゃん(柚香光)演じるハーヴィーに手伝ってもらうことになります。

  エリュは、精霊のほうが人間よりも優れた存在だと思っています。それにもかかわらず、精霊が身を潜めて生きていかなければならないことへの憤りを感じてきました。ですが、ハーヴィーをはじめ人間の心に触れることで、人も誰かのために生きていることに気づいていく。そして自分も、シャーロットをきちんと見守り続ける存在でいなければいけないと感じるように。そんな人間たちに心を動かされて変わっていく様子も、細やかに表現できればと思っています。

 お稽古を始めた当初は、お芝居を成立させようとすると精霊であることを忘れがちになってしまい難しかったです。逆に、人間とのお芝居の時などに、精霊であることを意識しすぎてしまうと、感情の高ぶりが平坦になってしまったりして……。ショーの一場面やナンバーなどで人でないものを表現するのは想像できるのですが、会話のやりとりのなかでどう表現すればいいのか、と。感情的には人間と同じなのですが、エリュはあくまで精霊なので、そのバランスを取らないといけない。『エリザベート』のトートはナンバーが中心でしたし、『ポーの一族』のエドガーともまったく違うので、緻密に構築しながらお稽古をしています。

 今作は、はなちゃんのトップ娘役としての大劇場お披露目公演。まだ若い学年で舞台経験ももちろん少ないのですが、はなちゃんは気持ちをすぐにキャッチしてくれる人。役の感情がちゃんと流れているのでお芝居していてやりやすいですし、私も心をとても揺さぶられ、刺激的なお稽古をしています。ただ、まだどうしてもはなちゃんが遠慮してしまう瞬間もあるので、それをお稽古で克服して時間をかけて準備をすれば、絶対にいいものができると思います。
 れいちゃんとは、『花より男子』が現代に合わせたお芝居だったので、19世紀のイギリスに合うようなわかりやすいお芝居になるように、お稽古を進めていきました。ハーヴィーとは、1つの目標に向かって徐々に心が近づいていく役なので、そんな関係性の変化もお見せできれば、と。2人で歌うナンバーもあるので、楽しみにしていただければと思います。

盛りだくさんのレヴュー『シャルム!』。

明日海りお 今月のメッセージ  まず「孔雀一夜」という名がつけられたプロローグは、とても宝塚らしい雰囲気から始まります。私自身、「こういう宝塚、大好き!」となるくらい(笑)。真夜中のパリの地下で、すごいものが繰り広げられますよと、お客様を誘う場面。羽根扇も使われて華やかですし、熱く、クサく、艶やかな雰囲気です。『ル・ポアゾン 愛の媚薬』のようなミステリアスなのに、ガンガン衝撃が来るような、そんな濃いプロローグになったらいいなと思います。
 稲葉太地先生は、トップになって初めてのショー『宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)』のプロローグでは、真っ白な羽根で始まりの時を表現してくださったのですが、今回は真逆をいく真っ黒な羽根でギラギラした雰囲気に。そんな変化も、楽しんでいただけたらと思います。

 男役だけのスーツの場面では、いかにも男役らしいソフト帽をかぶってタンゴを踊ります。バンドネオンという楽器が使われた素敵な曲で、これぞ花組という雰囲気のシーンになるのではないかな、と。中詰めは、真夜中の舞踏会。軍服でウィンナーワルツを踊るという、クラシカルな色合いになると思います。ショーで軍服を着ることもなかなかないので、楽しみです。そして黒エンビのシーンは、シンプルなエンビ服をまとう、王道の場面。これも『宝塚幻想曲』の時の、激しく踊る黒エンビのシーンとは真逆。エンビ服は、シンプルなものほど表現するのが難しく、精神が表れるので、気合いを入れて頑張りたいです。

『シャルム!』には、魅力や呪文という意味があるということなので、皆様に魔法をかけ、夢の世界にお連れできるようなレヴューになればと思っています。

見入ってしまった雪組公演。

 先日、雪組公演『壬生義士伝』を観劇したのですが……号泣しました。石田昌也先生が、浅田次郎さんの原作をわかりやすく、しかも宝塚らしく作られていて、とても面白かったです。登場人物それぞれの思いがダイレクトに伝わってきて、1観客として見入ってしまいました。

 あやちゃん(望海風斗)は、相変わらずの丁寧なお芝居で魅了されました。石田先生の演出で、ふっと笑ってしまうような場面があるのですが、あやちゃんの余裕みたいなものも感じ、重いテーマのなかでそれがとても効いていて、さすがだなと思いました。なつこ(真彩希帆)も、普段はすごく元気でパワフルな人ですが、役とのギャップがすごかったです。月組公演『ロミオとジュリエット』の時に組回りで出ていたときから知っていて、私のディナーショーにも出演してくれていたので、大人の奥行きのある女性をしっとりと演じている姿を観て、思わずしみじみとしてしまいました。
 ほかにも同期のカチャ(凪七瑠海)も出演していましたが、カチャらしい表現と存在感が感じられて、とても素敵でした。あーさ(朝美絢)やひらめちゃん(朝月希和)もとてもいい役で頑張っていて、うれしかったです。

※このメッセージは、8/13(火)に届いたものです。

●軍服orスーツ

うーん、迷いますが、やっぱりスーツかな。男役としては軍服も好きなんです。でも、コスチューム感が強いですし、重量感があって動きも制限されるところがあるので……。最近は特に、スーツにソフト帽という王道のスタイルが「やっぱり男役だなぁ」と感じられるので、大好き。『シャルム!』でも、男役だけのスーツの場面でタンゴを踊るシーンがあるので、私自身も本当に楽しみにしています。そして今作には、軍服での舞踏会のシーンもあります。皆様はどちらがお好きでしょうか?

orイチジク?

これは迷わず、梨! 大好きなんです! 私は元々、リンゴ派だったんです。梨とリンゴ、食感が少し似ていますよね?でも、だんだんと梨のおいしさに気付き始めて……。いただいていると、あぁ、秋が近づいてくるんだなと感じられますし。みずみずしくて、とてもおいしいですよね。イチジクも好きですよ。実家の近所に生えていて、それをいただくこともあって、よく食べていたので思い出もあります。イチジクのタルトもおいしいですもんね。でも、やっぱり梨が好きなんです(笑)。