今月のメッセージMessage

天草四郎は、演じたことのないタイプの役柄です。

明日海りお 今月のメッセージ  花組は現在、宝塚大劇場で『MESSIAH(メサイア)ー異聞・天草四郎ー』『BEAUTIFUL GARDENー百花繚乱ー』の公演中です。

 お芝居では、天草四郎を演じています。天草四郎というと島原・天草の乱(一揆)で民衆から総大将に祭り上げられるほどのカリスマ性をもった美少年で、また妖術が使えたのではないかというような、伝説的なイメージがあると思います。でも今作では、大海原を駆け巡っていた海乱鬼(かいらぎ/倭寇)、すなわち海賊の頭、夜叉王丸であったというオリジナルの設定になっています。
 嵐に巻き込まれて大矢野島に辿り着くのですが、名乗ろうともしない見ず知らずの男を、ひろさん(一樹千尋)演じる益田甚兵衛が4人目の我が子、四郎として迎えてくれ、その家族たちが受け入れてくれる。食べるものも少ないギリギリの生活のなかで自分を救ってくれた人々と接するうちに、人を信じることや、天草の人々が信仰しているキリスト教の教えを通して人を慈しむ大切さを学んでいく。それにより彼がどう変わっていくかを丁寧に描けたらいいなと思っています。

 夜叉王丸は海乱鬼として人道に反することを行ってきたけれど、その時代を生き抜くために凄まじい生活をしてきたのではないかと思います。だから甚兵衛に名前を与えられて家族として受け入れてもらったとき、初めて人であることを自覚したその衝撃を表現したいと思いました。彼は海乱鬼ではありましたが、許せないと思ったことに対して正々堂々と戦っていく、守りたい人を守ろうとする“強さ”みたいなものをもっている人。だから湯島でゆきちゃん(仙名彩世)演じる流雨(るう)やれいちゃん(柚香光)演じるリノを守ろうとする場面も、海賊だったときの腕がなる部分と、ほっとけない心の熱さの両方がにじみでたらと思っています。

 海乱鬼という設定になったことで、村の人に自分たちの“はらいそ”(天国)を築こうと語りかける場面に説得力を増すことができますし、違う世界で生きてきた彼だからこそ、純真に信仰しているのに報われない人たちに歯がゆさを感じ、なんとか救いたいと思ったのではないかな、と。それに、天草四郎像がワイルドに描れていることで、これまでに演じたことのないタイプの役柄になっていて楽しいです。銀橋での登場も意外性を感じていただくサプライズの1つなので、まだご覧になっていない方は楽しみにしていてくださいね。

 この作品は、天草の民衆側、ちなつ(鳳月杏)演じる松倉藩の支配者側、幕府側と三者の立場がはっきり分かれているので、それぞれのチームが一致団結し、気合いを入れて互いを高め合い、刺激し合いながら演じています。

流雨やリノとの出会い、関係性もポイントです。

明日海りお 今月のメッセージ  身を挺して四郎を救ってくれる流雨は、強さと清らかさをもち、すべてを包み込む大きな愛を感じさせる女性。リノは、その姿にマリア様を重ねて見ているのです。四郎が、“はらいそ”にいけると固く信じているけれど報われない人たちに疑問を抱き、なぜそこまで信じられるのかという思いをぶつけたとき、流雨は核心を突かれたと思うんです。彼女は聡明なので、それを信じなければ生きていけなかったことを心の片隅に感じていた女性だと思います。聖歌のようなクラシカルな曲調のなかで慈愛と生命力を表さないといけない難しい歌も、ゆきちゃんは自分の思いと空間をうまく利用して、表現してくれているなと感じます。

 リノとは場面は少ないですが、目と目で交わし合う意思の疎通、生まれ始めた絆というのもちゃんとキャッチしてくれる。れいちゃんは、それを即座に表現してくれるのでさすがだな、と。いままでの作品でもいろんなお芝居をしてきましたし、感性が豊かな人なので、リノ役も合っていると思います。四郎も彼になら自分の思いを託せる、託したいと感じたのではないかなと思います。

見どころ盛りだくさんのショー。

『BEAUTIFUL GARDENー百花繚乱ー』は、いろいろな場面のある盛りだくさんのショー。まずプロローグは、美しい夜の庭園をイメージ。黒と紫を基調とした妖しげな雰囲気に皆さんをお誘いする場面です。
 伝説の闘牛士に扮するアンダルシアのシーンや、古代ローマのグラディエーターを中心としたシーンもあります。2つとも物語性のあるお芝居のような場面で、単なるダンスナンバーというより、その時代に生きた人々の人生が伝わるように描きたいです。  

 そして中詰めは、まさに夏真っ盛りの時期にぴったりな場面。ギラギラした夏、爽やかな夏など、いろいろな夏をなじみの曲とともにスカッと味わっていただけたら、と。以前、DVDでも歌わせていただいたT.M.Revolutionさんの「HOT LIMIT」では、「リオ様的にも……」というアレンジした歌詞を組子に歌ってもらうのが不思議な感覚(笑)。お客様からも掛け声や手拍子をいただき、私たち自身も楽しませていただいています。

 このショーでは、ゆきちゃんやれいちゃんをはじめ、あきら(瀬戸かずや)、ちなつ、マイティ(水美舞斗)と、皆が大活躍してくれています。マイティとはこれまであまりお芝居やショーで絡むことがなかったのですが、今回はいろいろな場面で絡んでいます。高い身体能力を発揮してエネルギーを至るところで爆発させてくれて、場面ごとに違う役柄を演じ分けようとしている姿が頼もしいです。グラディエーターのシーンでは、美女に扮するれいちゃんとの場面も。古代ローマの退廃的な雰囲気や、戦って一生を終える剣闘士の運命の儚さややるせなさ、美女との濃厚な駆け引きを感じていただけたらと思います。

 そして今作の黒エンビでは、シルクハットにケーンを持つクラシカルなスタイル。徐々に小粋なテンポに変化していく様子もすごく宝塚らしいなと感じます。ほかにも、ゆきちゃんとの大人っぽいデュエットダンスや、皆がすみれ色に身を包んだフィナーレナンバーも見どころ。野口幸作先生がいろいろなところから集めてくださった私のエピソードが歌詞になっています。でも私だけではなくみんなもきっとそうだろうなという、宝塚への思い、お客様への思いを投影できるシーンだと思っています。

※このメッセージは、7/20(金)に届いたものです。

トウモロコシorキュウリ?

僅差でトウモロコシかな。祖父が畑でいろいろな野菜を育てていて、そのなかにトウモロコシもキュウリもありました。私は、調理の前にカゴをもって畑に行き、野菜を穫ってくる係だったんです。いい肥料を使って手間暇かけて育ててくれていたので、すごく甘くて美味しいトウモロコシで・・・・・・。シンプルに茹でたものが好きですが、最近はかき揚げも美味しいなと思います。

●イングリッシュ庭園or日本庭園

これも迷いますね。でもやはり落ち着くのは、日本庭園。京都などのお寺で日本庭園を鑑賞すると、本当に美しいなと感じますね。松や池、きれいに整えられている砂紋など。イングリッシュガーデンもすごく素敵で、そこでお紅茶を飲んだらいいだろうなと想像しますが、どちらかを選ぶとなったら、やはり日本人なので・・・・・(笑)。ゆっくり鑑賞できたらいいなと思いますね。