今月のメッセージ

ただのラブストーリーではない深いお芝居と、
日本物の素敵なレビュー。

明日海りお 今月のメッセージ
 11月11日からいよいよ、花組公演『雪華抄(せっかしょう)』『金色(こんじき)の砂漠』の大劇場公演が始まります。

 まず『雪華抄(せっかしょう)』は、日本物のレビュー。作・演出の原田諒先生とは同期入団ですが、先生の作品に出演するのは今回が初めて。ご縁に感謝しながら、お稽古しています。本格的かつ楽しんでいただける日本物をということで、花鳥風月や春夏秋冬というイメージしていただきやすいテーマになっています。衣装は、ファッションデザイナーの丸山敬太さんのデザイン、監修となります。さまざまな舞台を拝見してきて、色彩にこだわられる方だと感じますので、ワクワクしています。プロローグは梅の花がモチーフになっていたり、鷹として舞うシーンでは毛羽根があしらわれています。セットもザ・和物という世界観を現代風にデザインした雰囲気で、とても美しく、素敵なものになるのではないかと思います。

 カツラも定番の若衆や青天、かのちゃん(花乃まりあ)と2人で演じる「安珍・清姫伝説」から作られた「道成寺」のシーンでは髪を下ろした修行僧のスタイルなど、5パターンあります。玉麻尚一先生が手掛けられる曲も、和風でありながらドラマティック。交響曲のような雰囲気もあれば、軽快なリズムもあり、映画音楽のように感じる曲もあります。和物レビューの世界を楽しんでいただければと思います。

 一方の『金色の砂漠』は、上田久美子先生の作・演出です。初めて上田先生の作品に出演させていただけることが、とてもうれしいです。舞台は、砂漠のなかの架空の王国。その国のしきたりで、王家に娘が生まれたら男の子、息子が生まれたら女の子の奴隷を付け、常に付き従って身の回りの一切の世話をすることになっています。私が演じるギィは、かのちゃん演じる王女・タルハーミネの奴隷です。

 台本にはないのですが、先生の構想のなかで、ギィは自分のことよりも先にタルハーミネの衣装を着せることができるようになったというくらい、物心付いたときから仕えています。2人は同年代の設定で、小さいころは悪友のような存在で、彼女のいろいろな我が儘に付き合わされていました。ギィは同じ人間として価値があるのに、奴隷と王女と身分が違うこと、自分には彼女よりも秀でたところもあるのになぜという不満があり、立場に納得がいっていない。子供のころはその不満を素直に口に出せても、大人になるにつれて気持ちを胸にしまって仕え、またタルハーミネにどんどん心惹かれるようになります。

 よくあるヒーローとヒロインというキャラクターではなく、2人ともとても直情的で頑固で、癇癪持ち。タルハーミネもギィのことが気になっているけれども、王女としての誇りが恋心を許さない。そんな2人の関係性が、どうなっていくのか……。タルハーミネは3人姉妹の長女なのですが、姉妹にそれぞれ求婚者が現れてお嫁に行くことになる。そこから関係性が変化していきます。
 台本を読んだ第一印象は、一筋縄ではいかない、ただ思い合うラブストーリーとは全然違う、深い作品だと感じました。誇りや憎しみ、愛など、いろいろなものが絡み合ってくるので、これは演じ甲斐があるな、と。上田先生の頭のなかには、稽古が始まる前から構想が出来上がっていて、人物の動きや喋り方の抑揚などにもこだわりをおもちなので、早く先生のイメージに近付きたいと思っています。

楽しかった全国ツアー公演と、ゆきちゃんのこと。

明日海りお 今月のメッセージ
 9月に行われた全国ツアー公演『仮面のロマネスク』『Melodiaー熱く美しき旋律―』、改めて振り返ってみると、本当に充実していました。毎日2回公演ですし、時間のかかる移動もあったので体力的に心配だったのですが、無事に、そして楽しく全公演を終えることができました。出演者やスタッフさんと行動を共にすることで結束力も高まりました。何より、お客様が温かく迎えてくださり、ショーは熱狂的に盛り上がってくださって、エネルギーをいただきました。静岡だけでなく、どの公演もすごい拍手と歓声をいただいて、本当にうれしかったです。両親も観に来てくれて、ご近所の方や親戚が「生で観るのは違うね」「すごく元気をもらった」と言っていたよと聞き、静岡で公演させていただき、喜んでもらえて良かったなと思いました。

 役としても、舞台で回数を重ねることでさまざまな発見がありました。小さな駆け引きを重ね、最後は感情が爆発することで、メルトゥイユ夫人と2人だけの舞踏会をするという流れが生まれる。それを、当時のフランス上流階級の人たちの品格のなかでどう演じるのか、毎日試行錯誤しながら演じていました。かのちゃんの台詞や表情をキャッチすることで、どんどん気持ちが湧いてくる感覚があり、日々の変化を役の感情に繋げていました。1つひとつの場面が変化すればラストもまた変わってくるので、緻密な作業ですが、そこがまた楽しいなと思える役、作品でした。

 そして、おいしいものでリフレッシュもできました。北海道では到着した日や打ち上げで海鮮料理をいただいたり、みんなでラーメンを食べに行きました。千秋楽後は昼のフライトだったので、朝から札幌の市場に行って、両親にお土産を送ったり、自分宛にコーンやアスパラなどを送ったり……(笑)。空港でもお土産を見て回ったりして、とても楽しかったです。

 この『仮面のロマネスク』は、来年3月からまた全国ツアーで上演されます。その公演から、ゆきちゃん(仙名彩世)が相手役となります。私が2008年の月組公演『ME AND MY GIRL』に出演していたときに、彼女が初舞台を踏みました。首席入団でしたし、なんでもできてエネルギッシュな人だなという印象を受けました。
 髪飾りやアクセサリー1つにしても作るものが上品で凝っていて、楽屋でも最後まで残ってカツラのお手入れをしています。稽古に関しても余念がなくすごくしっかりした、日頃から人の何倍も努力する人です。その努力が報われて良かったなと思いますし、報われるべき人だと感じます。向上心のあるゆきちゃんと、どういうコンビになるのか。可能性も広がっているので、とても楽しみです。

※このメッセージは、10/17(月)に届いたものです。