明日海りお退団発表会見

明日海りお 退団発表会見  宝塚歌劇団・花組トップスターで、2012年12月25日よりVJAキャラクターとしても活躍する明日海りおが、『A Fairy Taleー青い薔薇の精ー』『シャルム!』の東京公演千秋楽の11月24日に退団することを発表。
 豊かな感受性、オフとオンのギャップも魅力の明日海らしい、涙と笑顔にあふれた温かな会見が、3月13日、大阪市内で行われた。

 真っ白なスーツに、すみれ色のやわらかなブラウス。憧れて入団した宝塚歌劇への思いが凝縮したかのような衣装で登壇した。

 まず、小川友次理事長が挨拶。宝塚歌劇100周年となる2014年にトップに就任し、5組中最長キャリアを誇る明日海を「本当に素晴らしいトップ」と評し、「品格、人格」とその魅力を挙げた。そして集客力についても「大劇場での主演9作で、宝塚史上最高の稼働率。頑張ってくれて、お礼を言いたい」と絶賛。数字上でも一時代を築いた人気ぶりを明かした。
明日海りお 退団発表会見  続いてマイクを握った明日海は、「最後までもっと男役としての幅を広げ、花組がよりよい組になるよう、自分にできるすべてを捧げて舞台に立ちたい」と、目を潤ませながら、挨拶。

 退団を意識した時期は、昨年の『ポーの一族』のころから。それまでは「自分が必死に舞台を務めることで、皆も一生懸命ついてきてくれる」と考えていた。それが『ポーの一族』では「舞台上でただ役に身を任せるだけで、自然と組のみんなが前に向かって進んでいっている感覚があった。エドガーという役が、落ち着いてみんなを見渡せる奇跡を起こしてくれたのかもしれませんが、私がいなくても大丈夫だと感じました」。
明日海りお 退団発表会見  現在、東京宝塚劇場で上演中の『CASANOVA』で退団するトップ娘役の仙名彩世から卒業の時期を相談されていたが、「せっかくなら、ゆきちゃん(仙名)を見送りたい」と、自身は次の公演で退団しようと決めた。「これまでお世話になった蘭乃はなちゃん、花乃まりあちゃんも、いつも隣で私を立ててくれる彼女たちが、さよならショーではお姫様として主役で輝いている姿を見られてうれしかった。だからぜひゆきちゃんにも」と、相手役への大きな愛をにじませた。

 組の仲間に退団を明かした際は、「そんなにびっくりしないだろうなと思っていたのですが……私が話し出したらみんながボロボロと泣いてくれて……」と、涙が頬を伝う。小川理事長にハンカチを差し出されると、「ハンカチ、あります!」と自らのハンカチで拭いながら、「人の泣き顔を見てうれしいというのはどうかと思うのですが、みんなが泣いてくれてうれしかったです」。同期で雪組トップスターの望海風斗には昨年末に直接伝え、「泣いていました」と、しんみり振り返った。
明日海りお 退団発表会見  辛かった時期を問われると、2013年の月組から花組への組替えを挙げ、声を詰まらせながらこう語った。
「育った組を離れるというのが、本当に辛かった。でも……花組に来られて花組の男役になって、花組のトップスターとして恥ずかしくない舞台人になるぞと頑張れたことが、私の宝塚人生のなかでは、一番幸せなことだったなと思います」。

 支えになったのは「日々いただく、お客様やファンの方からの拍手やお言葉。ファンの方のお気持ちですべて帳消しになりました」。組の仲間やスタッフの存在も挙げ、「みんなで力を集結させて作る舞台が大好きなので、それに支えられていました」。

 月組時代には、史上初の準トップという肩書きで、主演の龍真咲さんとの役替わりを経験。「あのとき頑張れたから、少々のことは大丈夫という根性がついた」。そして自身もトップになったことで、当時の龍の偉大さやありがたみを改めて感じ、「とても感謝しています」と話した。
明日海りお 退団発表会見  退団後については、「まずは職探し……。生きていけないので」とつぶやき、「運転免許を取りに、教習所に行きたい」と、現実的な目標を語り、報道陣の笑いを誘った。
 退団会見恒例の結婚の予定を問われると、テンションがアップ。
「未知ですね……。でも、以前、台湾で手相を見ていただいたときに、結婚線が何本かあると言われたのですが、宝塚にいる間に、かわいいお嫁さんを何人ももらってしまったので、多分全部消費してしまったのでは」とチャーミングにコメント。

 ファンへのメッセージを求められると、噛みしめるように言葉を紡いだ。
「皆様には、舞台でしかお返しすることができなかったのが歯がゆいです。これからも舞台でしかお返しできないんですが……皆様がいるからこそ意欲が湧いてきたので、感謝の気持ちでいっぱいです」。
明日海りお 退団発表会見  舞台上以外、公の場では涙をこぼすことが少ないトップスターが、宝塚や組の仲間、ファンに話が及ぶたびに何度も声を震わせ、涙があふれた。5年にわたってトップを務め、宝塚歌劇を牽引してきた人知れぬ重責。ストイックに、ただひたむきに自らの表現と理想を突き詰めてきた者だけが知る充実感。そんな明日海の抱えてきた思い、自然体で飾らない人間性など、さまざまなものを感じさせる会見となった。

 今後は、宝塚歌劇史上初の横浜アリーナ公演『恋スル ARENA』(6月25・26日)、そして退団公演『A Fairy Taleー青い薔薇の精ー』『シャルム!』(宝塚大劇場公演は8月23日〜9月30日、東京宝塚劇場公演は10月18日〜11月24日)。

 明日海のポリシーは、「1公演1公演、少しでもクオリティを上げていくこと。宝塚ならではの品を失わず、宝塚や男役が大好きだという気持ちを常に燃やし続けること」。最後の舞台まで、その進化は続く。
明日海りお 退団発表会見