冠協賛公演特別コーナー:三井住友VISAカード
冠協賛公演特別コーナー【過去の冠協賛公演出演者が語る  私の「FAVORITE SCENE」(フェイバリット シーン)】
花組 トップスター・明日海りお

花組トップスター 明日海りお

●2009年 月組公演『エリザベートー愛と死の輪舞ー』

  • 花組トップスター・明日海りお
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 明日海が、新進スターとして新人公演に主演し、本公演でも徐々に重要な役柄を演じるようになり注目を集めていた入団7年目。瀬奈じゅん主演の2009年月組公演『エリザベート』で、ルドルフ役に抜擢。遼河はるひ、青樹泉とともに役替わりで演じた。
 悲劇の皇太子の影や繊細さ、気品が、明日海の持ち味と合致。母・エリザベートに似た強い芯を内包しつつも、儚く印象的なルドルフとして息づいた。もう1役は革命家のシュテファンを演じた。エリザベートは、現在専科の凪七瑠海。同期の親子共演も話題となった。また、同新人公演では3度目の主演を果たし、堂々たるトートを演じた。
 このころから、目を引き付ける華やかなオーラ、フレッシュな存在感だけでなく、男役としての色香、陰影が深まり、役の幅も広がっていった。

●2012年 月組公演『ロミオとジュリエット』

花組トップスター・明日海りお
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 月組の準トップスターとして、トップスター・龍真咲と役替わりで、ティボルトとロミオを演じた。ジュリエット役のトップ娘役・愛希れいかも含め、3人の個性の違い、豊かな感性が生きた公演となった。
 いつ爆発するかもしれない若者特有の鬱屈した心、苛立ち、ジュリエットへの思いが漂うティボルトが評判を呼んだ。矛盾を抱えて葛藤する役柄は、まさに役者・明日海りおの真骨頂。巧みな表現と類い希な美貌が相まって、凄みさえ感じさせた。
 一方のロミオは、天性の透明感が映え、王子様のようなキラキラとした存在感を放つ。映画や舞台など世界中で演じられ、イメージが固定され半ば記号化した役に、明日海はきちんと血を通わせてみせた。恋への情熱、危うさ、芯の強さ、揺れる心など、さまざまなものを感じさせる魅力的なロミオとなった。

●2013年 月組公演『ベルサイユのばら』ーオスカルとアンドレ編ー

花組トップスター・明日海りお
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 宝塚歌劇の代名詞『ベルサイユのばら』で、龍と役替わりでアンドレとオスカルを演じ、ベルナール役も含め、自身初の3役に挑んだ。役替わりの経験も多く、豊かな芝居心をもつ明日海ならではの巧みな演じ分けで魅了。
 アンドレ役では、オスカルへの強い思いを色濃くにじませた。オスカルのわずかな心の動きも逃すことなく、細やかに反応。一歩引いて見守る包容力を表現した。オスカルは、凛々しさと、市民を思いやる優しさやアンドレに見せる細やかな女性らしさが共存。儚くも強い、魅惑のオスカル像を体現した。
 ベルナール役では、愛希との夫婦役で強い絆を表現。この公演を最後に、花組へ組替え。トップお披露目となった、2014年中日劇場公演『ベルサイユのばらーフェルゼンとマリー・アントワネット編ー』も記憶に残る。

●2014年 花組公演『エリザベートー愛と死の輪舞ー』

花組トップスター・明日海りお
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 宝塚大劇場でのトップお披露目公演。'05年、'09年に続いて、3度目の『エリザベート』出演で、満を持してトートを演じた。エリザベート役は、月組時代を共に過ごし、信頼で結ばれていた蘭乃はな。
 宝塚歌劇を代表する名作で、これまでさまざまな人が演じてきたトート役を、こだわりのビジュアルはもちろん、独自の感性で解釈。愛や憎しみ、嫉妬、憤りなどの感情、動きや表情、佇まいの緩急が出色。エリザベートを求める熱い感情を露わにしたと思ったら、次の瞬間には冷酷で、右往左往する人間をもて遊ぶような嗜虐性を表し、黄泉の帝王として大きなエネルギーで舞台を支配したりと、多彩。ひとときも目を離すことができず、さらに日によってその色合いがまったく異なるなど、演技派の面目躍如。硬軟自在、ギャップも魅力の1つである明日海ならではの新たなトート像を確立した。
※文中、敬称略