世界中でガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を題材にした作品はいろいろありますが、なかでもこの作品はファントムの心が美しく描かれ、それがすべて曲に表れているところが魅力だと思います。ファントムが純粋であるが故に苦悩を引きずり、さまざまな物語が生まれるのも面白いですね。
ファントムはガラスのように繊細ですが、だからこそ周りからは凶暴な一面も見える。そういう部分を今作ではより出したいと思っています。また蘭寿とむの魅力の1つがダンスだと思うので、それが生きるファントムであるように作りたいなと考えています。
とむ(蘭寿)は繊細さと力強さを併せ持った男役ですが、普段接していて感じる細やかな優しさが、ファントムの本質と重なってくると思うので楽しみです。また、らんちゃん(蘭乃)も公演を重ねるごとに着実に成長している印象がありますし、クリスティーヌに必要な、一歩一歩先に進みたいという気持ちを表現できると思うので、期待しています。
宝塚歌劇では3度目の上演となりますが、ファントムの見え方もこれまでとは少し変わると思いますし、新曲も2曲ありますので、また新たな『ファントム』として甦ると思います。再演の強みを生かしてより深く描き、いままでの出演者が築き上げてきたなかでうまく3段目のステップに上がれる作品になればと思っています。 |