冠協賛公演特別コーナー
三井住友VISAカード ミュージカル「エリザベートー愛と死の輪舞(ロンド)ー」
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朝夏まなと

三井住友VISAカード ミュージカル「エリザベートー愛と死の輪舞(ロンド)ー」演出家インタビュー  宝塚歌劇では9度目の上演となる『エリザベート』。観る角度により表情が変わるというのがこの作品がもつ力ですが、いつも最後は音楽的な広がりに包括されていくような感覚があります。つまり、試行錯誤して作品を練っていくのですが、結果的には音楽の強さや豊かさに飲み込まれていく感じを受けるのです。ただ、その流れに流されるだけでいいかというとそうではなく、役者は役としてきちんと立ち、どう流されるかが大事。その流れは、役者それぞれの演技のハーモニーによって色合いが変わって見えるのではないかと思っています。

 これまで8人のトートが、さまざまにアプローチしてきました。今回の朝夏まなとのトートには、いろいろなものを削ぎ落とし、核心を突いて原点にかえっている印象をもっています。初代の一路真輝さんと重なる部分や2代目の麻路さきさんを彷彿とさせるところもあり新鮮ですし、シャープに物語に切り込み、エリザベートの人生に挑んでいくイメージ。私は物語における死(トート)の存在を、もう一度シンプルに捉え直してもいい気がしていて、そういう意味で朝夏のトートはスリリングで力強い。彼女は太陽のような明るく華やいだ雰囲気がありますが、トップスターとしての自分のなかにある孤独をうまく利用して、“太陽の陰”みたいなものを作り出せれば、とても魅力的なトート像になるのではないでしょうか。

 それに対するエリザベートは実咲凜音。キャリアのある娘役ですが、朝夏のシャープなトートに太刀打ちできるリアリティのある役作りが求められるので、大変だと思います。それに60歳で生涯を閉じるまでを演じないといけないので、年輪の厚みや深みを実年齢が若い宝塚の娘役が演じることは、非常に難しい。エリザベートが生き惑い葛藤するなかで死を招き、トートを生み出す部分もあるので、円満な人格ではあり得ない。そのエリザベートのある種のいびつさをうまく出せれば、2人の組み合わせは成功すると思います。

 フランツ・ヨーゼフの真風涼帆は、大らかな温かみをもった人なので、それが役に反映してくるのではないか、と。フランツの性格は内省的ですが大帝国の皇帝ですから、そのスケールの大きさも彼女は表現できると思います。ルキーニに挑むのは、愛月ひかる。ひねった役どころをたくさん演じてきているので、その経験を生かしてどこまでジャンプできるのかが肝。新進男役3人が役替わりで演じる皇太子ルドルフとともに期待したいです。

 役者それぞれが、役のあり方に自分のキャリアをうまく照らし合わせていけば、非常にくっきりとした『エリザベート』になるのではないかと思っています。ご期待ください。

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