冠協賛公演コーナー

三井住友VISAカード シアター星組『1789 -バスティーユの恋人たち-』出演者インタビュー

礼 真琴

 2015年に月組公演『1789 ーバスティーユの恋人たちー』を初めて拝見したときは、『ロミオとジュリエット』の初演の時のような、また一つ小池修一郎先生の衝撃的な作品が生まれた瞬間を客席で体感し、曲の素晴らしさ、人や装置の動かし方に感動しました。皆さんが魂を込めてパフォーマンスされていた民衆の群舞の場面も、鮮明に覚えています。

 いつしかロナン役は、自分のなかで演じてみたい役となりました。またTAKARAZUKA SKY STAGEのある番組で、組のみんなからも「演じてほしい役」に選んでもらったり、ファンの方からもそういうお手紙をたくさんいただいていたので、今回実現できてとてもうれしいです。

 ミュージカルは歌うことで物語を進めていく作品が多いですが、フランスのミュージカルは「いま自分はこう思っているんだ」とか「こうしたいんだ!」という感情を歌っている。音楽を歌として聞かせるというのも見どころで、有名なロック歌手の方がキャストに入っていたりするのもそういうところなのかな、と。フランス語で歌うと発する音がとてもパワフルで繊細なので、観るたびに衝撃を受けます。

『ロミオとジュリエット』『ロックオペラ モーツァルト』『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』と、フレンチロックの作品をたくさん演じさせていただきましたが、毎回が挑戦です。実際に歌ってみると、リズム感も複雑ですし、音と歌詞の区切りの部分が違ったりして、とても難しいですね。ですが、演出や編曲の先生などプロフェッショナルな方々が用意してくださるものに対し、真正面から向き合って歌うことで、自然と気持ちが流れていくということは、回を重ねるごとに感じます。
 今作も、もともとある素晴らしい楽曲に、小池修一郎先生が歌詞という息を吹き込み、太田健先生が宝塚歌劇ならではの編曲をしてくださる。聞き覚えのある曲に甘えず、一から譜面に向き合って、いろいろなものを学ぶことが一番大切だと思っています。

 ロナンは一度決めたことは絶対に諦めず、突っ走っていく無鉄砲なところがあります。でもそれが、愛する女性を守りたいという思い、成すべきことを叶えたいという夢となり、周囲の人の希望となる。そうやって先陣を切って皆を引っ張っていく役は久しぶりです。最近は周囲に翻弄されたりする役が多かったので……そんななかで募らせた思いをロナン役で発散させたいです(笑)。
 舞空演じるオランプは、ロナンが敵だと思っている立場の近くにいる人ですが、ロナンはオランプを必ず手に入れるという揺るがない意志を持っている。立場や身分の差がどうであれ、自分が求めるものに対しては迷わないのではないかなと思います。

 いまの星組は、誰一人として個性がかぶっておらず、とてもバラエティに富んでいます。元気で明るく、自分の意志をしっかり持っている人ばかりの頼もしい仲間が、今回も舞台上で自由に演じ、楽しんでくれたらと思っています。
 そして新曲でも描かれますが、ロナンの抱えるテーマは「人が生まれた瞬間から自由になる権利がある」ということ。それがお客様にとっても勇気となり、何かに踏み出す一歩となるような舞台になったらうれしいです。  

舞空 瞳

 2015年の月組公演『1789 ーバスティーユの恋人たちー』は、1つ上の学年の方たちの初舞台公演だったので、何度も観に行かせていただきました。素晴らしい作品でエネルギーと迫力に圧倒され、世界観に入り込んでいったのをいまでも鮮明に覚えています。好きな場面や楽曲を選びきれないくらい、大ナンバーばかりの迫力ある作品だと感じます。

 この素晴らしい楽曲をどのように歌わせていただくか。歌やメロディ、リズムに役の気持ちのすべてが込められていると思うので、大切にしたいです。礼さんと一緒に歌わせていいただけることは本当に幸せなことなので、もっともっと礼さんのリズム感などさまざまなものを吸収して、学ばせていただきたいと思っています。

 私が演じるオランプは、革命時代のなかで王家に仕える人物。愛するロナンと一緒に生きたいという思いとの狭間で揺れ動きながらも、自分の思いを貫いていく女性。自分の仕事に対してのプライドがあり、少し頑なになってしまう不器用さも持っていると思いますが、いまを必死に生きていている女性として演じられたらと考えています。

 礼さんには、毎日、毎公演助けていただいています。常に「思いっきりやってみていいよ!」という姿勢でいらっしゃって、飛び込む勇気もくださいますし、必ず受け止めてくださる大きな心に感謝の気持ちでいっぱいです。そんな温かい環境を作ってくださるからこそ、いまの元気いっぱい個性いっぱいの星組になっているのではないかと思います。

 私自身も礼さんについていけるよう、少しでもお客様に勇気や元気をお届けできるよう、精一杯お稽古に取り組んでいきたいです。