4月18日、三井住友VISAカード シアター『1789 ーバスティーユの恋人たちー』の制作発表が、都内のホテルで行われました。
今作は、2012年にフランスで初演されて絶賛されたミュージカル。'15年に宝塚歌劇団月組が日本初演を果たし、革命前夜のフランスを舞台に、ロックナンバーで綴るドラマチックな演出が話題となりました。そんな再演が待ち望まれていた名作が、トップスター・礼真琴、トップ娘役・舞空瞳率いる星組で8年ぶりに上演。礼は革命に身を投じる青年ロナンを、舞空は王太子の養育係オランプを演じます。
会見の冒頭で、2人によるパフォーマンスが披露されました。まず礼と舞空が劇中歌の「この愛の先に」をデュエット。ひかれ合う2人の切ない思いが伝わるパフォーマンスで会場を魅了しました。
礼によるとこの楽曲は「月組公演を拝見したときから好きな曲」だったと言い、「お互いにひかれ合っているのに結ばれてはいけないのかという葛藤があり、でもお互いを求めてしまうという曲。私は“ハモリ大好き”な人間なので(笑)、2人でずっとハモりながら歌う心地良さを今日も感じました。舞台でも歌わせていただくのが楽しみです」。
続いて、作曲家のドーヴ・アチアが今作のために書き下ろした新曲「愛し合う自由」を、礼が圧巻の歌唱力で披露。ロナン役としての熱い思いがあふれ出し、早くも作品世界に誘われます。
会見では、出席者から作品概要や見どころ、意気込みが語られました。
礼にとって今作は「いつか挑戦してみたいと夢を見るようになった作品」。「挑戦させていただけることに幸せな思いと身の引き締まる思いです。個性みなぎっている星組全員で、勇気と元気を届けられる舞台にできれば」と挨拶しました。舞空は、「課題はたくさんありますが、小池先生のご指導の下、いつでも全身全霊で舞台に向かわれる礼さんに全力でついていき、オランプとして力強く生きていけるように精一杯お稽古に取り組んでいきたい」と話しました。
初演から潤色・演出を手掛け、東宝版の演出も担う小池修一郎は、「新曲も加わり、今作がこれまでで一番、ロナンとオランプの2人に焦点を合わせた公演になると思う」と演出のポイントを明かしました。
「8年前からは世界情勢、日本を取り巻く環境も変化している。揺れる時代のなかで、人が何を求めていくのか、何を見出してどう生きていくのか。ロナンという農民の青年が時代を切り拓いていく物語は、こういう時代のなかで、命を持っていると改めて感じます。自分たちが生きている時代と物語の接点を何か感じていただけたらいいなと思っています」
小池はトップコンビの魅力を聞かれ、「礼はより歌唱力、演技力も増しているけれど、新鮮さを失わない、その弾力性が素晴らしい。歌唱力、リズム感のあるロックテイストの曲を歌う力は、宝塚史上屈指。フレンチ・ミュージカルを何本もやってますます磨かれていると思うので、楽しみ」とコメント。お披露目公演の『ロックオペラ モーツァルト』『ロミオとジュリエット』、先日まで上演されていた『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』と、フレンチロック作に縁が深い礼に対して、絶大な信頼を寄せている様子で話しました。
舞空に対しても「初々しさを失わないのに、技術はどんどん上がり、礼の歌唱力にしっかりついていっている。舞台本番のときには、彼女の力を改めてお客様が認識してくださるのでは。実力がありながらフレッシュさを失わないコンビというところが魅力だと思います」と評しました。
役で大切にしたいことを問われた礼は、『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』に続いて、ブルジョアに対抗心を持つ青年を演じることに触れ、「雑草魂を前作から引き継ぎつつ、強さをパワーに変えて演じたい」と意気込みを披露。舞空は「小池先生からオランプは芯があって、寄り添うだけではない強い部分があるとお言葉をいただいた。逞しく生き抜く女性の1人として、ロナンとともに生きていけるくらいのパワーを大切に演じたいです」と役作りの一端を話しました。
またダンスで表現されるナンバーも多く、礼はなかでも「最後にバスティーユに向かうところで、葉っぱを手に取って踊るナンバーが大好き。いまエンジンをかけている星組の男役たちが“暴れる”のがすごく楽しみ」と語りました。
フレンチ・ロックで綴るミュージカルの魅力について聞かれ、2人はこう答えました。
「お披露目公演からたくさんフレンチロックミュージカルに触れてきたなかで、前作の『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』で音楽の先生からいただいた、物語を進めているというより、自分自身の感情を歌にぶつけているだけという言葉が衝撃的でした。また、同じメロディを何回も繰り返すときに、自分の気持ちをどう組み立てていくのか、毎回たくさん考えるきっかけをくれる音楽でもある。聞いたら虜になる、耳から離れない癖になる曲ばかりなので、心して取り組みたいです」(礼)
「初演の月組公演を拝見して、胸を打たれて即座にCDを購入した思い出があります。ドキドキワクワクする、フレンチロックのミュージカルならではの楽曲の素晴らしさがあると思いますが、実際に歌うと本当に難しくて……。礼さんもおっしゃったように気持ちをきちんと楽曲に乗せられるよう、精一杯お稽古していきたいです」(舞空)
圧倒的な歌唱力と高いパフォーマンス力を持つ礼、実力を兼ね備えた舞空が率いる星組公演。個性豊かなキャストが一丸となって、多彩な名曲で綴られる、ドラマチックなフレンチミュージカル大作に挑みます。
宝塚大劇場公演は2023年6月2日~7月2日。東京宝塚劇場公演は7月22日~8月27日。開幕まで、どうぞ楽しみにお待ちください。