冠協賛作品紹介

三井住友VISAカード ミュージカル
『GUYS AND DOLLS』
出演者インタビュー

鳳月 杏

『GUYS AND DOLLS』を最初に拝見したのが、2002年の月組公演でした。スカイを演じていらっしゃる紫吹淳さんの立ち姿やスーツの着こなしが本当にかっこよくて印象に残っています。そんなかっこいいギャンブラーのスカイが、サラとの距離が縮まって心を通わせていくなかで、これまで見たことのないような表情をされ、そのギャップがすごく魅力的でキュンとしました。そんな役に、宝塚の男役として挑戦できることがとてもうれしいので、そのときにいただいたトキメキや作品の楽しさを、お客様に味わっていただける作品になればといいなと思っています。

 初演の大地真央さん、星組の北翔海莉さん、そしてマーロン・ブランドさんの映画なども拝見しましたが、曲や物語の流れは一緒でも、時代によって作品の印象が変わると感じました。
 昨年末にイギリスの劇場で観劇したイマーシブバージョンはさらに違って、親しみやすくカジュアルな雰囲気でした。現代的にアレンジされたナンバーが多く、振付も斬新。観客がニューヨークの街の登場人物のような感じで演者との距離が近く、舞台を観ているというよりは『GUYS AND DOLLS』の世界に入っているような新しい感覚がありました。さまざまな国の方がありのままの自分で役に入り込んでいらっしゃるところも魅力に感じたので、私も自分らしく新しい気持ちで臨み、いまの月組らしく演じられたらと思っています。

 スカイはギャンブラーですが、実はすごくピュア。ナチュラルで自然体なところが一番の魅力だと思います。そんな男性を、男役を作ったうえで表現するというバランスが難しく、そこに自分の気持ちを乗せて演じるということが課題だと感じています。スカイは、暗い人ではないですが、「身軽に旅をする」というせりふがあるように常に1人で生きている。そして、ギャンブラーなのに聖書を読むような面白い人でもある。とても難しいですが、そんな分け隔てない“自由さ”を表現できたらいいなと思っています。

 今作は、稲葉太地先生による新たな脚色、演出、訳詞で上演されます。ブロードウェイ版の訳詞に忠実で、これまでの宝塚版にはなかったせりふもあります。ちょっとしたニュアンスが違うだけで役の印象も変わってきますし、とても話しやすく、より身近に感じられます。スカイが風間柚乃演じるネイサンさんと出会う場面もこれまでと違いますし、じゅり(天紫)が演じるサラと悠真倫さん演じる後見人・アーヴァイドのすてきな場面が入ったり。そういう一つひとつが、スカイとサラの気持ちや関係性にも影響があり、心情が深く描かれている印象があります。

 いまお稽古では、私もじゅりもまだ役の根本を探っているところですが、謎に使命感があるサラはじゅりにぴったり(笑)。ハバナの場面も、サラの内面が出てくるようなところを彼女らしく自然に表現できたら、さらにいいのかなと思っています。風間もネイサンにぴったりで、お稽古をしていてこの役にはこういう面もあったのだと発見することも。キャラクター同士のやりとりの面白さとリアルな感情の両立は難しいですが、風間はとても心強い存在なので、お芝居をしていて楽しいです。

 全員でゴスペル風に歌う場面もあり、お客様に希望や楽しい気持ちを感じていただけるような曲が多く、音楽の素晴らしさを日々感じています。そんな魅力的なナンバーに、宝塚らしさや男役のかっこよさをリンクしてお届けできたらと思っているので、楽しみにしていただけたら。そしてアデレイドは彩みちると彩海せらの役替わりですが、それによって作品の空気感もまったく変わります。その違いも面白いと思うので、ぜひ両方観ていただきたいです。

 月組は、普段から皆とても元気で笑いの絶えない組。その勢いと和気あいあいとした雰囲気を、アメリカのハッピー・ミュージカルにつなげていけたらと思っています。新しい 『GUYS AND DOLLS』も好きになっていただけたらうれしいです。

天紫珠李

 これまでの作品を映像で拝見しましたが、有名な楽曲をはじめ登場人物それぞれの曲が本当にすてきで印象に残っています。そして、いま実際にお稽古していると、こんなにも人間模様が深く描かれ、ハートフルな面のある面白い作品だったのだと改めて感じています。
 イギリスの劇場で拝見したとき、個性豊かな方々がそれぞれに印象深く演じられていて、この作品ではどんな風にでも自分の色を出していいのだなと感じました。

 サラは救世軍の女性軍曹ですが、強い意志があり、信念を貫いているからこそ堅苦しく見える。それを日本人的な感覚、生真面目さとは違うように表現できたらいいなと感じています。そんなサラがスカイに出会って、本当の自分が出てきてしまうチャーミングな部分も大事にしたいです。 ナンバーでの表現のほか、せりふだけのやり取りも結構ありますので、サラとして大切にしたいところはしっかり持ちつつも、鳳月さんのスカイに影響を受け変わっていく部分も新鮮に演じられたらと思っています。

 また今作は、台本だけでなく、歌詞もすべてこれまでの宝塚版とは変わっています。オリジナルに忠実な歌詞になっていて、宝塚版を聞いていて染みついている印象が抜けない部分もありましたが、再演するにあたって新しくトライさせていただけるのはとても幸せなことだと感じています。  お稽古場でも舞台でも、常に進化し続けていらっしゃる鳳月さんに付いていけるよう、私も恐れずにいろいろと挑戦し続けていきたいと思っています。

『GUYS AND DOLLS』は、お客様に口ずさんでいただけるようなすてきな楽曲ばかりです。笑顔になっていただける温かい作品ですので、いまの月組の魅力を余すところなく皆様にお届けできるように、更に深めてお稽古していけたらと思っています。