冠協賛作品紹介

三井住友VISAカード シアター 花組『エンジェリックライ』『Jubilee(ジュビリー)』出演者インタビュー

永久輝せあ

『エンジェリックライ』は、新生花組のスタートにぴったりな作品です。いろいろな悩みや葛藤、憧れを抱えながら生きている登場人物が、秘宝の指輪を巡るドラマのなかでそれぞれが前向きに変化していく物語なので、皆が新しい組の始まりに前を向いて取り組める。天界は天界の独特の世界観があり、舞台となる架空の島に訪れるセレブたちも派手で……。それぞれにパワーが必要なので、お稽古場でも良いエネルギーが流れています。

 お稽古のなかで、人間に対する天使らしさとは何かということを考えていて、人間が持ってない天使ならではのものを見つけたいと思っています。私が演じるアザゼルは、地上で初めて人間の不器用さを体感しますが、それぞれに「こうなりたい」「どうにかしたい」ともがく姿に人間の美しさを感じたのではないかな、と。みさきちゃん(星空)演じるエレナは、指輪を手にするために同盟を結ぶ相棒といった存在ですが、そのなかでお互いのことが見えてきて関係が深まっていった先に恋心が芽生えるのだと思います。

『Jubilee』は華やかで豪華なレビュー。プロローグから最後の戴冠式へとつながる構成になっています。宝塚らしいプロローグや中詰、フィナーレのほか、ほのかちゃん(聖乃あすか)を中心とした妖しい雰囲気の場面や専科の凪七瑠海さんを中心とした土着的なゴスペル調のシーン、スーツでの男役祭りもあり、いろんな場面を楽しんでいただけるのでは、と。下級生までいろいろな見せ場があり、たくさんの人の顔が見える作品になっているので、新しい花組を感じていただけるのではないかと思います。

 いざお披露目公演のお稽古が始まってみると、この立場になる前に想像していたことと、また少し違う難しさを感じています。みんなが踊っているときに1人だけ歌うとか、役割も求められることもまったく違い、いまは寂しさ半分、難しさ半分という気持ちです。いくら立場が変わろうとも周囲とのつながりを守ったままやっていきたいという願いがあるので、それをどうやって表現していくのか。心のコミュニケーションを大切に、みんなと同じ空気感のなかで存在するということを、これから考えていきたいと思います。私自身の状態が確実に組にも影響するので、何が組のためになるのかという自問自答を果てしなく繰り返しています。

 コンビを組むみさきちゃんとは、『冬霞の巴里』や『激情』、先日の『ドン・ジュアン』でお芝居しましたが、毎回違って、何が飛び出してくるかわからないドキドキ感がある。とてもチャレンジングな人で、体当たりのお芝居をするので、それが役の芯と重なったときには爆発的なパワーを発揮するところが、すごく面白い。お芝居が好きなんだろうなと感じるので、いろいろな作品にチャレンジして、さまざまな関係性の役柄を演じてみたいですね。

 最近、宝塚に憧れていたころの気持ちを思い出すことがとても多いです。この立場となり、宝塚らしい両作品に触れているからだと思うのですが、「自分がこういう舞台に憧れていたのだった」「こういう気持ちで入りたいと思っていたのだ」と。それは自分のなかですごく尊いことだと思っています。
 新生花組の始まりでもありますし、今作で卒業される方も3名いらっしゃいます。いまこのときにしかないものをしっかり噛み締めながら、自分にとっても組にとっても一度切りの機会を大切にしたいなと思っています。お客様には、この瞬間の、いまの花組を見守りに来てくださったらうれしいです。

星空美咲

『エンジェリックライ』ではトレジャーハンターのエレナを演じます。お稽古のなかで、人間らしさとは何かということを考えさせられることが多いのですが、人間って素敵だなと思います。それが良いことか悪いことかは置いておいて、それぞれがいろいろな思いや願いに向かって一生懸命に生きているさまがすごく人間らしくて素敵だな、と。
 エレナはアザゼルと出会ったことで、目の前の現実と向き合って、事実を受け入れられるようになり、自分自身の真実にたどり着くのだと感じます。ただの恋愛感情というより、本当の意味でお互いに信じ合う関係性なので表現するのが難しいのですが、アザゼルからいろいろな力や勇気をもらいますので、そういった面を伝えられたらと思っています。

『Jubilee』は、クラシック音楽をアレンジしたさまざまな楽曲が登場します。デュエットダンスはリストの「ため息」がアレンジされていますが、原曲とはまた違う雰囲気になっていて楽しみです。永久輝さんと踊らせていただく空気感、気持ちを大切にしたいなと思っています。

 永久輝さんはお芝居の振り幅がすごく、一緒にお芝居をしていて永久輝さんの目に心射抜かれる瞬間がたくさんあります。何でも教えてくださいますし、誰よりも努力されているお姿を見て、私ももっともっと頑張らなければと感じたり、いろいろなものをいただいています。これまでは自分のために頑張ってきましたが、いまはそれだけではなく、花組の皆さんのためなら頑張れると感じるようになりました。足を引っ張ってばかりですが、永久輝さんに全力でついていきたいと思っています。

 今回のエレナ役はこれまでとは違い、いつも隣にいて一緒に悩んでもがいて走っているような感覚があり、すごく新鮮です。役の生きざまからいろいろなものを感じていただけるように、一生懸命作ってきたいと思っています。『Jubilee』もとても宝塚らしい素敵な作品ですし、ご卒業される方から最後まで学ばせていただく気持ちも大事にしながら、お客様に感動していただける舞台をお届けできるように、精一杯頑張りたいです。