永久輝せあコーナー

今月のメッセージ

花組大劇場公演、開幕しています!

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるころには、花組公演『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』の大劇場公演が開幕しています。皆さま、ぜひ足をお運びください!

『元禄バロックロック』は江戸と似た国際都市・エドが舞台となっていて、セットや背景にもバロック風のテイストが入っているので、豪華。作・演出の谷貴矢先生のコンセプトで、お衣装も和装をベースにしながらもデザイン性があり、足下もブーツを履いたりしていて、とてもお洒落な雰囲気です。

 人にはそれぞれ、やり直したいことや取り戻したい人がいて、時間を巻き戻せたらいいのにと思うことがある。今作は「時を戻す時計」が重要なアイテムとして登場します。それを開発した柚香光さん演じるクロノスケを中心に、登場人物がそういう過去に対してどう向き合っていくのか、時を巻き戻す時計をどう使うのかなど、一人ひとりの旅路が描かれているように思います。

クラノスケの人物像について。

 クラノスケは、『忠臣蔵』にも登場する大石内蔵助がモチーフになっていて、水美舞斗さん演じる仇のコウズケノスケへの復讐に燃えている人物です。ただ、根底に『忠臣蔵』の大筋が流れてはいるものの、物事が起こる理由やそれぞれの動機や思いは、『忠臣蔵』と少し違い今作オリジナルのものです。杜けあきさんが主演された『忠臣蔵』を観て、大石内蔵助という人物のイメージを膨らませたりもしつつ、今回の台本においてのクラノスケがどういう役どころであるべきかをしっかり考えたいなと思っています。

 これまでに新選組など武士役を演じたときに、武士にとって「忠義」はあって当たり前のものであると思ってきましたが、今回「忠義とは何か」と答えを探している自分もいますし、クラノスケ自身もそうなのではないかという気がしていて……。『忠臣蔵』で語り継がれる大石内蔵助は、忠義や正義を貫くため、ただひたむきに奔走したと描かれていることが多いですが、今作の台本からは迷いや弱さもあるように感じますし、留まることのできない葛藤や、貫かねばという切羽詰まった狂気に近いようなものがあるのかなと思っています。

 柚香さんとお芝居することが多く、クロノスケとクラノスケは似た者同士というせりふも出てきます。名前や風貌が似ているだけでなくて、境遇や感じるものなど、もう少し深い意味での似た者同士ということなのかな、と。ただ、クラノスケ本人のなかにはいろいろな思いがありますし、全体から見れば忠義に走る男という位置づけではあるのかもしれません。

 谷先生からは、赤穂藩の主要人物として場面の中心を担ってほしいとおっしゃっていただきました。ほかの赤穂藩士とのお芝居も十分時間があるわけではないなかで、先頭に立っている人物であることをにじみ出さないといけないですし、また、大きく分けてクロノスケ、コウズケノスケ、赤穂藩の3者の対立構造みたいなものがあるので、その1つを担う意味でも説得力がないといけないというところが難しいです。そのことを踏まえて、これからどんどん深めていければと思っています。

『The Fascination(ザ ファシネイション)!』は……。

永久輝せあ 今月のメッセージ 『The Fascination(ザ ファシネイション)!』は花組誕生100周年を記念したショーなので、花にまつわる楽曲もたくさん出てきますし、100年分の花組の歴史が詰まっています。

 入団後、上級生の方からお借りした昔の宝塚の作品を観る機会も多かったのですが、どの方もとても大人っぽく、本当に素敵で学ぶことばかり……。そうやって観ていた作品の曲が出てきたりして、「この曲が!!」とテンションも上がっています(笑)。

 私は、ミモザの花をテーマにした場面に出演します。ミモザは、越路吹雪さんの『ミモザの花』が上演されて以降、ミモザをテーマにした数々の場面が作られていて、花組にとてもご縁のあるお花。今回は、フランスの伝統的な「ミモザ祭り」を舞台に、軍服を着た士官たちと町の娘たちの恋のときめきを表現する、クラシカルな場面となって表現されます。

 大尊敬している大浦みずきさんの作品『フォーエバー!タカラヅカ』の1場面を再現する、柚香さんとまどかちゃん(星風まどか)を中心としたシーンもあり、その当時出演されていた御織ゆみ乃先生が振付をしてくださいます。大浦さんファンの方々や長年の花組ファンの皆様のなかでは、とても有名な場面。私も観たときに本当に素晴らしくて感動したシーンだったので、楽しみな反面とても身が引き締まります。場面のメンバーとともにいま必死にお稽古している最中です。

 花組メドレーはレビューらしさに心躍りますし、ジャズやラテンのテイストが入った小粋なシーン、スタイリッシュな新場面など、さまざまな雰囲気が詰まっています。『元禄バロックロック』『The Fascination(ザ ファシネイション)!』、どうぞお楽しみになさってください。

最近ハマっていること。

 観たかった他組の舞台や外部の作品を全然観られていなくてとても残念なのですが、先日の雪組新人公演『CITY HUNTER』を配信で観ることができました。新人公演という学びの機会があるのはすごく大きなことだなと皆の姿を観ていて思いましたし、自分のことを振り返ってみてもそう。花組でも今作から新人公演が復活するので、楽しみです。

 また、最近のおうち時間では、YouTubeなどの動画で、スタジオジブリの音楽のピアノ集やスムースジャズが流れる暖炉の映像などを楽しんでいます。好きな音楽や温かい炎の映像に気持ちが落ち着くんです。皆様は、どんなおうち時間を過ごされていらっしゃいますか?

※このメッセージは、10/18(月)のものです。

テーマ:「秋にオススメの映画」

  • ◎『スウィート・ノベンバー』

    このタイトルなので、11月にぜひ!と(笑)。キアヌ・リーブスさん演じる仕事一筋の男性が、シャーリーズ・セロンさん演じる一風変わった女性と出会い、人生が癒やされていくという物語です。20年も前の映画ですが映像も美しく、昔から好きだったエンヤさんの曲「Only Time」が使われているシーンもとても素敵です。
  • ◎『ワン チャンス』

    人気オーディション番組で歌声を披露して一躍有名になったオペラ歌手ポール・ポッツさんの実話を元にした作品で、ハプニング続きの人生の末、最後は勝利をつかむサクセス・ストーリー。タイトルは「一度のチャンス」ですが、幾度も訪れるきっかけに自分が逃げずに向き合うかどうかという話にも思えて、勇気をもらえる映画です。
  • ◎『クレイジー・リッチ!』

    恋人が実はすごい大金持ちだったという、ただのシンデレラ・ストーリーと思いきや、文化の違いや格差の問題が込められていたりして、とても面白いです。主人公の女性の芯の強さも魅力的で、作品全体としては爽快な雰囲気ではあるのですが、いろいろな意味でとっても心に残る映画でした。今回は、芸術の秋にオススメの自分をワンランクUPできそうな3作を選んでみました!