永久輝せあコーナー
今月のメッセージ
お芝居で演じるサンドのお話。

今回のお芝居で私が演じるジョルジュ・サンドは、柚香光さんが演じられるリストの恋人であるところから始まります。恋人であると同時に、芸術家としての同志であり理解者でもあるので、中盤で彼がパリを捨てて逃げたことに対して憤りを感じます。サンドにとっても、この作品においても、“パリ”は特別な街。“パリ”で成功する、居場所を築くということは、ほかの街とは全然違う意味を持っていると思います。リストの才能を誰よりも理解していて、「このままでいいのか」と本人以上に思っているからこそ、もはや「このままでいい訳がない」と確信があるからこそ、ジュネーヴまで追いかけていきます。そこに女の嫉妬が混ざっているところがサンドらしく、私は大好きです(笑)。
その後リストはパリで「象牙の戦い」といわれるタールベルクとの演奏対決をします。その演奏で、かつて聴いたことがないようなピアノの音、まどかちゃん(星風まどか)演じるマリーとの出会いで安らぎを得たからこそ出てきた彼の新たな部分を感じ、毎回心が動くのを感じます。マリーとの出会いが彼を変えたということを演奏で思い知らされ、ガラガラと崩れていくような恋が終わる音がするのですが(笑)、それ以上にリストの才能が花開いていることに対しての大きな喜びがあるので、変な執着心はありません。そこもサンドのかっこいいところだと思っています。
水美舞斗さんが演じられるショパンは、密かにサンドのことをずっと想ってくれています。芸術への野心は相反する人ですが、あまり描かれていないショパンとの後半のシーンにつなげるために、前半から彼の存在を意識して表情を目でとらえるように気をつけています。実は、リストをジュネーヴまで追いかけて行くときも、ショパンはサンドの鞄を持っていてくれているんです! お稽古場で水美さんが自分が持ちたいとおっしゃったとお聞きして、すごくうれしく、ショパンへの愛おしさを感じました。
マリーに対しては恋のライバルでもありますが、それよりも女だからといって男性の後ろに控えて行動しないのが腹立たしい。「自分の足でちゃんと立って生きがいぐらい見つけなさいよ!」と叱咤激励する気持ちのほうが大きいです(笑)。同じ女性だからこそ、特にそういう思いを抱くのかな、と。そう思うと、サンドは実は優しい人だと感じます。
恋人役を演じて感じる、驚きの変化。
柚香さんがリストの格好をされていると本当にかっこよくて、冒頭のシーンでピアノを弾かれているときも一番近くで見られますし、照明も相まってとても美しく、毎回見とれてしまいます(笑)。実際に柚香さんが弾いていらっしゃるピアノの音を聞くと、サンドとしての気持ちも高ぶります。
昨年の東京国際フォーラム公演『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』では婚約者役でしたが、今回は本当の恋人役ということで、初めての距離感で……。それは水美さんに対しても同じで、とても新鮮です。いつも男役として「お2人にしっかりついていかないと!」「背中を見て学びたい」と感じているのですが、恋人役としてより深く懐に入っていくなかで、「いま、こういう風に感じていらっしゃるのでは」と以前より感じられるようになった気がして、それがショーでも生かされているのかな、と。いままでとは全然感覚が違いますし、自分でも驚くくらい変わったと感じます。
昨年の東京国際フォーラム公演『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』では婚約者役でしたが、今回は本当の恋人役ということで、初めての距離感で……。それは水美さんに対しても同じで、とても新鮮です。いつも男役として「お2人にしっかりついていかないと!」「背中を見て学びたい」と感じているのですが、恋人役としてより深く懐に入っていくなかで、「いま、こういう風に感じていらっしゃるのでは」と以前より感じられるようになった気がして、それがショーでも生かされているのかな、と。いままでとは全然感覚が違いますし、自分でも驚くくらい変わったと感じます。
みんなが生き生きとしたショー。

デザイナー役として出ているファッションショーの場面では、フリルの付いたブラウスに十字架のネックレス、少し形が違う変わり燕尾のお衣装。稲葉太地先生からはジョン・ガリアーノさんという有名なファッションデザイナーをイメージしているとお聞きしたので、そこからイメージを膨らませました。にぎやかで楽しい場面なので、威厳のない細めの髭を付け、先生と相談しながらサングラスを選びました。
一番印象的なお衣装は、フィナーレナンバーのロングコート。振付がついた当初からかっこよすぎて、お稽古場で踊り終わるたびに自分たちで拍手してしまうくらい(笑)。宝塚や男役に対しての憧れ、ロマンが詰まっている、みんなのお気に入りの場面です! フィナーレでは、今作で退団する音くり寿ちゃんと一緒に踊れるのもとてもうれしい。いろいろな作品でご一緒してきたので、最後に組めて良かったです。
そんなフィナーレや先月お話しした「Fashionable Moment」のシーンなど、場面や振付に対しての愛情を一人ひとりが持っていることがすごく素敵ですし、だから良いものが生まれるのかなと、毎日ひしひしと感じています。ショーの最中に、柚香さんやまどかちゃん、水美さんをはじめ、皆さんとすごく目が合うんです。全員で一緒に作っている感覚が心地よく、とても楽しい! 皆が同じ方向を向いていて、組全体が生き生きしているのを感じます。
稲葉先生がおっしゃるように「観ていただいた方の背中を押す、応援する」というテーマのショーですが、演じている自分たちが生き生きとしている姿、楽しんでいる姿をお見せすることが、この状況下でもお客様に元気になっていただける第一歩になるのかなと思っています。東京宝塚劇場公演もどうぞよろしくお願いいたします!
※このメッセージは、7/10(日)のものです。
半期に一度のスペシャル企画
心に残った一枚やお気に入りの一枚など、永久輝せあが撮影したベストショットを特別にコメント付きで掲載!

8月更新分とのことなので。去年の誕生日にお祝いしてくださった花組の方々が、壁のかざりつけをしてくださったのですが、膨らませる時にBIRTH DAYのHだけ勢い余って破裂してしまったみたいで...それさえも愛おしくて本当に嬉しかったので、記念の写真です!

昨年の全国ツアーで訪れた横浜で撮った空の写真です。太陽の周りをぐるっと虹がかかっていて、なんだか良いことがありそう!と思ってしばらくの間携帯の待ち受け画面にしていました!

