永久輝せあコーナー

今月のメッセージ

花組公演『二人だけの戦場』について

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるのは、東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場) で5月13日〜19日まで上演される花組公演『二人だけの戦場』の開幕直前ですね。
 同作の梅田芸術劇場メインホール公演をご観劇いただいた皆様、ありがとうございました。

『二人だけの戦場』は、1994年に一路真輝さんと花總まりさん主演で初演されました。映像で拝見していて、時代背景や社会情勢の複雑さは感じましたが、後半にかけての人間ドラマにどんどん引き込まれ、男の友情も胸に響いてとても素敵な作品だなと感じました。

 軍人の役はこれまでも演じる機会がありましたが、ここまで精神面において「軍人たるものとは」と突き付けられた作品はなかったので、とても興味深かったです。士官学校の厳しい訓練では、肉体面だけでなく精神面も徹底的にたたき込まれ、どんな試練が起こっても、培った精神力でどうにか耐えていく。それが表現されているシーンもあり、軍人の強さに改めてハッとさせられました。

 ほかに、異なる民族が暮らす町の場面が、明るくてエネルギーが満ちあふれていて、西洋や東洋ともまた違った雰囲気が素敵で印象的でした。また、5年後の裁判の場面が途中に何度か挟まる構成なのですが、そのシーンでのクリフォード役の轟悠さんのお芝居が男らしく深みがあって、とても魅力的でした。

男の友情の根底には……?

永久輝せあ 今月のメッセージ  私が演じる軍人のクリフォード・テリジェンは、柚香光さんが演じられるエリート軍人、ティエリー・シンクレアの士官学校の同期であり、友人。真っ直ぐで純粋なシンクレアに対し、没落貴族の三男坊であるクリフォードはそこまで優等生ではなく、ちょっとお茶目な部分や不真面目なところもある青年です。柚香さんとは『はいからさんが通る』でも友人役をさせていただきましたが、ここまで強く友情関係が描かれている役は初めてなので、とても楽しみです。

 まだ役を深めている最中ではありますが、クリフォードにとってシンクレアとの友情が、彼のなかの原動力になっていると考えています。5年後の裁判の場面でも、クリフォードは罪を犯してしまったシンクレアを弁護しますが、彼のためにここまで必死になって助けようとする根底には何があるのか……というところを追求していきたいと思っています。

 シンクレアとクリフォードは、独立派の勢力が強いクロイツェルという自治州にある基地に配属されますが、理想を掲げて自ら希望したシンクレアとは違い、クリフォードは嫌々赴任する。シンクレアが、まどかちゃん(星風まどか)が演じるライラなどの異なる民族に肩入れすることに心配をしつつも、そこまで思うシンクレアの姿に何かしらの影響を受けたことが、その後の彼を救う裁判につながっていっている気がします。お稽古場では柚香さんと「クリフォードって本当にいい友達だよね」とよく話しています(笑)。「友達なんだ」というせりふも何回か出てくるので、大切に演じたいです。

作品の印象は……。

『二人だけの戦場』は戦争という深いテーマが描かれていて、重い裁判シーンもありますが、クスッと笑える場面などユーモアもある作品です。そして、シンクレアの正直で純粋な人が持つ思いの強さや、ライラなど異なる民族が持つ生きることへの力強さなど、ほとんどの登場人物が前を向いてエネルギーに満ちあふれているので、そういった雰囲気を感じていただけるのではと思います。

 正塚晴彦先生というと、私は特に『メランコリック・ジゴロ』という作品が大好きで、先生が書かれる歌詞はどれもとても素敵なので、ファン時代によくカラオケでも歌っていました(笑)! 入団してからは、雪組公演『私立探偵ケイレブ・ハント』で初めてご一緒して、主演のちぎさん(早霧せいな)のお稽古もずっと見学させていただいていたのですが、先生のアドバイスによってお芝居が変わったり、現実味を増していったり……。先生の演技を引き出す言葉もとても面白く、すごく楽しかったです。またいつか先生の作品に出たいなとずっと思っていたので、念願がかなってとてもうれしいです!
 先生の作品は“リアル芝居”と表現されることが多いと思うのですが、個人的には、どのくらい自然でリアルな振る舞いかというよりも、どのくらい感情を自分の身にリアルに感じられるかいうことが求められるような気がしているので、心してお稽古に励みたいと思います。

春といえば……。

 皆様は、お花見はされましたか? 私は、近くの桜スポットを車で通ったりしたくらいですが、すごくきれいでした! みんなで毎年お花見したいね!と話していて、本当は夙川などに行きたいのですが、いつもお稽古中なのでなかなか行く機会がなく……(笑)。下級生のときに同期と夙川のカフェに行って以来、ちゃんとお花見はできていないかもしれません。

 そして春といえば、卒業、入学シーズンですよね。
私はやはり、宝塚歌劇団に入団したときのことを思い出します。2011年の春はファンだった真飛聖さんがご卒業された時期なのですが、少しだけ一緒に劇団に在籍できてうれしかったです。初舞台生としてお稽古場に通っているときに、お見かけする機会が何度かあり、夢のようでした!
 初舞台の星組宝塚大劇場公演『めぐり会いは再び-My only shinin’ star-』では、ロケットを羽山紀代美先生が振付してくださりうれしかったですし、振付もお衣装もかわいくて楽しかった覚えがあります。小さい星が集まって大きな星になり、最後のラインダンスで心が1つになるという構成で、いかにエネルギーを出して生き生きと踊るかということに必死になっていました。

 初日の出番前、袖で待機している瞬間も覚えています。稽古で舞台に立つことはあっても、お客様がいる空間は初めてだったので、「いよいよこの板の上に立つんだ」という実感がすごくありました。舞台に飛び出した瞬間の劇場の雰囲気、最後にパレードで柚希礼音さんをお迎えしたときに、「夢がかなったんだ」と感じたことを覚えています。
 新生活を始められた皆様、頑張ってくださいね!

※このメッセージは、4/14(金)のものです。

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テーマ:「お稽古の必需品」

  • ◎『譜面ファイル』

    まず譜面をいただいたら穴を開け、見やすく、歌いやすいようにファイリングしています。公演ごとに中身は入れ替えますが、ファイル自体は同じものを使用していて、上級生や下級生にもらった千社札などを貼ってデコレーションしています。譜面には歌詞のほかに、先生からのアドバイスを書き込んだり、重要なところを囲ったりしています。
  • ◎『シャーペン』

    昔はボールペンを使っていましたが、書き込む量が増え、無駄なものを消したりしたいので、シャーペン派になりました! 上に繰り出し式の消しゴムがついたお気に入りのシャーペンがあり、よくなくすので、いつも同じものを買い足しています(笑)。いまは花組カラーのピンクのシャーペンを使っていて、譜面やノートに書き込んでいます!
  • ◎『ノート』

    基本的には1公演1冊、ノートを用意して、台本の第一印象や、思ったこと、閃いたこと、大事にしたい言葉、先生のアドバイスや調べたことを書き込んでいます。頭の中を整理するのにすごく良くて……。いまはA5サイズの無地の自由帳を使っています。たまに、あのときどう思っていたのかなと昔のノートを取り出して見ることもあります。