冠協賛公演コーナー

三井住友VISAカード ミュージカル『ロミオとジュリエット』演出家インタビュー

潤色・演出 小池修一郎

 いま私たちのようなライブパフォーマンスを中心とするエンターテインメントは、コロナ禍でとても難しい立場に置かれています。
 そんな人類にとって未曽有の危機に直面するなかで、愛というものをもう一度考える機会となったと思います。人は愛がなくては生きていけないし、愛だけが救うことができるものもある。単に恋愛というだけでなく、他人への愛や慈しみも含め、さまざまな愛を発信しているのが『ロミオとジュリエット』という物語。こういった時代だからこそ、それをより感じていただけるのではないかと思っています。

 今作でロミオを演じる礼は、その傑出した歌唱力で知られますが、公演延期、自粛期間中に自分を磨き、前よりも確実にうまくなっている。技術はもちろん、音楽が表現しようとしているものを、優れた感受性とアンテナで捉えてきちんと構築できている。彼女が成長を遂げ、その域に達したということは本当に素晴らしいこと。作詞・作曲を手掛けたジェラール・プレスギュルヴィック氏の、心をくすぐる陶酔感のある音楽を、礼であれば的確に表現してくれると思います。

 役としては、悲しみの深さをも表せるロミオになるのではないでしょうか。音楽を分析して理解する優れた力からアプローチしていけば、役の深いところまで表現できるのではと期待しています。

 舞空は、初々しくてかわいらしいジュリエットになると思いますが、それだけでない濃い女性像を出せるのではないかな、と。ジュリエットは純情可憐な乙女なだけではなく、ロミオを愛し、愛を獲得するために行動する強さや激しさもある。舞空はそういうところまで、表現してくれるだろうと思っています。ただかわいいだけのジュリエットでは、礼のロミオには物足りない。なんとか生き延びようとするジュリエットの情念、リアリティが出てくれば、すごいジュリエットになるかもしれません。

 ほかに、いまの星組メンバーを生かしたいと、今作には多くの役替わりがあります。
 愛月ひかるは、ティボルトと“死”の役替わり。ティボルトのパッションを巧みに表現すると思いますし、死も魅力的だろうと思う。どちらも楽しみです。瀬央ゆりあも、ティボルトとベンヴォーリオの役替わり。礼と同期なのでベンヴォーリオの親友感は問題ないですが、歌は大きな挑戦。ティボルトのような色敵役も、演技力を広げるにはとてもいい役だと思います。

 ほかにも星組メンバーがさまざまな役を演じます。アンサンブルにも、“明日、もしくは明後日”のスターがいますから、AとBの両パターンを観ていただければ星組のいまの魅力に触れていただけると思います。

 礼、舞空は秀でたダンサーでもあります。少しですが踊る場面もありますし、フィナーレもそのダンス力で決めてくれるのかなと楽しみにしています。
 そんな2人を中心とする星組公演、ぜひ楽しみにご覧くださいませ。