永久輝せあコーナー

今月のメッセージ

お芝居で感じたこととは……。

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるころには、花組東京宝塚劇場公演『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』『GRAND MIRAGE!』が千秋楽を迎えていると思います。ご観劇いただいた皆様、ありがとうございました!

『鴛鴦歌合戦』で私が演じた丹波守については、宝塚大劇場公演から特別な変更点はないのですが、先月もお話しした柚香光さん演じる礼三郎さんが実の兄だったことが発覚する最後の場面では、東京公演になってからより新鮮に気持ちが動くような気がしています。
 その場面で特に感じたのは、丹波守はやはり性格的にも「弟」なんだなということです。実の兄がいるのに長男のような立場に置かれている居心地の悪さみたいなものは、自覚はないにしてもずっとあったのではないかな、と。最後に礼三郎さんと対面してやっと兄弟がそろったときに、「立場を受け入れることこそ、生きる道だ」と兄からの言葉を受けて、ようやく収まるべきところにすっぽり収まった感じがしました。

 ほかにも花咲藩のメンバーも、それぞれが自分の役にできるチャレンジをするようになったりして、粒立ってきたようにも感じました。劇中劇の『平家物語』の場面を観ているシーンでも、紫門ゆりやさん演じる蘇芳さんたちの日替わりのお芝居が楽しくて。特に、骨董にまったく関心のない蘇芳さんは本気で寝ていそうなときもあったりして(笑)、細かい作り込みがすごく面白かったです!

衣装や髪型にもこだわったレビュー。

永久輝せあ 今月のメッセージ 『GRAND MIRAGE!』で印象的なお衣装というと、「ボレロ・ルージュ」の真っ赤なお衣装。柚香さんとまどかちゃん(星風)の黒のお衣装に対して、皆が真っ赤なお衣装を着ているというのも情熱的で素敵だな、と。私のお衣装は上着の裾が2枚重ねで、内側はレースで外側はプリーツになっているのがおしゃれで、とても好きでした。

 中詰めの「シボネー・コンチェルト」も、ラテンの場面によくあるジャンプスーツと呼ばれているものではなく、腕とパンツに少しフリルが付いているスマートなお衣装。お稽古中はそこまでイメージが湧いていなかったのですが、実際に舞台で衣装を着けてみてから、袖のフリルが生きるようにより大きく踊るようになりました。どのシーンでもそうですが、特にラテンの場面ではお衣装がきれいに、効果的に見える踊り方を意識しています。
 柚香さんとまどかちゃんのデュエットダンスで歌わせていただくときの、身も心もお2人や楽曲、場面に向き合うようなシンプルな白燕尾も印象的です。

 髪型については先月もお話ししましたが、「夜の街の幻影」の場面でも振付の謝珠栄先生のご要望で、場面の雰囲気の参考にと見せていただいたダンス映像からイメージした髪型にしています。男役は前髪を立てたリーゼントにすることが多いので、あえてピタッとさせるのは初挑戦。日によって変えるときもありますが、だいたいその髪型にチャレンジしていました!

『GRAND MIRAGE!』は、岡田敬二先生のロマンチック・レビューシリーズの22作目。私が好きな宝塚の世界観だなとひしひしと感じますし、観に来てくれた同期もそう言ってくれたりして、うれしかったです。男役が最高にかっこよく、娘役が最高に美しく見えるように岡田先生のこだわりが詰まっていて、袖から見ている場面も、演じる場面でもとても素敵だなと感じます。憧れた宝塚歌劇の作品に出演しているという実感が持てる、幸せなレビューでした。

とてもお世話になったお3方の退団。

 東京宝塚劇場公演の千秋楽で、航琉ひびきさん、和海しょうさん、同期の春妃うららが退団されました。お3方との思い出を少しお話ししたいと思います。

 キョンさん(航琉)は、本当にお優しい方です。私が花組生として初めて出演した『DANCE OLYMPIA』のとき、キョンさんが座長さんでいらしたのでいつも気にかけてくださり、いろいろと面倒をみていただきました。組のことを何もわからず、気を遣ってしまう状況で、会話の輪に入りやすいように声をかけてくださり、とてもお世話になりました。

『鴛鴦歌合戦』でも、少しですが同じ場面に出られてうれしかったです。丹波守がキョンさん演じられる道具屋六兵衛の店にショッピングに行くとき、和海しょうさんと綺城ひか理が話している間、狩野探幽の掛け軸を眺めながら話すアドリブのお芝居をしていて、毎回楽しみでした。キョンさんはとても頭の回転が速い方なので、すごく絶妙な返しをしてくださって……。「ここは汚れじゃないのか?」とケチをつけても「それは探幽の手垢で大変貴重なもので……」とか、「シワシワ過ぎないか?」と言っても「シワ加工の高価な紙なんだ」とか(笑)。あることないことを言われて、丹波守は毎回言いくるめられるのですが、それがすごく楽しかったです。
 本好きのキョンさんから誕生日プレゼントに本をいただき、私もキョンさんのお誕生日にお気に入りの本をプレゼントしたり、思い出がたくさんありますね。

 和海しょうさんとは、実は私が研1のときからご縁があります。組回りで花組の『ファントム』に出演したとき、当時研4でいらした和海さんのことが大好きで、常に付いて回っていました(笑)。早替わりをする部屋に持っていく岡持ち(籠)やペットボトルキャップなどにデコレーションしてプレゼントしたりしていましたね。

 それから時が経って同じ組で再会し、『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』ではアイリーンのパパ、『冬霞の巴里』ではオクターヴのパパと、お役のご縁もあってとてもうれしかったです。一緒にお芝居をするときも、話し合うというより、お芝居を合わせたときにお互いが感じたものを表現するというような感じで、お稽古も含め、一緒の時間を過ごせて幸せでした。

 和海さんは場面や自分の役にしっかり向き合われて、こだわりを持って演じられている印象があり、常にコンディションを保たれ、舞台姿がぶれないところを尊敬しています。芝居は回を重ねると崩れやすいものなので、そういうときにあるべき道筋を示してくださる上級生でした。研1のときから変わらず、大好きな方です。

 そして、同期のゆかり(春妃)。思い出がたくさんあり過ぎるのですが……音楽学校時代からよく一緒に出かけたりしていて、仲良くしてもらっていました。予科生のとき、イベントや文化祭で本科生の方々の身の回りのお手伝いをする"舞台係"を半年間一緒に務めていて過ごす時間が長かったので、その印象が強いです。

 ゆかりは、その当時からいままで、まったく変わらない。穏やかで優しくて、人のために気を配る女性で控えめ。とっても素敵な人なんです!! 花組で上級生の背中を見てどんどん素敵な娘役さんになって、私は同期ながらに「なんて素敵な娘役さんなんだろう」とずっと思っていたので、今作でやっと相手役を演じられてとてもうれしかったです。化粧前にお花を飾ってくれたり、日頃の気遣いや優しさが本当に素晴らしくて。『DANCE OLYMPIA』でも組に慣れていない私を気にかけて、いろいろと助けてくれましたし、その後の小劇場公演も一緒なことが多かったので、本当に寂しいです。

 千秋楽には、同期3人で手作りのジャージをプレゼントしました。私を含め男役3人ですが、ゆかりがいないときに打ち合わせをしたり、こそこそと縫ったりして……。多分バレていたと思いますが(笑)、自信作ができました! 喜んでくれていたらうれしいです!

※このメッセージは、9/15(金)のものです。

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テーマ:「秋に食べたい料理」

  • ◎『銀杏の炊き込みご飯』

    銀杏が好きなのはよくお話ししていますが……秋になると食べたくなりますね。実家近くの和食店に行ったときにも、締めが銀杏の炊きこみご飯だったりすると、「やった!」と大喜びします(笑)。子供の頃は茶碗蒸しに入っているのをよけていたりしたのに、大人になってどんどん好きになりましたね。
  • ◎『サンマ』

    秋といえばサンマですよね!スダチと大根おろしをかけたサンマ、想像するとすごく食べたくなります。秋を感じながら、団扇でパタパタと風を起こしながら焼きたい。……そんな機会はないですけど(笑)。やっぱり和食はいいですね。つくづく日本に四季があることがうれしいですし、食べ物がおいしい秋は楽しみが多いです。
  • ◎『安納芋のスイーツ』

    お店に行くと、クリやイモのスイーツを見かける季節になってきました。甘い物はそんなに食べないのですが、安納芋と書いてあるとついつい手に取ってしまう(笑)。ケーキやプリンなど、たくさん安納芋のスイーツがありますよね。さらに「季節限定」などと書いてあると、思わず買ってしまいますね。