永久輝せあコーナー
今月のメッセージ
さまざまな面を持つフリードリッヒ。
花組宝塚大劇場公演『アルカンシェル』〜パリに架かる虹〜が、2月10日に開幕しました。ご観劇いただいた皆様、ありがとうございました!
私はこの作品で、ドイツ人の文化統制副官のフリードリッヒ・アドラーを演じています。舞台の幕が開き、ドイツ軍の一員として軍服を着ていると、アルカンシェルやパリの人々とのあからさまな立場の違いをより感じるようになり、フリードリッヒの立場の難しさを改めて実感しています。
エンターテインメントの力を信じるフリードリッヒ自身の夢や、国やアイデンティティに関係なくみさきちゃん(星空美咲)演じるパリの女の子・アネットに恋する1人の青年というパーソナルな部分もありつつ、特に2幕はドイツ軍に属して戦争という特殊な状況を体感している最中の人物でもある。彼の核はどこなのか、どこのバランスをどう取るのか……居所のない、自分が何者かわからないような感覚になりますが、ある意味それで良いのかなとも感じています。パリに心を傾けすぎても、もしくはドイツへの忠誠心に偏りすぎてもフリッツ(フリードリッヒ)ではない気がして。それは、1人の力ではどうにも抵抗できない"戦争"という大きな状況下における、ある種の"戦わない"という彼なりの闘い方なのではないかと想像します。
また、お稽古当初はフリッツの人間らしさやかわいらしい部分を意識して作っていましたが、最近は軍隊に属する人物としての在り方、心の動きがもう少しあってもいいのではと考えています。彼はもともとドイツでラジオの音楽番組を作っていたという過去があるので、「自分の良さを生かせる仕事をしていたい」「自分の得意分野で、技量に見合う評価をもらいたい」という男性らしい部分も必要なのかな、と。
輝月ゆうまさん演じるコンラート大尉に立場上逆らえず悔しい思いをしたり、男としてのプライドが傷つく瞬間もありますが、どんどん降格して異動させられるなかでも、「自分の考えは間違っていない」「自分の価値観は曲げない」という反抗心のような部分も意識するようになりました。
私はこの作品で、ドイツ人の文化統制副官のフリードリッヒ・アドラーを演じています。舞台の幕が開き、ドイツ軍の一員として軍服を着ていると、アルカンシェルやパリの人々とのあからさまな立場の違いをより感じるようになり、フリードリッヒの立場の難しさを改めて実感しています。
エンターテインメントの力を信じるフリードリッヒ自身の夢や、国やアイデンティティに関係なくみさきちゃん(星空美咲)演じるパリの女の子・アネットに恋する1人の青年というパーソナルな部分もありつつ、特に2幕はドイツ軍に属して戦争という特殊な状況を体感している最中の人物でもある。彼の核はどこなのか、どこのバランスをどう取るのか……居所のない、自分が何者かわからないような感覚になりますが、ある意味それで良いのかなとも感じています。パリに心を傾けすぎても、もしくはドイツへの忠誠心に偏りすぎてもフリッツ(フリードリッヒ)ではない気がして。それは、1人の力ではどうにも抵抗できない"戦争"という大きな状況下における、ある種の"戦わない"という彼なりの闘い方なのではないかと想像します。
また、お稽古当初はフリッツの人間らしさやかわいらしい部分を意識して作っていましたが、最近は軍隊に属する人物としての在り方、心の動きがもう少しあってもいいのではと考えています。彼はもともとドイツでラジオの音楽番組を作っていたという過去があるので、「自分の良さを生かせる仕事をしていたい」「自分の得意分野で、技量に見合う評価をもらいたい」という男性らしい部分も必要なのかな、と。
輝月ゆうまさん演じるコンラート大尉に立場上逆らえず悔しい思いをしたり、男としてのプライドが傷つく瞬間もありますが、どんどん降格して異動させられるなかでも、「自分の考えは間違っていない」「自分の価値観は曲げない」という反抗心のような部分も意識するようになりました。
アルカンシェルの人々への思い。
柚香光さん演じるマルセル、まどかちゃん(星風まどか)演じるカトリーヌを中心とするアルカンシェルのメンバーとは、最初はだいぶ警戒されていますし、ドイツ軍側としても「信用できるのかわからない」という関係性から始まります。鬱屈とした状況から解放を求めるドイツ兵のため、ジャズシーンの上演を提案しますが、それは同時にやりたいものではなく、ドイツ軍に必要とされるものを押しつけられる状況にあるアルカンシェルの人々にとっての解放でもあると、私は思っています。
そんなフリードリッヒのエンターテインメントへの思い、熱意や熱量が伝われば、パリの人たちも100%自分を信じてくれなくても心は動くのではないかな、と。そしてフリードリッヒとの出会いがアルカンシェルのメンバー同士をつなぐきっかけになれたらいいなと、そう信じながら演じています。
マルセルとはエンターテインメントへの思いだけでなく、お互いに大切な人がいる男同士の友情みたいなものも感じています。もちろんドイツ人とフランス人という超えられない境界線はありますが、目の前にしたときの彼の心、自分の心に嘘がないというのはお互いに伝わると思いますし、「君ならできるだろう」というせりふもあるように、マルセルならやってくれると信頼する部分が大きいように思います。
カトリーヌに対しては、彼女が持つ歌の力はすごく魅力的ですし、思いの強さはフリッツとしてもすごく影響を受けます。だからこそ救いたいし、マルセルの元へ返したいと思う。ドイツでカトリーヌと再会する慰問のシーンは、とてもメッセージ性がある場面で毎回演じていて涙が出ます。自分が責任を取り切れずにひどい目にあってしまった人への償いの思いや、この人たちを守りたいという思いが奮い立ち、フリッツの意志を感じる場面です。
今作は『はいからさんが通る』以来の、大劇場公演の1本物です。普段のお芝居とショーの2本立ても好きですが、やはり3時間かけて上演するだけあって私たち自身もじっくりと役に向き合えますし、1本物だから見せられる作品のスケール感があります。 さまざまな面を持つフリッツはとても魅力的で面白い人物なので、公演中も深めていきたいと思っています。皆様、劇場でお待ちしております!
そんなフリードリッヒのエンターテインメントへの思い、熱意や熱量が伝われば、パリの人たちも100%自分を信じてくれなくても心は動くのではないかな、と。そしてフリードリッヒとの出会いがアルカンシェルのメンバー同士をつなぐきっかけになれたらいいなと、そう信じながら演じています。
マルセルとはエンターテインメントへの思いだけでなく、お互いに大切な人がいる男同士の友情みたいなものも感じています。もちろんドイツ人とフランス人という超えられない境界線はありますが、目の前にしたときの彼の心、自分の心に嘘がないというのはお互いに伝わると思いますし、「君ならできるだろう」というせりふもあるように、マルセルならやってくれると信頼する部分が大きいように思います。
カトリーヌに対しては、彼女が持つ歌の力はすごく魅力的ですし、思いの強さはフリッツとしてもすごく影響を受けます。だからこそ救いたいし、マルセルの元へ返したいと思う。ドイツでカトリーヌと再会する慰問のシーンは、とてもメッセージ性がある場面で毎回演じていて涙が出ます。自分が責任を取り切れずにひどい目にあってしまった人への償いの思いや、この人たちを守りたいという思いが奮い立ち、フリッツの意志を感じる場面です。
今作は『はいからさんが通る』以来の、大劇場公演の1本物です。普段のお芝居とショーの2本立ても好きですが、やはり3時間かけて上演するだけあって私たち自身もじっくりと役に向き合えますし、1本物だから見せられる作品のスケール感があります。 さまざまな面を持つフリッツはとても魅力的で面白い人物なので、公演中も深めていきたいと思っています。皆様、劇場でお待ちしております!
宝塚音楽学校受験の思い出は……。
3月は宝塚音楽学校の受験シーズンなので、この時期になると思い出します。
私は宝塚歌劇を好きになってから受験までにあまり時間がなかったので、短期集中で準備しました。バレエは幼少期から習っていましたし、中学・高校が音楽に力を入れている学校だったので歌うことも好きでしたが、受験となると声楽や面接の練習も必要だと思い、最後は大好きなバレエスクールを辞めて、受験スクール1本に絞りました! 学校の友達には受験することを伝えていなかったので、学校に通いながら放課後は受験スクールに行くという日々はとても忙しかったです。
自分のなかで、「絶対に受かってやる!」「受かりたい!」という気持ちはすごく強かったです。たとえ歌やダンスが上手だったとしても合格できない厳しい受験ですが、明るさやパワフルさなど、すべての要素を身に付けたら絶対に受かるはず、完璧ではなくても絶対にあとで後悔しないように頑張ろう、と思っていました。少し体が痛いからといってストレッチをサボったら、落ちたときに後悔すると思って続けたり、とにかくやれることは全部やろうと思っていました。両親も応援してくれていましたし、受験スクールの仲間がいたのですごく鼓舞されました。いま思うと、ものすごい根性で臨んでいたなと思います。
一次試験の面接はドキドキしている間に、あっという間に終わりました。二次試験はまったく記憶がないですね……。ただ新調したコートにタグがついていたりしたので(笑)、かなり緊張していたんだと思います。このときに初めて宝塚市を訪れ、旧宝塚ホテルに衣装が飾ってあるのを見たりして、宝塚歌劇の街なんだなと、とっても感動しましたし、初めて宝塚大劇場で観劇もしました!
三次試験の面接では、うまく質問に答えられなくてすごく落ち込んでいたので、受かったと知ったときは本当に驚きました! 自分の番号を見つけた瞬間、「いままで味わったことのない人生になる」「人生が変わる!」と感じたことを覚えています。
※このメッセージは、2/16(金)のものです。
私は宝塚歌劇を好きになってから受験までにあまり時間がなかったので、短期集中で準備しました。バレエは幼少期から習っていましたし、中学・高校が音楽に力を入れている学校だったので歌うことも好きでしたが、受験となると声楽や面接の練習も必要だと思い、最後は大好きなバレエスクールを辞めて、受験スクール1本に絞りました! 学校の友達には受験することを伝えていなかったので、学校に通いながら放課後は受験スクールに行くという日々はとても忙しかったです。
自分のなかで、「絶対に受かってやる!」「受かりたい!」という気持ちはすごく強かったです。たとえ歌やダンスが上手だったとしても合格できない厳しい受験ですが、明るさやパワフルさなど、すべての要素を身に付けたら絶対に受かるはず、完璧ではなくても絶対にあとで後悔しないように頑張ろう、と思っていました。少し体が痛いからといってストレッチをサボったら、落ちたときに後悔すると思って続けたり、とにかくやれることは全部やろうと思っていました。両親も応援してくれていましたし、受験スクールの仲間がいたのですごく鼓舞されました。いま思うと、ものすごい根性で臨んでいたなと思います。
一次試験の面接はドキドキしている間に、あっという間に終わりました。二次試験はまったく記憶がないですね……。ただ新調したコートにタグがついていたりしたので(笑)、かなり緊張していたんだと思います。このときに初めて宝塚市を訪れ、旧宝塚ホテルに衣装が飾ってあるのを見たりして、宝塚歌劇の街なんだなと、とっても感動しましたし、初めて宝塚大劇場で観劇もしました!
三次試験の面接では、うまく質問に答えられなくてすごく落ち込んでいたので、受かったと知ったときは本当に驚きました! 自分の番号を見つけた瞬間、「いままで味わったことのない人生になる」「人生が変わる!」と感じたことを覚えています。
※このメッセージは、2/16(金)のものです。