今月の永久輝せあ
今月のメッセージ
さまざまな思い出がよみがえった千秋楽。

私は柚香さんがトップスターにご就任されるタイミングで花組に組替えしてきたので、『はいからさんが通る』から始まったさよならショーでは、たくさんのことが思い出されました。
『はいからさんが通る』は柚香さんのトップお披露目公演で、私にとって初めての花組大劇場公演でしたので、フィナーレの音楽を聴くと、当時の感覚がいろいろとよみがえってきました。
『二人だけの戦場』は、お稽古から公演中まですごく思い入れがあり、柚香さんと一緒に作った作品のなかでも特に印象深い作品。そのなかでも「理想の為に」は好きなナンバーだったので歌わせていただくことができてうれしかったですし、掛け合いや振付も公演のときとほとんど変えずに若央りさ先生が作ってくださったので、とても懐しかったです。
そして黒燕尾の男役群舞の場面では、少しだけ柚香さんと2人で踊る場面を作ってくださいました。私が片膝をついて柚香さんを見上げる振付だったのですが、その瞬間の柚香さんの凜とされたお顔はこれからも忘れないと思います。
最後は、全員で『Fashionable Empire』の「Moment」の場面のさよならショーバージョン。みんなが柚香さんに歌いかける雰囲気が公演時とはまた少し違って、いまの花組生として柚香さんを見送るという空気に胸が熱くなりましたし、踊られている柚香さんがとても楽しそうで……。
この4年半、コロナ禍での公演中止などが起こり、想像もつかないくらいつらい思いや責任、重圧を感じてこられたなか、柚香さんは組の中心に立ち続けてくださいました。その柚香さんが自由に舞っているお姿を見て、きっといま充実されていて、温かい思いであふれていらっしゃるのかなと思うと、組子としてとても幸せだなと感じました。
柚香さん、まどかちゃん(星風)との思い出。

大劇場公演以外の作品もほとんどご一緒させていただき、親友や恋敵、フィアンセ、恋人など、さまざまな作品で濃い関係の役を演じさせていただきました。柚香さんは舞台上とオフの境目があまりなく、オフのときから常に素敵! いつも大らかで優しく、すごくアーティスティックな方で、そのまま舞台にすっと上がられて自然に役と同居されるので、その雰囲気に身を置くことで学ばせていただくことがたくさんありました。そんな柚香さんとのお芝居は空気が心地よく、ここで生まれるものを大切にしたい、柚香さんのお芝居から受け取るものを絶対に取りこぼしたくないと思いましたし、自分なりの芝居でしっかりお返ししたいとチャレンジする気持ちも持つきっかけになりました。
まどかちゃんとも、パトロンや元恋人などいろいろな関係性を演じてきました。舞台上で一緒に組んで踊ったりすると自分のダンスでぶつかってくるのではなく、私の踊りにも瞬時に合わせてくれる。お芝居もそうで、ちゃんと相手を感じて表現する柔軟性がすごいなといつも思っていました。
柚香さんとまどかちゃんの関係性はものすごく素敵で、もちろん柚香さんが本当にお優しい方でまどかちゃんのことをとても大切されていたからでもありますが、まどかちゃんの努力で柚香さんに必死についていったからでもあるのかなと思うと、本当にすごい人だなと感じます。
まどかちゃんはさよならショーで『アナスタシア』の楽曲を歌いましたが、袖で観ていて圧倒されました。あんなに華奢でかわいらしいのに、歌と舞台姿はすごく力強く、堂々としていてエネルギーを感じましたし、星風まどかさんという娘役さんの集大成なのだなと感じてとっても感動しました。
お世話になった退団者の方とのエピソード。
今作は、柚香さんとまどかちゃんのほか、4名の方の退団公演でもあります。
舞月なぎささんはとても真面目で努力家で、どんな人にも飾らずに接してくださるすごくお優しい方です。『DANCE OLYMPIA』のとき、組替えしてきた私にも分け隔てなく接してくださって、当時フラメンコや太鼓などわからないことだらけのときも何でも質問できる、とても頼れる上級生の方でした。これまで場面や役の長としてさまざまなことを率先してやってくださり大変お世話になりましたし、『二人だけの戦場』では楽屋が一緒で、そのメンバーで謎解きゲームをしたり食事に行ったりもしました。すごく楽しかったですし、『鴛鴦歌合戦』でも同じ花咲藩のメンバーでうれしかったです。
ほっちゃん(帆純まひろ)とは大劇場公演は同じチームになることが多かったのですが、それ以外の作品では全然一緒になったことがなく、毎回振り分けが出るたびに「ほっちゃんと一緒かな」と確認する自分がいるくらいだったので、『激情』で初めてご一緒することが決まったときは2人で大喜びしました。ほっちゃんは、すごく親切で気が利く、面倒見の良い優しい人。舞台に対して、花組に対して、熱くこだわりを持っているのが何より素敵だなと思っていましたし、オフでは学年も近くたくさん一緒に過ごしていたので、退団してしまうのはすごく寂しいです。
たけ(愛蘭みこ)と初めてしっかりお芝居したのは『冬霞の巴里』のとき。たけが演じるエルミーヌは、オクターヴにとってそこにいられたら良かったと思う眩しい世界の人だったので、すごく印象に残っています。エルミーヌとパリの街をそぞろ歩くナンバーはオクターヴがいままで感じたことのない幸せと温かみを感じる瞬間で、作品のなかで一番好きな場面だったかもしれません! 稽古中もたけとお芝居のことなどいろいろな話をしましたが、意思をしっかり持っていてチャレンジ精神とガッツもありとても頼もしく感じていたので、退団してしまうのはとても惜しいです。
みさこ(美里玲菜)は『DANCE OLYMPIA』で私がまだ人見知りしていたころも(笑)、ふとしたときに壁を作らず自然体で話してくれてすごくうれしかった第一印象があり、それからずっと変わらず接してくれました。周りへの気遣いができて面倒見が良いけれど、自分のことにはちょっと不器用というところが私はすごく好きで、私のCSの番組にもリクエストして出演してもらいました。どんなときも一生懸命で、相手役さんのことを大切に思って接している姿を見ていて、娘役さんとしてもとても素敵だなと思っていたので、本当に寂しいです。
舞月なぎささんはとても真面目で努力家で、どんな人にも飾らずに接してくださるすごくお優しい方です。『DANCE OLYMPIA』のとき、組替えしてきた私にも分け隔てなく接してくださって、当時フラメンコや太鼓などわからないことだらけのときも何でも質問できる、とても頼れる上級生の方でした。これまで場面や役の長としてさまざまなことを率先してやってくださり大変お世話になりましたし、『二人だけの戦場』では楽屋が一緒で、そのメンバーで謎解きゲームをしたり食事に行ったりもしました。すごく楽しかったですし、『鴛鴦歌合戦』でも同じ花咲藩のメンバーでうれしかったです。
ほっちゃん(帆純まひろ)とは大劇場公演は同じチームになることが多かったのですが、それ以外の作品では全然一緒になったことがなく、毎回振り分けが出るたびに「ほっちゃんと一緒かな」と確認する自分がいるくらいだったので、『激情』で初めてご一緒することが決まったときは2人で大喜びしました。ほっちゃんは、すごく親切で気が利く、面倒見の良い優しい人。舞台に対して、花組に対して、熱くこだわりを持っているのが何より素敵だなと思っていましたし、オフでは学年も近くたくさん一緒に過ごしていたので、退団してしまうのはすごく寂しいです。
たけ(愛蘭みこ)と初めてしっかりお芝居したのは『冬霞の巴里』のとき。たけが演じるエルミーヌは、オクターヴにとってそこにいられたら良かったと思う眩しい世界の人だったので、すごく印象に残っています。エルミーヌとパリの街をそぞろ歩くナンバーはオクターヴがいままで感じたことのない幸せと温かみを感じる瞬間で、作品のなかで一番好きな場面だったかもしれません! 稽古中もたけとお芝居のことなどいろいろな話をしましたが、意思をしっかり持っていてチャレンジ精神とガッツもありとても頼もしく感じていたので、退団してしまうのはとても惜しいです。
みさこ(美里玲菜)は『DANCE OLYMPIA』で私がまだ人見知りしていたころも(笑)、ふとしたときに壁を作らず自然体で話してくれてすごくうれしかった第一印象があり、それからずっと変わらず接してくれました。周りへの気遣いができて面倒見が良いけれど、自分のことにはちょっと不器用というところが私はすごく好きで、私のCSの番組にもリクエストして出演してもらいました。どんなときも一生懸命で、相手役さんのことを大切に思って接している姿を見ていて、娘役さんとしてもとても素敵だなと思っていたので、本当に寂しいです。
フリッツ、作品について感じていること、そして専科のお2人とのお芝居。
東京宝塚劇場公演中ということで、作品や演じるフリッツについても、少しお話ししたいと思います。作品の時代背景、フリッツが置かれた立場が難しいからなのだと思いますが、フリッツを演じていて、私が感じる彼の"体温"とお客様が感じる温度に差があるかもしれないと思うこともあり、難しさを感じています。これからもフリッツの最大の理解者として彼の魅力が伝わるように演じていけたらと思っています。
この作品は、ヒロさん(一樹千尋)演じるペペの息子・少年イヴが見た世界を、その孫であるほのかちゃん(聖乃あすか)演じる現代の青年イヴが語っているという大枠があります。フリッツの結末は語られてはいませんが、もしかしたら連行された後、ドイツで亡くなったのかもしれません。もしもアネットと再会できていたらきっと少年イヴにも会っていたはずで、そういう話もイヴが語り継いだのでは、と。でも、戦時下でパリのエンターテインメントを守ろうと戦った人たちがいたからこそ、そしてそこにはフリッツをはじめ多くの人との出会いやすべての出来事が重なり合ってこそレビューの火が消えなかった。それが大きく時代を越えていま私たちが宝塚でレビューを上演している……。そういうところまで含めて、青年イヴが語る大きなハッピーエンドだと感じています。
そして専科からご出演されている、一樹千尋さん、輝月ゆうまさんについても少しお話できたらと思います。
ヒロさんが歌われる「フルフル」を聞いていると、華やかさと独特な切なさを持つパリの空気が一気に流れ込んでくるように感じます! コメディアンというのは、どんなときでも人を笑わせる、楽しませるお仕事です。つらさや痛みもあるはずなのに、それを上回るもので人を喜ばせるということは、とても寂しく美しいものでもある。ぺぺはフリッツの心を大きく揺さぶる人です。そんなぺぺの愛情が少年イヴに注がれているのが、舞台上でも袖でも、ヒロさんと少年イヴ役のまなみ(湖春ひめ花)とのやりとりから感じられて、いつも素敵だなと思っています。
輝月さん演じるドイツの文化統制官・コンラートは芸術が好きで、そういう部分はフリッツと変わらないはずなのに、とことん真反対の行動を取る。私のなかでは、柚香さん演じるマルセルの友情と反するように、同じドイツ人であるコンラートとの対立というストーリーも感じています。どんどん昇格して権力を手にするコンラートと、どんどん降格していろいろなものを失うフリッツの対比が面白いな、と。輝月さんご自身はとても優しくて、本当に素敵なお方なのですが、コンラートにはどうしても従い切れない反発心があります(笑)。作品のなかでは背中合わせのような役どころなのかなと感じています。
※このメッセージは、4/19(金)のものです。
この作品は、ヒロさん(一樹千尋)演じるペペの息子・少年イヴが見た世界を、その孫であるほのかちゃん(聖乃あすか)演じる現代の青年イヴが語っているという大枠があります。フリッツの結末は語られてはいませんが、もしかしたら連行された後、ドイツで亡くなったのかもしれません。もしもアネットと再会できていたらきっと少年イヴにも会っていたはずで、そういう話もイヴが語り継いだのでは、と。でも、戦時下でパリのエンターテインメントを守ろうと戦った人たちがいたからこそ、そしてそこにはフリッツをはじめ多くの人との出会いやすべての出来事が重なり合ってこそレビューの火が消えなかった。それが大きく時代を越えていま私たちが宝塚でレビューを上演している……。そういうところまで含めて、青年イヴが語る大きなハッピーエンドだと感じています。
そして専科からご出演されている、一樹千尋さん、輝月ゆうまさんについても少しお話できたらと思います。
ヒロさんが歌われる「フルフル」を聞いていると、華やかさと独特な切なさを持つパリの空気が一気に流れ込んでくるように感じます! コメディアンというのは、どんなときでも人を笑わせる、楽しませるお仕事です。つらさや痛みもあるはずなのに、それを上回るもので人を喜ばせるということは、とても寂しく美しいものでもある。ぺぺはフリッツの心を大きく揺さぶる人です。そんなぺぺの愛情が少年イヴに注がれているのが、舞台上でも袖でも、ヒロさんと少年イヴ役のまなみ(湖春ひめ花)とのやりとりから感じられて、いつも素敵だなと思っています。
輝月さん演じるドイツの文化統制官・コンラートは芸術が好きで、そういう部分はフリッツと変わらないはずなのに、とことん真反対の行動を取る。私のなかでは、柚香さん演じるマルセルの友情と反するように、同じドイツ人であるコンラートとの対立というストーリーも感じています。どんどん昇格して権力を手にするコンラートと、どんどん降格していろいろなものを失うフリッツの対比が面白いな、と。輝月さんご自身はとても優しくて、本当に素敵なお方なのですが、コンラートにはどうしても従い切れない反発心があります(笑)。作品のなかでは背中合わせのような役どころなのかなと感じています。
※このメッセージは、4/19(金)のものです。

