今月の永久輝せあ
今月のメッセージ
花組 東京宝塚劇場公演、開幕しています!

先月はみさきちゃん(星空美咲)演じるエレナや、カチャさん(凪七瑠海)演じるフェデリコのお話をしましたが、今回は違う役との関係性についてもお話ししたいと思います!
ほのかちゃん(聖乃あすか)演じる悪魔・フラウロスとは、リゾートの「エンピレオ」のオープンの日、アザゼルとエレナが盗みを決行するときに初めて対峙しますが、やはり悪魔を目の前にすると"天使スイッチ"が入るような気がしています。最後に一対一の立ち回りシーンがありますが、アザゼルは天使なので人を殴ったりはせず、得意技は"すねチョップ"と"デコピン"、あとは"天使ジャンプ"。そんなところも天使らしくて好きですし、そんなアザゼルたちに負けてしまう悪魔たちの弱さも面白いですよね(笑)。
あかり(綺城ひか理)が演じる天使・ラファエルは、天界の仲間の1人としてキーパーソンだと思っています。「親友」というせりふがあるのですが、天使学校の同期でくされ縁やほっとけない魅力を感じてはいても、もともとは親友だったわけではないのかなと思っていて。人間界に堕とされて天使の力を失って以降、アザゼルがいろいろなものに気づいたり、正直になっていった結果、ラファエルのことを信頼できるようになったりして関係性が少しずつ変わっていくのかな、と。彼とこれまでとは違う関係を築けたということがアザゼルにとって大きな変化の1つなので、すごく大事にしています。
ラファエルは天界一の二枚目だと思っていて、ちょっと騙されやすい、抜けているところもかわいらしい魅力的なキャラクターで、すごく似合っていると思います。あかりは自分の役に誠実なので、一緒にお芝居していてすごく安心感がありますし、卒業を控えているあかりとこういうお芝居ができるのは、作・演出の谷 貴矢先生の愛情だなと感じて、とってもうれしいです。
新しさと宝塚らしさの両面ある作品。

谷先生の作品では『義経妖狐夢幻桜』や『元禄バロックロック』もファンタジー要素はありましたが、歴史を基にした作品でした。それに対して今作は完全なフィクションで全部がオリジナルということで、全員がキャラクター像をゼロから立ち上げたり、天使とは何か、悪魔たるものとは……と定義づけていかなければいけない難しさがありました。
カツラもメイクもこれまでにないチャレンジをしています! メイク指導のCHIHARUさんが、天使、悪魔、人間のチームごとにベースとなるメイクを考えてくださって、そうやって作り上げていくこともみんなのモチベーションにつながっている気がします。メイクから役に入ることも多いですし、役になり切れる喜びも感じるので、とても楽しいです。
普段、男役として顔色は濃いめの色を使ったりしますが、アザゼルはかなり白めの色で、チークの入れ方も男役では絶対にしないような、かわいらしい入れ方をしています。ほかにもまつげにラメを付けたりして、とても新鮮です! でもいくらかわいらしいメイクをしても、アザゼルの男気は私が一番よくわかっているので、それを表現すればいいのかなと思っています。
“真実の大嘘”とは?
『エンジェリックライ』には、真実の大嘘という歌詞が登場しますが、とても難しい言葉だと感じます。この作品の"嘘"には、自分をごまかしたり、見ないふりをしている、真っすぐに向き合わないことも含まれています。「良いこと」か「悪いこと」かどうかではなく、「知りたい」「わかりたい」と思う気持ちこそが"本物"、ということに気づくことができたアザゼルは、天界に忍び込んで台帳を見るという悪いことをしてまでも、エレナを救おうとします。
無責任な嘘をついたり人をからかったりして、真正面から物事に向き合うことができなかったアザゼルが、人間界で嘘がつけなくなって周りと向き合わざるを得なくなり、少しずつ関係を築きながら、信頼したりされたりしながら変わっていく。そして最後は嘘をやめるのではなく、誰かのために愛のある嘘をつく、そこがアザゼルの大きな変化だと思っています。そういう部分が本当に素敵なところですし、人間の根源に訴えかけるようなこともあり、知れば知るほど深い作品だと感じます。
物語の最後に客席を走って退場するのですが、いつもお客様が驚かれている声が聞こえて、楽しいです(笑)。アザゼルとしては最後まで引っかき回すことができてうれしいですし、東京宝塚劇場公演も最後まで駆け抜けたいと思います!
無責任な嘘をついたり人をからかったりして、真正面から物事に向き合うことができなかったアザゼルが、人間界で嘘がつけなくなって周りと向き合わざるを得なくなり、少しずつ関係を築きながら、信頼したりされたりしながら変わっていく。そして最後は嘘をやめるのではなく、誰かのために愛のある嘘をつく、そこがアザゼルの大きな変化だと思っています。そういう部分が本当に素敵なところですし、人間の根源に訴えかけるようなこともあり、知れば知るほど深い作品だと感じます。
物語の最後に客席を走って退場するのですが、いつもお客様が驚かれている声が聞こえて、楽しいです(笑)。アザゼルとしては最後まで引っかき回すことができてうれしいですし、東京宝塚劇場公演も最後まで駆け抜けたいと思います!
どの場面も楽しい『Jubilee(ジュビリー)』。
先月、黒燕尾と戴冠式のお話をしましたが、今回はほかの場面についてもお話ししたいと思います。
まずはなんといっても、中詰の客席降り! それぞれが自由に行き始めて、日に日に守備範囲が広がっていきました(笑)。私もときには立ち見席や補助席、壁沿いの列まで行ったりして、後方席の方までお顔を拝見できて本当に楽しいですし、この方たちに観ていただくためにやっているんだと感じられて、すごくうれしいです! 観ていただくレビューから、一気に参加型になることですごく喜んでくださいますし、中詰の前後でお客様の熱の上がり方が全然違う。私もすごくパワーをいただき、とっても元気になって舞台に帰ってきます!
三井聡先生振付のスーツの場面も、宝塚らしくて好きです。先生から「騎士道」というキーワードをいただき、前半はジャケットや髪をラフに触らないようにしています。いままでの男役群舞とは少し雰囲気が違う、スッと上品に見せる踊りでとても楽しいです。
デュエットダンスも、スモークがたかれた青色の照明の空間が本当に美しいなと、いつも感じています。先生のこだわりが詰まったシンプルな振付に神経を集中させつつも、みさきちゃんとお互いの呼吸を感じながら踊っていて、毎回とても幸せです。
まずはなんといっても、中詰の客席降り! それぞれが自由に行き始めて、日に日に守備範囲が広がっていきました(笑)。私もときには立ち見席や補助席、壁沿いの列まで行ったりして、後方席の方までお顔を拝見できて本当に楽しいですし、この方たちに観ていただくためにやっているんだと感じられて、すごくうれしいです! 観ていただくレビューから、一気に参加型になることですごく喜んでくださいますし、中詰の前後でお客様の熱の上がり方が全然違う。私もすごくパワーをいただき、とっても元気になって舞台に帰ってきます!
三井聡先生振付のスーツの場面も、宝塚らしくて好きです。先生から「騎士道」というキーワードをいただき、前半はジャケットや髪をラフに触らないようにしています。いままでの男役群舞とは少し雰囲気が違う、スッと上品に見せる踊りでとても楽しいです。
デュエットダンスも、スモークがたかれた青色の照明の空間が本当に美しいなと、いつも感じています。先生のこだわりが詰まったシンプルな振付に神経を集中させつつも、みさきちゃんとお互いの呼吸を感じながら踊っていて、毎回とても幸せです。
毎日が濃かった2024年。
早いもので、もうすぐ2024年も終わりますね。皆様は、どんな1年でしたでしょうか? 私は、昨秋の全国ツアー公演がずいぶん前に感じるくらい、毎日が濃い1年でした。
振り返ってみると……今年は『アルカンシェル』とともに始まりました。柚香光さんの背中をしっかり拝見し勉強させていただきたいという気持ちがより強くなりましたし、その反面、立場が変わると伴う責任が違うだろうなと想像していたので、いまだからこそ自由に楽しめる部分を存分に味わなければとも思っていました。時代背景も難しく、悩んだり迷ったりしながらのお役でしたが、芝居にぐーっと入り込んでフリッツ役を作り上げていくことができました。
東京宝塚劇場公演の千秋楽の温かな空間も忘れられないです。柚香さんが託してくださるものの温かさも感じましたし、サヨナラショーの雰囲気もとても素敵で、心に刻まれています。
御園座公演『ドン・ジュアン』は、いま振り返ると幻だったのかなと思うくらい、役と作品にのめり込んでいました。花組は3チームに分かれていたこともあり、新しい組の始まりというよりは、作品に全集中という感じでした。このハードな真夏の公演を全員で走り切ったということにすごく達成感がありましたし、その感覚は今後にもつながるのかなと感じました。個人的には、昔から背負ってきた "悔しさ"みたいなものが昇華されたような気もしています。
花組は新たなスタートを切りましたが、これまでの良さは変わらず、組の1人ひとりがこのタイミングで自分がどうしたいかということを考えながら取り組んでいるのを感じます。2025年も花組一丸となって良い作品をお届けしたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします!
少し早いですが……皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ!
※このメッセージは、11/9(土)のものです。
振り返ってみると……今年は『アルカンシェル』とともに始まりました。柚香光さんの背中をしっかり拝見し勉強させていただきたいという気持ちがより強くなりましたし、その反面、立場が変わると伴う責任が違うだろうなと想像していたので、いまだからこそ自由に楽しめる部分を存分に味わなければとも思っていました。時代背景も難しく、悩んだり迷ったりしながらのお役でしたが、芝居にぐーっと入り込んでフリッツ役を作り上げていくことができました。
東京宝塚劇場公演の千秋楽の温かな空間も忘れられないです。柚香さんが託してくださるものの温かさも感じましたし、サヨナラショーの雰囲気もとても素敵で、心に刻まれています。
御園座公演『ドン・ジュアン』は、いま振り返ると幻だったのかなと思うくらい、役と作品にのめり込んでいました。花組は3チームに分かれていたこともあり、新しい組の始まりというよりは、作品に全集中という感じでした。このハードな真夏の公演を全員で走り切ったということにすごく達成感がありましたし、その感覚は今後にもつながるのかなと感じました。個人的には、昔から背負ってきた "悔しさ"みたいなものが昇華されたような気もしています。
花組は新たなスタートを切りましたが、これまでの良さは変わらず、組の1人ひとりがこのタイミングで自分がどうしたいかということを考えながら取り組んでいるのを感じます。2025年も花組一丸となって良い作品をお届けしたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします!
少し早いですが……皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ!
※このメッセージは、11/9(土)のものです。

