今月の永久輝せあ

今月のメッセージ

天使として一番必要なものを学んだアザゼル。

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるころには、花組東京宝塚劇場公演『エンジェリックライ』『Jubilee』が閉幕しています。ご観劇いただいた皆様、ありがとうございました。

『エンジェリックライ』のポスター撮影で初めてアザゼルの姿になったときには、天使としての柔らかさや甘さ、純粋さと男役としてのバランスが難しく、実在しているようでしていない存在、男性だけどリアルな男性ではないという塩梅も考えないといけないなと思ったことを覚えています。
 いま演じている感覚としては、見た目は天使らしく甘くかわいらしい感じですが、何かを守るというアザゼルの包容力、生き様で男役として見せていくというような感じで、ようやくそのバランスを見つけられたのかなと思っています。アザゼルは天使の力を失っているときでも、エレナを助けるために自分の身の危険を顧みず、丸腰で悪魔に立ち向かっていく。そんな男気みたいなものを表現したいと思って演じてきました。

 そして最近は、 この物語の大枠に「天帝様との関係」があるのかなとも感じています。アザゼルは、何でも知っている神のような天帝様の側にいながら、天使として一番必要な"祈り"や" 信じる心"の根底にある"手を合わせる"という気持ちを持てていなかった。手を合わせるというのは「ありがとう」「ごめんなさい」「お願いします」という言葉の象徴だと思いますが、特別な力がなくても立ち向かっていく心の強さを持つ人間たちに出会って、「俺の手紙を信じてくれてありがとう」とお礼を言ったり、「父さんのこと、すまなかった」と謝ったり、「頼むよ、ラファエル」と本心から言えるように変わっていく。天帝様はアザゼルにそういうことを学ばせるために人間界に堕としたのかなと思いますし、それをクリアしたアザゼルの天使としての己への気づき、再生の物語だと考えると、すごく演じ甲斐があります。

 舞台ではフェデリコ、エレナの親子が仲直りしたときに上を見上げる仕草をしていたのですが、アザゼルとしては天界にいるアズラエル様に「見てる?」という気持ちだったのが、あるとき急に天帝様を見ている気持ちになって「このために堕としたな、じじい」と(笑)。人間界に堕ちて初めてのせりふが「やることが粗いぜ、あのじじい」だったので、その伏線が回収できたような、これが本当の完結なのかもと感じました。

毎回幸せな『Jubilee』。

永久輝せあ 今月のメッセージ 『Jubilee』はいろいろな場面に思い入れがありますが、公演を重ねるごとに「戴冠式」のシーンが自分のなかで深まっていったように感じました。少し気持ちに余裕が出てきたことで、周りの人の顔をよく見れられるようになったり、「悩みを抱えていたところから、仲間の思いと祝福を受け、覚悟を決め冠を受けて先を見据えていく」というこの場面の流れが、自分のなかで太い道筋となって感じられるように。目の前のお客様のこともより感じられるようになり、いつもすごく胸が熱くなります。

 また黒燕尾の群舞も、毎回とっても幸せです。お稽古の最初のころは、これまで黒燕尾の中心で踊ることがなかったので、自分が追いついていない、空間が埋まり切っていないような気持ちがありました。でも宝塚大劇場で公演を積み重ね、毎回毎回「ここで覚悟を決める」という瞬間を経験しながら過ごしたことで、東京宝塚劇場公演では1人の空間を味わいながらこの場面に臨めるようになりました。最後に頭を下げる振付があり、宝塚では「これから、よろしくお願いします。精一杯務めさせていただきます」とご挨拶する気持ちでしたが、東京ではそれに加えて「これからの花組も楽しみにしてください」というような、もう少し先に進んだ気持ちを持ってお届けできるようになりました。

 この公演では、3名の方が退団されます。東京宝塚劇場の千秋楽では思いが募り過ぎてしまうのではないかと、ドキドキしています。『Jubilee』でカチャさん(凪七瑠海)とハグするシーンがあったり、あかり(綺城ひか理)とも関わる場面が多く、かわべ(泉まいら)とも目が合う瞬間もあるので……。卒業に向けて美しく、輝きが増しているお3方を心を込めてお見送りできるよう、精一杯務めたいと思います。

のんびりした年末年始&刺激的な観劇体験。

 皆様はどんな年末年始を過ごされたでしょうか? 花組は年をまたいで公演していて、12月31日と1月1日は休演日でした。年明け後の公演に向けてのメンテナンスに費やした2日間でしたが、大晦日は恒例のお節料理を食べながらNHK『紅白歌合戦』を見て、元旦は初詣に行って護摩焚きをしていただきました。そんな少しお正月気分を味わうことができた年末年始でした。

 東京宝塚劇場公演中には、雪組公演『愛の不時着』や『next to normal』『天保十二年のシェイクスピア』を観劇して、たくさんの刺激をいただきました。
『愛の不時着』は数年前にドラマを観たことがありましたが、その名シーンが盛り込まれていて楽しめましたし、映像の使い方も斬新で新しいミュージカルの形だなと感じました。雪組トップコンビの朝美絢さん、夢白あやちゃんともに役柄にとてもよく合っていてキュンキュンしましたし、お2人が並んでいる姿がとっても素敵でした!

『next to normal』は、のぞさん(望海風斗)が出演されていた現代の精神疾患を題材にした作品です。人間の繊細な心情をここまで表現できるミュージカルがあるのだなと驚きましたし、終わった後も消化するためにずっと考え続けてしまうような物語でした。のぞさん演じるダイアナという女性が自分の傷と向き合っていくお話で観ていてとても苦しいのですが、最後は私自身もこの作品を通して浄化されたような、セラピーを受けたかのような不思議な感覚でした。いつも、のぞさんの舞台はパワーがあって元気をいただくのですが、今回はこれまで拝見したことのないような役柄でとても新鮮でした。

『天保十二年のシェイクスピア』は浦井健治さんが主演されていた作品で、迫力ある刺激的な物語でのめり込んで観てしまいました。現代的な要素がありつつ、いろいろなものが盛り込まれた作品で、シェイクスピア作品が散りばめられているところも面白かったです。瀬奈じゅんさんとあやな(綾凰華)も出演されていて、素敵でした。瀬奈さんが客席下りされたときに、なんとハイタッチしてくださって……! とってもうれしかったです!! 私も『Jubilee』で同じことをしているのだなと思うと、明日からも大切にハイタッチしよう! と改めて思いました。

久しぶりの博多座公演。

 花組は、3月8日〜30日の博多座公演『マジシャンの憂鬱』『Jubilee』、らいと(希波らいと)主演のバウ公演『儚き星の照らす海の果てに』(3月21日〜4月3日)の2組に分かれて上演します。

『マジシャンの憂鬱』は、瀬奈さんが2007年に主演された作品です。学生時代に映像で拝見したときは、瀬奈さんがとてもかっこよく素敵な作品だなと感じていましたが、再演が決まって拝見するとすごく大人っぽくて、あまりチャレンジしたことのないような作品だなと、とても楽しみになりました。
 瀬奈さんと彩乃かなみさん演じる2人の恋模様も、お互いに少しずつ惹かれていく様子が繊細に描かれていてとてもシックでお洒落だなと感じましたし、後半にかけてグッとサスペンスの雰囲気が出てくる物語も面白かったです。マジックで人にまやかしを見せる部分もありながら真実味のある作品なので、人間らしい物語、役を楽しんで演じたいと思います。

 博多座に出演させていただくのは、音月桂さんが主演された2012年の雪組公演『フットルース』以来。組配属されて初めての本公演以外の作品で、最下級生で出演していたので、お祭りや食事、バーベキューに行ったりと楽しい記憶ばかりです。今回は長めの公演なので、お客様に作品の魅力を感じていただけるように務めるのはもちろん、私たち自身も博多の街を楽しんで滞在したいと思います!

※このメッセージは、1/15(水)のものです。

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テーマ:「好きな記念日・年中行事」

  • ◎『11月11日』

    花組に組み替えしたのが、2019年の11月11日でした。以来、この日が来ると毎年思い出して「もう何年だな」と感じる、大切な記念日ですね。ちなみに、まどかちゃん(星風まどか)の誕生日でもあるので、その両方を一緒に思い出す日でもあります。毎年感じることは少しずつ違いますが、昨年は「もう5年も経ったんだ!」と初めて思いました!
  • ◎『クリスマス』

    昨年は公演前にみんなで円になって、プレゼント交換しました。歌いながらプレゼントを回して止まった人に渡るという感じで、みんなとの絆もより深まった気がして楽しかったです。私は花海凛ちゃんからのバスアイテムのギフトボックスが当たりました! ちなみに私は毎日何かの記念日が書いてある日めくりカレンダーを用意して、真澄ゆかりちゃんに渡りました。すごくかわいかったので、自分用にも購入して使っています(笑)。
  • ◎『ハロウィン』

    当日というより、ハロウィン前の期間が特に好きです。学生時代、毎年9月の学園祭でダンス部のショーを発表していたのですが、 打ち上げで部活のみんなとディズニーランドに行くのがすごく楽しみで。それがハロウィン仕様のディズニーだったので、カボチャなどが世間に出回り始めると青春時代を思い出して懐かしくなる。ちなみにハロウィン当日は 毎年仮装してくれる子が花組にいるので、それも楽しみです(笑)。