今月の永久輝せあ

今月のメッセージ

『マジシャンの憂鬱』の魅力。

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるころには、花組 博多座公演 『マジシャンの憂鬱』『Jubilee(ジュビリー)』が開幕していると思います。皆様、劇場でお待ちしております!

『マジシャンの憂鬱』は、2007年に瀬奈じゅんさん主演の月組公演で初演された作品です。その当時と再演が決まって映像で拝見したときには、偶然が重なって現実になっていくストーリーの面白さを中心に観ていたのですが、実際に台本を読んでみると、“人生”の話でもあるように感じました。
 マジックや透視術、事件解決というミステリー要素だけでなく、そういうものを通して、私が演じるマジシャンのシャンドールや周囲の人物が、どうやって生きていくのか、何を大事に生きていくのか、ということが描かれている。これからのお稽古でもっと深いところまで捉えていけたら面白いだろうな、という印象を受けました。

 シャンドールの人物像の核となるのは、マジシャンというとても特殊な職業についていること、だと思っています。マジシャンとしてのミステリアスで底知れない雰囲気を醸し出すのはもちろん、人を喜ばせたり驚かせたいというマジックに対する純粋な気持ち、エンターテイナーとしてのスタンスも必要なのかな、と。
 そしてマジシャンだった彼が、“透視術”で注目されて超能力者のようになってしまう違和感、嘘が本当になっていき止められなくなってしまうことへの戸惑いもあると思います。「マジシャンの憂鬱」という楽曲に「欺いてこその奇跡だけど、欺き続ける孤独を誰も知らない」という歌詞があるのですが、そういった彼の思いも大切に役を深めていきたいと思っています。

 そのためにはまず、マジック、マジシャンというものを知らないといけないなと思い、関連する映画を観たり、マジックの監修の前田知洋先生にマジックを習ったりしている最中です。人をだますということには、人を傷つける“罪”の部分もあり、マジックとして人を楽しませたり喜ばせたりできる側面もある。その表裏一体も面白いので、シャンドールにとってのマジックとは何か、ということもこれから考えていきたいと思います。

自由とは・・・・・・?

永久輝せあ 今月のメッセージ  いま、歌詞を読み込んでいて気になっているのは「自由」という言葉です。シャンドールの家には探偵や発明家、俳優、占い師、小説家の仲間が居候しているのですが、そういう特殊な職業についている仲間たちと歌う曲のなかに「守るべきは自由」や「我らは自由人」という歌詞が出てくる。その「自由人」や「自由」は何なのか、どう捉えるのかということを考えると面白そうだなと思っています。
 みさきちゃん(星空美咲)演じる女性ボディーガードのヴェロニカや、ほのかちゃん(聖乃あすか)演じる皇太子・ボルディジャールという自由が利かない人たちと触れ合うことで、彼が何を感じ、追い求めていた自由の概念がどう変化していくのか。そして、最後に「本当の自由」というものを持って旅に出るのかもと考えると、やはりこの作品はそれぞれの登場人物が人生を見つけていくお話でもあるのかなと感じました。

 以前出演した雪組公演『私立探偵ケイレブ・ハント』もミステリー要素があり、新人公演で演じさせていただいた探偵のケイレブには恋人もいました。そのときも、恋愛の描かれ方がとてもシックでナチュラルだなと感じていましたが、今作もそんな正塚晴彦先生らしい恋愛が描かれています。シャンドールとヴェロニカの恋も、劇的な進展があるわけではなく、グラデーションのように少しずつ変化して、最後は自然なところに着地する。「好きですよ、あなた」という名ぜりふに至るまで、徐々に色づいていく関係性はとてもおしゃれで自然なのですが、表現するとなるととても難しそうだなと感じています。

 シャンドール役は、これまで演じたことのないような役柄、男性像です。気持ちのままに、あるいは頭で考えて演じるというよりも、マジシャンとしてのシャンドールの雰囲気をきちんとまとわなければいけないな、と。初日まで役作りを深め、精進していきたいと思います!

楽しみな客席下り&博多グルメ。

『Jubilee(ジュビリー)』は前作でも上演していたレビューの再演です。前作はカチャさん(凪七瑠海)やあかり(綺城ひか理)、かわべ(泉まいら)の退団公演でもあったので、「始まりと終わりの刹那にある煌めき」というような要素もあり、その時にしかないものを大切にお届けしていました。ですが、今回は博多で上演するワクワク感、九州の皆さまに楽しんでいただくぞ!という明るい印象がより強くなり、専科からご出演される高翔みず希さん、凛城きらさんのお2人が開催する祝典というニュアンスになっています。
 前作とはまた違ったこの公演ならではの出演者でお贈りする作品になると思いますし、すべての場面が楽しみなのですが、一番は何といっても客席下り! 銀橋がないぶん、前作よりも客席に下りる場面が増えるので、とても楽しみにしています。

 今作の2本立ては、見どころが盛りだくさんなので、あまり宝塚をご存知ないお客様にも楽しんでいただけるのではないかと思っています。物語としても面白く、東ヨーロッパの架空の国を舞台にしたかっこいいコスチューム的な要素、素敵な男役像、娘役像を伝えられる 『マジシャンの憂鬱』。黒燕尾や軍服のシーンもある宝塚らしいレビュー『Jubilee(ジュビリー)』。一丸となってお稽古して、精一杯演じたいと思っています。

 そして名物グルメの宝庫、博多での公演ということで、皆で楽しみにしています。もつ鍋、鉄鍋餃子、水炊き、博多ラーメン、明太子の5つは絶対にいただきたいと思っていて、九州出身の出演者オススメのお店に皆で行こうと計画しているところです! 花組としても約7年ぶり、なんと正塚先生も初めての博多座公演ということで、いまお稽古場でかなり盛り上がっています!
 九州の皆様、ぜひ楽しみにご覧いただけたらうれしいです。お待ちしております!

素晴らしい体験の数々。

 先日、礼真琴さん率いる、日本武道館コンサート『ANTHEM-アンセム-』を拝見しました!! コンサートアイテムのブレスレットライトを付け、Tシャツも着込んで万全の体制で参戦して、大盛り上がりでした! 礼さんをはじめ皆さんが、普段同じ劇団で同じ舞台に立っているということが信じられないくらい“アーティスト”という雰囲気で、本当に素晴らしかったです。舞台作品とは違う客席の一体感、客席とステージの一体感も味わうことができ、あっという間のコンサートでした。

 そしていまの帝国劇場では最後となる『レ・ミゼラブル』も観劇することができ、本当に感動しました。10年前ぐらいに観たことがあったのですが、いろいろな経験を経たいま改めて観ると、なかなか他の作品にはない“格”のようなものすら感じました。演者の方々のこの作品の一員であるというプライド、次の場面への思いの残し方など、舞台人としてとても勉強になりました。映画館で3回観たり、DVDも持っているくらいの作品のファンなのですが、生の舞台はどんどんその世界観に引きずり込まれ、最後の歌では嗚咽してしまうほど、本当に素晴らしかったです!

 松下洸平さんが主演された『ケイン&アベル』も観劇しました。20世紀初頭のアメリカを舞台にした対照的な2人の男性の人生、対立が描かれた作品で、ストーリーもすごく面白く、どういう結末になるのだろうとワクワクして観ました。もともと興味のある時代背景でしたし、描かれる男性像も男役としてとても勉強になりました。歌もドラマチックでとても印象に残っています。お世話になったあゆっちさん(愛加あゆ)、ゆうみさん(咲妃みゆ)も本当に素敵でした!

※このメッセージは、2/13(水)のものです。

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テーマ:「マジックといえば・・・・・・」

  • ◎『ハトやウサギが出てくるマジック』

    ぜひ観てみたいのが、帽子からハトが出てきたり、ウサギが消えるというような、華やかなイリュージョン的なマジック。エンターテインメントの王道という感じがしますし、今作の歌にも「ウサギも小鳥も出ません」という歌詞があるので。テレビで観ていても引きつけられますが、生で観ると迫力が違いそうだなぁと想像しています!
  • ◎『脱出・出現マジック』

    やったことがあるのが、脱出・出現マジック。『オーシャンズ11』の初演に組回りで出演したときに、ショーのマジックを利用してヒロインのテスを助け出すという場面や回想シーンがあり、そのための箱を積む仕事をする裏方の役をしていました。絶対に失敗しないよう練習してコツも探しましたし、お稽古からマジックの助手のように参加して、本番でも毎日ドキドキしながら箱を積んでいました。
  • ◎『トランプ』

    トランプマジックは、中学・高校と奇術部だった兄が家でよく見せてくれたので、とても馴染みがあります。私も小さいときから手品が好きで、数が増えるスポンジやスカーフが入る親指などの手品アイテムを買ってもらったこともあります(笑)! ただ、お芝居の冒頭で出てくるようなトランプマジックはほぼ未経験なので、本番までに鍛錬してきちんとお見せできるように仕上げたいと思います!