今月の永久輝せあ
今月のメッセージ
これまでとはまた違った感覚を得た作品。

『マジシャンの憂鬱』では、クロースアップ・マジシャンの前田知洋先生からマジックを教えていただいたのですが、先生から学ばせていただいたことがすごく大きかったなと、改めて感じています。これまでいろいろな職業の役を演じてきましたが、実際にその仕事に就いている方に直接お話を伺うチャンスはあまりなかったので、とても貴重な経験でした。技術的なことや見せ方だけでなく、特殊な職業を長くお仕事にされていることや“人を欺くことでの孤独”についてなど、いろいろと質問させていただきました。先生が「目の前の方を楽しませることを一番大事にしている」とおっしゃっていたことが印象的でしたし、ほかにも前田先生のインタビュー記事を隈なく探して読んだり、マジシャンが登場する映画をたくさん観たりしたことが、すごくヒントになりました。
シャンドールという人物のほとんどは“マジシャンであること”で成り立っていて、職業が人間性に及ぼす影響みたいなものを学べたことも勉強になりました。冒頭のマジックにも彼らしさが表れていて、ローランという愛犬を探している貴婦人・イローナの話を聞き、悲しんでいる彼女の気持ちに対して、大事なカードが手元に戻るマジックにしようと、シャンドールがその場で対応したのではないかな、と。そこに彼の優しさが表れていると思ったので、前田先生のアドバイスでトランプをジャケットから出したり、箱からカードを取り出すタイミングも工夫したりして。 マジックを通してそういう人間性を拾い集めながら役作りしたことも、すごく楽しかったです。ちなみにこのマジックは舞台上で本当にやっていたのですが、ほとんど成功しました! 1回だけローランとは違う犬が出てしまいましたが・・・・・・(笑)。
そんなシャンドールだからこそ、ほのかちゃん(聖乃あすか)演じる皇太子ボルディジャールの依頼も断りきれなかったり、みさきちゃん(星空美咲)演じるヴェロニカに対してのスカーフを出すマジックにも少なからず意味があるのでは、と。 ただ、優しいのに決して律儀な人ではなく、適当さを併せ持つというアンバランスさがとても魅力的だなと思いながら演じていました。それにシャンドールは、職業柄相手がどう感じているのかをキャッチする力や洞察力がとても優れているので、当てずっぽうに言っていたつもりでも事件解決につながってしまう、ということもあったのかもしれません。
お芝居は基本的に、人の人生を凝縮してお届けしているものなので、テンポよく感情を動かしていかないといけない面もあるのですが、『マジシャンの憂鬱』では作・演出の正塚晴彦先生が、何とも言えない感じやはっきりしていない感覚を味わえる“ゆとり”をもたせてくださっていて、そのなかに身を委ねる時間がとても心地よかったです。シャンドールは「なるようになるだろう」という感覚で構えている人なので、何かが起こったときにもすぐに感情を動かして行動するというよりは、「どうしたもんかなぁ」という気持ちを彷徨っているような・・・・・・。そういう役に身を置くことで、相手のせりふをより注意深く聞くようになったり、それを受けて感じたことや心が動く感触を自分のなかでゆっくりと味わってみることができるのも楽しかったです。これまでとはまた違った感覚を得たような気がして、とても勉強になりました。
愛着のあるレビューの千秋楽。

でも何よりも、お客様がとても熱かったことが印象的でした! 博多以外にも、九州やそれ以外の地域から遠征でお越しくださった方も多かったようですが、博多座という劇場の力なのか、博多の街の雰囲気なのか、皆様すごく盛り上がってくださって、客席降りでもたくさんのエネルギーをいただきました。お客様の存在をより間近で感じることができ、とてもうれしかったです。
私たち出演者だけでなく、「これを食べて帰りました」というお手紙をいただいたりして、「私も数日前に食べたな」と一緒に体感しているような感じがしたりして。 お客様も出演者も「博多の地での公演を楽しもう!」という同じ気持ちで一緒に駆け抜けた達成感がありましたし、とても思い出に残る公演となりました。ご観劇くださった皆様、本当にありがとうございました!
若手の勢いを感じたバウ公演、そして次作は・・・・・・。
博多座公演期間中には、花組バウ公演『儚き星の照らす海の果てに』も上演されていました。バウホールは、初めてのせりふ、ソロをもらう若手がいたりする挑戦の場。私も何度もバウホールに出演させていただいたので、「いまこういう風に感じているだろうな」と当時の感情を思い出したりして、とても懐かしく感じました。そんな若手中心のバウ公演ならではの勢いがあり、お稽古中から皆で頑張って1つの作品を作り上げてきたのだなと感じる作品でした。個人的に映画『タイタニック』が大好きなので二幕ではたくさん涙してしまいましたし、お芝居後のフィナーレでは一気に“花組の男役・娘役”としての個性が炸裂しているところも、花組らしくて愛しかったです。
主演のらいと(希波らいと)は、お稽古中から真ん中に立つという役割を一生懸命に向き合ってきたのだろうな、と。この公演を経て、もっとやりたいことや見たい景色みたいなものがきっと見つかったのではないかなと感じますし、それを経てこれからどういう表現をしてくれるのか楽しみです。
そしてヒロインのゆゆちゃん(二葉ゆゆ)がこの公演を最後に組替えするということで、花組の娘役としての素敵な姿を見て胸が熱くなりました。
全員そろっての花組の次作は、6月7日からの宝塚大劇場公演『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~『愛, Love Revue!』。先日お稽古が始まったところではありますが、どんな公演になるのかとても楽しみですし、専科から五峰亜季さん、輝月ゆうまさんにご出演いただけることもとても心強いです。
『悪魔城ドラキュラ』はゲーム作品が原作ということで、新しいチャレンジだと思っていましたが、脚本・演出の鈴木圭先生が伝統的な作品からこういう作品まで上演できる“幅の広さ”が宝塚の魅力だとおっしゃっていました。そんな宝塚の魅力をたくさんの方にお届けできるよう、ロマンチック・レビュー・シリーズの第23弾である『愛, Love Revue!』とともに、皆で一丸となってお稽古していきたいです。また来月、作品や役についてのお話をしたいと思います!
※このメッセージは、4/20(日)のものです。
主演のらいと(希波らいと)は、お稽古中から真ん中に立つという役割を一生懸命に向き合ってきたのだろうな、と。この公演を経て、もっとやりたいことや見たい景色みたいなものがきっと見つかったのではないかなと感じますし、それを経てこれからどういう表現をしてくれるのか楽しみです。
そしてヒロインのゆゆちゃん(二葉ゆゆ)がこの公演を最後に組替えするということで、花組の娘役としての素敵な姿を見て胸が熱くなりました。
全員そろっての花組の次作は、6月7日からの宝塚大劇場公演『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~『愛, Love Revue!』。先日お稽古が始まったところではありますが、どんな公演になるのかとても楽しみですし、専科から五峰亜季さん、輝月ゆうまさんにご出演いただけることもとても心強いです。
『悪魔城ドラキュラ』はゲーム作品が原作ということで、新しいチャレンジだと思っていましたが、脚本・演出の鈴木圭先生が伝統的な作品からこういう作品まで上演できる“幅の広さ”が宝塚の魅力だとおっしゃっていました。そんな宝塚の魅力をたくさんの方にお届けできるよう、ロマンチック・レビュー・シリーズの第23弾である『愛, Love Revue!』とともに、皆で一丸となってお稽古していきたいです。また来月、作品や役についてのお話をしたいと思います!
※このメッセージは、4/20(日)のものです。

