今月の永久輝せあ
今月のメッセージ
ヴァンパイアと人間の両方を意識した役作り。

『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~で私が演じているアルカードは、ドラキュラ伯爵と人間の女性との間に生まれた青年。お稽古当初は、ヴァンパイアと人間の両方の血が流れているという感覚をつかむことが、とても難しかったです。400年も生きている人物なので普通の人とは生きるペース、流れている時間の速さが違いますし、孤高の存在にしなくてはと思うがあまり、人間っぽくなってはいけないという意識を強く持っていました。 出会った人と普通に会話をしたり、ときには突っかかったりする部分もあるので、それをどう表現したらいいのかなと思っていましたが、あるとき「ヴァンパイアであることを意識し過ぎていたな」と気づきまして。アルカードは半分人間ですし、ちょっとお茶目なところもあったり、案外人間らしい部分もある。ヴァンパイアと人間の両方を併せ持つのがアルカードならではの魅力なのだと思い、白と黒が混ざった“グレー”ではなく、“白”と“黒”の両方の色を強めに出してみようと役を作っていきました。
アルカードは人間への不信感や諦め、嫌悪感を抱いていて、自分の人間らしい部分に蓋をしてきました。みさきちゃん(星空美咲)演じるマリアは、アルカードがあまり目を向けないようにしてきた人間の部分にアクセスしてくる女性なので、彼女と関わるところは人間らしくなったり。一方で、魔物を目の前にした瞬間や戦いの場面はヴァンパイアの部分が濃く出てくる。剣を振るうときの迷いのなさや敵への言葉遣い、ドスを効かせた声色などでヴァンパイアとして“動物的”に表現できたらと思っています。
変わっていくアルカード。

死者の世界でびっくさん(羽立光来)演じるロベスピエールに会ったとき、「私にも死を迎える日が来るなら、どれだけ幸せだろう」という印象的なせりふがあります。自分が生きる限り父を倒し続けること、そしてたとえ愛する人ができても、その人の死を見届け自分は生き続けなければいけないのは、とてもつらいと思います。孤独や諦め、空しさもあると思いますが、いちいち悲しんだり、寂しさを感じたりして人間らしい感情を持っていたら、生き続けていられないと思うんです。だからこそ、そういう人間の部分を見ないように、これ以上傷つかないように、ヴァンパイアとしてだけ生きてきたのかもしれません。
そもそも、父であるドラキュラ伯爵を倒すという宿命も、人としての感情を持ってしまったら、父親と戦うことなんてできない。だから自分の人間の部分は必要ないと思っていたのではないかな、と。でも人間への考え方が変わっていくことで、最後にドラキュラ伯爵と戦う場面は、ヴァンパイア同士ではなく人としての部分で父親に対峙する、ということを目標に演じています。まゆぽんさん(輝月ゆうま)演じるドラキュラ伯爵に向き合うと毎回涙が出てきて、アルカード像から離れてしまうのではないかというくらい、息子になってしまう・・・・・・。でも原作のゲームの音声を聞いても父の前では、特に母の話題になると涙をこらえたように声が揺らぐのが印象的だったので、そういう原作のニュアンスも含めて、表現できたらいいなと思っています。
ゲームを原作とした作品&立ち回りについて・・・・・・。
アルカードという役を知れば知るほど、日々、新たな気づきがあります。原作のゲームには想像させるゆとりがあり詳しく描いていない部分も、舞台作品として掘り下げたらこうなるのかという面白さがある。「悪魔城ドラキュラ」シリーズのゲームが長年愛されている理由がわかるような気がしています。
脚本・演出の鈴木圭先生からは、普段の作品のようなテンポだと、戦いやヴァンパイアのナンバーとの落差が大きく、統一感がなくなってしまう。なるべくゲーム上の会話のようにポンポンとリズミカルにお芝居をしてほしいとご指導いただいたので、意識するようにしています。お稽古当初は難しかったのですが、ヴァンパイアが出てくるゲームの世界はもちろん、今作のようなフランス革命の時代の人々も毎日が濃密で生きるスピードが速いと思うので、こういうテンポも腑に落ちるようになってきました。これまでの作品では、自分が感じていることをお客様にも同じように感じていただきたいと丁寧にお芝居をするよう意識してきましたが、今作では「こっちだよ!」とお客様を少し強引に世界観に引きずり込むくらいのテンポ感も大切にしながら演じています。
原作がアクションゲームなので、戦いのシーンもとても多いです。正直言いまして・・・・・・ものすごく体力が必要です! 敵が毎回違い、カツラも長髪でお衣装も大きくて長いので視界が限られていますし、何度も戦いが続くと気持ちが高まって髪やマントが乱れ、自分の太刀筋も目で追えないくらい。日本物の立ち回りの経験はありますが、ある程度型がありますし、剣と剣なのでタイミングも合いやすく距離感も保たれているので・・・・・・。でも今回はいつもより長い剣を持ったうえ、相手は魔物で体当たりで向かってきたり、妖術とも戦ったりするので消費エネルギーがものすごく多い。体力的にはかなり挑戦ですが、作品として描かれるテーマが深いので、とてもやり甲斐があります。
『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~には、まゆみさん(五峰亜季)とまゆぽんさんにご出演いただいています。まゆみさんとは、私が女役を演じた『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』でご一緒して以来なので、「男役としての芝居を初めて観た」とおっしゃっていて、確かに!と(笑)。お稽古場でもアドバイスをいただいたり、レビューのダンスに感想をいただいたりして、とてもうれしかったです。まゆぽんさんとは『アルカンシェル』 でも敵対する役でしたが、ここまで濃密な関係ではなかったので楽しいです。ドラキュラ伯爵、そして父として大きな存在感を最初から醸し出してくださり、お芝居や立ち回りもたくさん合わせていただきました。大好きな上級生の方と深いお芝居ができてとても幸せです。
脚本・演出の鈴木圭先生からは、普段の作品のようなテンポだと、戦いやヴァンパイアのナンバーとの落差が大きく、統一感がなくなってしまう。なるべくゲーム上の会話のようにポンポンとリズミカルにお芝居をしてほしいとご指導いただいたので、意識するようにしています。お稽古当初は難しかったのですが、ヴァンパイアが出てくるゲームの世界はもちろん、今作のようなフランス革命の時代の人々も毎日が濃密で生きるスピードが速いと思うので、こういうテンポも腑に落ちるようになってきました。これまでの作品では、自分が感じていることをお客様にも同じように感じていただきたいと丁寧にお芝居をするよう意識してきましたが、今作では「こっちだよ!」とお客様を少し強引に世界観に引きずり込むくらいのテンポ感も大切にしながら演じています。
原作がアクションゲームなので、戦いのシーンもとても多いです。正直言いまして・・・・・・ものすごく体力が必要です! 敵が毎回違い、カツラも長髪でお衣装も大きくて長いので視界が限られていますし、何度も戦いが続くと気持ちが高まって髪やマントが乱れ、自分の太刀筋も目で追えないくらい。日本物の立ち回りの経験はありますが、ある程度型がありますし、剣と剣なのでタイミングも合いやすく距離感も保たれているので・・・・・・。でも今回はいつもより長い剣を持ったうえ、相手は魔物で体当たりで向かってきたり、妖術とも戦ったりするので消費エネルギーがものすごく多い。体力的にはかなり挑戦ですが、作品として描かれるテーマが深いので、とてもやり甲斐があります。
『悪魔城ドラキュラ』~月下の覚醒~には、まゆみさん(五峰亜季)とまゆぽんさんにご出演いただいています。まゆみさんとは、私が女役を演じた『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』でご一緒して以来なので、「男役としての芝居を初めて観た」とおっしゃっていて、確かに!と(笑)。お稽古場でもアドバイスをいただいたり、レビューのダンスに感想をいただいたりして、とてもうれしかったです。まゆぽんさんとは『アルカンシェル』 でも敵対する役でしたが、ここまで濃密な関係ではなかったので楽しいです。ドラキュラ伯爵、そして父として大きな存在感を最初から醸し出してくださり、お芝居や立ち回りもたくさん合わせていただきました。大好きな上級生の方と深いお芝居ができてとても幸せです。
これぞ宝塚レビュー!
『愛, Love Revue!』は、男役がかっこよく娘役が美しいという「これぞ宝塚レビュー!」という作品です。自分が出ていないシーンも好きすぎて、ほのかちゃん(聖乃あすか)中心の「初恋」の美しいシーンやパレードなどを稽古場で観ていて、「宝塚って尊いな」と涙が出てきてしまうくらい・・・・・・。
各シーンについてはまた次回にでもお話ししたいと思いますが(笑)、いま一番好きなのは「熱愛のボレロ」。紫苑ゆうさんの退団公演のために作られた場面なので、何度も映像を拝見したり、和央ようかさんが再演された場面も観させていただき、ものすごく覚悟がいるなと感じました。振付をいただいた日から感じるものがありましたし、いま演じていてもすごくエネルギッシュなシーンだな、と。楽曲を歌っていても神聖な気分になり、“ラブ”ではなく、濃い“熱愛”という感じがして、気持ちが高まります! そんな濃厚なシーンに没入するのがとても楽しく、初日は緊張というより、興奮して震えました。
あとはやはり「Bad Power」。もう、たまらないです! 地方や全国ツアー公演で再演されていますが、大劇場公演として同じ人数、同じ規模でやるのは初演以来となります。セットもなるべく初演に近づけたと岡田敬二先生がおっしゃっていましたし、振付も全く一緒。当時出演されていた若央りさ先生が振付してくださって、先生が誰よりもかっこよかったです。この独特のダンスを踊りこなせるのは世界で宝塚の男役だけ、という誇りもありますし、ただ元気なだけでなく、“ちょい悪”という雰囲気がとっても楽しい! 長年のファンの方だけでなく、こういうシーンをあまり観たことのなかった方にも「これが宝塚の真骨頂」という場面をぜひとも受け止めていただきたいと思っているので、『愛, Love Revue!』はいまこの時代にやるべき作品だと感じてやり甲斐があります。そして改めて、男役としての自分、ここにいる自分の意味みたいなもの、長年少し悩んでいた部分に答えが出たような気がしています。
皆様、東京宝塚劇場公演も楽しみにしていただけたらと思います。劇場でお待ちしております!
※このメッセージは、6/18(水)のものです。
各シーンについてはまた次回にでもお話ししたいと思いますが(笑)、いま一番好きなのは「熱愛のボレロ」。紫苑ゆうさんの退団公演のために作られた場面なので、何度も映像を拝見したり、和央ようかさんが再演された場面も観させていただき、ものすごく覚悟がいるなと感じました。振付をいただいた日から感じるものがありましたし、いま演じていてもすごくエネルギッシュなシーンだな、と。楽曲を歌っていても神聖な気分になり、“ラブ”ではなく、濃い“熱愛”という感じがして、気持ちが高まります! そんな濃厚なシーンに没入するのがとても楽しく、初日は緊張というより、興奮して震えました。
あとはやはり「Bad Power」。もう、たまらないです! 地方や全国ツアー公演で再演されていますが、大劇場公演として同じ人数、同じ規模でやるのは初演以来となります。セットもなるべく初演に近づけたと岡田敬二先生がおっしゃっていましたし、振付も全く一緒。当時出演されていた若央りさ先生が振付してくださって、先生が誰よりもかっこよかったです。この独特のダンスを踊りこなせるのは世界で宝塚の男役だけ、という誇りもありますし、ただ元気なだけでなく、“ちょい悪”という雰囲気がとっても楽しい! 長年のファンの方だけでなく、こういうシーンをあまり観たことのなかった方にも「これが宝塚の真骨頂」という場面をぜひとも受け止めていただきたいと思っているので、『愛, Love Revue!』はいまこの時代にやるべき作品だと感じてやり甲斐があります。そして改めて、男役としての自分、ここにいる自分の意味みたいなもの、長年少し悩んでいた部分に答えが出たような気がしています。
皆様、東京宝塚劇場公演も楽しみにしていただけたらと思います。劇場でお待ちしております!
※このメッセージは、6/18(水)のものです。

