今月の永久輝せあ
今月のメッセージ
ご観劇いただき、ありがとうございました。

『悪魔城ドラキュラ』はゲームが原作ですが、ゲーム内に出てくる場面としては“冒頭のシーン”と“アルカードが悪魔城に入場してから”のみで、その間の物語については脚本・演出の鈴木圭先生が宝塚オリジナルで膨らませてくださいました。なぜアルカードが悪魔城に向かったのかということが描かれたことによって、結末の美しさや温かさが舞台ならではのものになったように思います。
アルカードは最後に月を見上げながら「今日はやけに温かく、眩しい。私は決してこの月の光を曇らせはしない」と誓うのですが、これから先の何百年という果てしない時のなかでこの時見た月の光をずっと忘れずに生きていくのだな、と。これまでの400年間は、母の遺言を宿命として父と戦ってきて、大好きな母の言葉ではあるけれど、アルカードにとってはある意味“呪い”のように囚われてしまう側面もあったと思うんです。それが父を倒した後に、どこか呪縛から解き放たれたような感覚がありましたし、家族が再び1つになれたようにも感じました。この先は自分が守りたい人を守り、やっと自分の人生を歩んでいけるのではないかと、公演終盤になってより深く実感するようになりました。
今作は、ゲーム「悪魔城ドラキュラ」のファンになってまだ日が浅い私でも、お稽古当初から「この曲をここで使うんだ!」「せりふがそのまま使われている!」「プロローグでキャラクターが居並ぶのが最高」とテンションが上がりました。だからきっとゲームファンの方は喜んでくださるのではと期待していましたが、普段から宝塚歌劇をご覧いただいているお客様がどう受け止めてくださるのかが課題だと感じていました。
そう思いながら初日を迎えた後、宝塚ファンの方と初めてご覧いただいたゲームファンの方との交流が生まれているということを耳にしました。「眼鏡はかなり重要なアイテム」「ピーナッツを食べるのは・・・・・・」とゲームファンの方が教えてくださったり、それに対して宝塚ファンの方が「宝塚にはこういう魅力がありますよ」「ぜひこの作品も観てください!」と薦めてくださったりして。門戸を開いてくださる宝塚ファンの皆様の温かさも感じましたし、お互いが交流することで新しい扉が開いた感覚もあり、上演した意味を感じることができて心からうれしかったです。
また今作も、出演者一人ひとりが真摯に作品に向き合っていました。先月も少しお話ししたそれぞれの“ボス”を演じた子たちはもちろん、フランス革命チームや魔物チームのみんなの迫力もすごかったです。私も以前フランス革命を描いた作品で、民衆側もロベスピエール側も演じたことがありますが、ハードルの高い題材だと思うんです。でも下級生に至るまですごく熱量があって、東京宝塚劇場公演に向けてのお稽古で久しぶりに観たときに、そのエネルギーを間近で感じて鳥肌が立ちました! そんなみんなの力が集結して、この『悪魔城ドラキュラ』という作品を上演できたのだなと改めて実感しました。
宝塚への思いで団結したレビュー。

ここ数年、時代がいろいろと変わってきているなかで、宝塚で上演する作品もお客様のニーズも変わっていっていることについて、ずっと考え続けてきました。踊りのジャンルの幅が広がり、男役も高音を出したりチャレンジすることが増え、お衣装や演出面でも新しいものを作っているいま、宝塚の伝統として受け継がれてきたものの大切さはどこにあるのだろう、と悩んでいました。新しいことへのチャレンジはもちろん大切で、私自身も挑戦していきたい気持ちがありますし、お客様も望んでいらっしゃる方も多いと思います。でもそのなかで、これまで先輩方が積み上げてくださった宝塚ならではのものの価値が薄れていってしまわないかということが、怖かったんです。
そんななか、この 『愛, Love Revue!』に出合ったことで、長年悩んでいたことに答えが出たように感じました。かっこいい踊りをすれば男役なのではなく、自分の持ち味、空間の使い方、背中で醸し出す雰囲気、スーツの着こなしなど、男役のいろいろな魅力があってこそ成り立つこの“ロマンチック・レビュー”は宝塚歌劇のレビューそのもので、これを成立させてこその男役だ、と。できなければ宝塚の男役を名乗れないとまで思えたことが、いまの自分に必要な覚悟にもつながったような気がします。それを極めてこそ、新しいものへのチャレンジもより面白くなる。そんな覚悟を感じたことで、いままで以上に自分のなかから湧き出るものが増えた感覚がありますし、私自身の男役の美学、ダンディズムにつながっていたらいいなと思います。 そして、最近ファンになってくださったお客様や現代的なミュージカルなどがお好きな方にも、伝統的な宝塚の魅力や真骨頂をお伝えできたらという願いも増えました。
11月に開幕する『Goethe(ゲーテ)!』
11月に東京国際フォーラム ホールC、12月に梅田芸術劇場メインホールにて上演される『Goethe(ゲーテ)!』。ドイツで2021年に初演された新作ミュージカルで、名作「若きウェルテルの悩み」の誕生にまつわるゲーテの情熱を軸に描いた物語です。
オリジナル作品は、ポップで現代的な楽曲も含めてナンバーがすてきですし、所々にすごく美しいシーンがあったりして、この作品を上演できることがとてもうれしいです。日本語脚本・訳詞・演出の植田景子先生が宝塚版も美しく仕上げてくださると思うと、お稽古が始まる前からワクワクしています。オリジナルは登場人物がジーンズをはいていたりしますが、宝塚で上演されるからには、先行画像のようにもう少しクラシカルな雰囲気になるのかなと想像しています。
私が演じるゲーテは、言わずと知れた世界的な文豪。作家だけでなく、政治家や法律家でもあった多才な人ですが、そうなる前の若い時代が描かれます。親からは法律家になれと言われるけれど、自分は作家や画家になりたい、自分らしく生きたい、と。でも才能を認められずに悶々とする日々を送る、若々しい青年。先日ゲーテゆかりのスポットが残るドイツの“ゲーテ街道”を旅して、すごく真面目な勉強家で穏やかそうな人という印象を受けましたが、若いころはほとばしるような情熱があったのかなと思います。
ゲーテ街道では、生誕地のフランクフルト、「若きウェルテルの悩み」の舞台でヒロイン・シャルロッテに出会ったヴェッツラー、大学時代を送ったライプツィヒ、晩年を過ごしお墓のあるワイマール、ゲーテが景色に魅了されたドレスデンに行ってきました。すてきな街ばかりだったので、また来月にでもお話ししたいと思います!
実は、フランクフルト空港に到着したとき、みさきちゃん(星空美咲)とほのかちゃん(聖乃あすか)がロビーで盛大に出迎えてくれました! 一緒に旅行できれば良かったのですが、仕事で予定が合わず3人ともバラバラにドイツに行ったんです。でも前日に2人が合流して横断幕を作ってくれたみたいで・・・・・・。ちょっと恥ずかしかったのですが(笑)、 海外で集合することはなかなかできることではないので、うれしかったです!
※このメッセージは、9/16(火)のものです。
オリジナル作品は、ポップで現代的な楽曲も含めてナンバーがすてきですし、所々にすごく美しいシーンがあったりして、この作品を上演できることがとてもうれしいです。日本語脚本・訳詞・演出の植田景子先生が宝塚版も美しく仕上げてくださると思うと、お稽古が始まる前からワクワクしています。オリジナルは登場人物がジーンズをはいていたりしますが、宝塚で上演されるからには、先行画像のようにもう少しクラシカルな雰囲気になるのかなと想像しています。
私が演じるゲーテは、言わずと知れた世界的な文豪。作家だけでなく、政治家や法律家でもあった多才な人ですが、そうなる前の若い時代が描かれます。親からは法律家になれと言われるけれど、自分は作家や画家になりたい、自分らしく生きたい、と。でも才能を認められずに悶々とする日々を送る、若々しい青年。先日ゲーテゆかりのスポットが残るドイツの“ゲーテ街道”を旅して、すごく真面目な勉強家で穏やかそうな人という印象を受けましたが、若いころはほとばしるような情熱があったのかなと思います。
ゲーテ街道では、生誕地のフランクフルト、「若きウェルテルの悩み」の舞台でヒロイン・シャルロッテに出会ったヴェッツラー、大学時代を送ったライプツィヒ、晩年を過ごしお墓のあるワイマール、ゲーテが景色に魅了されたドレスデンに行ってきました。すてきな街ばかりだったので、また来月にでもお話ししたいと思います!
実は、フランクフルト空港に到着したとき、みさきちゃん(星空美咲)とほのかちゃん(聖乃あすか)がロビーで盛大に出迎えてくれました! 一緒に旅行できれば良かったのですが、仕事で予定が合わず3人ともバラバラにドイツに行ったんです。でも前日に2人が合流して横断幕を作ってくれたみたいで・・・・・・。ちょっと恥ずかしかったのですが(笑)、 海外で集合することはなかなかできることではないので、うれしかったです!
※このメッセージは、9/16(火)のものです。

