今月の永久輝せあ
今月のメッセージ
2026年もどうぞよろしくお願いいたします!
皆様、明けましておめでとうございます。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。
このメッセージがアップされるころには閉幕しているのですが、12月に上演していた『Goethe(ゲーテ)!』のことを振り返ってみたいと思います。
これまでの作品と違い、『Goethe!』はお客様がどういう風に受け止めてくださるのかという予想がまったくつかない状態だったので、初日は本当に緊張しました。ドイツのオリジナル版もあまり出回っていないなかでの日本初上演でしたし、メッセージ性を言語化することが難しい作品だったので、自分でもいままで出会ったことのない未知の作品で、そういうプレッシャーもありました。
東京国際フォーラムホールC公演はとにかく無我夢中でしたが、梅田芸術劇場メインホール公演は、初日までに少しお休みがあり、客観的に作品を捉える時間があったので、また1つ落ち着いて臨めたような感覚がありました。
大阪公演で一番感じたのは『Goethe!』というタイトルについて。タイトルロールといわれるような役は『ドン・ジュアン』でも経験がありましたが、その時は死を迎えるまでの人生の結末が描かれていました。今回は役名の“若きヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ”のとおり、青年期のみが描かれているのですが、『Goethe!』というタイトルが付いているからには、その後晩年まで生きた彼のすべても含んでいなければいけないのだな、と。偉大な文豪でも、若いころは誰もが経験するような普通のことで悩むただの青年だった。でも、社会や世界を見る目、寛容さや懐の広さなど、かの有名な“ヨハン・ゲーテ”としての片鱗は初めから持っていたはずだと感じました。
先日、オリジナル・プロダクションの音楽スーパーバイザー、セバスチャン・デ・ドメニコさんが観劇してくださった際、「これはアーティストとしての成長の物語」とおっしゃっていました。「作家になりたい」「ほかの人とは違う」「自分にならできる」という若いエゴイズムが強い時代にヴェッツラーでいろいろなことを経験し、「本当の自分とは何か」と彼自身の本質に辿り着いてこそヨハンも大人になる。アーティストとしてのその後の創作活動は、ここからすべてがつながっていったのかな、と。それを含むことができたら、『Goethe!』というタイトルの意味が深くなるのではと思いました。
今作の難しさでもあるのが、『若きウェルテルの悩み』を書き上げることが結末ではなく、その後絶望に追い込まれた後に立ち上がる部分がクライマックスだということ。『若きウェルテルの悩み』は、ロッテやヴィルヘルム、ケストナーの存在、その人たちへの思い、それがもたらしてくれたもの、彼の体に流れるすべてを書いたからこそ、文学としてこれだけ評価されるものになったのだと思います。でも売れようが売れまいが、牢獄ですべてを失ってもなお消えない“書くこと”が自分の根底にある魂の願いだと気づいたヨハンは、その時点で作家になろうがなれなかろうがもう関係なかったのではないかなと、そんな気がしています。仮にもしもその後、父に従って法律家になったとしても、自分が生きるために書くことはやめないのではないかなと感じました。
演者として『Goethe!』から得たものとは。
『Goethe!』は本当に素敵な曲ばかりです!! ですが、30曲以上歌っているなかで、低音から高音まで2オクターブの音域の幅があり、しかもほとんどのせりふにメロディが付いていてリズムも複雑だったので稽古中はとても苦戦しました。いまとなっては“歌った”というよりも“お芝居をした”という感覚のほうが強いのが不思議です。
お芝居としても本当に難しく、私自身も超えなければいけない壁がたくさんありました。宝塚は“男役はかっこよく”“娘役は可憐に”という型や様式美が必要とされますが、今作はそれよりも、人間としての生身のエネルギーや人の内面の本質的な部分が必要。特にゲーテは強い生命力が魅力で、周囲にその影響が広がっていくパワーを持った人なので、そういう生きるエネルギーをどう表現していくかも課題でした。
2幕でゲーテはすべてを失ったとばかり思っていましたが、お稽古中のあるとき、「諸悪の根源は自分だ」と思い知った瞬間がありました。自分はロッテとケストナーの邪魔者で、恋に夢中なせいで親友のヴィルヘルムをおざなりにして、ケストナーに対しても言わなくてもいいことを言って傷つけたり。そういう自分が周りにもたらした惨事に、まるで自分が罪人のような絶望的な気持ちを味わいました。一度そこまで落ちてみてやっと、このお話の痛みの部分がわかったような気がしました。
私がこの役を通して一番感じたことは、エゴを手放す大切さ。お稽古中、自分のキャパを超える課題の量に、自分がどうありたいのか、自分に何ができるのか、まったく手も足も出なくなりました。でもその時に目を覚まさせてくれたのは、周りの皆の向き合う姿やエネルギー、かけてくれた言葉やこの作品への思いでした。自分のことは自分でできると思っていたのも勝手なエゴだったのではないだろうか、と。人からもたらされるものもちゃんと受け取ってこそ、初めて自分の根底にある願いにアクセスできるんだなと感じました。
それはゲーテが大人になっていく時に踏んでいった過程だと思いますし、アーティストとして彼が覚醒するきっかけでもあったと思うんです。ゲーテという役を通してそう感じることができ、一演者としてもとても勉強になりました。
刺激を受けた観劇体験、そして2026年の抱負は・・・・・・。
2025年もいろいろな作品を観劇して、たくさんの刺激をいただきました。なかでも劇団四季さんの素晴らしさを改めて感じたことが大きかったです。以前『キャッツ』などを拝見したことはありましたが、『ウィキッド』を観て、こんなに深く面白い作品なんだ!と。それから魅力に引き込まれて、峰果とわ君のお家に何人かで集まって『ゴースト&レディ』の配信を観たこともありました。ナイチンゲールと劇場にいるゴーストの物語なのですが、物語も曲も素敵ですし、皆様のパフォーマンスも素晴らしかったです!
12月の花組は『Goethe!』と『DEAN』に分かれて公演していました。上演期間が重なっていて、残念ながら本番は観られなかったのですが、稽古場にお邪魔して観ることができました。
『Goethe!』があまり宝塚らしくない作品だったので、いつもの宝塚に戻ってきた幸福感と安心感がありましたし、演者としてもとても胸に響く物語でした。主演のしんちゃん(極美慎)の花組デビュー作ですが、しんちゃんを中心としたカンパニーが成り立っていて素晴らしいなと感じましたし、一人ひとりが自分のできる限りのことをやろうと頑張ってる姿にすごくパワーをもらいました!
2026年は、2月14日に開幕する宝塚大劇場公演『蒼月抄(そうげつしょう)』-平家終焉の契り- 『EL DESEO(エル・デセーオ)』から始まります。ほぼ経験のない平安時代が舞台ということも、熊倉飛鳥先生の宝塚大劇場デビュー作でご一緒できることもワクワクしています。ポスター撮影をしたときにも美しい世界観を感じましたし、日本人らしい清らかさや潔さ、葛藤のようなものも描かれると思うと楽しみです。そして 『EL DESEO(エル・デセーオ)』は指田珠子先生の作・演出。『冬霞の巴里』でご一緒した際、いつか先生のショーに出演したいと話していたことがかなってうれしいですし、ラテンショーも大好きなのでとても楽しみです!
2025年は、これまでの自分を覆すような発見がたくさんあり、まだまだ自分が「未完」だと感じました。これまで積み重ねてきたことに加えて、まだはまってないピースや持っていないピースもたくさんあるので、いただく役や出会う作品に対して柔軟な心で取り組んでいきたいと思っています。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
※このメッセージは、12/12(金)のものです。
12月の花組は『Goethe!』と『DEAN』に分かれて公演していました。上演期間が重なっていて、残念ながら本番は観られなかったのですが、稽古場にお邪魔して観ることができました。
『Goethe!』があまり宝塚らしくない作品だったので、いつもの宝塚に戻ってきた幸福感と安心感がありましたし、演者としてもとても胸に響く物語でした。主演のしんちゃん(極美慎)の花組デビュー作ですが、しんちゃんを中心としたカンパニーが成り立っていて素晴らしいなと感じましたし、一人ひとりが自分のできる限りのことをやろうと頑張ってる姿にすごくパワーをもらいました!
2026年は、2月14日に開幕する宝塚大劇場公演『蒼月抄(そうげつしょう)』-平家終焉の契り- 『EL DESEO(エル・デセーオ)』から始まります。ほぼ経験のない平安時代が舞台ということも、熊倉飛鳥先生の宝塚大劇場デビュー作でご一緒できることもワクワクしています。ポスター撮影をしたときにも美しい世界観を感じましたし、日本人らしい清らかさや潔さ、葛藤のようなものも描かれると思うと楽しみです。そして 『EL DESEO(エル・デセーオ)』は指田珠子先生の作・演出。『冬霞の巴里』でご一緒した際、いつか先生のショーに出演したいと話していたことがかなってうれしいですし、ラテンショーも大好きなのでとても楽しみです!
2025年は、これまでの自分を覆すような発見がたくさんあり、まだまだ自分が「未完」だと感じました。これまで積み重ねてきたことに加えて、まだはまってないピースや持っていないピースもたくさんあるので、いただく役や出会う作品に対して柔軟な心で取り組んでいきたいと思っています。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
※このメッセージは、12/12(金)のものです。




