永久輝せあコーナー

今月のメッセージ

温かな拍手をいただいた、花組宝塚大劇場公演の初日。

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるころには千秋楽を迎えている、花組宝塚大劇場公演『エンジェリックライ』『Jubilee(ジュビリー)』。ご観劇いただいた皆様、ありがとうございました!

 お稽古中、これまでとはまったく違う感覚がありましたし、作品を背負い、組を率いて立つことへの責任を実感しながら過ごしていたので、初日は一体どんな景色で自分がどんな感覚になるのだろう、お客様が作品をどう受け止めてくださるのかなと考えたりして、少しセンシティブになることもありました。

 初日に準備しているときはかなり緊張していましたが、どんな公演のときも初日はいつも緊張するなと思ったら、「大劇場お披露目は一生に一回だから特別な日にしなければ」と、どこか無意識に思ってしまっていたことに、開演前にハッと気づいたんです。そうしたら変な緊張感がなくなり、すごく落ち着いて迎えられました。そして、幕開きから大きな拍手をたくさんいただき、見守ってくださっているお客様の温かさをひしひしと感じたので、こんな風に楽しめた初日は初めてというくらい、ほとんど緊張せずに舞台に立つことができました。特にレビューのプロローグでセリ上がって登場するとき、拍手が「おめでとう」と言ってくれているかのようでとても感動しましたし、そういう思いをしっかりと受け止め、この空気を噛み締めながら、作品をお届けすることに集中すればいいのだなと感じることができました。

 パレードで羽根を背負わせていただいたとき、覚悟していたつもりでしたが、これまでの羽根とは重さが全然違いました。毎公演、一番最後にこの羽根を背負うのだと思うと、毎日背負ってこられた歴代のトップさんたちへの尊敬の念が増し、とても覚悟のいることなんだと改めて実感しました。ですが組のみんなが温かく迎えてくださり、その温かな表情を見て、ホッとできた自分もいました。

 無事に幕を開けることができ、自分自身も楽しめて、お客様もすごく温かく観てくださっていたのを全身で思い切り体感できたので、とっても幸せでした。作・演出の稲葉太地先生が主題歌に「今日は記念日」という歌詞を入れてくださいましたが、まさにそのことを実感した1日となりました。

天使とは……?

永久輝せあ 今月のメッセージ 『エンジェリックライ』の天使・アザゼル役は、お稽古場よりも舞台に来てからのほうがより自由になった気がしています。台本における正解を探しながらお稽古をしていましたが、誰も天使を実際に見たことがないのなら、私なりの天使像でいいんだなと思ったら、「天使だったらこういうこともアリかも!」という発想がどんどん出てきていて。舞台上を駆け回っている感覚がありますし、空間の広さがとても心地いいです。

 普段は男役として重心を意識して地に足をつけるようにしていますが、今回はそういう男役としての振る舞いを一切意識せず、アザゼルとともに男らしさみたいなものが同居していればいいかな、と。天使としてはもちろん、アザゼルのやんちゃ感、性格的な軽さは軽快な身のこなしで表現できればと思いますし、人間界に堕ちたときにはきっと誰よりも身軽なはずなので、そこも意識して演じています。

 そういった人間と天使の違いを考えるのはすごく楽しいです。たとえば……天使はきっと何かを失うという怖れや戸惑い、迷いはあまりないのかなと思いますし、生死に対しても人間とは感覚が違うのかな、と。アザゼルは天使の力と嘘を封印されてから、エレナの気持ちや生い立ちを知り、深く関わるようになって人間のことを少しずつ知っていく。作・演出の谷 貴矢先生がおっしゃるように、人間が悩んだり葛藤するのは根底に「本当はこうしたい」「こうありたい」という願いや望みがあるから。それをアザゼルが知ることはとても大きいことで、そういう部分に人間の美しさや素敵さ、面白さを感じ、エレナにも惹かれていくのかなと思います。

 みさきちゃん(星空美咲)演じるエレナとのお芝居は、天使と人間の間の壁や違和感、感覚の違い、会話の噛み合わなさみたいなものを大切にしていますが、回を重ねてテンポが良くなってしまうとどうしても普通の芝居のやり取りになってしまうので、公演が始まってからも話し合いつつ演じています。天使は人を否定したりしないと思うので、エレナを引き留めたり、間違っていることを伝えるときも、否定の気持ちは絶対に混ぜてはいけない。いかに否定せずに、天使だからこそわかるアドバイスや助言のようなニュアンスに寄せるのかなど、考えるのも面白いですね。

 カチャさん(凪七瑠海)演じるフェデリコは、最後にエレナとの関係性を「やり直そう」という言葉で受け止めます。正しいこと、良いことだけをする天使とは違って、人間は失敗もするし良くないこともするけれど、やり直せるのだということを感じ、2人の関係性はアザゼルの目にはとても素敵に映ります。あおいさん(美風舞良)演じるアズラエルが残した後悔を代わりにアザゼルが成し遂げるということも重要な部分なので、この2人を守ること、見届けることはアザゼルにも大きな力になっています。

どのシーンも大好きな『Jubilee(ジュビリー)』。

 レヴュー グロリア『Jubilee(ジュビリー)』はとても華やかな作品ですが、皆様お楽しみいただけていますでしょうか。

 初日以降、どの場面もさらに大好きになっていますが、まず挙げるとするとフィナーレの黒燕尾! 大階段に1人、閉じていた瞼を開いて手を黒燕尾に触れる振付から始まるのですが、初日のなかでもその瞬間をすごく覚えています。これまでも数え切れないくらい燕尾服に手を添えてきていますが、今回は特に意味があるような気がしてぐっと胸に迫るものがあって……覚悟が1つ決まった瞬間でもありました。初日以来、ずっと大切にしている瞬間です。

 振付にバレエの要素もあるので、全員で必死にお稽古しましたが、初日の映像を見るとみんなの緊張感もすごいですし、気持ちがそろったシーンになっているのかな、と。退団者の方との3組のカップルシーンなど盛りだくさんで、黒燕尾を着る誇り、喜びや幸福感とともに別れの切なさ、感謝の気持ちを感じるフィナーレの一連の流れが日に日に大好きになっています。

 戴冠式の場面も、豪華なお衣装とセットのなかで実際に演じてみて、さらに好きになりました。ダンスだけでなく芝居要素も強いので愛着が湧いてきていますし、いい顔をして側にいてくれるみんなの顔が見られる場面でもあるので、幸せを感じるシーンです。
 ほかにも素敵なデュエットダンスなど、どれも好きな場面なので、また来月にでもお話ししたいと思います!

※このメッセージは、10/15(火)のものです。

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テーマ:「好きなスポーツ」

  • ◎『水泳』

    幼稚園から小学3年生くらいまでずっと習っていて、バタフライまで一通り泳げます。毎年夏に静岡の海に行って、泳ぎが得意な父や一緒に習っていた兄と遊んでいました。海が大好きになったきっかけでもあり、すごくいい思い出ですね。少し前にジムのプールに入る機会があったのですが、とっても楽しくて……。私は泳ぐのが好きなんだなぁと実感しました!
  • ◎『サッカー』

    小学生のときから、旗を作ってW杯を観るくらい大好きでした。ドイツのゴールキーパーとして活躍していたオリバー・カーン選手のファンで、CDも買ったことがあります! その後日本代表も応援し始めて、中村俊輔選手の大ファンに。海外のクラブチームに移籍後も、日本での試合を観に行ったりして、携帯の待ち受けも俊輔選手でした! お菓子に入っているカードも集めていました(笑)。
  • ◎『フィギュアスケート』

    そんなに詳しくはないのですが、雪組時代にフィギュアスケートファンの上級生の方が何人かいらっしゃって楽屋で話題になることも多かったので、テレビで観戦したりしていました。エンターテインメント性もある、素敵な競技ですよね。どの瞬間も点数がつく緊張感のなか、ベストな演技をするのは並大抵の精神力ではないと思うので、一度生で観てみたいなとすごく興味があります!