永久輝せあコーナー

今月のメッセージ

花組 御園座公演『ドン・ジュアン』について。

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるのは、花組 御園座公演『ドン・ジュアン』の開幕が間近に迫っているころだと思います。皆様、劇場でお待ちしております!

 私は2016年の雪組公演に出演し、自分自身のターニングポイントになっただけでなく、作品が持つ不思議な魅力に惹き付けられて何度も観返してきました。
 そんな、とても思い入れの強い作品を自分色に塗り替えられるのか心配もありましたが、役を深めていくということはこれまでと変わらない。そして今回の台本を読むと初演から変更されている箇所もあり、情熱的で迫力のある作品という印象から、より精神的な世界を表現する作品となっていて、また違う魅力を表現できるのではと感じるようになりました。

 石のように冷たい男と言われていたドン・ジュアンと、石を彫り、命を吹き込み、何かを生み出す仕事をしているマリア。今作ではそれがすごく大きなテーマとなっていて、そんな精神世界がセットにも表現されています。マリアを演じるみさきちゃん(星空美咲)、初演時にもご出演されていた英真なおきさんや美穂圭子さんをはじめ、とても心強いキャストの皆さんと刺激し合いながら作っていくことで、自分なりのドン・ジュアンを見つけられたらいいなと思っています。

 この作品はお芝居よりも、歌の分量がとても多いミュージカルです。ほとんどの曲が歌は歌で独立していて、大曲ばかり。歌で物語を進行させるというより、1曲ずつきちんと歌うことで伝わるメッセージがあると思うので、まずは歌に向き合ってお稽古しています。
 曲調もしっとりとした雰囲気の曲から、タンゴ、ロックとさまざまで、声色もテンションも違う楽曲を同じドン・ジュアンの声としてどう表現していくのか……。そもそも彼がどういう声を発するのかも含め、まだつかめていない部分もあるので、さらに追求していきたいと思っています。

 今作のポスターは、マリアの婚約者・ラファエルとの決闘に行こうとするドン・ジュアンと、それを止めるけれども包み込む聖母のようなマリアという、2幕後半の場面をイメージした宗教画のような構図になっています。
 ドン・ジュアンがマリアと出会ってどう変わっていくのか。愛というものを知った彼がたどり着く先には何があるのか。そもそも愛とは何なのか。これからのお稽古で深めていきたいです。

これからの花組、コンビとしては……。

永久輝せあ 今月のメッセージ  トップという立場にならせていただいてお稽古が進んでいますが、実はまだあまり実感が湧いていません。花組は『ドン・ジュアン』、ほのかちゃん(聖乃あすか)主演の『Liefie(リーフィー)-愛しい人-』『宝塚巴里祭2024』の3つに分かれていることもあり、いつもの小劇場公演とそう変わらないような感覚ですが、お披露目だからと思ってくださる先生方や周囲の方々の思いを感じることで、「これまでとは違うんだな」と実感する瞬間はあります。

 いま思うことは、私はみんなで一緒に作品を作っていくことが大好きなので、この立場であっても組のみんなと同じ所に立っている人でありたい、ということです。そのためには、なるべく自分がありのままでいることが大切なのかなと思いますし、いま自分が何を感じているのか、作品の方向性をいち早くキャッチして、それを周りにちゃんと伝えて、共有したい。いつも皆、主演の方がどうしたいのだろうと常にアンテナを張って、なるべく感じ取ろうとしてくれるのですが、言葉できちんと伝えたほうが「だったらこうしてみよう」「そのためにはこうしよう」とそれぞれが自分のやるべきことをいち早く感じてくれるのではないかな、と。花組の仲間は私が思いを伝えれば絶対に受け止めてくれますし、コミュニケーションを取れば取るほど、より信頼が深まるという安心感がすごくあります。

 トップコンビとしては、それぞれが自分の足で立ち、刺激し合える相手であり、ともに成長する存在であったらいいなと思っていて、みさきちゃんにもそういう話をしました。これから大変なこともあるとは思いますが、真心を持って相手に伝える、尊重し合うということさえ守っていれば、これからいろいろなものを共有できるのかなと思っています。
 組としては「これからこうします」ということをあまり掲げすぎずに柔軟でいたいですし、進んでみないとわからない部分も大切にしていけたらと思います。

 私個人としては、伝統ある"花組の男役"に恥じないような姿でいなければと身が引き締まる思いがあります。昔のスターさんたちへの憧れもあるので、男役だからかっこよく踊れる、男役の見せ方がなければ成立しないものにもチャレンジしていきたい。それとともに、お客様の年齢層は幅広く若い世代の方もいらっしゃるので、時代性についていけるような新しさも追い求めていないといけないな、と。
 そんな新しさをずっと昔から愛してくださるファンの方に受け入れてもらえるように、また最近ファンになってくださった方にも宝塚の伝統、男役ならではのかっこよさを感じていただけたらうれしいです。いろいろな作品、役と出合い、その両方を表現していけたらいいなと思っています。

お客様、ファンの方に対して感じていること。

 日頃私が舞台に立つ理由の1つに、観てくださるお客様の人生を変えたいという大きな目標があります。宝塚の舞台を観て元気をもらった、明日も頑張ろうと感じていただくことも、立派に人生を変えていることになると思っていて、そのために自分を高めたり、お芝居を作り込んだりすることがとても楽しいです。私にとっては、そのなかの一番の存在がファンの方々。私に出会い、応援してくださるなかで、何か活力を与えることができたらとても幸せですし、そこにやりがいを感じて舞台に立っています。
 逆に私も、お手紙などで感想や思いを書いて届けてくださることが励みになり、「舞台に立っていて良かった」と、すごくパワーをいただいています。それが私のエネルギーとなり、いろいろなチャレンジができると思っているので……相思相愛だと思っています(笑)! これからも、どうぞよろしくお願いいたします!

感慨深かった月組、雪組公演。

 先日、月組公演『Eternal Voice 消え残る想い』『Grande TAKARAZUKA 110!』を観劇させていただき、お芝居もショーもとても素敵な作品で夢中で観てしまいました! れいこさん(月城かなと)と雪組でご一緒していたのはすごく前のことですが、いま思うとぜいたくな時間だったのだな、と。もっともっと学ぶべきことや教えていただけることがたくさんあったはずなのに、当時、私の理解力が全然足りないばかりで、もったいなかったなと悔しく思ったり、「この方とご一緒できていたなんて幸せだったな」と感じるほど、とてもとても素敵でした。同期のえり(海乃美月)もすごく輝いていました。れいこさんとのデュエットダンスはもちろん、お芝居でただ銀橋を渡るだけでお2人の間に大きな信頼が見えて、いろいろなことを乗り越えながら関係性を築いてこられたんだなと思うと、すごく感動して、想像以上に泣いてしまいました。

 ほかにも、さきさん(彩風咲奈)のコンサート『ALL BY MYSELF』と、朝美絢さん、夢白あやさん主演の全国ツアー公演も観劇することができました!
 さきさんのコンサートもまた、涙が止まらなくて……。さきさんがこれまでに積み上げてきた宝塚人生を振り返るという構成だったので、「この公演ではさきさんが本役さんだったな」「新人公演でご一緒した作品だ」「全部知っている!」と、懐かしくて仕方がなかったです。さきさんの軌跡が雪組の時代そのもので、そこに確実に自分がいたことを実感しましたし、さきさんの宝塚人生に自分も存在できていたことがとてもうれしく感じました。

 全国ツアーもとっても楽しかったです。私も昨秋の全国ツアー公演を経験していたので、『Gato Bonito!!』のような激しいショーで全国を回るのは本当に大変だろうなと思っていましたが、朝美さんをはじめ皆さんのエネルギーが本当にすごかったです。客席下りもあり、いちファンとしてうれしかったですし、きっと全国各地の方もたくさん喜ばせてこられたんだろうなと、とても感動しました。夢白あやちゃんもすごくきれいで……。全力でぶつかり合う、惜しみなく自分の表現を出し合うお2人がとても素敵だな思いました。

※このメッセージは、6/17(月)のものです。

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テーマ:「最近心を動かされたこと」

  • ◎東京宝塚劇場公演『アルカンシェル』の千秋楽

    本当に素敵な千秋楽でした。卒業生の方々がすごく晴れやかで穏やかなお顔をされていて、お客様もとても温かく、劇場全体が幸福感に満ちていました。私自身としても、カーテンコールなどでも柚香さんから温かい思いをたくさんいただき、温かいバトンを受け継がせていただきました。この立場として走り出すことへの不安もありましたが、一歩踏み出すには十分なほどの温かい励まし、たくさんのエネルギーをいただいたので、これからも頑張りたいと強く感じた千秋楽でした。
  • ◎『フラメンコ』

    『ドン・ジュアン』のお稽古が始まってからずっとフラメンコの練習が続いているのですが、やはりすごくパワーのある踊りだな、と。振付の佐藤浩希先生とは『ドン・ジュアン』の初演、『DANCE OLYMPIA』とご縁があって大好きな先生で、本場のスペインの方なのではと思うくらい熱量がある方です。そんな先生の情熱に花組のメンバーが臆することなくついていっていることに喜びを感じていますし、みんなで足を踏みならすことで生まれるものっていいな!と、ときめいています(笑)!
  • ◎『東京ディズニーランド』

    先日、下級生何人かと、久しぶりに東京ディズニーランドに行ってきました。すごく詳しい子がいたのですべてお任せしたら、1日中いてもまったく疲れないくらい効率よく回ることができ、楽しみ方がこんなにも違うの!? と驚きましたし、いままで味わったことがないくらいの満足感がありました! 初めて場所取りをしてパレードを観たり、ミッキーやドナルドからファンサービスをいただいたり……夢と元気をたくさんいただきました!