永久輝せあコーナー

今月のメッセージ

柚香さんから受け継いでいきたいこと。

永久輝せあ 今月のメッセージ  このメッセージがアップされるころには、花組東京宝塚劇場公演『アルカンシェル』が閉幕していると思います。ご観劇いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 そして私事ですが、5月27日より花組トップスターに就任させていただくことになりました。
 就任のお話をいただいてからはそのことが片時も頭から離れることはなく、柚香光さんの背中をより強く意識して拝見したり、歴代の素晴らしいトップさんたちを思い返したりしてみては、自分の未熟さを感じるばかりでした。

 私のなかでは昨秋、全国ツアー公演が大きな経験だったように思います。全国各地での公演だからこそ足を運んでいただくお客様がたくさんいらっしゃるなか、組、そして宝塚を背負っているような感覚を強く覚え、宝塚というものを体現しないといけないのだと痛感しました。それを柚香さんはずっと背負って先頭に立ってこられた。その偉大さ、”背中と存在の力強さ”を、改めて思い知りました。

 そんななか柚香さんと番組でご一緒したときに「何かになろうとしなくていい。ひとこはひとこらしく、そのままで大丈夫」「ひとこらしい花組を作ればいいから、それが楽しみだよ」と話してくださって、こんな力強いお言葉はないとすごく胸に響きました。直にバトンを受け継がせていただく柚香さんからお言葉をいただき本当にうれしかったですし、改めてお優しく素敵な方だなと感じました。
 覚悟や伴う責任は絶対的に変わりますが、その立場になったからといって変に背伸びをしたり、中身を変える必要はない、と。だからといって「私はこれでいいんだ」と過信するのは違いますし、自分のなかにあるものを最大限に活性化させて、真摯に舞台と向き合い、新しいものを吸収しながらやっていけたらいいなと思っています。

 柚香さんは組の誰よりも作品とお客様のことを一番に大切にされて、揺らぐことなく佇んでこられた。そのお背中を感じることで、組の皆も頑張ることができたのだと思います。柚香さんのお客様を大切に思う気持ち、作品への思いを絶対に手放さずに立ち続けてこられたところは、絶対に私も忘れずにいたいと思っています。

 花組の一番の魅力は、稽古場から皆が常に明るく前向きでエネルギッシュ、楽しそうに舞台に立っているところ。舞台が好きですごく純粋な子たちばかりなので、その心を砕くことがないように、皆が伸び伸びと表現できる環境を整えるのも私の役目だと、いま身の引き締まる思いです。

偉大なトップさんたちから学んだこと。

永久輝せあ 今月のメッセージ  柚香さんはもちろん、雪組時代にお世話になった4人のトップさんも本当に素敵な方ばかりで、私にとってとても大切な方々です。
 雪組に配属になったときのトップさんは、音月桂さんでした。ケイさんはもうとにかくかっこよく、優しくて明るい方で周りの空気がキラキラと輝いていて、「カリスマというのはこういう方のことだ!」といつも思っていました。歌声もすごく素敵で、踊りもおしゃれでとってもかっこいい! 最下級生の私にも優しく接してくださって、誕生日を祝っていただいたりして……。もっともっとご一緒したかったです。

 壮一帆さんは、組回りで出演させていただいた花組公演『ファントム』でご一緒したときからとてもお優しく、食事に連れて行っていただいたこともありました。雪組にいらっしゃってからは、「みんな行くぞ!」といつも豪快でパワフルで、壮さんの楽しそうな笑い声がずっと楽屋に響いていて、すごく安心感がありました。まだまだ下級生で何もできなかった私でも「雪組の一員として何か貢献したい!」「作品に少しでも影響を及ぼすようなお芝居をしたい」という気持ちが芽生え、壮さんの組ならそういうことができるという思いを感じられる環境を作ってくださり、とても楽しかったです。

 そして学年が上がって近くで学ばせていただいた早霧せいなさん、望海風斗さんは私の師匠です。
 ちぎさん(早霧)には、「どんなことがあっても絶対に忘れたくない」「ここに立ち返るんだ」という芸事や舞台への取り組み方など、根本になることを学ばせていただきました。すべてをさらけ出して舞台作りをされるちぎさんの背中はとってもかっこよかったですし、もがく姿も見せられる人というのが本当に強い人なのだと感じました。努力して手にしていく、成長していく過程の大切さを教えてくださいました。

 のぞさん(望海)は、その背中や舞台を見ていると、男役であること、宝塚の舞台に立つことが本当に素晴らしいことで、続けたいなと思わせてくださる、本当にすごい存在でした。ちょうど私が踏ん張らないといけない時期のトップさんだったので、のぞさんのようになりたいけれど全然届かない自分の未熟さばかり感じてしまう時期でもありました。あるとき「ライバルは前で踊っている人だよ」とおっしゃっていただいたことがあり、高め合える存在であること、先輩であっても舞台では関係ない!という思いを持つ大切さを教えていただき、火をつけてくださいました。のぞさんとの出会いで自分自身が変わったなと感じます。

 そんな音月さん、壮さん、早霧さん、望海さん、柚香さんという素晴らしいトップさんたちから学ばせていただいたことを、これから私自身も大切に受け継いでいきたいなと思っています。

相手役、みさきちゃん(星空美咲)の存在。

 みさきちゃんとは、『冬霞の巴里』で深くお芝居をしたことから始まり、最近では全国ツアー公演『激情』でも一緒に作品を作りました。『冬霞の巴里』では私の姉役で学年差もあって大変だったと思いますし、カルメンも強烈な女性でしたが、女優魂と言いますか、とても良いものを持っているなと感じました。

 みさきちゃんは底力、馬力みたいなものがあって体当たりで表現してくれるので、それがバッチリ役とはまるとものすごいエネルギーを発する。舞台度胸もあるけれど不器用さもあるという不思議な魅力を持っていて、私がつい凝り固まってしまいがちなところを砕いてくれるかもしれません。

 まだ眠っている彼女の力をもっと掘り起こしていくことができたら、私にとってもすごく学びが大きいと思うので楽しみです。2人で一緒に成長していけたらいいなと思っています。

お披露目公演『ドン・ジュアン』について。

 7月から始まる御園座公演『ドン・ジュアン』は、かつてラファエル役で出演させていただいたターニングポイントになった作品です。
 当時、お稽古場から手も足も出なくて、公演が終わった後も悔しさがものすごく残った役でもありました。自分の未熟さが露わになり、恋人を奪ったドン・ジュアンという男に対しての悔しさと、できない自分に対しての悔しさ、その両方があったのだと思います。いつか成長したらもう一度ラファエルにチャレンジしたい、もっといいラファエルが演じられたら、もう少し対等にドン・ジュアンと戦えるのでは、と思っていました。
 そんな悔しさが何周もしたあげく、「敵わない男ドン・ジュアン=いまの自分に足りないものを持っている人」という不思議な転換をし(笑)、私もいつかドン・ジュアンのような役を演じれられる男役になりたいと思うようになりました。

 悔しい思いを上回るぐらい大好きで、せりふも歌もほとんど覚えてしまうくらい何回も観て、歌を聴き続けてきた作品です。ここまで思い入れのある作品にチャレンジするのは初めてなので、役を自分のものにできるのだろうか……という不安もあります。
 ですが、私がターニングポイントとなったように、この作品がきっかけで何かが変わる花組生が出てきたり、組の皆の技量、気持ちや意識が大きく変わるような作品になるのではということが、一番の楽しみです。いまの花組にとって大きな挑戦となりますが、この作品の厚みとパワーを使って皆が一歩前に進めるように頑張りたいと思います!

※このメッセージは、5/17(金)のものです。

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テーマ:「舞台に臨むルーティン」

  • ◎『白湯』

    普段もそうですが、公演中は特に朝起きたら必ず白湯を飲みます。学年を重ねるごとに責任も大きくなり、ベストコンディションで舞台に臨まなければという気持ちが強くなって、体に良いと聞いた白湯をいつの頃からか飲むようになりました。体が温まって代謝が上がりますし、何より体が目覚めるような気がします!
  • ◎『お香とコーヒー』

    「今日も1日頑張るぞ!」という気持ちで、窓を開けて換気をしながらお香の香りを部屋中に回しています。香りで体を目覚めさせるという意味では、コーヒーも同じ。コーヒーは自分で入れたものを稽古場などに持っていくと、ちょっと気持ちも違いますね(笑)。お香やコーヒーの香りで気分が上がります。
  • ◎『ウォーミングアップ』

    1時間くらいかけて、その日の状態や気分、喉に合わせてメニューを変えて行っています。ストレッチが多めの日もあればほとんど何もしないで横たわったり(笑)、喉がむくんでいるときは、それを取るような発声練習をしたり。アップするというよりは、その日の自分の体調に向き合って対話する時間になっています。