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これで完璧!iDeCo(イデコ)の年末調整と確定申告の手順を解説

これで完璧!iDeCo(イデコ)の年末調整と確定申告の手順を解説

ファイナンシャルプランナー 柳澤 美由紀

ファイナンシャルプランナー

監修:柳澤 美由紀

家計アイデア工房 代表
株式会社FPフローリスト 取締役
「専門知識と真心で、日本の家計を元気にする」を使命に活動するFP(CFP® /1級FP技能士)。個人コンサルティングを主軸に、ライフプランセミナーなどの講演活動も行っている。相談件数は800件以上。資産形成で重要なのは、「貯める・ふやすしくみ」「大切に使うしくみ」「リスクの備え」を実行すること。資産を増やしたい。そんなご希望のある方はお声をかけてください。あなたのライフスタイルにあったプランをご提案いたします。

将来の老後資金をつくるための年金制度「個人型確定拠出年金」、通称iDeCo。3つの税制優遇があり、銀行などに貯蓄するよりも、多く資産を形成できる可能性があります。この3つの税制優遇の1つに掛金の所得控除がありますが、この所得控除を受けるためには、年末調整や確定申告をする必要があるのをご存じですか。今回は、iDeCoの年末調整と確定申告、それぞれのしくみや手続きの方法を詳しく解説します。

INDEX

iDeCoは年末調整が必要?

iDeCoは年末調整が必要?

iDeCoの掛け金は、所得控除の一種である「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。会社員、公務員の場合は年末調整または確定申告、自営業の場合は確定申告で、その年に支払った掛け金を申告する必要があります。

「所得控除」は、扶養家族が多い人、持病で医療費の支払いが多い人など、それぞれの生活事情を考慮して、税金の負担を軽くするために設けられた制度です。年末調整、確定申告で所得控除をすることで、税額を計算する基準となる課税所得が低くなり、納付する所得税を抑えることができるしくみとなっています。では、iDeCoの掛け金を申告するとどれくらい節税できるのでしょうか。

所得税は、以下の計算式で求める課税所得に所定の税率をかけて計算します。

所得税の計算

この所得控除額に、iDeCoの掛け金が上乗せされるので「掛け金×(課税所得金額に応じた)税率」分の金額を節税できることになります。税率は課税所得が多いほど高くなるため、掛け金が増えると節税効果も大きくなります。

iDeCoで住民税も節税できる?

個人住民税の計算方法は2つあり、その内の「所得割」をiDeCoで節税できます。所得割とは、その人の所得に応じて税金を課す方法で、一律で1年間の(課税される年の前年の1月1日から12月31日までに得た)所得の税率分が徴収されます。所得割の標準税率は、市町村民税および特別区民税では6%、都道府県民税では4%に設定されているので、2つ足して10%になります。ただしこれはあくまで基準となる「標準」税率であり、実際の所得割額の税率は、都道府県や市区町村によって異なる可能性があるので、住んでいる地域の自治体のホームページなどで確認してください。

所得割額は以下のように計算されます。

所得割額の計算

計算式にある「税額控除」とは、寄付したとき、自然災害や盗難、横領の被害に遭ったときなどに適用される、税額から直接差し引くことができる控除のことです。iDeCoは小規模企業共済等掛金控除の対象なので、住民税においても「掛け金×税率分」を節税することができます。iDeCoは最長65歳まで掛け金の拠出が続くため、節税に努めておくと、今の生活費への負担も減らすことができてお得です。

年収400万・掛金月額1万円の場合の税制優遇額は?

では実際の税制優遇額について具体的な例でシミュレーションをみてみましょう。

横にスライドしてください

年収400万・掛金月額1万円の場合
年収/年 400万円
給与所得控除 124万円
社会保険料控除/年(※1) 57万5,600円
基礎控除 所得税 48万円
住民税 43万円
課税所得金額
iDeCo未加入の場合
所得税 170万4,400円
住民税 175万4,400円
課税所得金額(※2)
iDeCo加入の場合
所得税 158万4,400円
住民税 163万4,400円
年収400万・掛金月額1万円の場合
年収/年 400万円
給与所得控除 124万円
社会保険料控除/年(※1) 57万5,600円
基礎控除 所得税 48万円
住民税 43万円
課税所得金額
iDeCo未加入の場合
所得税 170万4,400円
住民税 175万4,400円
課税所得金額(※2)
iDeCo加入の場合
所得税 158万4,400円
住民税 163万4,400円
  1. 年収の14.39%として計算しています。
  2. 課税所得=年収-給与所得控除-社会保険料控除-基礎控除とし、端数金額の処理はせずに計算しています。

基礎控除を引いた金額から、さらにiDeCoの掛金12万円を引くと、iDeCo加入者の課税所得額が算出されます。この課税所得額で所得税額や住民税額は算出されます。

1年間の税制優遇額
所得税軽減額 6,000円
住民税軽減額 1万2,000円
税制優遇額 1万8,000円

年間1万8,000円の税制優遇が受けられ、仮に30歳から60歳までの30年間、拠出した場合、54万円の税制優遇が受けられます。

年末調整とは?

年末調整とは?

年末調整は、その人が1年間に納める所得税と復興特別所得税額の過不足を精算する手続きのことを指します。会社などでは社員に対して毎月給与を支払う際に、所得税と復興特別所得税の源泉徴収を行い、税額分を給与から天引きしていますが、その合計額がその人の1年間に納めるべき税額と必ずしも一致しません。

そもそも給与を支払う側(会社など)は国税庁が発行する「源泉徴収税額表」を参考に、源泉徴収を計算しますが、その表は毎月の給与額に変動がないことを前提にしてつくられています。しかし、実際には会社の業績などで給与額に変動があるため一致しないうえ、控除によっても差額が生じます。

そのため、1年間の給与が確定する年末に、配偶者特別控除、生命保険料控除、住宅ローン控除といった控除を含めて、税額を計算し直し、追加徴収および還付によって金額を調整するのです。年末調整は会社などに1年を通じて勤務している人、年度の中途で就職して年末まで勤務している人が対象のため、基本的に勤め先を通じて手続きを行います。転職者は年末調整で、前職の源泉徴収された税額を申告するために「源泉徴収票」を発行してもらう必要があるので注意しましょう。

確定申告とは?

確定申告は、所得税と復興特別所得税額の過不足を精算する手続きです。自営業、無職の人のほか、給与所得が2,000万円を超える会社員、雑所得(副業など)が20万円を超える人・ダブルワークなど2か所以上から給与をもらっている人、(源泉徴収されない)退職所得がある人が対象です。

毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、それに対する所得税、復興特別所得税の額を計算して、申告期限までに必要書類をそろえて提出します。年末調整と同じように、追加徴収、還付で税額の調整が行われます。

iDeCoの年末調整・確定申告の手順

iDeCoの年末調整・確定申告の手順

では実際に、年末調整や確定申告でiDeCoの掛け金をどのように申告したらよいのでしょうか。対象者別にそれぞれの手順を解説します。

iDeCoの年末調整の手順

年末調整の対象者は、1ヵ所から給与を支払われている会社員と公務員です。申告する書類は一般的に勤め先にてもらうことができます。

iDeCoの掛け金を給与から天引きしている(事業主払込を指定している)場合は、事業主が毎月の税額を計算する際に、iDeCoの掛け金を控除する手続きを行っているため、年末調整の手続きをする必要がありません。

年末調整の手順

1)「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取り、保管する。

国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」というハガキが届きます。これは、iDeCoの加入者が1年間払った(12月末までに払い込む予定額を含む)掛け金を証明する重要な書類です。iDeCoで年単位拠出を選択して掛け金を月別に指定している場合、証明書は10月下旬頃に送付されます。しかし掛け金を月単位拠出にしている場合、証明書が届く時期は、初回の掛け金を払い込んだ月によって異なります。

小規模企業共済等掛金払込証明書が届く時期

証明書発行後に掛け金額を変更した場合でも、自動的に変更後の金額が記載されたものが追送されます。

2)「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入する。

勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」という年末調整を行うための書類をもらい、必要事項を記入します。「給与所得者の保険料控除申告書」の右下『小規模企業共済等掛金控除』の『確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金』と『合計(控除額)』の欄に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に書かれている合計金額(その年にiDeCoで払った掛け金の総額)を記入します。

3)「給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先に提出する。

「給与所得者の保険料控除申告書」に「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して、勤務先の担当部署に提出すれば、手続きは完了です。

iDeCoの確定申告の手順

確定申告の対象者は、個人事業主やフリーランスを含む自営業、無職の人です。会社員や公務員でも、小規模企業共済等掛金払込証明書の到着が年末調整に間に合わない以下のケースでは、確定申告の手続きを行う必要があります。

  • 11月以降にiDeCoの初回の掛け金を払い込んだ場合
  • 小規模企業共済等掛金払込証明書の送付後に、掛け金額が変更になった場合

確定申告の用紙は、税務署や確定申告会場のほか、市区町村の担当窓口や指導相談会場で受け取ることができます。もしくは国税庁ホームページよりダウンロードして、印刷することもできます。対象者によって、記入する書類が異なるため注意しましょう。

申告の手順は以下のとおりです。

・会社員、公務員が行う確定申告の手順

確定申告の手順(会社員、公務員の場合)

1)「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取り、保管する。

2)「確定申告書A」に必要事項を記入する。

  1. 「確定申告書A」第一表の左中部分にある『小規模企業共済等掛金控除⑦』の欄に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載された金額(その年のiDeCoで払った掛け金の総額)を記入します。
  2. 「確定申告書A」第二表の右上部分にある『⑦小規模企業共済等掛金控除』で、『掛金の種類』の欄に『個人型確定拠出年金』と記入します。
  3. 同じ「確定申告書A」第二表の『支払掛金』の欄と『合計』の欄に、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載された金額(その年のiDeCoで払った掛け金の総額)を記入します。

3)「確定申告書A」を税務署に提出して終了。

申告期限(原則2月16日から3月15日の間)内に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」と源泉徴収票を添付した「確定申告書A」を税務署に提出します。

・自営業・無職の人が行う確定申告の手順

確定申告の手順(自営業、無職の場合)

1)「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取り、保管する。

2)「確定申告書B」に必要事項を記入する。

  1. 「確定申告書B」第一表の左下部分にある『小規模企業共済等掛金控除⑬』の右側の空欄に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」に記載された金額(その年のiDeCoで払った掛け金の総額)を記入します。
  2. 「確定申告書B」第二表の右上部分にある『⑬小規模企業共済等掛金控除』で、『掛金の種類』の欄に『個人型確定拠出年金』と記入します。
  3. 同じ「確定申告書B」第二表の『支払掛金』の欄と『合計』の欄に、小規模企業共済等掛金払込証明書に記載された金額(その年のiDeCoで払った掛け金の総額)を記入します。

3)「小規模企業共済等掛金払込証明書」と「確定申告書B」を税務署に提出して終了。

申告期限(原則2月16日から3月15日の間)内に、「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付した「確定申告書B」を税務署に提出します。

所得税や住民税はどうやって戻ってくる?

所得税や住民税はどうやって戻ってくる?

勤め先の年末調整完了時期によっても異なりますが、早ければ12月中、遅くても翌年の1月下旬頃には還付されます。還付金の受け取り方も勤め先によって異なり、手渡し、手数料と手間を減らすために給与と一緒に振り込み、別で振り込みなどさまざまです。勤め先の給与明細用式によっては、年末調整還付・所得税還付と明記する場合もあります。確定申告の場合は、4月から5月頃に軽減された分の所得税が指定の口座に還付されます。

一方、住民税に還付はなく、所得控除した分は翌年6月以降の住民税に反映されます。年末調整をした人は、5月から6月頃に「住民税決定通知書」というハガキが届くので、チェックしましょう。住民税の年度は6月から翌年の5月末までなので、会社員や公務員の場合は、6月以降に支払われる給与より新しい住民税額で天引きされます。確定申告をした人には、個人あてで「納税通知書」と「納付書」が5,6月頃に届くので、金融機関にて一括もしくは4期分割で住民税を納付します。

まとめ

面倒に感じられる年末調整や確定申告ですが、iDeCoの所得控除は所定の書類に金額を記入するだけで簡単に手続きができます。将来に備えるだけでなく、節税すれば直近の生活費の負担を軽減することができるので、忘れずに申告しましょう。

  • 本記事は、公開日時点での情報です。

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