電子マネー「交通系ICカード」のメリットは?
「交通系ICカード」は、通勤・通学の定期券や乗車券として使われている身近な電子マネーです。コンビニや売店、自販機などの支払いでも利用でき、便利な機能やサービスが充実しています。
ここでは、交通系ICカードについて、その特徴やメリットをご紹介します。
INDEX
交通系ICカードは電子マネーのひとつ
現在、国内で利用されている電子マネーは実に多種多様ですが、その多くは「交通系」と「流通系」の2つに大きく分類することができます。
それぞれがどのような性格と特徴を持っているのか、まずは簡単にご説明しましょう。
電子マネーの種類とメリットを解説!
電子マネーを利用するメリット
交通系ICカードとは?
交通系ICカードとは、日本各地の鉄道会社が発行している電子マネーの総称です。電車やバスといった公共交通機関の乗車券として使え、通勤・通学の定期券としての機能を持たせることもできます。毎日電車やバスを利用する社会人や学生ならば、多くの人が持っている電子マネーでしょう。
交通系ICカードは、記録されたデータのやりとりに日本独自の「FeliCa」という技術を使っています。これは、欧米で一般的なNFC(Near Field Communication)という技術を基に作り上げたもので、カードを対応するリーダー(読み取り端末)にかざすだけで、約0.1秒という短時間のうちにデータの読み書きができます。
このスピーディーな機能のおかげで、短時間に膨大な数の乗降客が行き交うターミナル駅でも、ストレスなくスムーズに改札を通ることができるのです。
流通系電子マネーとの違いは?
交通系ICカードと流通系電子マネーとの違いは、やはりカード自体を乗車券・定期券として使える点です。
ポイント還元率では流通系電子マネーのほうが有利な部分もありますが、ポイントのおトクさを上回る便利さがあります。日々使い続けたくなる利便性というメリットを、交通系ICカードは持っているのです。
おもな交通系ICカード
交通系ICカードは、日本各地の鉄道会社によって発行されています。2019年夏の時点では、全国で10種類があります。基本的な機能は共通していますが、それぞれの特徴や特典には差もあります。
ここでは、代表的な交通系ICカードをご紹介しましょう。
・Suica(スイカ)
Suicaは、JR東日本が発行する、代表的な交通系ICカードです。おサイフケータイ対応のスマホやiPhoneを使って「モバイルSuica」として利用することもできます。また、JRが発行する「ビューカード」と紐付ければオートチャージ機能を使うことができ、「残高不足で改札を通れない」というトラブルを避けることができます。ただし、気付かないあいだに使いすぎたということがないように注意が必要です。
Suicaのチャージにクレジットカードは使える?
Suicaにクレジットカードでチャージする方法は?
・PASMO(パスモ)
PASMOは、首都圏・仙台・新潟・札幌エリアで利用されている交通系ICカードです。発行元の東京メトロで利用すると、メトロポイントクラブのポイント「メトポ」が加算されます。PASMOは交通各社が発行するクレジットカードと紐付けられます。自分がよく使う鉄道会社のクレジットカードを選択するといいでしょう。
・PiTaPa(ピタパ)
PiTaPaは、関西・北陸・東海で利用されている交通系ICカードです。交通系カードの中では珍しく、ポストペイ(後払い)型を採用しているため、チャージが不要です。ポストペイ型は「残高不足で改札を通れない」ということがないのが特徴です。そのため、広義のクレジットカードに分類されます。
・ICOCA(イコカ)
ICOCAは、JR西日本が発行する交通系ICカードです。関西・北陸・山陰・山陽・瀬戸内・南紀で利用されています。クレジットカードと紐付ける「SMART ICOCA」なら、現金なしでチャージができ、携帯電話やPCで利用履歴を確認できます。
・manaca(マナカ)
manacaは、名古屋を中心に利用されている交通系ICカードで、利用実績に応じてマイレージポイントを還元するサービスを行っています。また、名古屋市交通局運営のバスや地下鉄を乗り継ぐ場合、90分以内の乗り継ぎであれば割引料金が適用されるなど、地元ユーザーに優しい交通系ICカードとなっています。
交通系ICカードのメリット
ここでは、交通系ICカードのメリットについてまとめてみました。交通系ICカードがいかに便利かをご紹介しましょう。
ほぼ全国で相互利用できる
交通系ICカードは、全国どこでも相互利用ができます。例えば、JR東日本が発行したSuicaを、九州で使うこともできます。
コンビニや自販機などでも使える
コンビニや駅の売店、自販機など、身近に使える場所が多いというのが、交通系ICカードの大きなメリットです。例えばSuicaであれば、JR東日本の駅ビル内の各店舗でも使うことができますから、首都圏を行き来する人にとって利便性は抜群でしょう。
クレジットカードと紐付けられる
ほかの電子マネーと同じように、交通系ICカードもクレジットカードと紐付けることができます。それにより、カード残高が一定額以下になると自動的にチャージされる「オートチャージ」を使うことができます。
ポイントが貯まる
交通系ICカードは、おもにクレジットカードとの紐付けによってポイントが加算されていきます。クレジットカードでチャージすることでクレジットカードのポイントを貯めることができ、コンビニ・スーパー・自動販売機などで電子マネーとして利用すれば、交通系電子マネーの独自のポイントが貯められます。こうしたシステムを上手に活用することも、電子マネーを上手に利用するコツといえるのではないでしょうか。
おサイフケータイやApple Payで使える
交通系ICカードは、おサイフケータイやApple Payを経由する形で、携帯電話やスマホで利用することもできます。スマホに電子マネーの機能を追加できれば、利便性はますます高まります。買物をするにも駅の改札を通るにもスマホをサッと取り出せばいいのですから、スムーズに移動や買物ができます。
Apple Payを解説
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交通系ICカードの注意点
このように、日々の生活でとても便利に使える交通系ICカードですが、利用にあたっては注意すべき点もいくつかあります。以下のような点について、よく確認しておきましょう。
「エリアまたぎ」ができない
交通系ICカードは、日本各地の鉄道会社が自社の運行しているエリア内での利用を想定して発行しています。そのため、異なるエリア間で利用する「エリアまたぎ」ができないという課題があります。
例えば、Suicaの発行元はJR東日本ですが、このSuicaをJR東海のエリア内の電車や店舗などで使うには何の問題もありません。しかし、JR東日本のエリア内から乗車してJR東海のエリア内で下車する場合、通常どおり自動改札を通ることができないのです。
現在では、買物などに関してはエリア間の壁は取り除かれていますが、それでもエリアまたぎができない課題は、いまだ解決されていません。下車駅では自動改札を通ることができず、有人改札で精算してもらわなければなりません。
残高不足
交通系ICカードの多くは、あらかじめカードにチャージしておく「プリペイド型」を採用しています。そのため、頻繁に利用していると残高不足で自動改札を通れないことも起こります。たくさんの人が忙しく行き交う自動改札で残高不足になると、周囲の人たちに迷惑をかけることになります。
こうした状況を避けるためにも、残高には常に気を配るようにしたいものです。改札を通るときには原則残高が表示されますから、こまめにチェックしておけば目安になります。また、クレジットカードと紐付けてオートチャージを設定しておけば、残高不足で改札で慌てることはなくなります。
自分自身の生活スタイルに合わせて交通系ICカードを使いこなそう
交通系ICカードは、公共交通機関に特化した設計がされています。ほかの電子マネーと比較すると、買物などでのポイント還元率は高くありませんが、使い勝手は抜群です。クレジットカードと組み合わせたり、おサイフケータイとして活用したりすることで、さらに使いやすくなるでしょう。
自分の生活スタイルに合わせて、交通系ICカードを賢く使いこなしましょう。
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