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私は『エリザベート』には、'96年の星組公演にも出演させていただきました。お稽古が大変だったのですが、再演ではあったけれど自分たちの『エリザベート』を作ろうと皆で頑張って、とても楽しかったですね。その新人公演では、トートを演じさせていただきました。最後の新人公演だったのですが、歌での表現やトート像、存在感の出し方など、苦労したことを覚えています。個人的にとても思い入れの深い作品ですね。
『エリザベート』は、ハプスブルク家の歴史や、エリザベートなど1人ひとりが背負っている哀しみや人生が、歴史の流れのなかにうまく溶け込んでいる作品です。
先日ウィーンに行ってきたのですが、空気もよかったですし、宮殿などすべてが絵画のような雰囲気。匂いで感じる景色と言うんでしょうか。五感すべてで感じてくることができました。その経験を、作品に生かしていきたいです。
役作りに関しては、これからお稽古をしていくなかで固めていきたいですね。トートは人間ではないのですが、冷酷な部分、狂気的な部分などいろいろな側面を、より立体的に表現できたらいいなと思います。あさこ(瀬奈じゅん)のエリザベートは、制作発表のときの扮装した姿がとても大人っぽく綺麗でした。もっとあさこの繊細な部分が出てくると思いますし、どんなエリザベートを作り上げていくか楽しみです。
自分のなかでの課題もたくさんありますが、一瞬一瞬を大切に、出演者みんなで心を込めて作り上げていきたいです。この公演が退団公演となりますが、作品に集中して、ありったけの思いをぶつけていきたいと思っています。
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『エリザベート』には、'02年の花組公演でルイジ・ルキーニ役で出演させていただきました。ルキーニは、物語をお客さまに説明するという役割もあったので、客観的に作品を観ることができました。
音楽が素晴らしいのはもちろん、エリザベートという1人の女性の人生がドラマチックで、その人生にトートや周りの人物が巧みに絡み合っている。トートの存在が物語にとけ込んでいて想像力がかき立てられる、奥の深い作品だと思います。
エリザベートはわがままな面もある女性だと思いますが、細かい感情やどうしてそう思うようになったかなどを考えると、すごく共感できるんです。感じることや傷ついてしまうこと、うれしいことは、いまも昔も、どういう立場にあっても変わらないな、と。その感情をどういう風に表現していくかが課題ですが、いまはこうと決めずに柔軟に吸収できる状態でいたいと思っています。
エリザベートを演じるということをお伺いした当初は驚きましたが、いまは楽しみになってきましたね。女役ですが、人間を演じるのに男役も女役も関係ないし、1人の一生を演じる機会は滅多にないことですので、幸せですね。
さえこさん(彩輝)の退団公演ですし、微力ながら、月組のみんなと盛り上げていけたらと思います。『エリザベート』は多くの皆さんに愛されている作品ですから私たちもより愛して、いい作品になるように仕上げていきたいです。
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