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出演者インタビュー

望海風斗

「オペラ座の怪人」を題材にした作品はほかにもありますが、この『ファントム』は人と人との関わりや愛、心情が丁寧に描かれていて、宝塚にはぴったりの作品なのではないかなと感じています。楽曲も素晴らしく、曲が心情を引き出してくれるので、エリックとして歌ったときにどんな心情をお届けできるのか、自分でもすごく楽しみです。

 私はこれまでに2回、2006年と’11年の花組公演に出演させていただき、いつかエリックの心を覗いてみたいと思ってきました。演じる人によって印象がまったく異なる役ですが、エリックの繊細さをもった心情を深めて、その内面が歌声となって出てくるというように表現できたら、と。

 エリックは、母親に愛を求めるような、恋愛よりもさらに深い形の、人として認めて欲しいというような愛をクリスティーヌにも求める。そんな重さをクリスティーヌに背負わせてしまうのが、この作品の哀しさなのかなとも思いますね。
 そして、エリックとキャリエールの関係は、今作の重要なポイント。とはいえ、場面として多く描かれているわけではないので、描かれていない部分をきちんと作り込み、より深く演じていきたいです。キャリエールを演じるさきちゃん(彩風咲奈)とはこれまで友人役が多かったですが、何をやっても受け止めてくれる人。どんなエリックになってもさきちゃんのキャリエールだったら大丈夫だという安心感があるので、自由にさせてもらおうと思っています(笑)。

 トップに就任後、大劇場3作目となります。最近ようやく、自分のことをやりつつも、組全体のことを感じられるようになってきました。皆、私がやりやすい環境を作ってくれていて、とても頼りにしています。そんな周りの雰囲気を感じながら、迷うことなくエリックを作っていきたいです。そして『ファントム』はコーラスナンバーが多いので、チームワークはもちろん、一人ひとりが互いの声を聞き合うことの大切さを知ることができると思います。実際、私も2回の出演で、コーラスに対する意識はかなり変わりました。ですので、今作に挑戦することは、組の皆の力になると感じています。

 作品の根本にあるものは変わりませんが、この雪組公演でどんな色を出せるのかというのは、挑戦でもあり楽しみでもあります。まずはいつもと同じように、自分の役を深め、皆で一緒に作り上げていきたい。雪組版『ファントム』を楽しみにしてくださる方が喜んでいただける舞台になるよう、お稽古を重ねていきたいと思います。

真彩希帆

 初演の2004年の宙組公演を拝見したとき、楽曲に感動してすぐにCDを購入。そんな思い出のある作品で、そのときからクリスティーヌは憧れの役でした。また以前、望海さんとお仕事で「Home」を歌わせていただいたことがあり、もう一度歌うことができたらなと思っていたので、夢が叶って本当にうれしいです。

 クリスティーヌは、「天使の歌声」と称される声の持ち主。そんな声にいかに近付けられるのか。そして、それは内面からにじみ出るものだとも思うので、妥協することなく、追求し続けていきたいです。クリスティーヌは、エリックと関わっていくなかで心が成長し、いつの間にか彼への愛を感じていきます。彼のすべてを知りたい、自分にも母と同じような愛があるはずだと思い、「仮面を外して」と歌うのかな、と。表に見える愛だけでなく、深いつながりを表現していければと思います。

 1年前から望海さんと組ませていただくことで、知らない自分に出会うことができ、娘役としてどう存在したらいいのかなど、いつも真剣に考える機会を与えていただいています。今回の『ファントム』でも丁寧に役を作っていくことで、自分なりのクリスティーヌを見つけられたらと思っています。

 望海さんが演じられるエリック、そしていまの雪組で上演する『ファントム』に出演することができ、個人的にもとてもうれしくて、こんな幸せがあっていいのかと感じています。その気持ちを大切にお稽古していくなかで、皆さんの変化を感じて、自分自身もクリスティーヌとして息づいていきたいです。望海さんや彩風さん、そして雪組の皆さんとともに、お客様に楽しんでいただける作品をお届けできるよう、精進したいと思います。

彩風咲奈

 私は、2006年と’11年の花組公演を客席から拝見させていただき、演じられる方が違うとまったく印象が異なる、深い魅力をもつ作品だと感じました。今回キャリエール役をいただき、改めて過去の作品を見返してみました。そうすると、それぞれの方のエリックに対して、キャリエールが存在している。このキャリエールだからこのエリックは生まれたのだと、2人のつながりの深さを実感しました。ですので、私も望海さんのエリックをしっかり見て、お稽古していきたいと思います。

 キャリエールという役は、エリックとの関係が明らかになるクライマックスの部分に焦点をもっていきがちですが、ベラドーヴァとの出会いや、さまざまなものを抱え、隠しながら生きてきた過去の部分も細やかに表現できたら、と。外見的には大人の渋い男として、そして内面的にも懐深く演じられたらと思います。

 これまでの作品では望海さんとは友人役が多く、その時々で心と心のぶつかり合いをさせていただいてきました。だから今回も望海さんに真っ直ぐぶつかっていき、キャリエールとしてエリックを受け止めていきたいです。

『ファントム』は、華やかでありつつも、そのなかに繊細なものを秘めた作品。そんな魅力をそのままお客様にお伝えしたいです。そして、望海さん率いる雪組で上演する『ファントム』のキャリエールとして、しっかりとエリックを心で感じたい。それを素直にお客様にお伝えできたらと思います。